2008年のリーマンショックで世界的に景気が低迷する中、インドネシアは比較的軽微な影響しか受けませんでした。これは、国内で付加価値産業が育っていないことで輸出競争力が弱く、内需主導型経済だったからだと言われています。1人当たりGDPも2020年まで堅調に成長していました。ちょうどその時、バリ島での輸出会社の経営者からジャカルタでのIT会社の社員に転身した当時の心境を記した内容です。
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インドネシアはなぜ発展するのか?政治・経済・社会を支える構造と成長戦略
スカルノ大統領時代は共産主義政策が推進され、西側諸国からの投資が減少しました。スハルト大統領は西側諸国との関係を強化し、工業化を進めましたが、石油依存から脱却できませんでした。1998年のアジア通貨危機後、インドネシアは民主主義国家と…
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この記事でわかること
- 2008年のリーマンショック時、インドネシアは内需主導型経済で影響が軽微でした。
- ジャカルタ周辺の工業団地では2009年11月時点で増産ラッシュが続いています。
- インドネシアの株価はアジアで最も高い上昇率を示し、個人投資がブームです。
- IT業界では新規案件が取りにくく、景気の波は半年遅れで来るとされています。
- インドネシアではシステム投資よりも人海戦術が有効で、文化の違いを理解することが重要です。
ジャカルタでの製造業システム導入という仕事(2009年)
インドネシアは日本の製造業にとって重要な生産拠点であり、ジャカルタ周辺には総合商社系の工業団地が多く存在します。私はジャカルタ中心部のオフィスからこれらの工業団地を訪問することが多く、2009年11月時点で、工場は増産ラッシュで非常に多忙です。製造業に限れば景気は良好です。
インドネシアの株価はアジアで最も高い上昇率を示し、比較的安定しています。証券会社の数が増え、個人投資がブームになっています。インドネシア人は「PC1台で金が稼げる」というふれこみに弱く、オンライントレーディングの普及が非常に早いです。
日本の友人によれば、日経新聞にはインドネシア投資の話題が頻繁に掲載されているそうですが、当地のIT業界にいる私たちにはその恩恵が感じられません。新規案件を取るのは難しく、我々だけ蚊帳の外にいるのではないかという冗談も出るほどです。
IT業界への景気の波は半年遅れで来ると言われており、2010年あたりから受注が増えることを期待しています。私は日系システム会社の技術担当として、ERPパッケージや生産スケジューラーのプリセールスと導入、ネットワーク構築作業を行っています。
システム会社の仕事はプログラムを組むことは少なく、パッケージソフトのプラグイン作成やスクリプトでの簡単なカスタマイズが主です。必要な知識はシステムのハードとソフト、生産管理や会計などの業務アプリケーション、そしてインドネシア語です。
バリ島で家具の輸出業をしていた頃との比較(2009年)
2007年まで、私は世界的な観光地であるバリ島で家具や布製品の輸出業を行っていました。しかし、日本の不景気の影響と供給元を中国にシフトする流れから、事業は立ち行かなくなり撤退を余儀なくされました。その後、以前働いていたジャカルタのシステム会社に戻り、再びお世話になっています。180坪のプール付きの家で犬と熱帯魚に囲まれたお気楽な生活に別れを告げ、ジャカルタ中心部のアパートの19階から毎朝マイカー通勤する普通の会社員生活を送っています。
ジャカルタに戻る前は、この生活のギャップに耐えられるか不安もありましたが、住めば都、人間は意外とどこにでも適応できるものです。日本に比べてインドネシアは、システムによるビジネスフローの標準化が遅れています。人件費の上昇率が高いと言われていますが、日本に比べるとまだ格安です。そのため、高額なシステム投資を行うよりも、多くの人を雇って人海戦術を取る方が得策という考え方もあります。
また、業務系システムを高額な投資金額に見合うほど使いこなすのは難しく、結局は業務フローが分断されたまま、ただの帳票出力システムになってしまうケースも多いです。2000年代前半に導入された高額なERPシステムを、償却期間が過ぎたタイミングでダウングレードし、会計まわり以外はすべてExcel処理に戻すという会社も出てきています。
バリ島で独立して仕事をしていた頃に比べて、従業員としての立場で一番異なるのは「金の心配をしなくてよい」ことです。不景気の中、なんとか案件を増やして生き延びようという深刻な会話を日常的に交わしていたとしても、結局は「人の金」「人の会社」であり、従業員には会社の業績が良くとも悪くとも自動的に給料が振り込まれます。
ただ、こういう不景気時の経営者の心情は非常に理解できるつもりです。「自分のことより会社の利益を第一に」などと奇麗事は言わないまでも、少なくとも会社の利益とキャッシュフローについてかなり真剣に考えています。要は「利益を出さないと悪いなあ」という気持ちが常に働いているわけです。もともと好きなシステムの仕事ということもありますが、独立して仕事をしていた時に培われたコスト意識が強いので、経営者にとっては仕事熱心で使いやすい社員ではないかと思います。
当地の日本人同士の会話の中で、インドネシア人との付き合い方は非常に話題になりやすいです。その中で、多くの日本人がインドネシア人との付き合いでストレスを感じていることに驚かされます。会社での立場や生活環境によって違ってくるとは思いますが、異なる文化環境で育ってきた人達と、日本人と同じような感覚で付き合うのは無理があります。
相手の悪いところを指摘して改善させようと考えることは時には必要ですが、インドネシア人にこれをやろうとすると自分自身がストレスを抱え込み、かえって関係が悪くなることがあります。相手の良いところを見て、仕事に能力を発揮してもらう環境を作れば、意外と自分で考えて動いてくれるものです。
事例:2000年代前半に導入されたERPシステムをダウングレードし、会計以外はExcel処理に戻す会社の例があります。
要点:インドネシアではシステム投資よりも人海戦術が有効な場合が多く、文化の違いを理解し、相手の良いところを活かすことが重要です。