この記事でわかること
- インドネシアの観光業はGDPへの貢献度が低く、今後の成長余地が大きい。
- タイは観光業への依存度が高く、2020〜2022年のコロナ禍の影響で経済が大きく落ち込んだ。
- インドネシアの人口ボーナスは2040年まで続くと予測され、観光業の発展が期待される。
- インドネシアの観光業は雇用創出に寄与する可能性が高いが、投資額は低水準に留まっている。
- バリ島は国内外の観光客を受け入れる準備を進めており、健康プロトコルの定着が重要である。
2020年第1四半期のGDPは、タイがマイナス1.8%とインドネシアのプラス2.97%より深刻です。これは観光収入のGDP比がタイの12.5%に対してインドネシアは1.4%しかないためであり、インドネシアは今後の観光業の伸びしろが大きいと言えます。
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タイの新型コロナウィルス累計感染者数は3,190名(回復者3,071名)で、死者は58名に留まっており、2020年6月から2020年7月まで1日の新規感染者数ほぼ1桁台を継続中という、アジアの中でもうまく封じ込めた国であるにもかかわらず、2020年第1四半期のGDP成長率は前年同期比マイナス1.8%と6年ぶりのマイナス成長になるなど、経済への影響度が大きく、片や2020年6月のPSBB緩和以降、右肩上がりで感染者が増え続けるインドネシアの場合、第1四半期のGDP成長率は前年同期比2.97%に減速したものの、プラスを維持しております。
2018年のタイの観光客数は3,830万人(世界9位)からの観光収入は630億ドル(世界4位)で、GDP5,049億ドルに対する直接貢献度(direct contribution)は12.48%と高いので、2020年3月26日に発令された非常事態宣言以降、中国人を中心とした外国人観光客からの収入がなくなり、GDP成長率への影響が大きかったわけですが、インドネシアのGDPに対する直接貢献度は5.25%と低く、観光業の停止による影響はタイに比べて小さいと言えます。
そもそもインドネシアの名目GDPは東南アジア最大、タイの約2倍の1.042兆ドルあるわけで、生産年齢人口が非生産年齢人口よりも多い状態である人口ボーナスは、2040年まで持続すると予測されており、これは裏を返せばインドネシアの国内海外の観光業の伸びしろが途方もなく大きいと言えるわけです。

また2017年の雇用全体に占める観光業の直接雇用数は458万5000人(雇用全体の3.7%)であり、間接的な雇用も含めた場合には12,241,500人(10%)という、絶対数だけで見た場合には世界4位の巨大な観光雇用市場を生み出しており、2019年の失業率が5.28%という高い水準にあることを考えると、インドネシアの観光業の発展は雇用問題の解消に大きく寄与する可能性が高いのですが、2017年のインドネシアの観光投資は12億ドルであり、総投資額の3.7%しかなく、世界185カ国中でも127位という低水準です。

インドネシア観光創造経済省(Kementerian Pariwisata dan Ekonomi Kreatif RI)は、国内最大の観光地であるバリ島の経済を回復させるために、2020年8月から国内観光客の受け入れを再開したいとしており、2020年7月から社会活動の規制を段階的に緩和していますが、州都デンパサール市や東部のカランアッサム(Karang Asam)は未だに危険を意味する赤ゾーンであり、国内観光客の多くが住むジャカルタやスラバヤも赤ゾーンであることから、航空会社に対する乗客定員規制は当分続くと考えられます。
(2020年7月8日追記)
バリ島のコスター知事は2020年7月5日に、2020年9月11日から海外からの観光客の受け入れを再開したいと表明しました。
(2020年8月13日追記)
2020年9月11日から海外からの観光客を受け入れたいと表明したバリ島のコスター知事ですが、インドネシア政府は2020年中の受け入れは難しいと否定しました。

また2020年10月からは海外からの観光客の受け入れを再開したいとしており、新しい生活様式下では、密閉環境に遭遇しやすい都市型の観光よりも、日光が強く換気の良いリゾート型の観光の人気が出ると考えられ、今後バリ島への旅行需要が高まる可能性は十分高いため、国内観光客や外国人観光客が安心して訪問できるための観光地用の健康プロトコルの定着が必要になります。