2019年4月1日に、ジョコウィ現大統領がジャカルタ州知事時代に副知事のアホック氏と共に建設を決断した大量高速交通MRTが正式に開通しました。この工事は日イ共同事業体によって行われ、地下駅舎を先に作り、シールド採掘で駅の間を地下トンネルで繋げていく方法が採用されました。
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インドネシアはなぜ発展するのか?政治・経済・社会を支える構造と成長戦略
スカルノ大統領時代は共産主義政策が推進され、西側諸国からの投資が減少しました。スハルト大統領は西側諸国との関係を強化し、工業化を進めましたが、石油依存から脱却できませんでした。1998年のアジア通貨危機後、インドネシアは民主主義国家と…
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この記事でわかること
- ジャカルタMRTは2019年4月1日に正式に開通しました。
- MRTの建設は日イ共同事業体によって行われました。
- MRTプロジェクトはジョコウィ大統領とアホック氏が決定しました。
- 第2期工事は2023年6月に開始され、11.5kmの延長が予定されています。
- インドネシアは世界第4位の人口を抱える経済成長国です。
ジャカルタMRTがついに開通!インドネシア初の地下鉄が2019年に始動
着工から5年半を経て、2019年4月1日にジャカルタで大量高速交通MRT(Mass Rapid TransitまたはModa Raya Terpadu)南北線が正式に開通しました。2019年5月8日には、東京FMのON THE PLANETという深夜番組に電話で出演し、首都移転とMRT開通について現地の様子を説明しました。
MRTJakartaのサイトより
大統領選挙の直前に開通したことで、ジャカルタの有権者にとってジョコウィ氏の評価が上がったことは間違いありません。しかし、工事着工当初は多くの人が「MRTプロジェクトは本当に最後まで終わるのか?」と疑問を抱いていました。これは、2004年に着工し2014年に中止が決定されたモノレールプロジェクトの朽ち果てた支柱を日常的に目にしていたからです。
スティヨソジャカルタ特別州知事時代に決定されたモノレールプロジェクトは、2004年にAsia Afrika通り、2005年にRasuna Said通りで着工されましたが、2006年に出資者が決まらず中断されました。2007年のファウジ知事、2013年のジョコウィ知事ともにプロジェクト再開を模索しましたが、結局2014年のアホック知事になって完全中止となり、残された支柱の残骸は国営建設会社Adhi Karyaが撤去することになっています。
Adhi Karya社は、進行中のLRT(Light Rail TransitまたはLintas Rel Terpadu)プロジェクトを請け負っています。

MRTプロジェクトの最大の見所は、Bundaran HI駅からSenayan駅までを結ぶ6区間の地下鉄部分のシールド工法による掘削工事です。2017年2月にSetiabudi駅でジョコウィ大統領とアホック知事が貫通の瞬間に立ち会いました。このとき、まさかその3ヶ月後にアホック知事が宗教冒涜罪で「禁固2年、即時収監」の判決を受けるとは想像できませんでした。
MRTプロジェクトの着工は2013年8月で、私はBundaran HI駅前のオフィスビルで仕事をしており、日々変化する工事の様子を間近に眺めていました。柵が作られ、側溝が掘られ、陸橋が外され、重機が穴を掘る工程が進み、2014年には地下駅舎の掘削工事に突入していました。
- 着工: 2013年8月に着工。
- 掘削開始: 2015年10月にBundaran HI駅からシールド掘削機2機が南下、南坑から2機がSenayan駅方面に北上開始。
- トンネル貫通: 2017年2月に南下するシールド掘削機2機と北上する2機がSetia Budi駅まで貫通。
- 試乗開始: 2019年3月に試乗開始。
- 開通: 2019年4月に正式開通。
Bundaran HI、Dukuh Atas、Setiabudi、Benhil、Istora、Senayanの6地点でコンコース階とプラットフォーム階から構成される地下駅舎を先に作り、シールド採掘で駅の間を地下トンネルで繋げていく作戦でした。Bundaran HIから南下する2機の掘削機とSenayan南の南坑から北上する2機の掘削機は、それぞれ別の日イ共同事業体で行われました。
- 南下チーム:三井住友建設・Hutama Karya Bundaran HI⇒Dukuh Atas⇒Setiabudi
- 北上チーム:清水建設・大林組・Wika Jaya 南坑⇒Senayan⇒Istora⇒Setiabudi
ジョコウィ現大統領がジャカルタ州知事時代に、副知事のAhok氏と共に政治的判断として、長年計画されながら延期され続けてきたMRT建設を決定したのが2012年です。2014年10月には大統領選挙に勝利し、4月17日(水)が2期目の大統領選挙でした。ジョコウィ大統領は時流に乗るのがうまい「持っている人」だと思います。
着工当時はオフィスからPlaza Indonesiaに昼食を食べに行く際に渡る陸橋の上から、日々進むMRT建設の様子を写真に撮っていました。
日本大使館前の歩道橋からHI広場方面から北上する労働者デモを写したものです。まだ工事の様子はうかがえません。
2014年3月
日本大使館前のフェーズ1の始発駅となるBUNDARAN HIの地上部分で何か工事が始まりました。あれからもう5年とは感慨深い。
2014年5月
同じ場所から撮影しているので手前の植木の葉が随分増えています。2020年当時は本当にMRTが最後まで完成するのか疑心暗鬼でした。
2014年6月
2週間後に植木が開花、白のブーゲンビリアでした。まだ地下駅舎の空間は空いていないはずだが、溝のようなものは排水設備か?
2014年7月
かつてのモノレール建設計画頓挫という前科のトラウマからMRTも二の舞になるのではという不安を誰もが持っていたと思います。
2014年7月
SBY大統領2期目の後のジョコウィ氏とプラボウォ氏の大統領選挙を10月に控え、結果次第で工事中止になるという噂がありました。
2014年7月
日イ両国の国旗とともに、三井住友建設とHutama Karyaの地下駅舎建設とシールド掘削南下チームの旗がなびいております。
2014年8月
シールド工法(掘削機を地中に掘進させ土砂の崩壊を防ぎながらトンネルを築造していく工法)が始まる直前の2014年8月頃。
2015年6月
掘削機は毎月約300mずつ進み1年4ヶ月で貫通しているので、中盤過ぎた2020年当時にはDukuh Atasくらいまで到達しているはず。
MRTジャカルタ第2期工事がスタート|北・西ジャカルタの旧市街を走る新ルートとは?
ジャカルタでは、2019年4月にMRT地下鉄の第1期区間(総延長15.7km)が正式開通しました。2023年6月には、Bendaran HI駅から北ジャカルタのKotaまでの6.3km、西ジャカルタのAncolの車両基地までの5.2km、総延長11.5km(10個の新しい駅)を第2期区間として工事が開始されました。
ホテルサリパンパシフィック前に建設される予定のThamrin駅周辺は地質が柔らかく、地盤沈下のリスクが高いため、第1期工事よりも難しいとされています。駅建設工事にあたっては、タムリン時計塔(Tugu Jam Thamrin)がバンテン公園(Taman Banten)に移されるなど、文化遺産(cagar budaya)が多数あるため、地下鉄建設前に十分なシミュレーションが必要です。

既に開通している第1期ルートは中央ジャカルタから南ジャカルタという都市開発が進んでいた地域ですが、第2期の北ジャカルタと西ジャカルタ方面は旧市街地を通るため、古いものと新しいものを融合させた公共交通指向型都市開発(Transit Oriented Development=TOD)が期待されています。
2024年からは首都ジャカルタが東カリマンタン州の新都市ヌサンタラに移転する作業が進んでおり、第2期ルート沿線の大統領宮殿を含む政府関連施設が保護区や博物館になり、ジャカルタの歴史的魅力を押した世界的観光地になる可能性があります。
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インドネシアの首都移転計画とその背景
インドネシアは2024年に首都をジャカルタからヌサンタラに移転します。新首都ヌサンタラは東カリマンタン州に位置し、自然災害が少ないことが選定理由です。インドネシアの首都移転計画はスカルノ大統領時代から浮上していました。
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インドネシアの潜在成長力とジャカルタ都市圏の重要性
インドネシアは世界第4位の人口2億7,000万人を抱え、そのうち若年層が50%近くを占める潜在的経済成長率が最も高い国の一つです。特にジャカルタ近郊を含む都市圏人口は3,120万人で、東京都市圏に次いで世界第2位のメガシティを形成しています。
以前は日本人にインドネシアについて聞いても、デヴィ・スカルノ元大統領夫人くらいしか知名度がありませんでした。しかし、東南アジア最大の人口を抱える潜在的経済発展が見込める国として、経済面でも注目されています。

MRT工事以外にも高層ビル建設、幹線道路の高架化とアンダーパス化が急ピッチに進んでおり、将来は東南アジア経済の中心ハブ都市に成長する可能性を秘めています。ジャカルタの魅力は、アジアの経済発展を体感できることです。
MRTが駅舎も含めて三井住友建設・清水建設・大林組などの日系ゼネコンを中心として建設されたことも影響しています。MRT駅周辺からは関東近郊の私鉄の駅の雰囲気を感じます。
ジャカルタが社会、環境、経済の空間のまとまりとして、機能的で住みやすい都市空間に発展するための重要課題は渋滞解消と洪水防止です。
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ジャカルタの地盤沈下と渋滞問題に対する国家計画
ジャカルタの地盤沈下は年間約20cm進行しています。2050年までにジャカルタの3分の1が水没する可能性があります。ジャボデタベックの渋滞による経済損失は年間100兆ルピアです。
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都心部と郊外住宅地域を結ぶ慢性的な渋滞解消のために、電車KRL(Kereta Rel Listrik)、軽量軌道交通LRT(Light Rail Transit)、大量高速交通MRT(Mass Rapid Transit)、空港鉄道KA(Kreta Api Bandara)などの鉄道ベースの大量輸送インフラ整備が行われています。地盤沈下による洪水問題は、ジャカルタ近郊の上流山岳部の水源エリア、中間の集水域としての緩衝エリア、下流のエ耕作地エリア、沿岸部の養殖保護エリアとしてそれぞれ役割を持たせ、貯水地を整備することによる治水を強化しています。
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ジャカルタLRT開通で交通渋滞緩和と都市再開発促進
ジャカルタのLRTは2023年8月に正式運行を開始しました。LRTJabodebekはブカシとチブブールから都心部を結びます。MRT南北線は2019年4月にジャカルタ市内で開通しました。
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交通インフラ整備が進行し、首都移転を控え変化し続けるジャカルタでITビジネスを展開できるのは貴重な経験です。2030年あたりが、官民一体となって経済発展に邁進するインドネシアの国家政策の答え合わせが出来る時期ではないでしょうか。