インドネシア時事問題

インフラ整備と都市開発が進むジャカルタ【MRT第2期区間工事が着工】


MRT地下鉄第2期工事が開始

ジャカルタでは、2019年4月にMRT地下鉄の第1期区間(総延長15.7km)が正式開通しましたが、コロナ禍の中にあった今年6月に、現在の始発駅であるPlaza Indonesia前のBendaran HI駅から、北ジャカルタのKotaまでの6.3km、西ジャカルタのAncolの車両基地までの5.2kmの総延長11.5km(10個の新しい駅)を第2期区間として工事が開始されました。

MRTジャカルタ第2期工事ルート(MRT Jakartaのサイトから)

ホテルサリパンパシフィック前に建設される予定のThamrin駅周辺の地質が柔らかく、地盤沈下のリスクが高いため第1期工事よりも難しいといわれており、駅建設工事にあたってタムリン時計塔(Tugu Jam Thamrin)がバンテン公園(Taman Banten)に移されるなど、ルート沿線には文化遺産(cagar budaya)が多数あるため、破損等の影響が出ないように地下鉄建設前に十分なシミュレーションが必要だとされています。

既に開通している第1期ルートは中央ジャカルタから南ジャカルタという都市開発が進んでいた地域ですが、第2期の北ジャカルタと西ジャカルタ方面は昔の街並みの面影を残す旧市街地を通るため、古いものと新しいものを融合させた公共交通指向型都市開発(Transit Oriented Development=TOD)が期待されている地域です。

そしてインドネシアは首都ジャカルタを2024年に東カリマンタン州に移転する作業を開始する予定となっていますが、これにより第2期ルート沿線の大統領宮殿を含む政府関連施設が保護区や博物館になり、ジャカルタの歴史的魅力を押した世界的観光地になる可能性もあるわけです。

現在進行形で経済発展を体感できるのがジャカルタの魅力

インドネシアは世界第4位の人口2億7,000万人を抱え、そのうち若年層が50%近くを占める潜在的経済成長率が最も高い国の一つであり、なかでもジャカルタ近郊を含む都市圏人口は3,120万人と、東京都市圏に次いで世界第2位のメガシティを形成しています。

数年前までは日本人にインドネシアについて聞いても、デヴィ・スカルノ元大統領夫人くらいしか知名度がありませんでしたが、今では東南アジア最大の人口を抱える潜在的経済発展が見込める国という、経済面でも注目されるようになったことはインドネシアで仕事をする身としては嬉しい限りです。

MRT工事以外にも高層ビル建設、幹線道路の高架化とアンダーパス化が急ピッチに進んでおり、将来は東南アジア経済の中心ハブ都市に成長する可能性を秘めており、何か歴史が日々刻々と動いていくダイナミズムを肌で感じているようでもあり、この現在進行形でアジアの経済発展を体感できることがジャカルタの魅力と言えるかと思います。

MRTが駅舎も含めて三井住友建設・清水建設・大林組などの日系ゼネコンを中心として建設されたことも影響しているものと思われますが、MRT駅周辺からはなんとなく関東近郊の私鉄(個人的には東武東上線のイメージ)の駅の雰囲気を感じてしまいます。

そんなジャカルタが社会、環境、経済の空間のまとまりとして、機能的で住みやす都市空間に発展するための重要課題と言われているのが渋滞解消と洪水防止です。

都心部と郊外住宅地域を結ぶ慢性的な渋滞解消のために、電車KRL(Kereta Rel Listrik)、軽量軌道交通LRT(Light Rail Transit)、大量高速交通MRT(Mass Rapid Transit)、空港鉄道KA(Kreta Api Bandara)などの鉄道ベースの大量輸送インフラ整備が行われており、地盤沈下による洪水問題はジャカルタ近郊の上流山岳部の水源エリア、中間の集水域としての緩衝エリア、下流のエ耕作地エリア、沿岸部の養殖保護エリアとしてそれぞれ役割を持たせ、貯水地を整備することによる治水を強化しています。

交通インフラ整備が刻一刻と進行し、首都移転を控え変化し続ける現在の首都ジャカルタでITビジネスを展開(拠点は西ブカシ)できるのは大変貴重な経験であり、日本の名目GDPを追い抜くと言われている10年後の2030年あたりが、官民一体となって経済発展に邁進するインドネシアの国家政策の答え合わせが出来る時期ではないでしょうか。





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