インドネシアの配車アプリが実現させた業務効率向上と富の再配分

インドネシアのビジネス環境

インドネシアの配車アプリが実現させた業務効率向上と富の再配分 【民間事業による雇用機会の創出により遊休労働力が労働市場に参加することで所得再分配を実現する】


ジャカルタの道路では緑のジャケットとヘルメットが目立ち、朝夕のビル周辺などでは帰宅する人を待ち受けるバイクが集まり、緑の集団が形成されます。

ドライバーの運転技術の問題や従来型タクシーとの共存など課題は残っていますが、インドネシア人の生活に浸透した利便性を損なわない解決策をインドネシア政府に主導してもらいたいものです。

生活の中に浸透してしまったGO-JEKアプリ

自分は南ジャカルタのオフィスまでGO-RIDEでbonceng(バイクの2人乗り)出勤し、昼飯はGO-FOODでBaksoを配送してもらい、雨が降ったらGO-CARで帰り、タクシーも正規のMy Blue BirdアプリからではなくGO-BLUEBIRDからオーダーすることでGO POINTを稼ぎ、ジャカルタ市内の小包はGO-SENDで送ります。

スマホのプルサ(度数)のトップアップはGO-PLUSAからやることでまたまたポイントを稼ぎ、数年に一回の引越し時にはGO-BOXでピックアップを借り、嫁さんは週1回GO-CLEANを呼びアパートの室内はいつもピカピカ、アイロンがけまでやってもらい、駐車場の縁石にタイヤをぶつけパンクさせたときにはGO-AUTOで修理屋のおじさんを呼びました。

 

transportasi berbasis aplikasi online(オンラインアプリベースの配車ビジネス)では日本の3歩先を行くインドネシアでは、Grab TaxiとGO-JEKが二大サービスになりますが、いずれもバイタクの白タク(インドネシアでは暗タクtaxi gelapと呼ぶ)として、従来型のタクシー(taxi conventional)やオジェックから市場を強奪した感が否めません。

交通大臣はオンラインタクシーと従来型タクシーが公正な競争ができるようにする規制改正案として、オンラインタクシーに識別ステッカー貼り付けを義務付けるよう発表しており、この11月から施行されるはずなのですが、いまのところそれらしきステッカーを貼った車をみかけません。

労働生産性を向上させ富の再配分を実現したGO-SEND

昨日Thamrinの自分のアパートからSenayanの友人のアパートまでWIFIモデムをGO-SENDで発送したのですが、宛先住所と名前、電話番号、内容物を入力してORDERすれば近くにいるGO-RIDEドライバーがピックアップに来て、集積所を通さずそのまま宛先直送してくれるまさにピア・ツー・ピアのシステムで、送料わずかRp. 16,000でした。

以前はジャカルタ市内の住所に小包や資料など送る際でも、TIKI(インドネシアで有名な配送業者kurir)の預かり店を探して、車で持っていって、フォームに記入して料金払って、という半日がかりの作業だったのに、今ではスマホでピックアップ、配送、トラッキング、支払いまですべて完結します。

 

自分はシステムの仕事をしている時間こそが付加価値を生み出す直接作業時間であって、この移動とか配送という仕事は本来自分にとって極力減らしたい間接作業時間にあたり、このGO-JEKアプリのサービスのおかげで1週間の自分の業務効率が明らかに向上しており、これがジャカルタ都市圏3千万人分累積すると、国家としての経済効果が計り知れないことが想像されます。

日本でいえば高齢者や女性、外国人労働者による労働市場への参加機会の拡大によって、先細りする労働者人口を補うことが必要になりますが、インドネシアの場合は、そこらじゅうで怠けているように見えながら、実は仕事をしたくてたまらないオジェックの運転手という遊休労働力(潜在労働力)に、オンラインアプリを通した労働市場への参加を実現します。

一般的にマクロ経済的な富の再分配とは、税制改革や社会保障制度、公共事業など、行政の主導の下に実施されますが、GO-JEKという民間事業が雇用機会を創出し、富の再配分(所得再分配)までも実現しようとしています。

かつてそこらじゅうで暇していたオジェック(バイタク)をオンラインで繋ぎ、時間とコストばかりかかって生産性の低い移動や配送という作業を、スマホの操作だけで彼らに外注してしまうことで業務効率の向上と富の再配分をいっぺんに実現してしまいました。

日本のような先進国で既存サービスに技術革新で新しいサービスに置き換える場合は、規制というソフト面でもインフラというハード面でもスクラップアンドビルドの過程に一定の時間が必要になりますが、インドネシアのような発展途上国の場合はスクラップせず直接ビルドできるため、技術革新の社会への浸透が非常に早く、国家全体の成長の過程が日々ドラスティックに進んでいるのを感じます。





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