インドネシアのビジネス環境

インドネシアの電子マネーによるEC決済事情【消費者と事業者の双方にとっての利点】

配車アプリの発展と共に成長した電子マネー

インドネシアで本格的にスマホから配車アプリが利用できるようになったのは、2014年8月にアメリカから進出してきたUberであり、その後2014年11月にバイクタクシーのGrabRideが利用できるようになりましたが、2015年に国産のGoJekアプリがローンチされ、あの衝撃的な「どこまで乗っても1万ルピア」キャンペーンで一気に知名度とシェアを拡大したのは記憶に新しいところです。

道端にたむろして客待ちするバイクタクシーのオジェック(Ojek)の場合は、ドライバーに当たり外れがあり運賃交渉が煩わしい、ブルーバードタクシーは料金が高い上に夕方の帰宅ラッシュ時にはなかなか捕まりづらいという欠点がありましたので、安心してGoJek社に登録済のドライバーをスマホアプリからオーダー出来て、お釣りの心配も不要で、加えて超格安でドアトゥドアで乗せてくれるGoJekは、利用者にとっての移動手段の革命的サービスとなりました。

ドライバーにとっても距離に応じてボーナスポイントがもらえるためモチベーションが上がり、一時期はオフィス勤めをするよりもGoJekドライバーをやったほうが収入が高いとまで言われていた時期がありましたが、今考えるとあれが巨額な資金調達を受けて市場を一早く制圧するための初期戦略であり、目論見どおりサービスの品質を向上させながら市場に浸透していくプロセスは、超優良スタートアップ企業がデカコーン企業にまで成長するまでの歴史そのものだったいうことになります。

インドネシアのGO-JEKドライバーの運賃とボーナス制度 【運賃コミッションよりも本部からのボーナスを重視】

 

その後GoJekは2019年の第三四半期には黒字に転じ、サービスの種類を増やし続ける拡大一辺倒の戦略から、コア事業である輸送、食料配達、電子マネーを強化する「選択と集中」戦略に転じています。

GojekがGoLife事業閉鎖に伴い430名を解雇【事業の選択と集中】

 

このようなインドネシアの配車サービスを支えるのがGoPayやOVOといった電子決済サービスであり、スマホアプリサービスやオンラインマーケットプレイスの発展に伴い、インドネシアの電子マネー取引額は過去3年間増加し続け、2019年第4四半期の成長率は241.2%に達しています。

消費者と事業者にとってのEC決済の利点

インドネシアでの電子マネー利用額が大きい3つの取引は、小売店での支払い手段(28%)、GoJekとGrabの二強による独占市場である移動のためのオンライン輸送予約(27%)と食事のデリバリー予約(20%)となっており、GoJekで移動する機会が少ない僕の場合はTokopediaやShopeeなどのオンラインマーケットプレイスでのEC決済(15%)や請求書の支払い(7%)で使うことが多いです。

日本の電子マネーの先駆けは、JR東日本が発行する事前にカードにチャージして利用するプリペイド型のSuicaだと思うのですが、これに近いのがインドネシアでいうBank MandiriとIndomaretが提携しているe-moneyやBCA Flazzなどであり、2017年10月にはTOL(高速道路)ではこれらの非接触型ICカードにより完全キャッシュレス化がなされており、最近ではモールやオフィスビルの駐車場でのキャッシュレス化が進んでいるので、マメに残高チェックしておかないと決済できずに、後ろに出来た車列からクラクションを鳴らされまくって恥をかくことになります。

インドネシアのTol(有料高速道路)キャッシュレス化 【経済活動の効率化による生産性向上】

 

そして日本のコンビニでのQRコード決済で利用されるPayPayに相当するのがGoPayやOVOなどであり、インドネシアの場合はトップアップ残高はRp.1juta程度に制限されているとはいえ、急速に幅広い年齢層にスマホ決済が浸透していった最大の理由は「ShopeePay利用で50%ディスカウント」といったディスカウントやキャッシュバックのキャンペーンであることは間違いありませんが、コロナ禍の今はウィルスの感染媒体ともなりうる紙幣や硬貨での決済は極力控えようという風潮がスマホでのEC決済の利用率を後押しています。

露店の屋台や中小零細業者にとってのスマホ決済の利点は、決済時間の短縮による作業の効率化、お釣りを用意しなくて済むこと、取引履歴が自動的に記録されることにより帳簿管理できること、売上を貯金するために銀行に行かずに済むなどであり、GoPayは中小零細自営業者への出張説明会を頻繁に実施し、インドネシア全土にマイクロビジネスパートナーを増やそうとしています。

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