インドネシアでのオンラインとリアルの融合を意識したビジネス

2022/12/23

ジャカルタの夕暮れ

非対面取引が中心になりつつある現在、インドネシアで成長市場または成熟市場で事業を行う場合、商材や対象市場の性質が異なったとしても、基本的にはWEBが営業活動の主戦場となり、オンラインとリアルの融合を意識していくことには変わりません。

ホテルインドネシア前広場

インドネシアのビジネス

インドネシア市場でのビジネスで重要な要素は価格とブランド、コネの3つと言われますが、必ずしもこれらを持ち合わせない日本人はどのように戦えばよいのか。これはインドネシアに関わり合いを持って仕事をする人にとっての共通の問題意識かと思います。

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在宅ワーク悲喜こもごも

手前味噌ですが今年2024年2月で弊社はインドネシア国内投資会社(PMDN)として7期目を迎えましたが、設立して事業が軌道に乗る前にコロナ禍に見舞われ、在宅勤務Work From Home(WFH)、インドネシアではKerja Dari Rumah(KDR)主流の世界観に突入しました。

SNS等では「やってみたらリモートのほうが効率が上がった」「成果物至上主義で結果を出せない人間があぶり出される」「リモート中心の時代への対応が出来ない企業は淘汰されていく」とか言う肯定的、扇動的な声を聞きますが、恥ずかしながら弊社の場合はリモート勤務で生産性がガタ落ち、スタッフに聞きたいことを質問してもレスが遅く、頼んだ仕事の報告は遅れがちになり、自由を満喫しているスタッフの裏で、こっちはプライドの高い技術者にガミガミ言うことでヘソを曲げられても困るという不安から、僕一人がコミュニケーションストレスを抱えています。

普通に考えて在宅ワークするスタッフの自宅には奥さん子供もいて、副業で店やっていれば奥さんから店番頼まれることもあるだろうし、インドネシア人スタッフが狭い自宅に書斎など持っているわけもなく、集中してシステム開発ができるわけがないのです。

さらに2024年3月12日からラマダン(断食)期間に入り、早朝4時頃起き出して断食開始前の食事サウール(Sahur)を食べて、ファジュル(Fajir)の礼拝をしたあと5時間も経っていれば、睡眠不足かつ喉の渇きに耐えるイスラム教徒のスタッフが、コーディング作業でエネルギーを消費するよりも、横のソファに寝っ転がりたいと考えるのは、もはや人間の生存本能として至極当然です。

僕自身は毎日ダイニングテーブルで仕事をしており、その間嫁はんは家事や庭の手入れのためにいそいそと動いているわけですが、僕がどんなに集中してシステムの提案書を作成していようと、重要な請求に関する金額計算をしていようと、物理的に動いて仕事をしている人間から見ると、デスクに座っている人間は暇に見えるらしく、嫉妬心が働きいい気持ちはしないらしいのです。

在宅ワークが夫婦間の喧嘩や家庭内暴力を誘引する傾向があることは統計上はっきりしており、想像するに引き金は奥様の(わたしが家事育児で忙しい中、なんであなたはボーっと座っていられるワケ)という感情のもつれではないかと思うのですが、これは人間が理性と感情のバランスの中で生きる社会的生き物である限り仕方のないことであり、解決策としては旦那さんが感情的に反発しない努力をするしかないと思います。

感性中心で動く嫁はんと理性中心で動く僕との間で平和が保たれるには、常に僕が妥協し続けるしかなく、妥協を損失と考えず自分の理性で相手の感性を支配することに成功したと考えることが出来れば、夫婦生活はもう怖いモノなしです。

潜在顧客の購買担当者にオンラインで訴えかけるバイヤーイネーブルメントという営業活動

コロナ禍を経て顧客の購買までの意思決定の比重がよりオンラインに移行すると言われましたが、インターネットを駆使して購買活動を進めていく潜在顧客の購買担当者に、役立つ情報を提供して結果的に自社の商品を選んでもらおうという営業活動をバイヤーイネーブルメント(Buyer Enablement)と言います。

営業活動における非対面の割合が増えるにつれて、従来のフィールドセールスのように、対面して信頼関係を築いてからはじめてプロダクトの説明に入るというやり方では、その間に他社は既にオンライン上でプロダクトの説明は済ませて、一歩先のカスタマイズや金額の話に移行しています。

これは企業で世代交代が進み若いミレニアル世代(1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた20代前半から30代後半くらいの年齢の人々)やZ世代(1990年中盤以降生まれの10代から20代前半くらいの年齢の人々)が購買担当を担うようになってきているからであり、子供の頃からインターネットで情報収集することに慣れているこの世代は、オンラインでの情報収集に基づくプロダクト選定に対して抵抗がありません。

今インドネシアで起業するならSNSやWEB広告で集客できる対個人向けサービスしか勝たんと思っていたが、法人取引オンリーの立場から見ても、コロナ禍後のリードと案件の9割以上がオンライン経由になっているので、プロダクトや技術力を売りにしたB2Bもやりやすくなったのかもしれない。

コロナ禍後の非対面取引時代の中で、インドネシアでも営業活動のデジタルシフトが進み、ウェビナーやWEBサイトからのリード獲得が重要になりつつあります。

ポストコロナ禍のオンライン営業とオフライン営業の使い分け

ポストコロナ禍でサービス業者のすべての企業活動が完全オンライン化されるとは考えにくく、今回の在宅ワークで見えた負の側面を反省したうえで、オンラインに置き換えられる業務が絞られると思います。

「物理的に客先を訪問しないと失礼にあたる」「細かい製品説明が伝わらない」など否定的な側面も考えましたが、お互いに拘束される時間が最小限になるというプラスの面が大きいため、営業活動のドアノックの部分はリモート化することで、むしろ本当に本気のお客様に対してのみ物理的な訪問をすることができ、移動コストの削減が期待できます。

僕はインドネシアに来た1997年からずっと「WEB BASED BUSINESS」というフレーズを仕事の軸にしてきましたが、このフレーズが一般的に正しく通用するものなのかという話は別にして、言いたいことはWEBをベースにしたビジネスは、物理的な距離を超えて商圏を無限に広げることができ、過去のデータがアーカイブとして蓄積され無限に未来の販促効果を生み出すということです。

2007年まではバリ島でリアルワークの象徴みたいな家具や伝統工芸品を、オンラインで日本の業者様向けに販売し、現在は製造業システムの開発導入というリアルのサービスを、オンライン上にある当サイトを起点に提案させていただいております。

インドネシアでこのWEBサイトを起点としたインバウンド営業がリーチするのは、お客様がWEB上で情報収集し、システム選定まで進むケースであり、感覚的には潜在的顧客層の5割程度がここに該当するのではないでしょうか。

そして残りの5割のお客様は、頭の中にシステム化の必要性は感じるものの、具体的な構想まで浮かんでいない状態で、そういうお客様にタイミングよくコールして、構想を具体的な形に描いていくアウトバウンド営業が効果的であることは変わりありません。

インドネシアの製造業向け基幹システムの法人営業という点で言えば、新規案件獲得よりも既存顧客に対してアップセルとクロスセルを仕掛けるほうが難易度は下がるため、この場合もアウトバウンド営業が必須となります。

インドネシアでポストコロナ禍で業務のオンライン化が進んでとしても「ビジネスではタイミングが重要である」という基本原則には変わりはないため、オンラインを通したアウトバウンド営業が無くなることはないと考えます。

インドネシアの成長市場と成熟市場での起業体験

1997年10月に「独立して事業をやりたい」という形のない期待感だけを持ってインドネシアに来ましたが、インターネット黎明期の当時よく言われていた「ネットの普及で個人が大企業と対等に戦える時代が来る」という言葉に興奮し、期待値MAXだったことは確かで、これをきっかけに自分がやりたい事業を勝手に「WEB based Business(ウェブベースビジネス)」と呼んでいました。

これはオンラインで広告、集客してオフラインのビジネスに繋げるという趣旨であり、当時インドネシア現地から家具や雑貨などの商材を紹介するWEBサイトがなかったことから、多くの日本のお客様に興味を持っていただいたのは幸運としか言いようがなく、WEBベースの副業収入が就職先からの本業収入を超えるようになったことを機に、2001年9月にバリ島に引っ越して輸出会社を立ち上げました。

このようにブームに乗って成長市場で起業した以上、本来ならブームが過ぎ去った後のピポット戦略を想定しておく必要があるわけですが、当時若干30歳手前の若造にはそんな知恵はなく、日本の長期デフレに伴うアジア家具ブームの終焉を迎えると、売上が落ち経営状態が苦しくなる状況に対して何ら打開策を見い出せずうろたえるのみでした。

顧客だった日本の家具屋さんや飲食店さんが続々と閉店したことで、僕の会社も2007年8月で清算して這う這うの体(ほうほうのてい)でジャカルタに出戻りましたが、バリ島で中途半端で挫折したWEB based Businessをやりたいという欲求だけはどうしても消すことが出来ず、将来の来るべき時のための準備として始めたのが、このサイトの原型となる「ジャカルタのシステム導入備忘録」というインドネシアのIT情報を発信するブログでした。

ジャカルタ

インドネシアでブログを10年以上書き続けられる秘訣

ブログを書く目的が多くの人に読まれることで発生するアフィリエイトやアドセンスの収益の場合、思うように成果が出ないと継続意欲が失われます。長く続ける秘訣は達成感を求めるのではなく、書いたことで頭の中が整理されたという爽快感と学習感が得られるかどうかです。

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そういう経緯から言えば、2018年2月に今の会社を立ち上げるまでの準備期間として11年もかかったことになる訳ですが、その原因は対象が成長市場ではなく、インドネシアの日系製造業という煮詰まった成熟市場に対するシステム営業であり、そこで勝負するには十分な経験と知識を身に着ける必要があると感じていたからです。

アジア家具・雑貨ブームに後押しされた成長市場では常に商材が不足している需要過多な状態であり、そこでは短期間で新しい商材を発掘し日本に紹介することでライバルを出し抜く必要がありましたが、インドネシアの日系製造業向けの法人営業の場合は市場の規模が小さく相対的に供給過多の状態であり、そこでは技術力や知名度などの信頼性や権威性を担保する要素が求められます。

2022年のコロナ禍後に激変したネット戦略

バリ島から日本向けの家具・雑貨の輸出ビジネスも、ジャボデタベック圏でのインドネシア国内製造業向けシステム導入ビジネスも、商材や対象市場の性質が異なるとはいえ、ビジネスモデルがWEB based Businessであることは同じですが、当初はこのオンライン中心の営業が、比較的IT化の遅れた製造業という古い業界、かつインドネシア国内法人営業という特殊なビジネス環境で通用するかどうかは未知数です。

ところがこのビジネスモデルの有効性の評価をする時間もないまま、突然やってきたコロナ禍で否が応でも非対面取引を前提としたインサイドセールスを中心とした営業活動に転換せざるを得ず、そこでは信頼性と権威性の低い独立系スタートアップにとって、営業活動において致命的に不利な状況であり、生き残り戦略として業種を問わず横の繋がりを重視し、単発の小さな案件をこなすことで最低限のキャッシュフローを確保するだけで精一杯でした。

ジャカルタのスディルマン通り

インドネシアローカル市場向け事業で重要な横の繋がり

インドネシア進出よりも事業継続が難しい理由は、日本のブランド力の優位性の低下や市場拡大を阻害する価格問題であり、ローカル市場向け事業に人脈が重要であるとすれば、趣味やボランティア活動などの本業以外の集まりの場で自分の付加価値をアピールするのは効果的です。

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コロナ禍の2020年から2021年にかけて、GoogleアップデートによりSEOの基準がExperience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)をまとめたE-E-A-Tを重視するようになったこと、SNS全盛時代を迎える中でネットユーザーのブログ離れが顕著となったことで、WEBサイト本体への集客力を高めるプル型の努力よりも、定期的なオンラインセミナーの開催や、TwitterやFacebookなどのSNSで情報発信などのプッシュ型の努力のほうが、より大きな時間対効果を生み出します。

そして市場でE-E-A-Tの点で認められるために、上述の横の繋がりを重視して自社よりも知名度の高い企業との共催セミナーやプリセールスなどでコラボをしてもらうことで、将来独自営業による利益率の高い案件を獲得するために、まずは市場での自社の価値を引き上げてもらうことに注力しました。

そのためには、相手に自分をコラボする価値のある存在だと認めてもらう必要があり、技術力が必要であることは言うまでもありませんが、それ以上に以下のような気合と根性を伴う自己犠牲の精神が必要であることは間違いないです。

  • いただいた仕事は断らず何でも受ける。
  • 相手のためなら自分の時間はいくらでも費やす。

2022年に入って、ようやく悪夢のようなコロナ禍下でのひらすら耐えるビジネスが終わり、少しずつ本来描いていたWEB based Businessの形が見えそうになった状態ですが、如何せんインドネシアの日系製造業という市場は将来的には縮小していくことが予想され、非日系市場への販路拡大や、現在の請負契約型とは異なる新しいビジネスモデルへの再構築が必要であり、そうしないとバリ島での家具ビジネスで速やかにピポットできず、敢え無く撤退した苦い経験の二の轍を踏むことになりそうです。

リアル集客セミナーとオンラインのウェビナーの使い分け

弊社では年に数回、CibitungのMM2100工業団地やCikarangのEJIP工業団地、KarawangのKIIC工業団地の管理事務所の会議室を借りて、日系製造業様向けの生産管理システムのセミナーを開催させていただいておりました。

工業団地の管理事務所の会議室を借りて行うリアルの集客セミナーでは、管理事務所からテナント企業に対してセミナー案内メールを一斉配信していただける特典があり、集客にはこれが非常に効果を発揮するのですが、ウェビナーの場合はそうはいかず、既存のお客様へのご案内メール、NNA、Lifenesiaなど情報媒体を通じた広告を打っていくことになります。

これまで弊社主催で開催させていただいたリアル集客セミナーとオンラインセミナーの経験で言えば、両者にご参加いただいたお客様の数はそれほど差がなく、これは工業団地一斉配信メールがなくても、渋滞の中を何時間もかけて会場に向かうリアルセミナーに比べて気軽に参加できるという点が有利に働いた結果だと考えています。

2020年6月のアメリカでのオンラインイベントが中国政府によって中止させられた事件以来、インドネシアの日系企業ではZOOMの使用禁止のところが増えて、ZOOMの外部ウェビナーへの参加すら禁止されているからとお断りされることがある。もう投票機能を使うの止めてでもTeamsに移行したほうがいいのか。

インドネシアの日系製造業社様の場合、ZOOMの使用が社内規定により禁止されているため、ウェビナーへの参加を見送らせていただくというご連絡をいただくことがあり、国家レベルの米中摩擦の影響がインドネシアの日系製造業者様向けセミナーという、自分がコミットするイベントにまで及び、より身近な問題になったことを感じます。

そして2020年からのコロナ禍によるPSBB(大規模社会制限)の影響で、物理的な訪問やセミナーが出来なくなり、ウェビナーにシフトしたわけですが、正直なところYoutubeやWEBのビジネスコンテンツを見て勉強するのと何が違うのかという疑問が残っていました。

その答えが「コロナ禍・インドネシア・需要変動・業務改善」というトピックを盛り込んだピンポイントのコンテンツはネット上に存在しない、仮にあったとしてもそんな頭の痛い重いトピックの動画を探して閲覧するのは結構な心と体の準備が必要、よって受け身で聴講出来るウェビナーには意味があるというものでした。

リアルセミナーとオンラインセミナーの企画は全く発想が違う

リアルセミナーを開催する場合は、渋滞の中を遠方から参加していただけるお客様のことを考えて、2セッションから3セッションを3時間ほどかけて行い、セミナー閉会後には近くの日本食レストランにて懇親会を開くなどのホスピタリティに気を配りますが、そうこうするうちに半日は過ぎてしまいます。

これがウェビナーの場合だと根本的に発想の転換が必要で、お客様はご自分の事務所または自宅のPCから接続するだけなので参加への敷居は下がる一方で、リアルセミナーのように「せっかく時間かけて参加するんだから寝ないで聞こう」というモチベーションは期待できません。

主催者側にとっては「せっかく2時間もかけて来ていただいたのに30分で切り上げるのは申し訳ない」という発想を捨てて「気軽に参加してくれたお客さんが飽きないようにテーマを絞って短時間で切り上げる」という真逆の視点から企画することになります。

リアルセミナーではターゲットとなる潜在顧客のロケーションを考慮した上で、開催場所の選定に頭を悩ませましたが、オンラインの場合は基本的には場所を問わず、どこからでも参加を募ることが出来るとはいえ、弊社のような業務システムに関するウェビナーでは、後のフォローアップがリアルな訪問にならざるを得ないため「インドネシア国内限定」などの、ある程度の地域を限定するほうが効果的だと考えます。

ジェトロやインドネシア大使館などのウェビナーにも参加し、自社主催でもウェビナーを開催してみて以下のように感じました。

  • 短時間で概要を話す程度がよい
    以前2時間のセミナーに参加して後半集中力が切れてしまったことがありますので、1セッション15分程度が最も集中力が持続すると感じました。内容としてお客様のお悩みのヒントになるような指針が説明できれば十分であり、それ以上の詳細は個別で訪問するなりWEB会議をするなりしてご説明する。そのほうが無駄な空き時間やダラダラした挨拶をする余地はないので時間の有効活用になります。
  • 単独会社よりも複数社での共催のほうが受けが良い
    お客さんごとに異なる関心事にうまくリーチするにはトピックも多いほうがヒットする確率は上がります。ダウンスイングよりもレベルスイングのほうがヒット率が上がるのと同じ理屈です。
  • ZOOMの投票機能は時間内にアンケートを回収するのに便利
    セミナー終了後にメールでアンケートのリンクをお送りしてご回答いただくよりもはるかに回答率が上がるのですが、残念ながらZOOM特有の機能でありMS Teamsにも追加して欲しい機能です。
  • デモがより効果的
    会議室のスクリーンにプロジェクターで映した画像よりも、画面共有したパワポ画像のほうが断然見やすいわけで、特にシステムのデモを行う際にはウェビナーの優位性が際立つと感じました。

ウェビナーの利点と今後の在り方

リアルセミナーの場合、スクリーンに投影されるパワーポイントの資料は後方の席から判読しにくかったりしますが、ウェビナーではZoomなどのオンライン会議ソフトには必ず実装されている画面共有の機能を使うことで、参加者全員は同じ品質の画像が見られます。

またリアルセミナーの質疑応答の時間に、大勢の参加者の前で挙手するのは相当な勇気が必要ですが、ウェビナーでは顔見せなしでの出席が可能なので、主催者のプレゼン中にも気軽に質問することができます。

専門家に日本からインドネシアに1時間の講演のために出張していただくのは時間もコストもかかりますが、ウェビナーではオンラインで気軽に基調講演が依頼できますし、開会や閉会のあいさつをメーカーの社長に依頼することもできます。

リアルセミナーでは費用対効果の面から「お申込みが5名様以上の場合に開催」といった条件が付くことがありますが、ウェビナーは主催者にとってコストがかからず、参加者にとって顔出しの必要がなく匿名性が保証されるので、極端な話1名でも参加者があれば断行することに意義があります。

インドネシアの場合、若干の懸念事項としてネット回線が突然ダウンして講演が中断するという事態が想定されますが、リアルセミナーのために日本から出張講演を依頼した場合ですら、Tol(高速道路)の事故による大渋滞のせいで、ホテルから会場への到着時間が遅れることはありますので、回線トラブルはウェビナーのリスクとはいえご愛敬の一つと言っても許されると思います。

このようにウェビナーの最大に利点はその「気軽さ」であり、リアルセミナーで考慮する必要がなかった、カジュアルなエンターテイメント性が求められるため、オンライン飲み会のような軽いノリのほうが受入られやすいと思います。

一方で気軽に開催できるということは同業他社による似た内容のウェビナーが乱立する可能性もあるわけで、同時期に内容を重複させない意味でも、短時間のセミナーを頻繁に行うスタイルになると思います。