ジャカルタの地盤沈下と渋滞問題に対する国家計画

2020/06/12

ジャカルタ

インドネシアの長期国家計画では、ジャボデタベック-プンジュール地域を社会、環境、経済の空間のまとまりとして整備することが目指されています。この計画では、洪水や水源の利用可能性、衛生とゴミ問題、沿岸および島の埋め立て問題、渋滞、首都移転の6つの課題が検討されています。

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この記事でわかること

  • ジャカルタの地盤沈下は年間約20cm進行しています。
  • 2050年までにジャカルタの3分の1が水没する可能性があります。
  • ジャボデタベックの渋滞による経済損失は年間100兆ルピアです。
  • チビトゥン~チリンチン高速道路は国家戦略プロジェクトの一つです。
  • ジャボデタベックプンジュール地域は社会、環境、経済の観点から整備されます。

ジャカルタの深刻な地盤沈下と洪水問題、国家計画が描く都市の未来

2020年6月中旬、乾季に入ったと思われた矢先、北ジャカルタのアンチョール(Ancol)では2020年6月11日の大雨により洪水(banjir)が発生しました。ジャカルタの地盤沈下は年間約20cm進行しており、特にアンチョールは被害が深刻です。北ジャカルタのグヌンサハリ(Gunung Sahari)通りを北へ進むと、チリウン川(Sungai Ciliwung)やスンタール湖(Danau Sunter)の水位が常に高く、大雨時にはすぐに溢れて冠水します。2015年、クラパガディン(Kelapa Gading)への訪問中に大雨が降り、チリウン川の支流が溢れた経験があります。

ジャカルタの地盤沈下の主な原因は地下水の過剰汲み上げであり、地球温暖化による海面上昇も影響しています。満潮時には堤防を越えて海水が流入し、アンチョール付近はヴェネチアのように冠水することもあります。2050年までにジャカルタの3分の1が水没する可能性が指摘されています。

インドネシアの国家計画では、ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシをジャボデタベック(JaBoDeTaBek)と総称し、プンチャック(Puncak)とチアンジュール(Cianjur)を加えた広域圏をジャボデタベックプンジュール(JaBoDeTaBek-PunJur)と定義しています。この広域圏を社会、環境、経済の観点から機能的で住みやすい空間に整備することが目指されています。

ジャボデタベックプンジュール空間計画(Tata Ruang JaBoDeTaBek-PunJur)では、①洪水、②水源の利用可能性、③衛生とゴミ問題、④沿岸および島の埋め立て、⑤渋滞、⑥首都移転の6つの課題が挙げられています。特に重要なのは洪水防止と渋滞解消です。洪水防止のために、上流山岳部の水源エリア、中間の集水域としての緩衝エリア、下流の耕作地エリア、沿岸部の養殖保護エリアに役割を持たせ、305の貯水地を整備し治水を強化しています。

事例:クラパガディンへの訪問中に大雨でチリウン川の支流が溢れた経験があります。

要点:ジャカルタの地盤沈下と洪水問題は、地下水の過剰汲み上げと地球温暖化が原因であり、国家計画では洪水防止と渋滞解消が重要課題とされています。

ジャカルタの深刻な渋滞問題とその経済的損失

ジャカルタの渋滞問題は、電車KRL(Kereta Rel Listrik)、軽量軌道交通LRT(Light Rail Transit)、大量高速交通MRT(Mass Rapid Transit)、空港鉄道KA(Kreta Api Bandara)などの鉄道ベースの大量輸送インフラと、公共交通指向型都市開発TOD(Transit Oriented Development)によって解消されると見込まれています。

ジャボデタベックの渋滞による経済損失額は、年間100兆ルピア(約8100億円)に達し、そのうち67兆5000億ルピアをジャカルタが占めています。渋滞の要因として、ジャカルタ中心部から東の工業団地にかけての高速道路が一本しかなく、慢性的な渋滞が発生すること、自動車とバイクの道路占有面積が道路総面積を超えて交通が麻痺するグリッドロック状態が挙げられます。これまでにも道路の全般的な拡張・修復、信号増設・十字路の整備が行われてきました。

慢性的な渋滞のため、タンジュンプリオク港からブカシやカラワン方面の工業団地の工場まで1日1配送前後しかできない企業が多く、輸送回転率が悪化しています。2020年時点で、チビトゥン(Cibitung)からタンジュンプリオク港手前のCilincingまでの直通有料道路(TOL)が建設中です。

2021年8月、インドネシアの国営建設会社PT. Waskita Toll Roadは、チビトゥン~チリンチン高速道路(34km)のうち、第1区間のチビトゥン~テラガアシ間(2.65km)の無料開放を発表しました。この区間の有料化については、新型コロナウイルス対策の活動制限(PPKM)の影響を考慮して適用される予定です。チビトゥン~チリンチン高速道路は国家戦略プロジェクトの一つで、全区間の開通により、ジャカルタの東にある工業団地から北ジャカルタのタンジュンプリオク港までのアクセス向上が期待されています。

Cibitung市街地を貫く街道沿いには、1990年にMM2100工業団地ができる前から操業している古い工場が並んでおり、Tol Jakarta-Cikampekと2025年に接続されたばかりのTol Cibitung-CilincingのTelaga Asihで降りて東の工場でのMTGが2026年の仕事納め、夕方Kali Malangの支流が溢れてbanjirになるのが心配です。

ジャカルタは自動車過密度が非常に高く、恒常化した渋滞は国民が受容できるレベルを超えており、自動車の機能を十分発揮できない環境下では、高額な出費をするインセンティブが失われるため、インドネシア国内消費者の自動車購入意欲を減退させます。

ジャボデタベックプンジュール地域空間計画では、社会、環境、経済という3つが持続可能な空間構造を造るとされており、以下の3点が具体的な戦略として掲げられています。

  1. 一体の計画地域として都市圏内で統合的な開発を促進する。
  2. 持続可能な環境容量を勘案しつつ、水及び土壌を保護し、地下水、地表水の利用を確保し、かつ、洪水を克服するような開発を促進する。
  3. 公共の福祉や持続可能な開発を勘案しつつ、地域の特性を活かした生産的、効果的かつ効率的な地域経済開発を促進する。