日本での海外在留邦人向けワクチン接種のための一時帰国ラッシュが続き、日本人駐在員の一時帰国決定が56%に達しており、担当者不在または多忙につき当地での営業活動に大きな支障が出ています。今インドネシアはかつてないほどリスクの高い国と認識されている厳しい状況です。 日本人のインドネシアについてのイメージはバラエティ番組で活躍するデヴィ・スカルノ元大統領夫人の知名度に依存する程度のものから、東南アジア最大の人口を抱える潜在的経済発展が見込める国という認識に変遷しています。 続きを見る
インドネシアの政治・経済・社会
コロナで日本人駐在員の一時帰国決定56%の衝撃
日本政府による邦人保護の観点からの官民連携事業により、7月21日のANAジャカルタ発成田行き特別便運航以来、連日のように特別便が出ていますが、インドネシア入国管理局によると7月3日~8月12日の間にスカルノハッタ空港から出国した外国人25,932人のうち、最も多かったのは日本人4,373人とのことです。
8月1日から成田空港と羽田空港の特設会場にて在外邦人向けのワクチン接種プログラムが開始されたことが、一時帰国ラッシュを加速させた要因であるわけですが、ジャカルタ・ブカシ・カラワンを中心とした日系企業を主要顧客とする事業会社や弊社のようなサービス会社は、日々の営業活動に大きな影響を受けています。
これが週一で届くコールセンターからのテレアポ報告の成果に如実に表れていて、7月半ば頃から訪問・WEBミーティングどころか資料送付のメルアド開示すら断られまくりです😇
コロナで一時帰国決定56%、インドネシア日系 - NNA ASIA・日本・社会・事件
ジェトロの調査によると「駐在員の一時帰国を決定しているか」との設問に対して55.9%が「既に決定している」と回答し、「検討中」を含めると、82.7%が一時帰国に向けて対応中とのことですが、こんな状況下でトークスクリプトに従って機械的に「現在ご利用中の社内システムはありますか」とか電話口で質問されても全く心に響かないだろうことは容易に想像できます。
今最もリスクの高い国と認識されているインドネシア
僕の知る限り、過去にインドネシアが今ほど「危険な国」と認識されたことはなかったと記憶しています。
インドネシアは8月14日現在も感染症危険情報レベル3対象国に指定される上陸拒否対象国に含まれており、「特段の事情」がないインドネシア人は入国できませんが、「特段の事情」の例として「日本人・永住者の配偶者または子の新規入国」があるため、インドネシア人と結婚した人も奥さんと子供を連れて日本に一時帰国することは可能となっています。

出入国在留管理庁のサイトより
しかし日本からしてみるとインドネシアからの帰国者は、検疫所の宿泊施設での10日間待機(退所後、入国後14日目まで自宅等待機)措置の対象国という、最も危険な国から帰ってきた要注意人物と認識されているわけで、5月の感染爆発のピークから新規感染者数が急激に減少し、先日10日間待機から6日間待機に緩和されたインドよりも厳しい措置が取られています。
8月1日から成田空港と羽田空港にて海外在留邦人向けのワクチン接種が行われていますが、これを利用するために一時帰国する場合、日本に到着後に検疫所が確保する宿泊施設にて10日の隔離+4日間の自主隔離を経て1回目の接種を行い、2回を接種するために3週間(ファイザーの場合)間を置く必要があるので、日本滞在期間は最短でも5週間は必要となります。
インドネシア再入国時の緩和措置
これまでインドネシアは、原則として全ての外国人に対して、インドネシア入国に際して必要回数の接
これまでインドネシアでシノパックを1回目だけ接種した後に日本に一時帰国した場合、日本でファイザーやモデルナとの混合接種が可能かどうかが不明確であるため、仮に日本で接種出来ない場合はインドネシア入国時に接種証明書を提示できずに入国できないという問題がありましたが、今回の措置で日本でワクチンを打つことなくインドネシアに帰ってくることが可能となります。
-
-
インドネシアの新型コロナウィルスワクチン接種状況
インドネシアのワクチン接種で使用されるのは不活化ワクチンである中国製のシノパックですが、デルタ株の感染拡大により医療従事者の感染例が増加したことから、mRNAワクチンであるモデルナ製ワクチンの接種が医療関係者に対して行われています。
続きを見る
ただしインドネシアの政府通達は頻繁に変更され、今回の緩和措置も不確実性が高いと言わざるを得ないため、日本でのワクチン接種の目処が立たない場合には、有効性に疑問が残るとは言え当地でシノパックを2回接種した上で移動するほうが賢明かもしれません。