ジャカルタ知事選と都市開発の光と影:アホックの功罪

2017/04/23

ジャカルタ

アホック知事は在任期間中に汚職摘発などで多くの成果を上げました。しかし、2017年のジャカルタ特別州知事選挙でアニス候補に敗北しました。この結果、イスラム冒涜というレッテルが選挙でのネガティブキャンペーンとして効果があることが証明されました。

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スカルノ大統領時代は共産主義政策が推進され、西側諸国からの投資が減少しました。スハルト大統領は西側諸国との関係を強化し、工業化を進めましたが、石油依存から脱却できませんでした。1998年のアジア通貨危機後、インドネシアは民主主義国家と…

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この記事でわかること

  • アホック知事は2017年のジャカルタ特別州知事選挙でアニス候補に敗北しました。
  • アニス候補はグリンドラ党やFPIイスラム擁護戦線の支持を得ていました。
  • FPIは2020年12月にインドネシア政府によって強制解散されました。
  • アホック知事は2016年にAngke地区カリジョドの強制排除を実施しました。
  • インドネシアの経済は90%が人口5%の中華系インドネシア人に占有されています。

ジャカルタ西部への教会移転とスラム街から見える都市の現実

嫁さんの教会が中央ジャカルタのCidengから西ジャカルタのAngke地区に移転したため、毎週日曜日の朝は、チリウン川(Ciliwung river)とアンケ川(Kali Angke)の岸に立ち並ぶスラム街の景観を目にし、都市整備による強制排除で生じた環状線高架下の瓦礫を横目に、ノスタルジックな郷愁を感じながら早朝ドライブを楽しんでいます。

2017年4月19日のジャカルタ特別州知事選挙では、2期目を目指すアホック知事が、グリンドラ党やFPIイスラム擁護戦線などの支持を得たアニス候補に敗れました。私の周りのインドネシア人の話を聞く限り、イスラム勢力や裏社会を敵に回しても4割以上の票を得たことは善戦と評価されています。

FPIは政府への届け出による団体登録が有効期限切れとなり、テロや公的秩序を乱す暴力的行為に加担したとされ、インドネシア政府は2020年12月にFPIを強制解散し、活動全般を禁止しました。中央ジャカルタ・プタンブランにある本部を閉鎖し、インターネット上の発信も含めて徹底的に取り締まる方針を発表しました。

コーラン冒涜問題で刑法に基づいて起訴され、国会での調査権発動寸前までいったアホック知事ですが、短い任期中に反対を押し切ってもやり遂げるという政治家としての使命感が共感を呼び、多くの「普通の」イスラム教徒の中に支持者が多かったようです。

インドネシアの警察

インドネシアの立法権移行とDPRの権限強化の歴史

インドネシアの立法権はメガワティ政権時にMPRからDPRに移行しました。DPRは立法、予算作成、監査の機能を持ち、調査権(HakAngket)を行使できます。インドネシア憲法の改定により、DPRは国家最高機関としての地位を強化しました。

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今回の選挙結果に対する反響ですが、インドネシアの大勢派のイスラムに対する冒涜政治家というレッテルが貼られた中での結果です。「正義は勝った」との声が上がっても良さそうですが、盛り上がりに欠け、祭りの後のむなしさや「やっちまった感」が漂っています。

カリジョド強制排除とアホック前知事の功罪:ジャカルタ都市開発の光と影

アホック知事は多くの敵を作り、政治家としての孤独を感じさせる選挙となりましたが、彼の都市開発における最大の断行は、2016年2月に行われたAngke地区カリジョドの強制排除でした。

Season City前チリウン川のゴミ掃除
Season City前チリウン川のゴミ掃除

川岸の公園敷地内にはRPTK KALIJODOというスポーツセンターが建ち、市民の憩いの場となっています。しかし、1997年にジャカルタに来たばかりの頃、東ジャカルタのKeramat Tengah(クラマットトゥンガ)と西ジャカルタのKalijodo(カリジョド)は、カルチャーショックを受ける場所でした。

クラマットトゥンガは2000年代初頭に撤去されましたが、カリジョドは旧オランダ植民地時代から続く特殊飲食店の集まる地域として存在していました。2017年当時ではその面影すら感じられません。

都市景観の浄化は正論ですが、地域経済の恩恵を受けていた人々の行く先が気になります。経済発展に伴う変化は避けられないものの、そこに住んでいた人々の生活がどうなるのかという懸念もあります。

アンケ川
アンケ川沿いの古い家屋群

2017年10月からジャカルタ州知事に就任するアニス氏は、元パラマディナ大学総長で前教育文化相です。アホック氏とは対照的に「礼儀正しく理論派」と評価されていますが、「ゴミを捨ててはいけない、と言いながらゴミ箱は用意しない人」との例えもあります。

中華系インドネシア人の友人は、アホック落選で落ち込んでいましたが、中華系コミュニティからの反発は少なく、「アホック知事もやり過ぎた」という声も聞こえます。

インドネシアでは経済の90%が人口5%の中華系インドネシア人に占有されています。1998年の暴動時に中華系が標的にされたように、少数民族であるゆえの恐怖があり、アホック氏の知事就任で安心感が生まれましたが、再び中華系が虐げられるのではないかという不安もあります。