ジャカルタ郊外から中心部への渋滞緩和を目的として、東のブカシと南のチブブールから都心部のドゥクアタスまでを結ぶ軽量軌道交通LRTが、2023年8月に正式運行を開始しました。
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この記事でわかること
- ジャカルタのLRTは2023年8月に正式運行を開始しました。
- LRT Jabodebekはブカシとチブブールから都心部を結びます。
- MRT南北線は2019年4月にジャカルタ市内で開通しました。
- LRT Jakartaは韓国のHyundai Rotem社製車両を採用しています。
- KRL Commuter Lineは公共交通指向型都市開発を促進します。
ジャカルタMRT・LRT開通で交通渋滞が大幅改善|新交通網がもたらす都市の変化
2019年4月、ジャカルタ市内に大量高速交通MRT(英語のMass Rapid Transitまたはインドネシア語のModa Raya Terpadu)南北線が開通しました。さらに、MRTのフェーズ2としてBundaran HIから北上してKotaまでの区間の工事も2019年に開始されています。市内から郊外を結ぶ軽量軌道交通LRT(英語のLight Rail Transitまたはインドネシア語のLintas Rel Terpadu)のフェーズ1として、LRT Jabodebek(Jakarta-Bogor-Depok-Bekasi)とLRT Jakartaの2つが2023年8月に開通しました。
日頃から車を運転している私の体感ですが、MRTとLRTの開通後のジャカルタは、2015年に『世界の交通渋滞都市ワースト1位』という悪名を着せられたときに比べて、明らかに交通の流れが改善されています。新交通網整備事業が当初から目指していた慢性的な渋滞の解消という目的に着実に近づいていると言えます。
これまでジャカルタが抱えていた渋滞問題による潜在的な経済損失が解消されるだけでなく、車社会ではなく新交通網をベースにしたビジネスとライフスタイルが形成されることになります。駅周辺の都市再開発やジャカルタ郊外の住宅地開発がより一層活発になり、経済効果は計り知れないものになります。

LRT Jabodebekの開通でブカシ・チブブール〜ジャカルタ間の渋滞緩和へ
ブカシやチブブールなどジャカルタの郊外からの車の流入を減らし、Tol Jakarta-CikampekとTol Jagorawiの渋滞を緩和するために、LRT建設プロジェクトが開始されました。このプロジェクトは国営建設会社PT ADHI KARYA(ADHI)が請負い、土地取得の必要がなく既存の交通システムを妨げないように、高架鉄道方式を採用しています。



- Cawang-Dukuh Atas : 11.05 km
- Cawang-Cibubur : 14.89 km
- Cawang-Bekasi Timur : 18.49 km
フェーズ2ではDukuh Atas~Palmerah~Senayan間、Cibubur~Bogor間、Palmerah~Grogol間が予定されています。これにより、2004年に着工し2014年に中止されたモノレールプロジェクトの支柱が撤去されることになります。

2019年当時、建設中の西ブカシ駅や高架式Tolの様子が見られました。Gatot SubrotoからRasuna Saidへの直角カーブ部分やKuningan Sentralから南方向を望む景色も印象的でした。
事例:北ブカシ在住の私にとっても、LRTを利用すればTol渋滞を避けてジャカルタに到着できるはずですが、自宅から西ブカシ駅まで行き駐車場を探す煩わしさを考えると、結局車を使っているのが現状です。同様にLRTを使わないブカシ在住者も少なくないかもしれません。
要点:LRT Jabodebekの開通は、ジャカルタ周辺の交通渋滞を緩和するための重要なインフラプロジェクトです。高架鉄道方式を採用することで、既存の交通システムに影響を与えずに効率的な移動手段を提供します。
LRT Jakartaの整備と運行計画|アジア大会から都市交通の未来へ
2016年6月から、国営建設会社PT Wijaya Karya(WIKA)がLRT Jakartaの建設工事を担当し、車両は韓国のHyundai Rotem社製を採用しています。この車両はインドネシアで初めて採用された連結式ボギー台車システム(Articulated Bogie)を使用しており、急な旋回でも安全に柔軟に走行できるように設計されています。
本来、LRT Jakartaは2018年8月18日から開催されたアジア大会(Asian Games 2018)で、競技会場に向かう選手が利用する予定でした。しかし、ジャカルタ州知事のアニス氏(Anies Baswedan)は運行の安全が確保されないという理由で中止を決定しました。
- Boulevard Utara(Kelapa Gading Mall)-Velodrome : 5.8 km(所要時間約15分)
2019年4月時点で、北ジャカルタのMal Kelapa Gadingから東ジャカルタのRawamangunのPemuda通り近くのVelodrome間の建設工事は100%完了していました。残るはVelodrome駅でのTransjakarta(ジャカルタバス高速移動システム)のバス停とSky Bridgeの接続工事のみでした。

LRT Jakartaは8セットの車両セットLRV (Light Rail Transit Vehicle) を保有しており、平日は6:00から22:00まで、土日は7:00から23:00の時間帯で運行を予定しています。ラッシュ時は5分間隔、通常時は15分間隔で運行されます。
第2フェーズとして、Koridor Kelapa Gadingから中央ジャカルタのDukuh Atasまでの17.3 kmが予定されています。LRT-JabodebekとLRT-JakartaはDuku Atasで接続されることになります。
Duku Atasは2019年4月に開通したMRT南北線への乗り継ぎ、2017年末に開通した空港鉄道Railink(Kereta Bandara)へもBNI CITY駅で乗り継げるため、ジャカルタの新しい都市交通システムのハブ的存在になると考えられます。



KRL Commuter Line(KRL Jabodebek)
国営鉄道会社PT Kereta Api Indonesia(KAI)は、ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシ(Jabodetabek)およびその周辺地域での電車(Kereta Rel Listrik)の運行と非旅客輸送事業を目的に、2008年9月に子会社PT KAI Commuter Jabodetabekを設立しました。その後、2017年にPT Kereta Commuter Indonesiaと名称を変更しました。
北ジャカルタからブカシ方面に向かう地域は、ジャカルタ周辺部でも開発が遅れている地域です。住民数に対して道幅が狭く、舗装道路の傷みによるノロノロ運転が渋滞を引き起こしています。このため、Commuter Lineの建設とともに、駅周辺での公共交通指向型都市開発(Transit Oriented Development=TOD)が特に期待されています。




事例:2019年当時、Jl. Raya Bekasi通りのTol入り口への曲がり角付近やCakungバス停付近は渋滞のポイントとなっていました。また、PulogadungのJIEP工業団地入り口手前までしか着工されていませんでした。
要点:KRL Commuter Lineは、ジャカルタ周辺の交通渋滞を緩和し、公共交通指向型都市開発を促進するための重要なインフラです。特に開発が遅れている地域では、交通の利便性向上が期待されています。