インドネシアにおける麻薬撲滅の啓蒙活動

2017/03/28

空港入国検査

インドネシアへの麻薬の持ち込みは重罪で、オーストラリア人が死刑判決を受けた際には国際問題にもなりましたが、世界有数の麻薬汚染国家の汚名返上のために麻薬取締庁BNN(Badan Narkotika Nasional)を中心として、草の根レベルでも麻薬撲滅の啓蒙活動が行われています。

汚職と麻薬撲滅キャンペーン

うちの嫁さんの教会では、麻薬撲滅の啓蒙活動をやっているYPKB(YAYASAN PELANGI KASIH BANGSA)という財団の支援の一環で、ジャカルタの小学校SD(Sekolah Dasar)、中学校SMP(Sekolah Menengah Pertama) 、高校SMA(Sekolah Menengah Atas) を回って、Stop Narkobaの授業の主催者として麻薬の恐ろしさを伝えるボランティアをやっています。

汚職と麻薬撲滅キャンペーン

普段はクソガキでもビデオを見る目は真剣

このYPKBの「Bersih dari Narkoba dan Korupsi(インドネシアから汚職と麻薬を一掃しよう)」というキャンペーンは、汚職撲滅委員会 KPK(Komisi Pemberantasan Korupsi )と麻薬取締庁BNN(Badan Narkotika Nasional)から支援を受けており、その啓蒙活動をクリスチャンの教会が手伝っているという位置づけのようです。

何せジャカルタだけでも学校の数がやたらと多く、一校だけでもクラス別にやったら朝から昼過ぎまで10セッションくらいは当たり前、しかもインドネシア中の学校からお呼びがかかるとなれば、これはボランティアにしては若干ハード過ぎる内容だと思うのですが、低血圧で朝が苦手のうちの嫁さんですが、何か使命感みたいなものを感じているようで、重いプロジェクターとかさばるフリップを両脇に抱えて、GOJEKにまたがって颯爽と学校に出発しています。

インドネシアで蔓延するナルコバ

インドネシアで危険薬物全般をNarkobaと言いますが、これはNARkotika(麻薬)、psiKOtropika(向精神薬)、OBAt-obatan(薬物)をくっつけた言葉であり、Narkobaの取引額は年間66.3 Triliun(66.3兆ルピア=6600億円)で、現在刑務所の受刑者の60%がNarkoba関係で、毎年15,000人がNarkobaがらみで死亡しているという危機的状況です。

麻薬といえばメキシコやコロンビアの麻薬戦争が思い浮かびますが、実はインドネシアでは毎日50人の若者が麻薬がらみで死んでいくという世界でも有数の麻薬汚染地帯です。

  1. Ekstasi(合成麻薬エクスタシー)世界最大生産国
  2. Ganja(大麻)の世界最大の流通国
  3. Mariyuana(マリファナ)の品質世界一

テレビのニュースで麻薬の国内持ち込みや闇取引で死刑になる人が映し出されるのを見るたびに、リスクおかしてまでよくやるよ、とも思うのですが、インドネシアは人口が多く、そこまでさせるほど一攫千金が得られる貧困層を中心とした巨大な流通市場があるからです。

インドネシアで蔓延するナルコバ

ショッキングな映像に泣き出す子も・・・

最近めっきり夜遊びしなくなったので判りませんが、昔はコタのディスコティックに行けば、ラリッてヘッドバンギングに勤しむお姉さんたちがたくさんいましたし、ブロックMのカラオケで早い時間帯から既にキメこんでいるツワモノもいましたが、この大人が見てもビビるくらいのショッキングな映像が含まれている啓蒙ビデオとパワポを見せてあげらていたら、あのお姉さん達も道を踏み外すこともなかったかもしれません。

今回嫁さんの荷物持ちとして学校について行って感じたのはとにかくガキの数が圧倒的で、この先50年以上人口ボーナス(労働力増加率が人口増加率よりも高くなることで経済成長が後押しされること)が続きそうなインドネシアの将来はひたすら明るいということ。

そして子供の時分にショック療法的に心に記憶させた麻薬への恐怖は一生忘れないものになると思われ、もしかしたらこの子らの運命を変えうるかもしれないという点で、麻薬撲滅の啓蒙活動はインドネシアの明るい未来にとって大きな意味があると思います。