インドネシア時事問題

洪水防止と渋滞解消を実現するジャボデタベック-プンジュール地域空間計画【機能的で快適な都市生活ためのインフラ整備】


地盤沈下と海面上昇による洪水の防止

6月中旬の今、既に乾季に突入したと思いきや、昨晩降った突然の大雨の影響で、北ジャカルタのアンチョール(Ancol)では、さっそく洪水(banjir)の被害が出ているようですが、ジャカルタの地盤沈下が1年に8インチ(約20cm)の速度で進んでいると言われている中でも、アンチョールは最も被害が酷い地域だと言われています。

北ジャカルタのグヌンサハリ(Gunung Sahari)通りを北へ向かう途中の左に見えるチリウン川(Sungai Ciliwung)やスンター湖(Danau Sunter)の水位は常時高い水準にあり、大雨が降ればすぐに溢れて周辺が冠水することで知られており、5年程前にクラパガディン(Kelapa Gading)の客先に行く途中で大雨に降られ、前夜に水位が上がっていたチリウン川の支流が溢れ、水に浸かった道路を避けながら命からがら引き返したことがあります。

ジャカルタの地盤沈下の原因は地下水の汲み上げすぎであり、同時に地球温暖化の影響でジャカルタ湾の海面上昇にも見舞われ、満潮時には堤防の下から海水がしみ込んで流入し、アンチョール付近は水の都ヴェネチア並みに冠水することすらあり、2050年までにジャカルタの3分の1は水没する可能性があると言われています。

インドネシアの国家計画の中での都市開発では、ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシをジャボデタベック(JaBoDeTaBek)と総称しますが、これにプンチャック(Puncak)とチアンジュール(Cianjur)を加えた広域圏を、ジャボデタベックプンジュール(JaBoDeTaBek-PunJur)と定義しています。

この広域圏を長期的展望に基づき、社会(sosial)、環境(lingkungan)、経済(ekonomi)の空間のまとまりとして、いかに機能的で住みやす空間構造(空間計画に基づく空間体系やインフラネットワーク等)に整備するかという、インドネシアの長期国家計画がジャボデタベックプンジュール空間計画(Tata Ruang JaBoDeTaBek-PunJur)であり、そこで検討すべき課題として①洪水、②水源の利用可能性、③衛生とゴミ問題、④沿岸および島の埋め立ての問題 、⑤渋滞、⑥首都移転の6つが挙げられています。

この計画の中で特に重要課題と言われているのが①洪水防止と⑤渋滞解消であり、洪水防止のために上流山岳部の水源エリア、中間の集水域としての緩衝エリア、下流のエ耕作地エリア、沿岸部の養殖保護エリアとしてそれぞれ役割を持たせ、洪水被害を最小限に抑えるために、現在域内にある305の貯水地を整備し治水を強化しています。

莫大な経済損失をもたらす渋滞の解消

渋滞問題は電車KRL(Kereta Rel Listrik)、軽量軌道交通LRT(Light Rail Transit)、大量高速交通MRT(Mass Rapid Transit)、空港鉄道KA(Kreta Api Bandara)などの鉄道ベースの大量輸送インフラと、公共交通指向型都市開発TOD(Transit Oriented Development)によって解消されると見込まれています。

ジャボデタベックの渋滞による経済損失額は、年間100兆ルピア(約8100億円)に達し、損失額のうち年間67兆5000億ルピアをジャカルタが占めており、渋滞を引き起こす要因としてはジャカルタ中心部から東の工業団地にかけての高速道路が一本しかなく渋滞が慢性化すること、 自動車とバイクの道路占有面積が道路総面積を超えて交通が麻痺するグリッドロック状態が発生することであり、これまでも道路の全般的な拡張・修復、信号増設・十字路の整備が行われてきました。

慢性的な渋滞のため、タンジュンプリオク港からブカシやカラワン方面の工業団地の工場まで1日1配送前後しか出来ない企業が多く輸送回転率が悪いため、現在チビトゥン(Cibitung)からタンジュンプリオク港手前のCilincingまでの直通有料道路(TOL)が建設中です。

現在ジャカルタは自動車過密度が非常に高い水準にあり、恒常化した渋滞は国民が受容できるレベルを超えてしまっており、自動車の機能(迅速な移動等)を十分発揮できない環境下では、高額な出費をするインセンティブが失われるため、インドネシア国内消費者の自動車購入意欲を減退させます。

ジャボデタベックプンジュール地域空間計画では社会、環境、経済という3つが持続可能な空間構造を造るとされており、以下の3点が具体的な戦略として掲げられています。

  1. 一体の計画地域として都市圏内で統合的な開発を促進する。
  2. 持続可能な環境容量を勘案しつつ、水及び土壌を保護し、地下水、地表水の利用を確保し、かつ、洪水を克服するような開発を促進する。
  3. 公共の福祉や持続可能な開発を勘案しつつ、地域の特性を活かした生産的、効果的かつ効率的な地域経済開発を促進する。





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