ジャカルタで発見したビットコインATM

2017/10/18

インドネシア

ジャカルタにあるビットコインATMのオーナーは、ビットコイン(BTC)という現物を、お客に対してルピア建て(IDR)で販売する際の手数料ビジネスを行っていることにあります。

ジャカルタのホース屋にビットコインATMがあった。

LTC-Glodok北ジャカルタのコタにあるハードウェア専門店が集まるLTC-Glodok(Lindeteves Trade Center)に、インドネシア国内に3台あるビットコインATMのうち、ジャカルタにある唯一の1台(他の2台はバリ島)があります。LTC-Glodokは工業用のスタビライザーとかジェネレータとか電動ノコギリとか、ガテン系ハードウェアを扱う店がたくさん入った巨大モールで、普通のショッピングモールのオープンが朝10時からであるのに対し、ここは朝8時半には多くの店が開店しています。

このモール周辺は夜が更けるほど賑やかになる歓楽街で、老舗中の老舗ディスコティックであるSydney 2000はここの裏手にあり、ジャカルタに来た当初、カラオケのお姉さん達と朝まで遊んだ後、お姉さん達はコスに帰って爆睡、自分はヘロヘロのまま出勤という堕落した日々を送っていました。

LTC-Glodok(Lindeteves Trade Center)Grand Floor1にSAN-AIというホース屋さんがあるのですが、何故かここにビットコインATMが設置してあり、山積みされたホースの奥でビットコインATMのタッチパネルが不気味にチカチカ光っている光景はなかなかシュールです。

LTC-Glodok(Lindeteves Trade Center)

ビットコインATMは銀行のATMとは違い、ルピア紙幣を充填するのは運営会社になるのですが、この店の場合はこのATMの所有者であるオーナーが紙幣の補充をしており、言い方を変えるとこのオーナーはビットコイン(BTC)というモノをお客に対してルピア建て(IDR)で販売する際の手数料ビジネスをやっていることになります。

ここの中華系インドネシア人のオーナーはSUMOATMという日本風の名前を冠したドイツ製ビットコインATMを1台4000ユーロ(約50万円)で買ったそうで、現在の利用者の大半は外国人という話ですが、引き出し限度額が3juta/1日なのと、観光客が気軽にやってくるには判りづらい場所にあるため、手数料収入で元取るには大分時間がかかりそうです。

このATMではルピアからビットコインの購入も出来るのですが、今時分スマホで簡単に交換所での板取引による市場価格で買えるBTCを、このATMが接続されている販売所から割高で買う人は少ないと思われます。

来月11月19日にビットコインがまた分岐?

今年2017年8月1日にハードフォーク(Hard Fork 互換性のない分岐)してビットコインキャッシュ(BCC)を誕生させたばかりのビットコイン(BTC)は、来月11月19日にまたしても分岐してビットコインゴールド(BTG)を誕生させるかもしれません。

円やルピアのようなフィアットマネー(Fiat Money)が政府の金融政策に基づいて管理されるのとは異なり、ブロックチェーンに基づくP2P(ピア・ツー・ピア)で中央管理不在のビットコインは、ソースコード(Bitcoin Core)の開発を担う少数のエンジニアであるコア開発者と、マイナー(ビットコイン採掘者)やマイニングプール(マイナー集団)間での政治的な理由でフォークしていくのは必然であり、その結果相対的価値が下がるリスクがあると言われるものの、前回8月の分岐時に30万円弱だったのが爆上げして現在は2倍の60万円弱です。

インドネシアは金融基盤が弱く、中央政府による通貨政策により通貨危機が再来しないようにルピアを守っていかないといけないため、匿名性と投機性の高い仮想通貨決済はまだ認められておらず、残念ながら仮想通貨関連のスタートアップビジネスは日本やシンガポールに比べて遅れているのが現状です。

ビットコインアドレスの生成とは?

ビットコインアドレスの生成

仮想通貨の話になるとブロックチェーン(Blockchain)やマイニング(Mining)、プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)といった概念論が先に来て難しくなってしまうのですが、個人がビットコインを所有し決済に使用するのは、銀行に行って口座を開いて相手に送金するのと同じくらい簡単です。

CoincheckやBitflyerなどの取引所に口座を開設すると、ウォレット(送金・入金・残高等を一括で管理する画面、アプリ)が使えるようになり、そこでは銀行の口座番号のように1つのビットコインアドレスを使い続けてもいいし、必要に応じて「アドレスを作成」ボタンから新しいビットコインアドレスを生成してもよいわけで、ビットコインアドレスがたくさん出来たとしても、入出金や残高管理は自分のウォレットで行われます。

この「アドレスを作成」をクリックすることにより、裏で以下のプロセスが発生します。

  1. 乱数計算で70桁以上の秘密鍵を生成。
    70桁の秘密鍵の例:5Ma7kGr6ewWQmofidDA76MzJL
    6TsZZY36hWTMssSzSydYXYB8KF
  2. 秘密鍵から楕円曲線上のスカラー倍算計算にて公開鍵を生成(楕円曲線公開鍵暗号)。
  3. 公開鍵をハッシュ計算でビットコインアドレスに変換
    34文字のビットコインアドレスの例:1btCdd9nER3iTfLfZqFxNt5fHEmakH5

ビットコインアドレスの数は事実上無限大なので、必要に応じて新規にアドレスを生成してよいし、QRコードに変換して自分のサイトに掲載して寄付を募ってもよいのですが、それを他人に送金する際には大元の秘密鍵が必要になります。

秘密鍵を失くしてしまったら?

1つのアドレスには必ず1つの秘密鍵が紐付いていますので、アドレスが増加すれば秘密鍵が増えて管理が煩雑になるので、もし秘密鍵を無くしてしまうと入金は出来るが送金は出来ないという悲惨な状態に陥ります。

  • 秘密鍵⇒公開鍵⇒ビットコインアドレス⇒秘密鍵⇒相手のビットコインアドレス

上のCoincheckのウォレットではCoincheckが秘密鍵とビットコインアドレスを管理代行してくれているわけですが、仮にハッカーがCoincheckに侵入して秘密鍵とアドレスを盗んでしまうと、2014年にMt.GOX(マウントゴックス)から114億円分のビットコインが盗まれたのと同じことが起こりえます。

銀行口座は氏名、住所、マイナンバーなどの個人情報に紐付くので通帳を盗まれても身分証明書でもって口座を凍結することができますが、ビットコインアドレスが紐付くのは秘密鍵のみであり、秘密鍵を盗まれてしまうと勝手にどこかに送金されてしまいます。

Coincheckがいくら信頼できるウォレット管理代行をしてくれているとはいえ、オンライン上で管理されている以上、ハッカー侵入による盗難のリスクと内部犯行による盗難のリスクがあることは否定できないので、結局のところオンラインのウォレットにはあまり大金は残さず、オフラインのペーパーウォレットやハードウェアウォレットにビットコインアドレスと秘密鍵をメモして銀行の貸金庫に入れておくのが一番安全ではないでしょうか?