インドネシア独立と共に初代スカルノ大統領が誕生しましたが、共産党PKI(Partai Komunis Indonesia)の支持の下に、共産主義イデオロギーに基く政策への反対勢力を逮捕するなどの独裁色を強めた結果、西側諸国からの海外直接投資や援助が減少し、経済的に困窮する時代となりました。
スハルト第二代大統領の時代には西側諸国との関係強化を図り、まずは石油輸出型経済から国家財政を立て直し、工業化のために海外直接投資を呼び込む政策を取りましたが、財政の原資は国内からの税収よりも海外援助や借款に依存する状態で、1998年のアジア通貨危機に端を発するハイパーインフレに対する不満が爆発した暴動は、最後まで石油依存型経済から抜け出せなかった結果と言えるかと思います。
スハルト長期独裁政権崩壊後、民主主義国家として成長を遂げ、コロナ禍前までの約20年間、インドネシアは年平均5%前後のGDP成長を続けるに伴って、生活必需品の物価が上がり続けるインフレ傾向にありましたが、そのメカニズムは2パターンあります。
しかしインフレが行き過ぎたり、企業のB/S上で内部留保の比率が上がり過ぎてお金の流通が減ると、モノが売れなくなり値段が下がり、会社の利益が減るので社員の給料が下がり、国民が節約するようになり、その結果さらにモノが売れず会社の利益は下がり、社員の給料は下がり国の税収も減ることになります。
自分がインドネシアに来たタイミングは幸運だったと思う理由の一つが、30年に渡るスハルト長期政権の終焉の瞬間を間近に見られたことであり、その後の歴代大統領の任期中に憲法や各種法律が改正され、国内からの税収を原資とした民主国家の基盤が出来上がり、今では2億7千万人の巨大な国内市場は海外投資家にとって垂涎の的かもしれません。
現在、ジャカルタのような大都市だけではなく、西ジャワから中部ジャワの地方都市でも近年はハイウェイ(Tol)が整備され、中国、韓国、日本の製造業が安い人件費を求めて進出してくるに伴い、住宅地と工業用地の価格が上昇しています。
豊富な天然資源と人的資源を有し、発展途上国から中進国に向けて全力疾走しているインドネシアでは、歴史が日々刻々と動いていくダイナミズムを肌身で感じられれ、現在首都ジャカルタ近辺でビジネスを展開することが出来るのは幸運だと思います。
生産年齢人口が従属人口の2倍以上ある人口ボーナス状態が2030年まで続くと言われるインドネシアは、今官民一体となって経済発展に邁進しており、今後5年後、10年後がどのような未来になっているのか楽しみです。
当ブログでは僕と同じようにインドネシアに関わり合いを持って仕事をする人が、日常生活やビジネスの現場で出会うさまざまな事象のコンテキスト(背景)の理解の一助となるような政治・経済・社会についての記事を書いています。
インドネシアの政治
インドネシアの首都ジャカルタの移転計画
インドネシアでは政治経済活動に重大な影響を及ぼしうる基本計画案が3つあります。
- タイムゾーン統一
2012年5月には現在3つあるタイムゾーン、ジャワ島で適用されるWIB(Waktu Indonesia Barat GMT+7)、バリ島で適用されるWITA(Waktu Indonesia Tengah GMT+8)、パプアで適用されるWIT(Waktu Indonesia Timur GMT+9)、これらをシンガポールや香港と同じWITAに統一するという案。 - デノミネーション
桁が増えたルピア紙幣の下3桁をカットして、市中に溢れるルピア紙幣を新札に交換することでインフレを抑制するデノミネーション案。 - 首都移転
交通渋滞による経済損失が年70億4000万ドルにのぼること、毎年雨季の洪水を受けやすく被害を防ぎようないこと、ジャカルタは世界でも地盤沈下が最も激しい都市であること、人口の一極集中で国の発展が妨げられていること。
首都移転は2024年を目途にジャカルタから東カリマンタン州クタイカルタネガラ県と北プナジャムパスル県の両県にかかる地域に、政府機関の移転が開始されることが決定していますが、タイムゾーンはお祈りの時間や通学と通勤時間への影響が大きいこと、デノミネーションは近年のインフレ率の安定により必要性が低下していることから棚上げにされた状態です。
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インドネシアの首都ジャカルタのカリマンタン島への移転計画
インドネシアは東カリマンタン州バリクパパンまたはサマリンダ近郊のクタイカルタネガラ県と北プナジャムパスル県の両県にかかる地域への政府機関の移転を2024年中には開始する予定です。自然災害が少ない、国土の中央に位置する、地方都市近郊に位置するなどが選定の理由です。
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インフラ整備と都市開発が進むジャカルタ
スティヨソジャカルタ特別州知事時代の2004年に着工し2014年中止が決定されたモノレールプロジェクトのトラウムから、国民の間でも実現が疑問視されていたMRTプロジェクトですが、2013年に着工されました。
2015年にはBundaran HI駅からの南下チームが三井住友建設・Hutama Karya、南坑からSenayan駅以降への北上チームが清水建設・大林組・Wika Jayaという日イ共同事業で、シールド採掘で駅の間を地下トンネルで繋げていく作戦で進められ、2019年4月の大統領選挙直前に滑り込みセーフできっちり間に合わせる形で開通し、クオリティの高さとリーズナブルな運賃設定によりジャカルタ市民の移動の足として定着しつつあります。
ジャカルタではMRT工事やLRT建設、高層ビル建設、幹線道路の高架化とアンダーパス化が急ピッチに進んでおり、将来は東南アジア経済の中心ハブ都市に成長する可能性を秘めており、何か歴史が日々刻々と動いていくダイナミズムを肌で感じているようでもあり、この現在進行形でアジアの経済発展を体感できることがジャカルタの魅力と言えるかと思います。
MRT地下鉄第2期工事で、ホテルサリパンパシフィック前に建設される予定のThamrin駅周辺の地質が柔らかく、地盤沈下のリスクが高いため第1期工事よりも難しいといわれており、ルート沿線には文化遺産(cagar budaya)が多数あるため、破損等の影響が出ないように地下鉄建設前に十分なシミュレーションが必要だとされています。
既に開通している第1期ルートは中央ジャカルタから南ジャカルタという都市開発が進んでいた地域ですが、第2期の北ジャカルタと西ジャカルタ方面は昔の街並みの面影を残す旧市街地を通るため、古いものと新しいものを融合させた公共交通指向型都市開発(Transit Oriented Development=TOD)が期待されている地域です。
首都ジャカルタを2024年に東カリマンタン州に移転する作業を開始する予定となっていますが、これにより第2期ルート沿線の大統領宮殿を含む政府関連施設が保護区や博物館になり、ジャカルタの歴史的魅力を押した世界的観光地になる可能性もあるわけです。
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MRT開通後もインフラ整備と都市開発が進むジャカルタ
ジャカルタではMRT地下鉄第2期工事が開始され、2024年の首都移転に伴い沿線の大統領宮殿を含む政府関連施設が保護区や博物館になり、ジャカルタの歴史的魅力を押した世界的観光地になる可能性があり、都市開発による経済発展を現在進行形で体感できます。
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首都移転後のインドネシアの経済発展を支える西ジャワ州
僕は30代の大半をバリ島で過ごしましたが、単調な仕事に何ら発展性を見出せずに、仕事の経験値が蓄積されないまま、時代に取り残されていく焦りを感じると同時に、世界的観光地で行うビジネスはどうしてもB2Cにならざるを得ず、自分のキャラ的に難しいと判断し、B2Bのビジネスを行うためにジャカルタに戻ることを決断しいました。
インドネシアの経済発展のダイナミズムの恩恵を受けながら仕事の経験値を蓄積でき、首都ジャカルタの最新のトレンドや文化を体感できる距離で生活をする、これがバリ島に移住して気づいた自分にとってインドネシア国内で定住するのに適した土地の条件でした。
首都機能移転後のジャカルタは引き続きインドネシア経済の中心として発展し、次世代車(xEV)生産を中核とした北部ジャワ自動車産業ベルトの建設、スバン工業団地とパティンバン新港プロジェクトなどにより、巨大経済圏が西ジャワ方面に拡大していくことが予想されます。
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首都移転後のインドネシアの経済発展を支える西ジャワ州
西ジャワ州はジャカルタの首都移転後のインドネシアの経済発展を支える自動車部品を供給する裾野産業の集積地域として期待されており、高付加価値産業を中心とした外資の誘致が進められていく予定です。
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インドネシアの産業の川下化と製造業の高度化
本来インダストリー4.0とはIT技術を使い第四次産業革命を起こそうとする動きで、具体的にはIoTでハードとネットワークが繋がることで、よりすばやく正確なデータ収集と分析を行い、生産性向上や品質向上に繋げようと取り組みです。
インドネシア版インダストリー4.0であるメーキングインドネシア4.0では、IT技術だけでなく産業構造を変えるための国家優先的取り組み事項を挙げ、プロジェクトとして推進していこうという点で違いがあります。
具体的には産業の川下化(原材料を加工し製品にして販売する川下産業)による高付加価値化、高速道路、港湾、高速鉄道などのインフラ整備、法人所得税一時免税(タックスホリデー)に関する法整備、高度産業人材育成、R&D投資促進などが挙げられます。
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インダストリー4.0に対応するインドネシア産業の川下化と製造業の高度化
IT技術を使い生産性と品質の向上に繋げ、経済成長率を現在の5%から6~7%まで押し上げることを目標として、2018年にジョコウィ大統領より発表されたメーキングインドネシア4.0は、産業構造を変える国家優先取り組み事項であり、産業の川下化により原料輸出を禁止し国内で付加価値を付けることによる産業の高度化を目指します。
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インドネシアの経済活動の付加価値化
経済活動の中での中間業者は、生産者が継続的に生産のための投資ができるように、消費者が購入する前に生産者にお金を払うことで、生産者にとっての売れ残りのリスクを吸収してあげる金融機能を担っていますが、中間業者の数が多いほど経済活動は複雑になり、消費者が負担するコストは増えることになります。
ブローカーが生み出す付加価値とは、消費者が欲しい商品を探すために要する時間コストを削減する調達機能と言えるのかもしれませんが、本来ならより安く商品を買いたい消費者がブローカーに支払うコミッションは、より商品を探しやすい効率的な社会であれば、本来払う必要のなかった機会損失とも言えるわけです。
サプライチェーン上の材料供給源である川上から消費者市場のある川下へと付加価値を積み上げながらモノや情報が流れていく様子を経済活動とすれば、経済活動の安定は川上で水が枯渇しないように懸命に努力する人々の苦労の上に成立しています。
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生産効率向上と共生社会の両立を目指すインドネシア経済の付加価値化
本来の産業の高度化のプロセスとは、付加価値を生まないブローカー的機能をIT技術に置き換え、より大きな付加価値を生み出す社会を築き上げていく過程で、経済活動のチェーンに入り損ねた人々を切り捨てるのではなく、救済する共生社会を目指すことだと考えます。
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洪水防止と渋滞解消を実現するジャボデタベック-プンジュール地域空間計画
- 洪水防止
ジャカルタの地盤沈下の原因は地下水の汲み上げすぎであり、同時に地球温暖化の影響でジャカルタ湾の海面上昇にも見舞われ、満潮時には堤防の下から海水がしみ込んで流入し、アンチョール付近は水の都ヴェネチア並みに冠水することすらあり、2050年までにジャカルタの3分の1は水没する可能性があると言われています。洪水防止のために上流山岳部の水源エリア、中間の集水域としての緩衝エリア、下流のエ耕作地エリア、沿岸部の養殖保護エリアとしてそれぞれ役割を持たせ、洪水被害を最小限に抑えるために、現在域内にある305の貯水地を整備し治水を強化しています。 - 渋滞解消
渋滞の要因はジャカルタ中心部から東の工業団地にかけての高速道路が一本しかなく渋滞が慢性化すること、 自動車とバイクの道路占有面積が道路総面積を超えて交通が麻痺するグリッドロック状態が発生することであり、これまでも道路の全般的な拡張・修復、信号増設・十字路の整備が行われてきました。渋滞問題は電車KRL(Kereta Rel Listrik)、軽量軌道交通LRT(Light Rail Transit)、大量高速交通MRT(Mass Rapid Transit)、空港鉄道KA(Kreta Api Bandara)などの鉄道ベースの大量輸送インフラと、公共交通指向型都市開発TOD(Transit Oriented Development)によって解消されると思います。
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洪水防止と渋滞解消を実現するインドネシアの地域空間計画
ジャボデタベック-プンジュール地域を社会、環境、経済の空間のまとまりとして、機能的で住みやす空間構造に整備するというインドネシアの長期国家計画で検討すべき課題として洪水、水源の利用可能性、衛生とゴミ問題、沿岸および島の埋め立ての問題 、渋滞、首都移転の6つが挙げられています。
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ジャカルタ-チカンペック高速道路の高架化事業
高速道路ジャカルタ-チカンペック高架(Jalan Tol Layang Jakarta-Cikampek)は、チレボン, バンドゥンなどの遠方からジャカルタへのcommuter(インドネシア語komuter 通勤者)が高架を利用し、近場であるブカシ、カラワンからの車は既存の高速道路を利用することで、交通の流れを上下に分散し慢性的な渋滞緩和を目指すことを目的として2017年に建設工事が着工され2019年12月に開通しました。
どんなに工事で渋滞していようとも、警察や軍、RFナンバーの国家公務員などがReformasi(改革)の名の下に、一般車両を蹴散らして進む様子は、独裁国家時代の悪しき慣習の名残りが感じられる記憶遺産のようなものですが、民主主義以前の状態で思考停止したまま、時代の流れに抗って既得権益を守り抜こうとする最後の抵抗だと考えれば可愛らしくもあります。
- RFS : Reformasi Sekretariat Negara
- RFP : Reformasi Polisi
- RFD : Reformasi Darat
- RFL : Reformasi Laut
- RFU : Reformasi Udara
政府は2030年までに世界の10大経済国に入ることを目標として、メーキングインドネシア4.0によって製造業を再活性化させ、2030年までに製造業のGDP寄与率を現行の16%から25%まで引き上げることで、経済成長率を現在の5%から6~7%に引き上げる目標を立てており、その中の具体的な政策として高速道路沿いの工業団地を東ジャワまで延長した北部ジャワ自動車産業ベルト構想です。
現在進行中の高架化工事以外にも2023年には西ジャワのスバン(Subang)にパティンバン(Patimban)新港の開港が予定されており、工業団地からタンジュンプリオク港へのロジスティックスの一極集中の解消が見込まれます。
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Tolの慢性的渋滞を緩和するジャカルタ-チカンペック高架化事業
高速道路の高架化のメリットは、新たな土地取得の必要がないこと、既存交通事情を妨げないで工事が進められることであり、デメリットは地震発生時の脆弱性に起因する倒壊や寸断等のリスク、建設コスト上昇により開通後の利用料が高騰、それをまかなう税金が必要になるなどです。
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ジャカルタ市内と郊外を結ぶLRTとKRL Commuter Line
ジョコウィ政権第一期(2014年~2019年)はインフラ整備を政策の主要課題とし、第二期(2019年~2024年)は工業化(Industrialisasi)と川下化(hilirisasi)による産業の付加価値化を国家の達成課題として取り組んでいます。
2019年4月にジャカルタを南北に貫くMRT(Mass Rapid Transit)南北線が開通し、第二フェーズのKota駅までの北上ラインが2022年に運行開始予定で工事が進行中です。
LRT JabodebekとLRT Jakartaの2つのLRT(Light Rail Transit)は、ジャカルタへの車の流入量を減らし、Tol Jakarta-CikampekとTol Jagorawiの渋滞を緩和するために建設されており、同時に進行するKRL(Kereta Rel Listrik)とともに、公共交通指向型都市開発(Transit Oriented Development=TOD)による経済効果も期待されています。
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ジャカルタ市内と郊外を結ぶLRTとKRL Commuter Line
ジャカルタ中心部ドゥクアタスから南のチブブールと東のブカシを結ぶ軽量軌道交通LRTと、西ジャカルタのコタ駅からチカランまでを汽車ではなく電車(Kereta Rel Listrik)で結ぶKRL Commuter Lineの建設プロジェクトが進行中です。
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インドネシアのジャカルタ~バンドゥン高速鉄道
2015年に日本と中国が受注合戦を繰り広げた結果、中国が受注したジャカルタ~バンドゥン高速鉄道プロジェクトですが、2019年完成の予定が2021年にずれ込み、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあってさらに延期されそうです。
一時期インドネシア政府が日本に建設への協力を申し出たという話もありましたが、中国とインドネシアの合弁企業が高架の建設やトンネルの採掘工事を継続しており、2020年12月時点では全体の65%の進捗ということです。
MRT建設プロジェクトをきっちり納期どおりに完遂した日本企業に対して、高速鉄道プロジェクトで度重なる順延と予算オーバーを繰り返す中国企業、客観的に見てなんでそこまで中国側に忖度する必要があるのか、日本人的には苛立たしい思いもありますが、国営企業大臣が「技術が唯一の基準ではない」と言うくらい、インドネシア経済は中国投資に支えられています。
しかしなにかと中国寄りと言われているジョコウィ政権ですが、最近はインドネシアの北端ナトゥナ諸島の排他的経済水域(EEZ)での、中国船による違法漁業問題で中国と対立しており、益々実利を最優先した交渉が展開されることになることが予想されます。
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中国が受注したインドネシアのジャカルタ-バンドン高速鉄道
インドネシアは建設中のジャカルタ~バンドン高速鉄道と、日本が現在進めているジャカルタとスラバヤを結ぶ既存鉄道の準高速化計画を一体化させたいと考えていますが、準高速化計画で想定されている線路は軌道の幅が違うことから一体化は技術的に困難との見方が出ています。
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リッポーグループ最大の都市開発プロジェクトであるメイカルタ
メイカルタという名前は、リッポーグループ創設者のモフタル・リアディの妻Suryawati Lidyaの名前の一部にあるメイ(梅)とジャカルタを繋げた造語です。
汚職撲滅委員会(KPK)は事業許可を出す見返りとして現金の授受があったとして、ブカシ県知事(Bupati Bekasi)ネネン・ハサナ・ヤシン(Neneng Hasanah Yasin)、リッポーグループ総裁ビリー・シンドロ(Billy Sindoro)その他数名を逮捕しました。
許認可の不備やリッポーグループの不透明な資金繰りなど何かとの問題ありと噂されるメイカルタプロジェクトですが、長期的視点で見れば西ジャワのスバンに自動車輸出拠点となるパティンバン港(Patimban)が2023年に開港し、ジャカルタの東へxEV生産を中核とした北部ジャワ自動車産業ベルトが伸びていき、インドネシア経済の中核を担うことになれば、ジャカルタ首都圏の住宅難の解消のための都市開発という意味でもメイカルタの重要性は益々高まるはずです。
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インドネシアのリッポー財閥最大の都市開発プロジェクト メイカルタ
メイカルタプロジェクトは事業許認可の過程で贈収賄が発覚し逮捕者が出るなど進捗が遅れていましたが、開始当初のオレンジカウンティやDistrict1部分は完成の目途がたっています。ただコロナ禍による不動産市場の冷え込みの影響で第二期工事以降の話が不明瞭です。
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インドネシアのSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献するオンラインビジネス
インドネシアではチップベースの非接触ICカード型、スマホアプリ型のサーバーベースの電子マネーが急速に普及しており、Gojekはライドシェアから食品配達、バイク便、引っ越し、マッサージなど生活サービス全般に進化したGoLife、それらすべての決済手段としてのGoPayという「移動⇒サービス⇒決済」というワンストップサービスを提供する中で、インドネシアが抱えていた多くの社会問題解決のために貢献しました。
昔そこらじゅうで暇していたオジェックをオンラインで繋いで、時間とコストばかりかかって生産性の低い移動や配送という作業を、スマホの操作だけで彼らに外注してしまうことで、業務効率の向上と富の再配分をいっぺんに実現してしまいました。
新しい所得再配分の流れをIT技術によって構築すると同時に、失業率下げることによる犯罪率低下という、経済と社会の両面に貢献、ビジネスで重要なのは結局そこに社会に貢献するプロダクトやサービスがあるかどうか、当たり前のようで忘れがちなことです。
コロナ禍の中にあっては、インドネシアの地方特産事業や限られた商圏で営業する屋台などを、デジタルプラットフォーム上に載せることにより、零細事業主の支援、国産品の販売・消費の機会を創出すると同時に、付加価値産業が少なく輸出競争力が弱いという弱点を、インドネシアの国内消費を自給で賄うことで経済を回すカタリスト(触媒)的役割を果たしています。
増えた国内消費を国内産業で賄うことが雇用を創出し、生み出されるサービスは経済主体の生産性を向上させ、オンライン化が地域間格差を縮めるという経済効果を生み出しますが、一方で都市部だけが豊かになっているという意見もあり、それはジョコウィ政権が弱いとされる貧困対策、福祉政策として取り組むべき問題かと思います。
多くの社会問題を解決すると同時に、新しいイノベーションを促進することで、インドネシアの発展に寄与するスタートアップ企業を輩出しようというのが、GoJek創業者であるナディム・マカリム氏の企業理念であり、インドネシアのデジタル化が目指すところは、経済成長促進と社会問題解決、そして次世代のインドネシアの繁栄を支える事業体の育成です。
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インドネシアのSDGs達成に貢献するオンラインビジネス
SDGs(エスディージーズ)とは国連の持続可能な開発のための国際目標であり、17のグローバル目標と169のターゲットから構成されています。ASEANのSDGs達成への貢献が日本の国益に繋がるという観点からアジアDX(デジタルトランスフォーメーション)構想が推進されています。
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インドネシアの国防問題
1965年の9月30日の共産党(PKI)によるクーデター未遂事件では、陸軍戦略予備軍司令官であるスハルトがいち早く鎮圧に動き、1966年に反PKIと反スカルノ大統領デモのの激化によりスハルト氏に権力移譲された「3月11日政変」後には、軍が治安機能だけでなく政治機能も担うという国軍の二重機能の概念が確立され、インドネシア大統領になる人間の必須条件としてジャワ人、イスラム教徒、軍出身の3つが挙げられるほど、国軍は政治に密着する存在となりました。
1998年のジャカルタ暴動時には道路が封鎖され、2日間くらい夜間外出禁止令が出ましたが、そのとき街の要所で警備にあたっていたのがインドネシア国軍(ABRI=Angkatan Bersenjata Republik Indonesia)であり、当時は陸(TNI-AD)・海(TNI-AL)・空(TNI-AU)から構成される国軍の管轄下に警察が置かれていたものの、民主化に伴う改革の一貫として2000年1月に警察は分離され、国軍(TNI=Tentara Nasional Indonesia)と国家警察(Kepolisian Negara RI)という二大組織となりました。
実質的にシビリアンコントロール(文民統制)が確立したのは、2004年初の国民による大統領直接選挙で選ばれたユドヨノ大統領の時代であり、最高指揮権を持つ大統領の下で国防大臣が直接責任者となるという民主国家的組織となった現在の、国軍の活動内容は以下が挙げられます。
- 国内のアチェ州、パプア州、南マルク州など分離独立問題への対応
- ナトゥナ諸島(対中国)、カリマンタン島(対マレーシア)での国境紛争への対応
- 国内でのテロ問題への対応
- コロナ禍のPSBB(大規模社会制限)の警備など大統領令に基づく警察の支援
南シナ海の南方にあるナトゥナ諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)は、中国が主権を主張する「九段線」と呼ばれる境界と重複しており、中国漁船が公船を伴って活動する違法漁業問題で中国と対立しています。
インドネシアもこれまでの中国寄りの姿勢を転換するような動きがあり、日本にとってもナトゥナ諸島は、中東方面から日本に原油をもたらすタンカーなど海上輸送航路帯に隣接している要衝であるため、インドネシアへの支援は日本の安全保障の強化になると言えます
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インドネシア国軍の二重機能から民主化による文民統制への移行
インドネシアではナトゥナ諸島近海のEEZでの中国漁船による違法漁業により中国との国境問題が起こっています。国土を守るインドネシア国軍は大日本帝国陸軍が創設した郷土義勇軍(PETA=Pembela Tanah Air)が元となっており、独立戦争で中心となって戦いスカルノ政権で政治に深く介入するようになりました。
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最近のイミグレ・警察・税務署・通関などインドネシアの代表的な公的機関の印象
関税の目的は国内産業の保護ですが、インドネシアは自由貿易協定・経済連携協定(FTA/EPA)批准済みなので、原産地証明書(Form-A)を日本側で取りさえすれば特恵関税が受けられます。
インドネシアの税関で行政処理が適切に行われさえすれば、保税工場資格を取得するメリットが薄れていく、むしろ足かせになる関税は主に国内産業の保護という目的がありますが、近年の自由貿易協定の流れの中で、地域内関税は縮小・撤廃の方向で進んでいますので、将来的には焼酎の日本とインドネシアの価格差は輸送コスト程度に縮まるものと考えられます。
日本とインドネシアの二国間関係で言えば、現在のところ日本の貿易赤字という良好な関係にありますが、今後は自由貿易協定・経済連携協定(FTA/EPA)、さらには広域FTA(東アジア地域包括的経済連携)RCEPの枠組の中で、関税の撤廃の流れが進んでいくものと思われます。 イミグレ・警察・税務署などインドネシアの公的機関のサービスの改善 最近のイミグレーション・警察・税務署・通関などインドネシアの公的機関サービスの質は向上しているのは世代交代がうまく進んでいるからです。ただ警察に交通違反で停止させられた際に免許没収と警察署への出頭を免除する代わりに裏金を要求される文化は根強く残っています。 続きを見る
インドネシアの海外直接投資誘致を目的としたオムニバス法
■代表的なイスラム急進団体
- 212同窓会(PA212=Presidium Alumni 212)
2016年9月に当時のジャカルタ特別州知事だったアホック氏(Basuki Tjahaja Purnama)がプラウスリブ(Pulau Seribu)の住民の前で行ったスピーチの中で『ユダヤ教徒とキリスト教徒を指導者としてはならない』とするコーランの一節があるせいでイスラム教徒はクリスチャンである自分に投票できないという趣旨の発言をしたことが宗教冒涜に当たるとして、2016年12月2日にアホック氏の身柄拘束を求めて、イスラム原理主義団体であるFPIと共に20万人規模の大集会を主催したイスラム団体です。 - イスラム擁護戦線(FPI=Front Pembela Islam)
政府は2020年12月にFPIの強制解散させ活動全般を禁止し、中央ジャカルタ・プタンブランにある本部を閉鎖。インターネット上の発信なども含め、徹底して取り締まる方針を発表しました。
オムニバス法案は労働法と税制面での規制緩和、行政許認可の簡素化など、企業の投資促進とそれに伴う雇用の創出を目的としており、企業側にとっては投資や事業継続のための追い風となる法案ですが、現行労働法で守られている労働者の権利を死守しようとする労働団体が同法案に反対しています。
インドネシアの雇用関係のすべては労働法UU No 13 Tahun 2003(労働に関するインドネシア共和国法律2003年第13号)に基いており、解雇の正当な理由があったとしても、労働法に定められた退職手当(uang pesangon)勤続功労金(uang penghargaan masa kerja)受け取るべき権利喪失の保障(uang penggantian hak yang seharusnya diterima)を支払う義務があり、外国資本にとっての長年の最大のネックであった本丸の一部に、ついに手が付けられようとしているのは歴史的出来事なのかもしれません。
- 労働法(UU Cipta Kerja=雇用創出法)
インドネシア労働法の2大聖域とも言える退職金の減額(現行最大32カ月分⇒ 最大25カ月分)と経営側の裁量による最低賃金の設定(国の実質経済成長率とインフレ率の和 ⇒ 経営側が各州の経済成長率またはインフレ率に沿った最低賃金を設定) - 租税 (Perpajakan)
法人税を現行25%から20%まで引き下げ、PPN報告遅れの罰金を2%(年利24%)から1%へ引き下げるなど、海外企業のインドネシアへの進出というよりも、事業継続にとっての規制緩和
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インドネシアの海外直接投資誘致を目的としたオムニバス法
オムニバス法は労働法の改正と、法人税引き下げによる事業継続支援の2つが柱ですが、外国人によるアパートの所有権が認められるかどうかも注目されていますが、直ちに外国人によるアパート投資需要を喚起するために不動産バブルのリスクを伴う改正がなされるとは考えにくいと思います。
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インドネシア最高検察庁の火事
長年不法占拠された住宅密集地で住民が強制立ち退きに反対していたり、行政によるパサール(市場)の再開発計画に対する地元商店主や付近を仕切るプレマン(preman チンピラ)による反対が強かったり、古い建物の建て替え推進派と改装による継続利用推進派が対立していたり、インドネシアでは土地や建物に関する対立や抵抗がある場合に、何故かタイミング良く火災が発生するケースがあります。 インドネシア最高検察庁の火事 インドネシアでは利権の絡む場所でタイミング良く火災が発生することがあり、最高検察庁の火事も立件済みの汚職事件への関係が疑われており、特にジョコチャンドラ氏との間に贈収賄があった疑いで抑留されているピナンキ検察官に関する捜査資料の隠滅が疑われています。 続きを見る
インフルエンサーの政治利用の問題
現在デジタル広告の中心は従来型のリスティング広告(検索連動型広告)やスポンサー広告ですが、InstagramやTwitterなどのSNS上で多くのフォロワーを持ち、人々の購買活動に大きな影響を与えるインフルエンサーを介して、企業や商品、サービスの情報を拡散するインフルエンサーマーケティングの比重が高まっています。
インドネシアに進出する日系のデジタル広告事業のスタートアップも、おそらく最も注力しているのはインドネシア人の間に影響力を持つインドネシア人、または日本人のインフルエンサーと企業とを結ぶインフルエンサーマーケティング代理店事業ではないでしょうか。
インドネシアの省庁のほとんどがインフルエンサーへの予算を配分しており、国民の草の根レベルでもわかりやすい言葉で政府の広報を補完する役割を期待されていますが、営利ではない政府広告の効果測定のKPIとしてのエンゲージメント率はあるものの、問い合わせ数とか受注件数とかのコンバージョンを明示的に示しにくいため、どうしてもその効果に対する批判を受けやすくなります。
インフルエンサーの政治利用の危険性とは、誰を選ぶかという選定過程や予算配分の不透明さや、効果に対する疑念以外に問題だと指摘されているのは、政府が恣意的に操作された情報で国民を啓蒙する危険性であり、インフルエンサーがステマとして利用されないためには、国民が広告の主体を正しく認識できるように政府広告と分かる表示や免責事項の明示の徹底が必要と言えます。
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インドネシアにおけるインフルエンサーの政治利用の問題
インドネシアのデジタル広告市場の規模は両国のGDP比率と同じく日本の5分の1程度で、今後この差は縮まっていくことが予想されます。現在政府省庁のインフルエンサーへの予算が増加していますが、民主主義を間違った方向に導く危険性も指摘されています。
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SNSを通じた情報戦が重要なインドネシアの大統領選挙
DPR RI(国民代表議会)は議員数560人から成る立法府であり、日本の衆議院に近いもので、DPD(地方代表議会)は35州のDPRDから各4名ずつ選出された議員数132名からなる日本の参議院に似て非なるものであり、DPRD(地方国民代表議会) はkelas I(州)とkelas II(県)ごとの地方議会であり日本の地方議会みたいなものです。
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SNSを通じた情報戦が重要なインドネシアの大統領選挙
正副大統領とにDPR-RI(国会)、DPD(地方代表議会)、DPRD I(州議会)、DPRD II(県議会)の5つの議員を決める選挙です。タバコと同じように汚職も悪いことだと判っていても止められないので、クリーンな政治のためには世代交代が必須だと言われます。
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インドネシア国内企業に対する外貨規制の強化
■国内企業に対する外貨規制
- 国内取引は基本ルピアで行なう。
- 外貨建てオフショア債務(海外からの外貨借入)へのヘッジ義務
インドネシアの外貨規制である「外貨建て流動資産-外貨建て流動負債」の20%を、コストのかかるデリバティブ(為替先物・通貨スワップ・オプション取引)でリスクヘッジしろ、というのは要は「金利政策に支障が出るから民間が勝手に海外から金を借りてくれるな」と言っているようなもんです。 インドネシア国内企業に対する外貨規制の強化 通貨危機時の外貨建て債務の為替損による企業連鎖倒産の教訓から、現在は国内企業に対する外貨規制が強化され、金利の安い海外で資金調達して国内で投資するということが難しくなりました。 続きを見る
ギャップに萌えるジョコウィ大統領人気の本質
「脱いだらすごい」「ちょいワルおやじ」などのギャップに萌える傾向は人間誰しも持っており、ジョコウィ大統領も普通のおじさんのイメージで実は実務が出来る政治家というギャップを利用して大衆の支持を得ました。
しかし近年は国内の人権問題や汚職問題への対応の甘さ、コロナ禍への対応の杜撰さなどに対する批判が強まっており、ギャップ萌えというボーナス期間は完全に過ぎてしまった感があります。
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ギャップに萌えるジョコウィ大統領人気の本質【インドネシア中が盛り上がる5年に1度の大統領選挙】
ギャップにキュンとするというのは人間の本能みたいなもので、ジョコウィの私利私欲のない素朴なおじさん像と、その実強力なリーダーシップを発揮する実務派という内面が、一見普通の人だが実はスゴイというギャップ好きのインドネシア人に大ウケして、大衆は一種の集団催眠状態にあるようです。
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インドネシアの経済
リーマンショックの影響が小さかったインドネシア
2008年のリーマンショックと同時期にバリ島からジャカルタに引っ越して、IT会社の社員として働き始めた頃の心境を記した記事ですが、2024年現在読み返してみるとインドネシアの景況の変化がリアルに感じられます。
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インドネシアでの製造業システム導入という仕事
2008年のリーマンショックで世界的に景気が低迷する中、インドネシアは比較的軽微な影響しか受けなかった最大の理由は、国内で付加価値産業が育っていないことで輸出競争力が弱く、内需主導型経済だったからだと言われており、1人当たりGDPも2020年のコロナ禍まで5%前後で堅調に成長していました。ちょうどその時、バリ島での輸出会社の経営者からジャカルタでのIT会社の社員に転身した当時の心境を記した内容です。
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インドネシアの不景気の歴史
景気を左右する要因は複合的ですが、民主化後は順調に経済成長を続けているように見えるインドネシアでも、政治問題やテロ、金融危機、疫病などによる景気後退時期があります。
- 政治問題
1997年、ヘッジファンドによる通貨の空売り(現物なしでルピアを借りて売り契約を入れ、将来価格下落後に買い戻す)攻勢により、世界的に見て外貨取引量の少ない東南アジアの通貨が連鎖して下落し、インドネシアルピアも対ドルレートは下がり続けた結果、海外からドル建てで借金していたインドネシア国内企業の金利と元本の返済が滞るようになったことで、インドネシア通貨危機に突入しました。石油価格高騰に伴う9つの生活必需品スンバコ価格が上昇したことが国民の生活を圧迫し、学生を中心としたデモが広がりジャカルタ暴動にまで繋がったことで、スハルト独裁政権が崩壊しました。 - テロとの戦い
2001年にアメリカのWTCビルへの民間航空機自爆テロから始まって、インドネシアでもイスラム過激派による爆弾テロが頻発し、特に2002年のバリ島での爆弾テロは、安全神話に守られて世界中から観光客を集めていたバリ島の経済を一気に冷え込ませました。 - 金融危機
2008年のリーマンショックにより世界的な不況が訪れましたが、個人消費者に支えられた内需主導型経済が形成されつつあったインドネシアは、リーマンショック時も4%の経済成長を維持しており、金融市場の規模の小ささが幸いして実経済に及ぼす影響は小さかったと評されました。 - 疫病
そして今回の新型コロナウィルスの蔓延に伴い起こりうる経済不況は、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に問題があったわけでなく、突然降って湧いた疫病という突発的事象に起因するものであるため、大震災のような自然災害に近いと言えます。
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政治・宗教・金融・病気という異なる要因が絡むインドネシアの不景気
インドネシアは定期的に不景気になりますが、通貨危機に端を発した暴動(1998年)は政治的要因、爆弾テロ(2002年-2004)は宗教対立、リーマンショック(2008年)は金融問題、そして今回2020年のコロナ禍は病気と、主要因は毎回異なります。
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アジア通貨危機時に金利が上がってコロナ禍で金利が下がる理由
金利が高いと通貨の魅力が上がり海外からの買いが増えてお金が集まり通貨高になるのですが、スハルト政権末期の1997年の通貨危機時のルピア相場はドルと連動した管理バスケット方式(ドルペッグ方式)で、中央銀行が為替介入を行うことで、ドルとルピアの価値の差を極端に乖離しないようにする実質的な固定相場制でした。
当時のアメリカは通貨安競争を否定し、海外からの米国債需要を呼び込むため、輸出にマイナス影響があったとしても、金利を上げてドル高にし米国債の価値を上げる政策を取っていましたので、インドネシアもドルに連動してルピア高を維持するためには、高金利政策を取らざるを得ず、当時の実体経済に比べてルピアが過大評価されている状態で、これがヘッジファンドによる空売りのターゲットとされました。
ヘッジファンドの空売りによるルピア暴落を阻止するために金利を上げ、さらに変動相場制移行後にIMFの管理下に入った後も、緊縮財政と高金利を約束させられたという高金利が続く要素が重なっていたことになります。
コロナ禍の今、インドネシアの場合は、実質GDP(物価変動の影響を控除)成長率が2019年までは5%程度を維持しており、インフレ率は3%を超えており、モノの価値が名目GDP8%(名目GDP成長率+インフレ率)上昇しているとはいえ、最低賃金はここ10年でほぼ4倍にまで上昇しているため、国民の購買意欲は高く、金利が下がれば企業は設備投資してもっと生産しようという動きに繋がります。
これが日本の場合は実質GDP成長率が0.8%であるにもかかわらず、インフレ率が-0.6%(デフレ)であるため、名目GDP成長率はわずか0.2%ですからモノの価値はほとんど上がらず、デフレ不況でモノを作っても高く売れないため企業の設備投資意欲は高まらず、更に金利が下がり続けた結果、現在はマイナス金利(民間銀行が持つ日銀の当座預金残高の金利がマイナス)です。 アジア通貨危機時に金利が上がってコロナ禍で金利が下がった理由 中央銀行が金利を下げて設備投資意欲を高めるのは金融政策の基本ですが、1998年の通貨危機時にインドネシアが高金利だった理由は、ドルと連動させるための高金利政策の中で、ルピア暴落阻止のために金利を上げ、変動相場制移行後にIMFから高金利を約束させられたからです。 続きを見る
米中摩擦とコロナ禍の影響による金価格の高騰
在庫の中でも実質価値の高い良品はキープして、実質価値の低い欠陥品を先に手放すことで自身の資産価値を守るというのは、経済活動として理にかなった行動であり、その結果流通過程から良品が駆逐されるのが「グレシャムの法則」で、財布の中のお札の中でも古くて汚い札から使いたがる理屈と同じです。
予防注射の順番待ちで最初に並んでも一番後ろに並んでも結局は打たれて痛い思いをするのと同じく、欠品品を先に売るのも後に売るのも売上という収益のフローの面では同じですが、倉庫に保管される商品ストックの評価額が違ってくる、明日来る客が欠陥品だから買わないと言って帰ってしまう機会損失リスクがあります。
モノ自体に価値がある金のほうが信用できるという考えは、ローマ帝国時代から戦後のIMF体制まで続いていたわけで、政府保証があってはじめて価値がある円やドル、ルピアなど通貨同士の相対的価値が市場原理で決定する変動為替相場制は、有事では信用に足りません。
ここ最近の金価格は1グラムあたり1juta水準で動いていますので、仮に金含有量1グラムの金貨が貨幣として流通していたとしたら、今のようなコロナ有事では手元に金貨を残してルピア紙幣が先に使われた結果、市場に出回るのは紙幣ばかりになってしまうという事象を表したものが「悪貨は良貨を駆逐する」の本来の意味になります。
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米中摩擦とコロナ禍の影響による金価格の高騰
コロナ禍の中での米中経済摩擦の中での報復関税の応酬から始まって、アメリカでのスパイ活動や知的財産権の侵害の容疑でヒューストンの中国領事館が閉鎖され、これへの報復措置として中国が成都のアメリカ領事館を閉鎖命じるなど、米中間での冷戦の様相になりつつある中、「有事の金買い」によって金価格が高騰しています。
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インドネシアの景気後退期での経済活動再開
チャイナリスクという言葉が聞こえ始めたのは、2010年9月の尖閣諸島での中国漁船衝突事件から、2012年9月の中国反日デモの頃であり、2015年以降情報公開のないままスパイ容疑で日本人が拘束、2020年に武漢が発生源とされる新型コロナウイルスに関する情報操作の疑い、香港国家安全維持法がもたらす言論統制、尖閣諸島周辺の領海外側の接続水域に中国海警局の船が航行するなど物騒なニュースが続いています。
中国を中心に海外展開していた製造業が、チャイナプラスワンという観点で、東南アジアにリスク分散先を求め、2018年にトランプ大統領が中国製品への関税引き上げを発動し、これに対して中国も報復関税をかけるという米中摩擦が続いており、アメリカ向け製品を中国で製造する工場の間で、追加関税の回避のために東南アジアへ製造拠点をシフトする、脱中国化の動きが再び加速しています。
2003年のSARS、2005年の鳥インフルエンザ、2009年の豚インフルエンザ、そして2020年の新型コロナウィルス、わけのわからないウィルスを次から次への発生させるわ、インドネシア人船員遺体を海中投棄するわ、ガラパゴス島沖ではフカヒレ狙いの漁業船団が押し寄せるわ、Black Lived Matterに乗じたデモの暴徒化を中国領事館が扇動するわ、アメリカや日本に得体の知れない種を送り付けるわ、これだけ世界中を騒がせればさすがに産業の脱中国化の動きは加速せざるを得ないわけで、各国の製造業が移転先としてインドネシアはタイ、ベトナムなどと誘致合戦を行っています。
投資家にとってインドネシアの最大の魅力は「今後も成長が続く分厚い国内消費市場」であることは間違いないと思いますが、2019年のベトナムの人口も9,621万人と一億人に迫る勢いで、マレー半島にあり近隣国へのアクセスが容易という地の利に加えて、漢字や儒教などの中国文化圏に属するわけで、海外投資の誘致競争においてもインドネシアは内需頼みではいられない状況になっています。
製造業の脱中国の受け皿としてベトナムが選ばれてインドネシアが回避されるのは賃金割高、土地割高、投資手続が複雑という3つの理由からであり、政府も中部ジャワのBatangに工業団地造ったり、オムニバス法で外資による投資手続きが円滑に進むように規制緩和し、法人税の引き下げ、退職金の減額などを行っています。 インドネシアは製造業の脱中国化の受け皿になるか 製造業の脱中国の受け皿としてインドネシアがベトナムに劣る点は、賃金割高、土地割高、投資手続が複雑という3つですが、インドネシアも中部ジャワのBatangに工業団地を造ったり、オムニバス法で投資環境を改善したり海外直接投資を増やす努力をしています。 続きを見る
中小零細業者のオンライン化促進と購入奨励という自国優先主義
BanggaBuatanIndonesia運動には既存のオンラインマーケットプレイス、モバイルプラットフォーム、銀行などが協力して、銀行からの中小零細企業に対して低利子での融資が提供され、GrabKiosで全国の屋台をオンライン上に出店し、GrabMartでアンボン島の漁師から新鮮な魚を購入でき、GrabExpressに登録することで立地の悪い零細商店の商品を都市部の家庭まで配送できるなど、小規模なオフラインのビジネスをオンライン化することで販売の機会を拡大させ、コロナ禍による不況を乗り越えようとしています。
インドネシアのGoFoodでドライバーさんにチップあげる率は、日本のUber Eatsでチップあげる率に比べて圧倒的に高いことは容易に想像できますが、値引きプロモーションにドライバーへのsembako(Sembilan Bahan Pokok=9つの生活必需品である米、砂糖、油とバター、牛肉・鶏肉、卵、牛乳、とうもろこし、灯油、塩)の寄付という社会貢献を組み合わせるという発想は、社会なくしては個人は存在しえないという、人間の社会的動物性に訴える高度なマーケティング戦略と言えるかと思います。
本来は輸出促進で外貨を稼ぎ、国力を強めたところで国内産業を強化するのが国家の経済発展のための必勝パターンかもしれませんが、今のインドネシアは国内消費は増えても消費材の輸入品比率が高く、国内資産が海外に流出している状態であり、輸出が弱い分外国製品を買って国富を流出させるのではなく、国内付加価値の付いた製品を買うことを奨励し、国内でのお金の循環を良くするという自国優先主義になるのも仕方がないのかもしれません。 インドネシアの中小零細業者のオンライン化促進と自国優先主義 国内中小零細企業をeコマースに乗せることで、インドネシア製品の販売機会を広げようとい政府による奨励は、外国製品を買って国富を流出させるのではなく、国内付加価値の付いた製品を買うことを奨励し、国内でのお金の循環を良くするという自国優先主義と言えます。 続きを見る
潜在性の高いインドネシアの観光産業
インドネシアのGDP規模は東南アジア最大でタイの2倍程度あるにもかかわらず、コロナ禍の悪影響を受けながらもプラス成長を続けられているのは観光産業の比率が低いからであり、裏を返せば今後のインドネシアは観光産業の発展の伸びしろが大きいとも言えます。 潜在的成長性の高いインドネシアの観光産業 2020年第1四半期のGDPはタイがマイナス1.8%とインドネシアのプラス2.97%より深刻なのは、観光収入のGDP比がタイの12.5%に対してインドネシアは1.4%しかないためであり、インドネシアは今後の観光業の伸びしろが大きいと言えます。 続きを見る
インドネシアの新車市場と中古車市場のコロナ禍による影響
インドネシアの全人口2億6千9百万人のうち、わずか3.7%に過ぎない9百9十万人のジャカルタにおいて、国内自動車出荷台数の約2割が占められており、生産年齢人口が従属人口の2倍以上ある人口ボーナス状態が2030年まで続くという予測と掛け合わせると、ジャカルタ以外の潜在的購買層がいかに厚いかが分かります。
インドネシアの年間自動車生産能力は220万台あると言われており、今後の自動車産業のxEV産業化に伴い、内燃機関の生産高度化による輸出拠点化を実現し、2035年までに生産400万台、輸出150万台を目標としていますが、生産現場の生産性はタイに比べて20%も低く、インドネシアで生産するメリットが低いのが現状です。
インドネシアの国家優先事項の10個の指針である「メーキングインドネシア4.0」の中1つである「原材料フローの改善」とは、川上側(材料調達側)で材料部品の現地調達化によりコストを下げることで粗利益率(限界利益率)を高め、「産業の川下化」とは川下側(完成品側)は国内加工による付加価値創出により、両方向での利益追求のアプローチを進めるということです。 インドネシアの新車市場と中古車市場のコロナ禍による影響 中古車市場での取引が盛んなインドネシアでは、日本車のミドルクラスから下の大衆車は価格が下落しずらく、初年度で10%下落しその後少しずつ落ち、ミドルクラスから上の車は初年度で15%程度落ちるのが相場ですが、コロナ禍の今年は車の売却価格の下落が大きくなっています。 続きを見る
内需と外需の自国経済に及ぼす影響
インドネシアが年平均5%前後の緩やかな経済成長をしてきたのは、輸出競争力が弱いので消費者人口増に伴う国内需要の伸びに支えられた内需頼みの経済構造になっているのが原因です。
金融危機を乗り越えて、現在のルピア安水準で安定している状況でも貿易赤字というのは、日本がバブル経済崩壊後のデフレ脱却のために、アベノミクスの一環で異次元量的・質的緩和を実施し円安誘導したにもかかわらず貿易赤字が続く状況と同じです。
それだけ輸出が弱いということですが、逆に言うとそれだけの輸入を必要とする内需があるということであり、その内需を賄う付加価値を国内生産で満たせないので輸入が増えるという理屈です。
日本は高度経済成長期には輸出依存体質だったのが、良く言えば内需主導型経済へのシフトに成功したということなのですが、内需主導型というのは悪く言えば身内でお金を回し合う状態のことです。
循環取引(相互発注)によって売上が積みあがったとしても、行きつくところ国全体としては先細り、じり貧になっていくということはないのでしょうか?
日本は貿易収支赤字による国内資産の減少を過去の投資からの利子配当で補填している状態であり、インドネシアのは輸出が伸び悩む中でも国内の消費意欲の強い消費人口が増え続け、新たな需要を生み出し続けることにより、経済が活性化している状態といえます。
インフレ率と金利と為替との間で裁定作用が働き、輸出が好調だと国内資産が増えて景気が良くなり、輸出が不調だと国内資産が減って景気が悪くなります。
景気刺激政策
- 金利を下げて国内投資増加を促進
- ルピア売りでルピア安
- 輸出が減るが海外からの投資が増加する(インバウンド)。
景気抑制政策
- 金利を上げると国内投資が減少する。
- ルピア買いでルピア高
- 輸出と海外への投資(アウトバウンド)が増える。
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日本のバブル経済崩壊後とインドネシアの通貨危機後の内需と外需
インドネシア型の内需主導型は、国内の消費者人口が増えることで、新たな需要が自然に生み出されていますが、消費者人口が減少傾向の日本型の内需主導型経済は、国内資産を切り崩して外に流出させることになり、海外資産が生み出す金利が経済規模を支えている状態です。
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ブラック企業が生まれた経緯
日本的経営は金融業界においても行政を中心に業界全体を一丸となって守っていく護送船団方式という市場慣行として存在し、日本的経営こそが世界一の経済と技術を支える源泉だと評価され、リゲインを飲みながらジャパニーズビジネスマンと連呼していた時代が終わりバブル経済が崩壊しました。
1999年に日産のCEOに就任して「コストカッター」として財政危機状態の日産をV字回復させたカルロスゴーンに象徴されるように、モノを作っても売れない時代には、コスト削減により年功賃金や長期雇用、企業福祉など日本的経営の家族的な要素が削減されました。
日本の世界経済における地位が低下し、長時間低賃金労働が社会問題化し、ゆとり教育と働き方改革が進められた結果、日本は国際競争力を失っていきました。
景気低迷でモノを作っても売れないビジネス環境で、コスト削減により年功賃金や長期雇用、企業福祉など日本的経営の家族的な要素が削減された後には、体育会的な理不尽な上意下達の風潮だけを引き継いだブラック企業が残る結果となりました。
他人と比較して自虐的にならないためには、勝ち負けの基準は自分に置くしかないのであり、自分の仕事にプライドを持って日々 奮闘し、達成感を得ている人の事を本当の勝ち組と言えます。
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インドネシアで考える勝ち組と負け組の基準
バブル時代の終身雇用、年功序列、企業別組合という三種の神器を特徴とする日本的経営では、長時間労働に見合った待遇が得られたので問題にならなかったが、バブル崩壊後にコストカットにより待遇が削られ、体育会的な理不尽な風潮だけを引き継いだブラック企業が残った。
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株価操作なんてインドネシアでは当たり前
インドネシア株の売買を通じて痛感したことは、株は売って利確してはじめて儲かる(正確には所得税を納税してから)のであって管理画面の含み益を見ている段階では意味がないということ、それくらい売って利確するに苦労しました。
株価は売りと買いにより変動するものであり、市場に出た大量の売り注文を買う注文がたくさん入れば、他の投資家達は「俺も俺も」と続くことで株価が上がりますが、これを組織的にやると証券取引等監視委員会に怒られます。
- 馴合売買:売主と買主が共謀して、第三者に誤解を生じさせる目的をもって、同時期に同価格で、売りと買いの注文を行う権利の移転を目的としない売買
- 終値関与:特定の銘柄の終値を引上げ・引下げ・固定することなどを目的として、立会終了間際に発注し、約定させるような取引
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株価操作なんてインドネシアでは当たり前 【馴合売買と終値関与】
インドネシア株の難しさは、管理画面上の含み益を出しても、利確のタイミングでシステムエラーが出たり売り注文が入れられないなど、相場以外にも何か目に見えない不思議な力との戦いがあることであり、日本では禁じられている馴合売買と終値関与などは普通に行われているようです。
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インドネシアの事業競争監視委員会(KPPU)の権限
- 寡占
他の事業者との間で商品又はサービスの生産又は販売を共同で支配する協定を締結することは禁止。 - 価格拘束
競争者との間で同一関連市場において消費者が支払うこととなる特定の商品又はサービスの価格を決定する協定を締結することは禁止。 - 排他的行為
競争者との間で他の事業者が国内又は国外市場において同一の事業を行うことを妨害することとなる協定を締結することは禁止。 - カルテル
競争者との間で特定の商品又はサービスの生産又は販売を調整することにより、価格に影響を与えることを意図した協定を締結することは禁止。 - トラスト
他の事業者との間で商品又はサービスの生産又は販売を支配することを意図して、合弁会社若しくはより大規模な企業を設立し、又は個々の会社若しくはその構成員を存続させることによって協力する協定を締結することは禁止。 - 買手寡占
他の事業者との間で関連市場における商品又はサービスの価格を支配するために、購入又は受給を共同して支配することを意図した協定を締結することは禁止。 - 垂直的統合
他の事業者との間で特定の商品又はサービスの、直接又は間接の生産工程に含まれている複数の製品の生産を支配することを目的とした協定を締結することは禁止。 - 排他的協定
他の事業者との間で商品又はサービスの受領者が、特定の相手方又は特定の地域に対してのみ当該商品又はサービスを再販売し、又は再販売しないものとする協定を締結することは禁止。 - 外国事業者との協定
外国に所在する者との間で独占的行為又は不公正な事業競争を引き起こすこととなる内容を含む協定を締結することは禁止
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インドネシアの事業競争監視委員会(KPPU)の権限
インドネシアの独占禁止法の執行機関が独立機関である事業競争監視委員会KPPU(Komisi Pengawas Persaingan Usaha)であり、独占的行為又は不公正な事業競争を引き起こすこととなる協定について調査・評価し、審問を実施し、最終決定を下し行政上の措置を課すという非常に強い権限を持っています。
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アフターコロナのインドネシアで事業5期目を迎えて
B2Bビジネスがオンラインでの対話中心となった今では、相手が信用するに値するかを見極めるポイントとなるのが、会社の信頼性や権威性であり、大手企業ほど有利となりますので、中小企業は要件がはっきりしない不確実性の高い案件に対してでも、なんらかの仮説を積み上げて一定の形にして泥臭く実績を積み上げるしかありません。
インドネシアは年率平均5%程度の緩やかな経済成長を遂げてきたとはいえ、国内での付加価値産業の育成がうまくいかなかったことにより輸出競争力が伸びず、スハルト独裁政権時代に20%を占めていた製造業のGDP寄与率は16%にまで落ち込み、世界的サプライチェーンの川上に位置することで、収益性が低く市場の需要変動の影響を大きく被るリスクを負っています。
2030年頃まで人口ボーナスが続き内需は厚いとはいえ、ベトナムやフィリピンなど同じように内需の厚い国に対して、相対的に優位性を維持するには成長率の伸びが足らず、中進国の罠に陥る可能性も指摘されており、益々厳しくなる競争環境で内需一辺倒の経済構造では先細りが免れず、インドネシアの製造業は輸出競争力を高め外需主導型に転換し、国富の蓄積に貢献する必要があります。
業務をITに置き換えるのではなく、ITで業務を変革する、新しい付加価値を生み出すのがDX化であり、IoTなどのIT技術を使い、生産性向上や品質向上を実現し、第四次産業革命を起こそうというインダストリー4.0を具現化したものがスマートファクトリーです。
弊社が目指すところもDX化による工場のスマートファクトリー化であり、ジョコウィ政権が推進するMaking Indonesia4.0が目指す、高度人材の育成と生産性向上による製造業の高度化と産業構造の改革に寄与するものと信じるところです。
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インドネシアにおけるDX化推進による製造業のスマートファクトリー化
2018年の会社設立以来、今年2022年の2月で5期目を迎えたことを機に、製造業システムという分野で事業を行う根本的な理由や、アフターコロナ―のインドネシアIT業界で何を実現したいのかを、DXの観点から改めて整理しました。
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ライオンエアを代表とするインドネシアのLCC航空会社
インドネシア国内でもLion Airと言えば『できれば避けたいけれどいろんな地方までのフライトが出ていて便利で安いので使わざるを得ない航空会社』というものであり、過去にオーバーラン、車輪が出ず胴体着陸、滑走路からはずれて牛をはねるなど、『ライオンエア』でググると、続いて『事故 多い』とか予測変換されるほどデンジャラスな印象が強いです。
ライオンエアグループ以外のインドネシアのLCC(格安航空会社)としては、ガルーダインドネシアグループのCitylink、そのガルーダとコードシェア提携(共同運航)を行っているSriwijaya Airが有名です。
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ライオンエアを代表とするインドネシアのLCC航空会社
インドネシアのLCC(格安航空会社)は度重なるトラブルで評判を落としたライオンエア、ガルーダインドネシアグループのCitylink、そのガルーダとコードシェア提携(共同運航)を行っているSriwijaya Airが有名です。
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インドネシアの社会
宗教的規範と社会活動と分けて考える良心的な庶民感覚
宗教の違いによる価値観の差をどこまで許容できるかは人によって異なりますので、特定の強硬派集団が形成されてしまうのは止むを得ないことで、実際にクリスチャンであるうちの嫁はんもその友人達も同性婚を絶対に認めませんし、仕事上のパートナーである敬虔なイスラム教徒のインドネシア人も、LGBTの存在を絶対に理解しません。
イスラム教やキリスト教を信仰する大多数の国民の声は、LGBTに対して批判的であることは否定できませんが、法でLGBTを規制しろなどとは言いません。否定するが法的権利は認めるというのがインドネシアのマジョリティの庶民感覚ではないでしょうか?
イスラム的価値観に少しでも抵触する事案に対しては一切妥協の余地なしの一部強硬派によるデモばかりがメディアを賑わせるため、インドネシア全体がイスラム原理主義っぽく見られることが非常に残念であり、実際には価値観の違いを理解し政治と宗教を切り離して考えることができるムスリムが大半であることが、なかなか海外には伝わりにくいと思います。
スハルト大統領退陣後の民主化以降、インドネシアではイスラム政党が第1党になったことが1度もなく、多様性の中の統一を国是とするインドネシアのイスラム社会では、世界最大のイスラム人口を抱えながらも、政治と宗教のバランスが絶妙に保たれていることが判ります。
民主主義の下では主権は立法府や行政府ではなく国民に帰属され(国民主権)、法の下で国民の活動や権利は保護(基本的人権の尊重・法の下の平等)されますので、民主主義の退行と言う場合は、主権が国に属し法によって国民の活動や権利を規制するということです。
ではイスラム法は民主主義の法律と適合するのかという問題ですが、絶対的な主権は神に帰属すると考えた場合は民主主義と相入れませんが、規範は規範としても実際に実行していくのは国民であると寛容にとらえたのが、民主主義国家としてのインドネシアにおける従来の法の考え方でした。
インドネシアの場合、政宗分離で宗教的価値観はあくまで道徳的な行動規範として制約を持つのみで、法的な制約はなく、これが「緩いイスラム国家」と言われる所以であり、婚外交渉や性的少数者であるLGBTの存在自体が、法に抵触すると判断されるのであれば、それはあきらかに法の下の平等に反する民主主義の退行と言えると思います。
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宗教的規範と社会活動と分けて考えるインドネシアの良心的な庶民感覚
インドネシアは刑法改正によりLGBTを法的に認めない一方で、庶民の間では宗教的規範と社会活動と分けて考える良心的な感覚が生きています。そして宗教的価値観の下でモスクや教会のネットワークを通じて困った人々への支援活動が積極的に行われています。
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緊急事態宣言下でのオリンピック開催に関する是非
少数民族やLGBT(性的少数派)を差別しないことが多様性を認めることであるということに異論はないと思いますが、意見の対立する人同士が議論する際に、どこまでが言うのが許容範囲で、何を言ったら一線を超えたことになるのかの線引きは難しいです。
本来の多様性という言葉の意味は、無制限な寛容ではなく、社会の少数派の機会の平等を認め、差別をやめると言う趣旨ですが、議論の中での多様性を定義するとすれば「相手の意見を封じ込めない」「相手の人格を否定しない」ではないでしょうか?
ただし「多様性を否定する意見を排除するのは多様性を自分で否定しているだけ」もっと言うと「差別も多様性の一つで排除されるのはおかしい」というのは、多様性とか差別という言葉の意味を拡大解釈しているに過ぎず、その結果議論が永遠とループしてしまいます。
本来の多様性の意味するところは、無制限に何でも認めろということではなく、社会の中の少数派の人々に対する不平等を解消しましょうと言っているだけであり、差別することも多様性の一つであるというのはただの屁理屈になります。
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多様性の中の統一を国是とするインドネシアから観た東京オリンピック
基本的には『多様性』という言葉はこれまで少数派として不利益を被ってきた人々に対して認めるべきものであるにも関わらず、一時の感情のもつれよってこれが拡大解釈され屁理屈となり、相手の言論を封じ込むための手段として使われる危険があります。
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都市開発の波に飲まれるジャカルタの闇の文化
自分が19年前にジャカルタに来たばかりの頃、人生観が変わるほどのカルチャーショックを受けたのが今はなき東ジャカルタのKeramat Tengah(クラマットトゥンガ)とここ西ジャカルタのKalijodo(カリジョド)で、旧オランダ植民地時代から続く、日本であれば警察の地図上で赤い線で囲まれる特殊飲食店の集まる地域でした。
豪腕イメージのアホック氏と対照的に、新ジャカルタ特別州知事アニス氏の評価は「礼儀正しく理論派」と言われる一方で「ゴミを捨ててはいけないと言いながらゴミ箱は用意しない人」という実務能力を問題視する声もあります。 都市開発の波に飲まれるジャカルタの闇の文化 在任期間中に汚職摘発などで多くの目に見える成果を出したアホック知事が今回の選挙で負けたことにより、イスラム冒涜というレッテルは未だに選挙で効果があることが証明されました。 続きを見る
麻薬撲滅の啓蒙活動
インドネシアで危険薬物全般をNarkobaと言いますが、これはNARkotika(麻薬)、psiKOtropika(向精神薬)、OBAt-obatan(薬物)をくっつけた言葉です。
麻薬といえばメキシコやコロンビアの麻薬戦争が思い浮かびますが、実はインドネシアでは毎日50人の若者が麻薬がらみで死んでいくという世界でも有数の麻薬汚染地帯で、Ekstasi(合成麻薬エクスタシー)の世界最大生産国、Ganja(大麻)の世界最大の流通国で、Mariyuana(マリファナ)の品質世界一、現在刑務所の受刑者の60%がNarkoba関係で、毎年15,000人がNarkobaがらみで死亡しています。
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インドネシアにおける麻薬撲滅の啓蒙活動
インドネシアへの麻薬の持ち込みは重罪で、オーストラリア人が死刑判決を受けた際には国際問題にもなりましたが、世界有数の麻薬汚染国家の汚名返上のために麻薬取締庁BNN(Badan Narkotika Nasional)を中心として、草の根レベルでも麻薬撲滅の啓蒙活動が行われています。
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海外在留邦人向けワクチン接種のための一時帰国ラッシュ
中国、日本、韓国と感染者が増えていく一方で、何故かインドとインドネシアでは感染者が出ておらず、これは高温多湿な気候に守られているからだとか、インドのカレーやインドネシア料理全般で使われるkunyit(ウコン)が病気の予防に役立っているとか、一種の優越感を持ってインドネシア人も在住日本人も安全圏から見ていました。
ところが2020年3月にインドネシア初の感染者が日本人と接触したのが原因らしいと政府発表があったせいで、在住日本人はこれまで経験したことのない「偏見」または「差別」という不安の底に突き落とされました。
インドネシアでも高齢者や基礎疾患を持つ人、肥満気味の人が亡くなるという傾向が強いのは日本と同じとはいえ、20代から50代までの比較的若い人の死亡例が多く見られ、これが食生活の違いなのか、気候の問題なのか、民族の遺伝子的な問題なのか、理由がよく分かりませんでした。
HLA-A24という細胞性免疫の有無が理由なのではないかという説が出ており、体内に侵入したウイルスを認識したHLA-A24が、細胞性免疫機構に働きかけてウイルスを攻撃するという話なのですが、日本人が新型コロナに感染しにくい理由として言われてきたファクターX(自然免疫と言われるもの)が、日本人の6割が保有していると言われるHLA-A24そのものなのではないかということです。
日本政府による邦人保護の観点からの官民連携事業により、7月21日のANAジャカルタ発成田行き特別便運航以来、連日のように特別便が出ていますが、インドネシア入国管理局によると7月3日~8月12日の間にスカルノハッタ空港から出国した外国人25,932人のうち、最も多かったのは日本人4,373人とのことです。
今年5月中旬のイスラム断食明け大祭前後に、大都市と地方都市の間で大規模な帰省とUターン移動が発生し、コロナウィルスの変異種デルタ株がインドネシア全土に拡散したことで、感染拡大を防ぐための社会活動制限が引き続き実施されていますが、8月10日からジャカルタ、バンドン、スラバヤ、スマランの4都市でショッピングモールの営業再開を試験的に認め、一部都市では学校での対面授業を認めるなど規制緩和の試みもなされています。
政府がワクチン接種率を高めようとする一方で、国民の間にワクチンの有効性に対する疑念、副作用に対する不安などが一定数あるのも事実であり、ワクチン未接種者を差別したり偏見を持つのではなく、医学的見地からコロナ禍を終わらせるためにワクチン接種が必須であることを啓蒙していく必要があります。
以前はインドネシアの日本大使館に対して在留邦人が持つイメージは、お役所仕事を淡々とこなすだけの頼りにならない存在だったかもしれませんが、最近はインドネシア政府発表に関する日本語による迅速な情報提供、一時帰国のための特別便の手配、そして今回のワクチン接種手配など、在留邦人にとって非常に心強い存在となっています。
インドネシアの税優遇制度と新しい生活様式への適応期間
インドネシアで従業員が会社と雇用契約を結ぶ際に、給与の金額に個人所得税PPh21を含むか含まないかによって、3通りの契約形態があります。
- ネット:契約時に決まった手取金額に対してかかる個人所得税は会社が源泉徴収し納税。
- グロス:契約時に決まった給料の金額には個人所得税分が含まれているため、会社が毎月源泉徴収し納税。
- グロスアップ:契約時に決まった手取金額に対してかかる個人所得税分を税額控除(Tunjangan Pajak=Tax Allowance)という会社補助として上乗せしたものを給料の金額とし、会社が源泉徴収し納税。
今回の半年間の税制優遇措置では個人所得税PPh21は政府が負担し、その分は従業員に還元するという意味になりますので、ネット契約またはグロス契約で会社によって源泉納税行われていた場合には、従業員の給料が半年間アップすることになります。
そしてグロスアップ契約の場合も、会社が社員に支払う手取金額に対してかかるであろう所得税分を「会社補助」として手当しますよという契約であるため、会社側の立場としては税制優遇措置を受けるべきは補助の負担を担ってきた会社だろうという理屈も成立するかもしれませんが、仕組みはどうであれその本質は社員の個人所得税を会社が代理で支払っているだけなので、やはり社員に還元するのが筋だと考えます。
運動不足は免疫力を低下させ感染リスクを高めるので、適度な運動で免疫力を高めることが大事だということで、外出自粛でフラストレーションが溜まった国民の間で自転車ブームが巻き起こっています。
ジャカルタのモールやBlok Mなどの歓楽街の飲食店は平日の少ない売上を土日祝日の売上でカバーするビジネスモデルを採用しているため、収容人数の制約下では経営が成り立たず、複数の日本食レストランが閉店を決断されています。
消費者が新しい生活様式へシフトすることにより、飲食店側のビジネスモデルも店内飲食をメインにした集客型から、デリバリーを前提としたオンライン注文型にシフトしており、この動きは資本力のない小規模零細自営業者にも事業拡大の機会を広げることに繋がります。
インドネシア国内で新型コロナウィルス感染拡大により、入国管理局のビザ更新手続きが中止されているので、一時帰国中の外国人はインドネシアに戻ってビザの更新をすることができないため、有効期限が切れていてもインドネシア再入国が許可されていました。
しかし国内でビザ更新手続きが再開されたことで、既にビザが切れている外国人は60日以内であれば入国が許可されますが、それ以上経過すると新規にビザの取り直しになります。
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インドネシアの税優遇制度と新しい生活様式への適応期間
ジャカルタの新しい生活様式への適応期間中には、大規模社会制限PSBBによる外出自粛で溜まったフラストレーションが引き起こした自転車ブームが起きており、土日の朝夕の道路にはサイクリング中の自転車集団が至る所に見られます。
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コロナ禍によるインドネシアでの貧困率と犯罪率の増加
新型コロナウイルスの流行拡大の影響で、2020年3月の貧困率が9.78%と2019年9月の9.22%から上昇し、貧困ライン以下で暮らしている人の数は、3月時点で2,642万人いると言われており、PSBB(大規模社会制限)下での移動制限で経済活動が阻害されたことが貧困層の増加につながったと考えられます。
特に地方で大量の雇用を支えていた観光産業での倒産や失業者が増加し、失業者数が増えると貧困層が増え、その結果犯罪が増えるという悪循環をもたらし、地下経済(課税されない現金労働などGDP統計に表れない経済部門である非公式経済)が拡大しつつあります。
在宅勤務が増えたことで平時は朝出勤して夜に帰宅するというリズムが崩れ、家族間でお互いの嫌な部分が見えたことによる感情のもつれが、DVや児童虐待に繋がるニュースが増えていますが、根本的な原因はお金の問題です。
GoJekは、昔は街角で暇していたオジェックをオンラインで繋いで、時間とコストばかりかかる生産性の低い移動や配送という作業を、スマホの操作だけで彼らに外注してしまうことで、業務効率の向上と富の再配分をいっぺんに実現し、新しい所得再配分の流れをIT技術によって構築すると同時に失業率下げることによる犯罪率低下という経済と社会の両面に貢献した革命的サービスです。 コロナ禍によるインドネシアでの貧困率と犯罪率の増加【物理的な移動制限がもたらす経済へのマイナス影響】 新型コロナウィルス感染拡大防止のために発動された、大規模社会制限PSBBによる物理的な移動制限は、経済活動へマイナス影響を及ぼすと同時に、貧困率と犯罪率の増加を招いています。 続きを見る
新型コロナウィルス感染拡大がASEANとインドの製造業へ及ぼす影響
インドネシアの新型コロナウィルス感染拡大が製造業へ及ぼす影響が、ベトナム、タイ、インドと比較してどの程度なのかという興味深い話ですが、各国とも二輪四輪産業が受ける影響は大きい一方で、新しい生活様式に対応したライフスタイルの変化がもたらすNew Normal特需にも期待を寄せており、サプライチェーンの停滞により輸入から国内調達への切り替え、米中貿易摩擦の激化による中国からの生産移管、生活習慣のオンライン化によるIT関連機器の生産と輸出の拡大、家で過ごす時間が増えたことによる節電志向のエアコンや、清潔志向の高まりから空気清浄機の売り上げ増などが挙げられます。
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新型コロナウィルス感染拡大がASEANとインドの製造業へ及ぼす影響【二輪四輪産業への影響が大きい】
インドネシアの新型コロナウィルス感染拡大が製造業へ及ぼす影響が、ベトナム、タイ、インドと比較してどの程度なのかでしょうか?各国とも二輪四輪産業が受ける影響は大きい一方で、新しい生活様式に対応したライフスタイルの変化がもたらす特需にも期待を寄せています。
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外免切替でインドネシアの免許を日本の免許に切り替え
日本で取得した国際免許がインドネシアで無効なのは、国際免許協定が記載されている外交条約のうち日本はジュネーブ交通条約(戦争捕虜の扱い方に関する条約とは別物)、インドネシアはウィーン条約に加盟しているが相互に互換性がないからで、例えばウィーン条約加盟国であるハンガリーの人は国際免許証をもってインドネシアで運転できます。
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外免切替でインドネシアの免許証を日本の普通免許に切替える方法
外免切替でインドネシアの免許証(SIM-A)を日本の普通免許に切替可能であるということは、理屈では自動車教習所に通わずして免許を取得することも可能なわけですが、組織的にやるとおそらく発覚して摘発されるものと思われます。
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インドネシア人の引越しに伴うKTPの変更手続き
インドネシアの地方行政区画は以下の単位で構成されます。
- KK(Ketua Keluarga 家族単位)
- RT(RUKUN TETANGGA 隣組)
- RW(RUKUN WARGA 町内会)
- Kelurahan(町または区)
- Kecamatan(郡)市長はWali Kota
- Kabupaten(県)県知事はBupati
- Propinsi(州)州知事はGubernur
住所の基本単位であるKelurahanごとに、住民の入りと出を管理するのがKantor Kelurahanの仕事であり、管轄する地区の住民は住民登録番号NICで採番された住民登録証KTPで管理され、住民は日常生活で頻繁に発生する身分証明書の提示の場面で、そのKTPをあたりまえのように使用しています。
KTPの発行業務は町役場(Kantor Kelurahan)で行なわれますが、このKelurahanが果たす地域住民に対する主要業務は以下の3つです。
- KTP(Kartu Tanda Penduduk 住民登録証), KK(Kartu Keluarga 住民票)の発行
- Surat Keterangan Pelaporan Kelahiran(出生証明書)の発行
- Surat Keterangan Pelaporan Kematian(死亡証明書)の発行
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インドネシア人の引越しに伴うKTP(住民登録証)の変更手続き
ジャカルタに住む地方出身者のインドネシア人は、より良い住環境を求めて頻繁に引越しする人が多く、本来であればその都度引越し先のKelurahan(町)に住民登録証 KTP(Kartu Tanda Penduduk)を移動する必要がありますが、実際には古い住所のままにしている人が多いのも事実です。
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なりすまし詐欺、催眠術詐欺が横行するインドネシア
インドネシアでスマホのSIMカードを購入するにあたって、インドネシア人なら住民登録証 KTP(Kartu Tanda Penduduk)、外国人ならKITASの番号やパスポート番号の登録が必須になったのが、2002年のバリ島のクタでの爆弾テロ事件や、2004年のジャカルタKuninganのオーストラリア大使館前爆弾テロ事件がきっかけだったと記憶していますが、当時は今みたいな世界中でイスラム過激派によるテロが国際政治を混迷させる時代が来るとは想像もしていませんでした。
情報通信省(Kementerian Komunikasi dan Informatika)は、2017年10月31日から2018年2月28日までの間にe-KTPとKKのNIK(Nomor Identitas Penduduk 個人識別番号)をSIMカードに対して登録させ、行政のデータベースとリンクさせることで、SIMカードを行政の管理下に置くことで、テロやなりすまし詐欺などの犯罪への使用を未然に防止し、スパムや違法広告を根絶しようとしています。
クレジットカードや保険の勧誘電話がかかってくると日本人なら無下にあしらうところを、インドネシア人は仮に会議中であっても一応最後まで話を聞いてあげようとし、穏便に断る人が多いため、日本に比べてインドネシアはなりすまし詐欺等の件数は圧倒的に多いものと想像します。
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なりすまし詐欺・オレオレ詐欺・催眠術詐欺が横行するインドネシア
日本以上にインドネシアはなりすまし詐欺、オレオレ詐欺、催眠術詐欺が横行しており、情報通信省(Kementerian Komunikasi dan Informatika)はスマホのSIMカードにKTP(住民登録証)とKK(住民票)番号登録を義務付けました。
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世代交代により不正浄化が進むインドネシア
KKNといえばKorupsi(汚職)とKolusi(談合)とNepotisme(縁故主義)の頭文字をとったもので、本来のKKNが意味するところのKuliah Kerja Nyata(学生インターン仕事)を自虐的にひねった短縮語です。
税務署や労働省、交通警察などの公務員と接する機会が多いのですが、昔に比べて事あるごとに袖の下を要求されることも少なくなったのは、世代交代が進んだ結果、甘い蜜を吸った経験のない若い公務員の比率が高まったからだと考えられます。
タバコは体に悪いと分かっていても止められないのと同じように汚職も一度経験してしまうと止められないようで、行政機関のクリーン化のためには世代交代が根本的解決になるものと思います。
Caloと呼ばれるブローカーは、公務員に便宜を図って手続きを迅速化するという収賄を発生させる傾向があるため、駅や交通警察ではcaloの入場を禁止しました。 世代交代により行政機関と民間企業で不正浄化が進むインドネシア スハルト長期政権時代に日常化したKKN(Korupsi汚職・Kolusi談合・Nepotisme縁故主義)は、汚職撲滅委員会KPK(Komisi Pemberantasan Korupsi)により浄化が進められており、行政機関の透明化に並行して民間企業間の商習慣もクリーンになることが期待されています。 続きを見る
インドネシアで普及が進む非接触型ICカード
インドネシアのキャッシュレス化はGoPayやOVOなどのサーバーベースのスマホアプリ型とe-moneyやBCA Flazzなどのチップベースの非接触ICカード型の2種類の電子マネーで普及が進んでいます。
ICカードにはRFID(Radio-frequency identification)が埋め込んであり、13.56Mhzの高周波の電磁誘導方式で、GTOに設置してあるリーダーにかざすだけで料金の引き落としと残高表示をしてくれます。
RFIDはユニクロの店内に陳列されているシャツや、ロッテマート入り口で警備員からかばんのチャックに結び付けられるワイヤーにくっついている万引き防止用タグでも使われており、非接触型社会のキーとなる技術かもしれません。
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インドネシアのTol(有料高速道路)キャッシュレス化による渋滞解消
インドネシアのTol(有料高速道路)、電気電話料金などの公共料金支払いでキャッシュレス化が進むことで経済活動全体が効率化され、他国に比べて劣るとされる労働生産性の向上が期待されています。
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インドネシアのスマホのプルサとインターネット接続プラン
インドネシアではネット接続用のパケットに加入し、通話用のプルサ(度数)を追加するプリペイド方式が主流でしたが、最近は翌月初に請求書が届くpascabayarのサービスが増えてきて、キャリアー側からすると未払いのリスクよりも後払いによる登録者の積極的なサービス利用のメリットが大きいと判断し、ある程度信用に値すると判断される人には後払い方式を勧めているようです。
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インドネシアのスマホのプルサとインターネット接続プランの関係
インドネシアのスマホの支払いはインターネット接続パケット(Paket)とプルサ購入(Pulsa)による前払い方式が多く、双方の有効期限が異なるため管理が煩わしかったのですが、最近はパケットとプルサが一体となった後払いのpascabayarのサービスが増えてきました。
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インドネシア在住日本人の情報収集環境
インドネシア在住日本人の情報収集と発信の手段はよろず掲示板などBBS(Bulletin Board System)からTwitterやFacebookなどのSNSへと完全に移行し、現在ではSNSを通して情報発信(フロー)してブログ記事への流入を促しビジネスに繋げるという流れが一般的です。
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1998年のインドネシア暴動当時の在住日本人の情報収集環境
コロナ禍中のインドネシア在住日本人にとって最も有効な情報収集手段はTwitterではないかと思うのですが、1998年のインドネシアの歴史的転換期に発生した大規模な暴動に関する最新情報はよろずインドネシア掲示板上で交換されていました。
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インドネシアと日本の女性の社会進出
インドネシアの在留邦人数1万9千人前後の男女比率は約2対1で、男は基本就労が目的ですが、6,000人以上の女性の大半は家族帯同で来られた「駐妻さん」です。
日本では1985年に職場環境における採用・昇進・解雇などの面で男女とも平等に扱う男女雇用機会均等法が制定されましたが、イクメンという言葉がもてはやされるようになって今でも、第一子出産後の6割の女性が「育児と仕事の両立によるストレス」を原因として退職することを余儀なくされます。
インドネシアは、企業が産休と出産後の職場復帰に対する理解が強いこと、親に子供の面倒を見てもらえる環境があること、メイドやベビーシッターを雇いやすい環境であるため、旦那が転勤するからとか、妊娠したからとか、子供が生まれたからとかいう理由で退職するという発想自体がありません。
日本の女性の地位向上に尽くした人物としては、1945年に婦人参政権を実現した市川房枝が有名ですが、インドネシアの女性の地位向上に貢献した最も有名な人物はカルティニ(Raden Adjeng Kartini)で、彼女の誕生日4月21日はカルティニの日とされています。
駐妻さんがインドネシアに居ながら日本の仕事をし、日本からの収入が日本の口座に振り込まれる場合は、家族帯同ビザC317で仕事をすることは問題ありませんが、帯同ビザで日本の会社の仕事を行うことに対して、インドネシアの税務署から問題視される可能性は否定できません。
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インドネシアに埋もれた「駐妻さん」という高スキル人材
駐妻さんのほとんどは旦那さんのインドネシア駐在を機に仕事を辞めて帯同されており、非常に魅力的な人材が多いことがSNSの普及によって公になりました。安易な移民政策ではなく埋もれた人材が活躍しやすい仕組みづくりこそが最初に取り組むべき課題だと考えます。
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