FinTechとはファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を併せた造語で金融ITや金融テクノロジーの意味であり、4G電波を通したモバイル決済サービスや、クラウドベースの会計システム、仮想通貨による銀行間決済などが該当します。 インドネシアのビジネス インドネシア市場でのビジネスで重要な要素は価格とブランド、コネの3つと言われますが、必ずしもこれらを持ち合わせない日本人はどのように戦えばよいのか。これはインドネシアに関わり合いを持って仕事をする人にとっての共通の問題意識かと思います。 続きを見る
インドネシア人の生活に浸透したGO-JEKアプリ
うちは日曜の夜飯はだいたいGO-FOODでデリバリーしてもらって、テレビ見ながらエアコンの効いた部屋でのんびり食べることが多いのですが、今日は僕がジャカルタのBaksoでは一番美味いと思っているBakso Soloをデリバリーしてもらい、GO-PAYで支払いました。
Bakso2人前で合計Rp.77,000ですが、GO-RIDEやGO-CARを呼ぶときや、GO-PULSAでスマホのプルサをトップアップする際に、いつの間にかVOUCHERが溜まっていき、今回Rp.50,000分のVOUCHERを使ってGO-PAYでの支払いはわずかRp.33,000です。
嫁さんの言葉を借りるとGO-PAYでの支払いはBeruntung ulang2(何度も何度もお得)なわけで、例えばスマホのプルサをネットバンキングやATMからトップアップすればそれでおしまいですが、GO-PULSAでBCA Virtual Accountを通してトップアップするとVOUCHERが溜まって、次に出かけるときのGO-RIDEの支払いがタダ同然になったりするわけで、もう現金で支払うのが馬鹿馬鹿しくなるレベルです。
GO-FOODのお兄さんからBaksoを受け取るためにエレベータでアパートのロビーに降りるわけですが、うちのアパートのLCD広告はTokopediaグループ一色で、航空券のチケット予約サービスであるToravelokaの支払いは、GO-PULSAと同じようにBCA Virtual Accountを通じて、Tokopediaの決済サービスであるTokoCashにトップアップしてから支払います。
何のことはない平凡な日曜の夜のエピソードだけから見ても、ジャカルタでの日常生活の中にはスマホによる決済サービスが深く浸透していることがお分かりいただけるかと思います。
フィンテック(FinTech)とはファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)を併せた造語で金融ITや金融テクノロジーの意味になりますが、代表的なものとして先のGO-PAYやTokoCashのようなモバイル決済サービスがあり、専用読み取り端末が必要なクレカ決済とは異なり、4Gの電波を通じて決済が出来ることが特徴です。
クラウドベースの会計システムで企業会計をサポートするサービスもフィンテックの一つであり、ジャカルタの日系の会計コンサル会社が提供するBridge Noteは「金融+テクノロジー」に「会計コンサルテーション」という付加価値を付けたサービスです。
またフィンテックに関する法整備が追い付いていないインドネシアでは、非合法のP2Pレンディングサービス(金融機関を介さずインターネット経由で貸し手が借り手に直接融資)が横行しており、その債権者による反社会的勢力を使った取り立て手法がsangat tidak manusiawi(非人道的)と報じられるなど社会問題化しています。
リップル(仮想通貨XRP)が金融革命を起こす?
フィンテックのうち最も大きなイノベーションとなりうるのが仮想通貨ですが、2017年現在インドネシア政府はビットコインやアルトコインによる直接決済を禁止しているため、金融商品としての取引のみに限定されています。
先日は中国政府がICO(Initial Coin Offering 新規仮想通貨公開)禁止に続いて仮想通貨取引所自体を禁止するのではないかという話が出て、FacebookやTwitterなどのSNS界隈で大きな騒ぎになっていますが、フィンテックという面から見た場合最もインパクトが大きいのはアルトコインの一つであるリップル(仮想通貨XRP)です。
例えば、自分は定期的にBCA銀行から日本のSMBC信託銀行の自分の口座に送金しているのですが、お金の流れは以下のとおりです。
- インドネシアのBCA銀行⇒三井住友銀行⇒SMBC住友信託銀行
インドネシア国内銀行への送金であれば、銀行同士がBI(Bank Indonesia)に開設している当座預金口座間で資金を振り替えることで決済されますが、日本の銀行への外国為替送金ではBIが果たす機能を中継銀行(経由銀行 コルレス Correspondent Bank)が果たします。
具体的にはBCA銀行から日本のSMBC住友信託銀行に送金するにあたって、三井住友銀行がコルレスバンクとなり、三井住友銀行内のルピアと円のノストロアカウン間で決済がなされますが、仮想通貨XRPを機軸通貨とした銀行間のリップルネットワークではコルレスバンクは不要となり、ノストロアカウントの代わりにXRPが利用されます。
その結果として起こりうるのが以下の2点です。
- 現在BCAからSMBC住友信託銀行の口座に入金されるまで2日ほどかかっているのが数分で完了。
- 現在送金手数料として3,000円かかるがこれが格安になる。
消費者にとっての恩恵が大きいのは喜ばしいことですが、逆に銀行にとって送金代行ビジネスが成立しなくなるという、まさに金融革命を引き起こす可能性があります。
※2020年12月にアメリカ証券取引委員会(SEC)は、リップル社が仮想通過XRPを未登録の有価証券として販売していたとして提訴し現在も係争中です。これはXRPは他の仮想通貨のような非中央集権的なものではなく、リップル社が管理する国際送金に特化した中央集権的な仮想通貨であることから、この問題が発生しうることはある意味予想されていたとも言えます。
インドネシアから日本への送金で便利なのがWISE(ワイズ)
多くのインドネシア在住日本人がインドネシアから日本の口座への送金で使用しているのがWISEで、平日業務時間中であればものの15分ほどで日本の口座に着金します。
- WISEのアカウントを作成し、インドネシア側のルピア口座と日本側の円口座を登録する。
- WISEのサイトからルピア送金と円受け取りの依頼を出すと、WISEから送金先のインドネシア国内口座(Bank Sahabat Sampoerna)番号を指定される。
- 指定先の口座に送金し、WISEのサイトから送金済であることを伝える(ボタンクリックのみ)と送金が開始される。
但しWISEのサイトから送金依頼する際の名義と、WISEのインドネシア国内口座への送金する名義は同じでないと、インドネシア側で送金拒否されます。また日本の法人口座へソフトウェア購入代金の支払いをしようとしたことがありますが、日本側で原因不明の着金拒否を受けました(2021年4月現在)。
今日法人口座(IDR)から日本の法人口座(JPY)へ送金するも送金拒否(未だrefundされず)。
仕方なく個人口座から送金するも、今度は日本側で着金拒否(refund済)。
なんか急にハードル上がった感じする🚧
これは個人のアカウントからWiseに送金依頼を行い、法人口座からWise口座に入金したことで原因で送金拒否されていたようで、返金手続きには身分証明書を顔の横に置いたセルフィとか送金伝票(ネットバンキングならクレジットアドバイスでOKなはず)とか要求され非常に労力を使いました。
後日WISEのサイトの利用事項の中に「We can't accept the payment in cash or cheques, or coming from other people.」の記載を発見しましたので、やはりWiseアカウント保有者とWiseへの入金者は同一人物でないとNGのようです。
※マネーロンダリング防止強化のため、2024年5月23日にインドネシア国内の住所が登録されたWISEアカウントは利用できなくなります。