インドネシアのジャワの神秘信仰と日本の八百万の神

2017/03/18

インドネシアのジャワ

日本の神道は山や川など自然界のすべてに宿っている八百万の神から霊的スピリットを感じ取り、パワーを吸収しようとする土着信仰であり、ジャワのアニミズムkejawenも自然界のそれぞれのものに固有の霊が宿るという似たような信仰です。

悪魔祓いの結果

昨年末にドイツ留学中のうちの嫁さんの妹が、インドネシアに一時帰国中にSetan(悪魔)に取り憑かれてしまい、しばらくうちのアパートに引き取って何回かに分けて教会で悪魔祓いすることで、ようやく内に居座っていたサタンをbakar(焼却)してしまうことに成功しました。

このとき「熱い、熱い」と言いながら蛇、トカゲ、虎、龍などいろんな生物が出てきた後、最後までしぶとく残ったのがジャワ語を話すお婆さんで、どうもこれが何世代も昔から引きずってきた執念深いババアだということまでは判ったのですが、結局正体不明のまま終わってしまいました。

うちの嫁さん姉妹は中部ジャワのソロ出身で、8世代遡るとソロのSusuhunan(王様)だったパクボノ三世(Pakubuwana III)に繋がっているのですが、この身元不明のババアとのシガラミを断ち切るために実家にある鏡台を叩き割り、Kris(短剣)を焼却して来るという任務を、教会の Pendoa(祈る人=悪魔祓いのお姉さん)から課せられました。

昨年末にソロの実家を訪問して、開かずの部屋に価値があるのかないのか不明の骨董品達と一緒に埃をかぶって眠っていた鏡台を裏庭に引きずりだして、バール(釘抜き)一振りで粉々に粉砕してきました。

カトリック教会

インドネシアの教会で行うクリスチャンの悪魔祓いの儀式

有名なホラー映画「エクソシスト」ではカトリック神父が少女の悪魔を取り払う話でしたが、インドネシアでも心の中に潜むサタンを除霊のような方法で退散させるクリスチャンの悪魔祓いの儀式があり、何世代にも渡って取り憑いてきたサル、蛇、トカゲ、お婆さんなどの悪魔を剥ぎ取るには簡単ではありませんでした。

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ジャワの土着宗教であるkejawen(クジャウェン)

もともと16世紀から17世紀に中部ジャワで隆盛を誇ったKerajaan Mataram(マタラム王朝)が、8世紀にジョクジャカルタのSultanとスラカルタ(ソロ)のSusuhunanに分裂したわけですが、マタラム王朝はイスラム王国だったわけですから、親戚縁者もガチのイスラム家系なのかと思いきや、嫁さん姉妹はお母さんに習ってカトリック(今はクリスチャン)だし、お祖母ちゃんはkejawen(クジャウェン)というジャワの神秘宗教を信仰していたそうです。

嫁さん曰く、何世代も遠くなれば宗教色は薄くなってしまうのは普通のことらしいです。

このジャワの土着信仰であるkejawenは日本の八百万の神に近いもので、山や川など自然界の霊的スピリットを感じ取り、パワーを吸収しようとするものです。

現在のインドネシア独特のイスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教が生まれた背景にあるアニミズム色(animism)を効かせているような存在ですが、宗教とは区別されるため、KTP(Kartu Tanda Penduduk 住民登録証)には記載できません。

ジャワ人と日本人の共通点

大和民族である日本人の気質が八百万の神という土着信仰から醸成されてきたとすれば、似たような土着信仰であるkejawenを信仰してきたジャワ人の気質と似通ったものになりうると思います。

  1. 敬語が複雑
  2. お世辞(basa-basi)が多く本音と建前を使い分ける
  3. 見栄っ張り
  4. Musyawarah(合議制)やGotong Royong(相互扶助)
  5. 優柔不断

こうやってジャワ語やジャワ人気質を列挙してみると、まさに日本人気質とぴったり当てはまるわけです。

一方で勤勉(せっかち)な日本人がインドネシアに来てインドネシア人の適当加減(のんびり)にイライラするという事実は、厳しい冬を前にきっちりと田植えから稲刈りまで完了しておかないと春を迎えられない東アジアの日本人と、赤道直下で年中米が取れて飢え死にする心配がいらないインドネシア人という、気候の違いが生み出す時間軸に対する感覚の違いに起因するものと思われます。