ジャカルタ〜チカンペック高架高速道路の建設背景と影響

2019/04/28

ジャカルタ-チカンペック高架化事業

高速道路の高架化には、土地取得が不要で既存の交通事情を妨げずに工事を進められるというメリットがあります。しかし、地震発生時の脆弱性による倒壊や寸断のリスク、建設コストの上昇による利用料の高騰、それを補うための税金が必要になるといったデメリットもあります。

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この記事でわかること

  • ジャカルタ-チカンペック高架高速道路は2017年に建設が始まり、2019年4月開通予定でした。
  • 高架化のメリットは土地取得不要で既存交通を妨げずに工事が進められることです。
  • デメリットとして、地震時の倒壊リスクや建設コストの上昇による利用料の高騰があります。
  • 高架道路は片側2車線で、最高速度は100kmを予定しています。
  • PT Waskita KaryaとPT Acset Indonusaが建設を請負い、コンクリートはPT Waskita Beton Precastが供給します。

ジャカルタ~チカンペック高架高速道路の建設背景と渋滞緩和の期待

高速道路ジャカルタ-チカンペック高架(Tol Jakampek Elevated インドネシア語Jalan Tol Layang Jakarta-Cikampek)は、ジャカルタへの通勤者が高架を利用し、近場のJakarta東部、Bekasi、Cikarangからの車は既存の高速道路を利用することで、交通の流れを上下に分散し慢性的な渋滞緩和を目指すことを目的として2017年に建設工事が始まりました。当初は2019年4月に開通予定とされていました。

2019年6月のレバラン休みの際の帰省(Mudik)渋滞の緩和に間に合わせる計画でしたが、進捗状況が60%とも70%とも言われている中、実際には場所によってはまだ橋梁すらかかっていないところもありました。このまま24時間体制で突貫工事を行っても、レバラン休み期間に間に合わないことは明らかで、工事の影響で例年以上に渋滞を悪化させる可能性がありました。

高架化工事の影響による渋滞
2019年当時、朝から夜まで続く高架工事の渋滞

弊社のある北ブカシ(Bekasi Utara)のオフィスから西カラワン(Karawang Barat)の工業団地まで30km程度の距離ですが、橋梁の側面や下面の作業をするために、クレーン車が追い越し車線をふさぐことで一時的な渋滞を頻繁に発生させ、Cikarang Utama料金所を越えた先の道幅が狭くなっているボトルネック部分に起因する慢性的渋滞もあって、夕方の西カラワンからの帰りは3時間くらいかかるのが普通で、最悪で5時間以上かかったこともあります。

突然発生する追い越し車線(jalur cepat=lajur kanan)の封鎖により前の車が急停止するのが怖いので、私の場合、夕方の渋滞時には追い越し車線は避けて、低速車線(jalur lambat=lajur kiri)と真ん中車線(lajur tengah)を車線変更しながら進み、前の車が急ブレーキをかけてこっちがオカマ掘るリスクが高い追い越し車線には、極力入らないようにしています。

これに加えてどんなに渋滞しようとも、警察車両やTNI(Tentara Nasional Indonesia 軍)、またはRFナンバーの国家公務員(Pegawai negeri sipil)の車は、クラクション鳴らしながら道をかき分けるように強引に突っ込んできますので、そのたびに右へ左へ寄って道を空けなければなりません。

RFナンバーはEselon II(階級のクラスが2番目)以上の役人がもらえる。

  • RFS : Reformasi Sekretariat Negara
  • RFP : Reformasi Polisi
  • RFD : Reformasi Darat
  • RFL : Reformasi Laut
  • RFU : Reformasi Udara

警察や政治家などの役人がReformasi(改革)の名の下に、あたかも既得権のようにクラクションを鳴らしながら我が物顔で割り込みをかけることを苦々しく思っている国民が大半だと思われますが、高架が完成したあかつきには、チクニール(Cikunir KM9)から西カラワン出口(Gerbang Tol Karawang Barat KM48)までの39km区間が片側2車線、最高速度は100kmになり快適でストレスレスな高速道路になることを期待して高速道路利用者は我慢しています。

高架化工事の影響による渋滞

2019年当時、建設中KM9km地点のCikunir入り口。左はLRTの支柱。

最終の西カラワン出口は既存のTol出口よりも1kmほど東に出来るので、北ブカシにオフィスのある弊社にとっては、東カラワン以東の客先を訪問する場合に、Cibitungから高架に上って西カラワンで降りることになり、これまで渋滞が阻んでいた遠方の工業団地へのアクセスが良くなるものと期待しています。

高架建設工事は、国営建設会社PT Waskita Karya(WIKA)とAstraグループのPT Acset Indonusa(ACST)が請負い、コンクリートはWaskitaの子会社であるPT Waskita Beton Precast、鉄筋は副大統領ユスフ・カラ(Jusuf Kalla)の親族会社PT Bukaka Teknik Utamaから調達されます。よく見ると橋梁の1本1本にBUKAKAのロゴが入っているのが確認できます。

PT Waskita Karya(全体の51%区間)

  • Cikunir -Bekasi Barat :2.99 km
  • Bekasi Barat -Bekasi Timur : 3.63 km
  • Bekasi Timur -Tambun : 4.34 km
  • Tambun - Cibitung : 3.30 km
  • Cibitung - Cikarang Utama : 4.46 km

PT Acset Indonusa(全体の49%区間)

  • Cikarang Utama - Cikarang Barat :2.72 km
  • Cikarang Barat- Cibatu : 3.16 km
  • Cibatu - Cikarang Timur : 2.45 km
  • Cikarang Timur - Karawang Barat : 9.79 km

高架道路のメリットとデメリット|土地取得不要から災害リスクまで

高速道路を高架にすることのメリットとデメリット
2019年当時、Sosrobahu法では支柱の上にアームを一旦道路に並行に置いてからクルっと90度回転させる。

高架道路は、上りと下りの片側2車線ずつ合計4車線を中央に設置し、1本の支柱とアームで支える部分と、上りと下りを別の支柱とアームで支える部分があります。工事は支柱を先に作り、その上にアームを置き、橋梁を載せる手順です。4車線をまとめる部分ではアームのサイズが長くなり、作業は中央分離帯の中で行い、アームを90度回転させます。

東京の首都高が土地の所有権の問題を回避するため、川に沿って建設されているのと同様に、Tolジャカルタ-チカンペック高架も既存高速道路の上に建設され、新たな土地取得は不要です。高架化のメリットは、新たな土地取得が不要で、既存交通事情を妨げずに工事が進められることです。デメリットは、巨大災害時の倒壊リスクや建設コストの上昇による利用料の高さ、税金の必要性です。

高速道路を高架にすることのメリットとデメリット
2019年当時、KM39付近は上りと下りが左右別になっている。

インドネシアは2030年までに世界の10大経済国に入ることを目標に、インダストリー4.0に対応したメーキング・インドネシア4.0を発表しています。製造業のGDP寄与率を16%から25%に引き上げ、経済成長率を5%から6~7%にする目標です。具体的な政策として、高速道路沿いの工業団地を東ジャワまで延長する北部ジャワ自動車産業ベルト構想があります。2023年には西ジャワのスバンにパティンバン新港が開港予定で、ロジスティックスの一極集中が解消され、ジャカルタ近郊の交通事情が改善されることが期待されています。

2019年12月、第2チカンペック高速道(Tol Jakarta-Cikampek II)が開通し、高さ制限2.1mでセダンやMPV限定ですが、大型トラックがいないため交通量は多いがスムーズに流れています。2021年8月から正式名称がJalan Layang MBZに変更され、この道路によりジャカルタ経済圏が東に延び、インドネシアの経済発展に寄与すると期待されています。