インドネシアのデジタル化とGoJekの社会貢献

2020/09/25

ジャカルタ

インドネシアのスマホアプリ型デジタルプラットフォームは、GoJekやGrabなどの配車アプリに関連して発展しました。都市部では、ホワイトカラーの業務効率を向上させ、バイク宅配便やライドシェアによる雇用創出で富の再配分を実現しています。また、地方では零細事業をオンライン化し、販売機会を提供しています。

インドネシアの政治・経済・社会の成長構造と戦略を示す図解

インドネシアはなぜ発展するのか?政治・経済・社会を支える構造と成長戦略

スカルノ大統領時代は共産主義政策が推進され、西側諸国からの投資が減少しました。スハルト大統領は西側諸国との関係を強化し、工業化を進めましたが、石油依存から脱却できませんでした。1998年のアジア通貨危機後、インドネシアは民主主義国家と…

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この記事でわかること

  • GoJekはインドネシアでライドシェアから食品配達までのワンストップサービスを提供しています。
  • GoPayはインドネシアの配車アプリに紐づいたサーバーベース型電子マネーです。
  • ジョコウィ大統領は#BanggaBuatanIndonesia運動で国産品の消費を促進しました。
  • 日ASEAN経済強靱化アクションプランは2020年に合意され、50以上の具体的なアクションを含みます。
  • DISGはSDGs達成のためにデジタル技術を活用したオープンイノベーションを推進しています。

Gojekが変えたインドネシアのライフスタイルと経済構造

インドネシアの電子マネーは、E-Tollカードのような非接触ICカード型と、GoPayのようなスマホアプリ型のサーバーベースに分かれます。サーバーベース型の電子マネーは、GoJekやGrabなどの配車アプリに紐づいて発展したインドネシアの特殊な事情があります。

MRT乗車のためにSuicaのような非接触ICカード型の電子マネーが使用されます。

私がインドネシアに来た1997年頃は、会議中にノキアやエリクソンの携帯を2つも3つも並べて置くことがステータスでした。2014年にUberが進出して以来、GrabやGojekなどの配車アプリが日常生活に浸透するのはあっという間でした。

特にGojekは、ライドシェアから食品配達、バイク便、引っ越し、マッサージなどの生活サービス全般に進化したGoLife、それらすべての決済手段としてのGoPayという「移動⇒サービス⇒決済」というワンストップサービスを提供しています。これにより、インドネシアが抱えていた多くの社会問題解決に貢献しました。

昔そこらじゅうで暇していたオジェックをオンラインで繋ぎ、時間とコストを削減し、生産性の低い移動や配送をスマホの操作だけで外注することで業務効率の向上と富の再配分を実現したGOJEKは革命的です。

2020年~2021年のコロナ禍では、地方特産事業や限られた商圏で営業する屋台をデジタルプラットフォーム上に載せることで、零細事業主の支援、国産品の販売・消費の機会を創出しました。これにより、インドネシアの国内消費を自給で賄うことで経済を回す触媒的役割を果たしています。

クリスマスイブの夜にBaksoの配達を頼んだGOJEKは、新しい所得再配分の流れをIT技術によって構築し、失業率を下げることで犯罪率低下に貢献しています。

増えた国内消費を国内産業で賄うことが雇用を創出し、生み出されるサービスは経済主体の生産性を向上させます。オンライン化が地域間格差を縮める経済効果を生み出しますが、一方で都市部だけが豊かになっているという意見もあります。それはジョコウィ政権が取り組むべき貧困対策、福祉政策の問題でもありました。

ジョコウィ大統領が推進していた#BanggaBuatanIndonesia運動は、国産品に誇りを持ち、買うことを促進するものでした。オフラインの零細自営業者をオンラインに乗せて国内付加価値が付いた製品の需要と供給を増やし、皆でコロナを乗り切ろうという運動でした。

BanggaBuatanIndonesia

インドネシアの自国優先政策と中小企業支援策

インドネシア政府は中小零細企業をeコマースに乗せることで国内製品の販売機会を広げようとしています。2020年、コロナ禍でインドネシアでは700万人が解雇され、企業の経営破綻が相次ぎました。ジョコウィ大統領は#BanggaBuatanI…

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このように多くの社会問題を解決し、新しいイノベーションを促進することでインドネシアの発展に寄与するスタートアップ企業を輩出しようというのがGoJek創業者ナディム・マカリム氏の企業理念です。インドネシアのデジタル化が目指すところは経済成長促進と社会問題解決、次世代のインドネシアの繁栄を支える事業体の育成です。

事例:GoLife内の6万のBPを効率化し売上を伸ばすビジネスエンハンスを担当する友人曰く、内部はマッキンゼーなど戦略系コンサルからの転職組が多く、DoorToDoorで戦略からデリバリーまでできる人材が貴重です。副業奨励、リクルートと同じくゴジェック卒業組が起業して社会で活躍することが会社の理念です。

日ASEAN経済強靱化アクションプランとは?世界初の先駆的取り組み

日本とASEANの間で経済産業協力を推進するため、2020年4月に「日ASEAN経済強靱性強化に関する共同イニシアティブ」が、7月には「日ASEAN経済強靱化アクションプラン」が合意されました。これにより、50を超える具体的なアクションプランが提示され、世界でも例のない先駆的な取り組みが進められています。

アクションプランの3つの枠

  1. 緊密な経済関係の維持(過去の連携の再確認)

    非関税障壁の撤廃や貿易手続きの簡素化

  2. 経済への悪影響の緩和(2020年当時の危機対応の協力)

    経済活動を維持するための安定した物資供給やデジタル技術の社会実装推進

  3. 経済強靱化の推進(未来に向けた共創)

    サプライチェーン強化や産業界の人的交流

これらのアクションプランを実現する中で、地域全体の経済成長が促進されますが、一方でデジタル化への対応、産業高度化、地域間格差是正、環境問題などの新しい経済・社会課題に直面することが予想されます。2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために「イノベーティブ&サステナブル成長対話(DISG)」が創設されています。

SDGs(持続可能な開発目標)

DISGの最大の特徴は、SDGs達成のためにデジタルコネクティビティ、社会課題の解決に資するオープンイノベーション連携、スマートシティ促進、スマート製造などのデジタル技術の活用を前提としている点です。

DISGで議論されるテーマ

  1. サプライチェーンのアップグレード

    強靱なサプライチェーン構築

  2. グリーンイノベーション

    強靱なエネルギー構造の構築や環境制約と経済成長の両立

  3. 医療・ヘルスケア、農業・食糧問題

    医療アクセスの改善、農村部の生産性向上

インドネシアでデジタル技術を活用してSDGs達成のために課題解決を行うビジネスを行っているのがGoJekです。日本はASEAN諸国に資金・人材・技術・ノウハウを戦略的に投入し、連携による新事業創出を図るアジアDX構想を推進しています。これはSDGsへの貢献と同時に、日本自体の改革にも繋げることを目指しています。

ジェトロのセミナーで経済産業省の方が話していましたが、ASEANのSDGs達成への貢献は日本にとって戦略的に重要で、デジタル技術を活用したビジネスの創出のために技術や出資を行うアジアDX構想を推進しているそうです。デジタル技術で日本がASEANより優位かどうかは微妙になりつつありますが。