会計システム

仕組みが理解できるとは現場の動きが想像できるということ【IT化が進んでも業務知識が役立つ理由】

「IT化が進めば業務の理解に時間を費やす必要はなくなるのか」という最重要問題意識

「会計業務がシステム化された今、簿記の知識は必要なのか?」という問いは「IT化が進んでいけば業務の本質を理解するために時間を費やす必要はなくなるのか?」という、業務システムの開発、導入を生業とする自分にとっては非常に重要な問題意識に言い換えられます。

IoT化により業務の本質を理解するために時間を費やす必要はなくなるのか?【3次元での実績が2次元のシステム上に自動転記される時代】

意識高い系と低い系の基準【問題意識という重い言葉】

「仕訳⇒元帳転記⇒試算表⇒締処理」を電卓と手でやった経験の有無が大きいと思います。その意味では3級で十分なのですが、お仕事が製造業に関係する場合は2級の工業簿記(原価計算)がめちゃくちゃ役立つと思います。

これまでシステム化が進んでも業務には「売上や費用の計上日はいつにするのが妥当か?」「購入後に景気の波に合わせて稼働と非稼働を繰り返してきた機械の評価額はいくらが妥当か?」など、会社の事情によって判断に迷うイレギュラー処理が発生するため、関係者間での議論と調整が必要になる場面が多々あり、これが完全自動化の阻害要因となっていました。

これは取得価額(原価)と現在評価額(時価)という二面性に対する判断基準が統一されていない中で、会計ソフトや帳簿という2次元の世界で、時間の概念を考慮しながら評価し物理的に目に見えない取引仕訳を起こす難しさに起因していたのですが、インドネシアの会計基準であるPSAK(Pernyataan Standar Akuntansi Keuangan)が世界標準であるIFRS(国際会計基準)に準拠したことによって、会計処理に議論の余地が少なくなりました。

会計の面白さと難しさについての私見【3次元の現実世界に時間軸を取り入れ4次元で考えること】

インドネシアの銀行のATMカードはそのままデビットカードとして機能する上、GoPayやOVO、ShopeePayなどキャッシュバックやポイント特典のついた電子決済手段が浸透しているため、僕も日常生活で現金払いする機会はほとんどなくなりましたが、企業で発生する取引もすべてがキャッシュレス化され、銀行口座と連携して自動仕訳や口座とシステムの自動照合チェックができるシステムの使用が標準になると、経理業務は完全に自動化され、営業や購買など他のバックオフィス業務も自動化が進んでいくはずです。

「ポストコロナ禍」のインドネシアでの会計システムの在り方【会計事務所のコンサルサービスの延長として導入される】

 

そうなった場合、部署単位の業務が自動化された後に必要な知識とは、組織としての会社全体の運営の仕組みであり、具体的には「モノと金額とキャッシュの動き」であり、これが業務の本質と言えるかと思います。

モノと金額とキャッシュの動きこそが業務の本質【システムによる自動化が進んでも理解すべき基本知識】

仕組みの理解とは想像力が働くということ

簿記で学べることは、仕訳が元帳転記されて試算表に集計された科目ごとの金額をB/S(貸借対照表)科目と損益計算書(P/L)科目に分けたとき、双方に発生する差額が一致するという複式記帳法(Double-entry bookkeeping)の本質であり、いきなり財務諸表の読み方だけを理解したのと、財務諸表に載ってきた数字がどのように発生してきたのかから理解しているのとでは、モノと金額とキャッシュの動きの想像力が違ってきます。

損益と収支をつなげる財務三表 【損益は資産の動き、収支はお金の動き】

例えば僕は今日ShopeePayにRp.300,000トップアップし、ACEにて電球を購入しShopeePayで支払ったことでポイントが溜まり、KOI CafeからGoFoodしてGoPayで支払うときにポイントを使って値引きを受け、PLNの電気料金トークンRp.500,000を購入しBCAモバイルバンキングから支払いました。

  • BCAのVirtual AccountでShopeePayにトップアップ
    Dr. 預け金-ShopeePay Rp.300,000      Cr. Bank BCA Rp.300,000
  • ACEで電球を購入しShopeePayで支払い
    Dr. 雑費 Rp.79,600      Cr. 預け金-ShopeePay Rp.79,600
  • KOI CafeからGoFoodしGoPayで支払い
    Dr. 飲食費 Rp.29,000         Cr. 預け金-GoPay Rp.18,000
                      Cr. 雑収入-GoPayポイント Rp.11,000
  • PLNの電気料金のトークンを購入
    Dr. 前払費用-光熱費 Rp.500,000       Cr. Bank BCA Rp.500,000

今日ShopeePayで溜まったポイントはいつか使用して雑収入として還元されるわけですが、支払う場面では得したと感じても、今日の何をどうやって買ったかなど忘れてしまった月末に、BCAの口座取引履歴とGoPayとShopeePay残高をチェックしただけでは、モノと金額とキャッシュの動きの関連性が想像しにくいはずです。

簿記を勉強していなくても財務諸表の仕組みは理解できるが、簿記を勉強していれば現場での動きが想像できるようになる、つまりモノと金額とキャッシュの動きが想像できるようになると会社運営の仕組みも想像できるようになるということです。

よく「学生時代に何を勉強しておくべきか」という話題で英語以外に会計が挙げられるのがこういう理由であり、最近ではプログラミングが挙げられるのも同様の理由であり、別にIT関連の仕事に就かなくとも、すべての世の中の仕組みがIT化されている今日、目に見えるハードウェアを制御するプログラムのメカニズム(情報処理試験でシステム工学に該当するもの)を知っていれば、世の中の動きを想像できるようになるということだと考えます。

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