インドネシア国内取引のルピア化に伴う機能通貨変更【前月末レートに対する差額を見る切離法と取得価額に対する差額を見る洗替法】


機能通貨をドルからルピアへ変更する流れ

2015年7月から国内取引は基本ルピアベースで行うことが義務付けられましたので、必然的に会計処理もルピア建てが中心となるため、日系製造業の間では、会計システムの機能通貨をドルベースからルピアベースに変更するという流れが出来つつあります。

2015年はこの機能通貨問題以外にも、Tax Invoice(Faktur Pajak)によるVAT申告はe-Fakturによる完全オンライン化が義務付けられたり、国内商取引に関わる契約書は基本インドネシア語で作成するよう推奨されるなど、ビジネス慣行上の動きが多い年になりました。

機能通貨の変更には、あるタイミング(通常は年度初め)でカットオフしてシステムの基本パラメータをドルからルピアに変更する必要があります。

  1. ルピアベースのシステム環境とDBの準備
  2. マスタの移行
  3. 既存帳票や伝票へのインパクトの調査
  4. ルピアベースでの期首残の準備(A/PとA/Rは決済のためインボイス単位で必要)
  5. ルピアベースでの初回締め処理

作業的には以上の流れになりますが、重要なのは債権A/R勘定と債務A/P勘定の期首残と試算表(Trial Balance)上での期首残をルピアベースで一致させることです。

Debit NoteやCredit Noteのように、A/RとA/Pの調整を伴う処理であれば良いのですが、為替差調整や税額調整などG/L上にのみインパクトのある処理を行なう場合、双方のバランスが一致しなくなります。

外貨評価換算

外貨評価換算(Revaluation)は、債権A/Rと債務A/Pに対するものと、それ以外の流動資産・流動負債に対するものの2種類がありますが、機能通貨を変更すると当然ながら外貨評価換算対象となる通貨としてドルとルピアが入れ替わります。

円、シンガポールドル、タイバーツなど、ルピアから見たドルとのクロスカレンシーはこれまでどおり換算対象となりますが、当然ながら換算の基準はルピアになります。

会計上の取引レートは中央銀行(Bank Indonesia)のミドルレート(TTM)を売り買いすべての取引に使用するのが一般的であり、東京三菱(BOTM)のTTMを使ってもいいとは思いますが、あくまでの民間銀行の商業レートであるため、やはりBIレートを使うほうが安全だと思います。

また買いにはTTS(銀行にとっての売り)、売りにはTTB(銀行にとっての買い)を使い分けることもシステム上可能ですが、同日の売りと買いが外貨ベースで同額でも機能通貨ベースで異なってしまうのは管理上問題です。

会社によっては前月末レートを当月取引のフラットレートとして使用するケースもありますが、この場合決済時の実現為替差損益は発生しませんが、月末の外貨評価換算時には未実現の為替差損が発生し得ます。

この場合、為替レートマスタの取引レートには、当月末日にも前月末レートがセットしてあるため、取引レートとTAXレート以外にRevaluation用のレートを設定する必要があります。

切離法と洗替法

外貨評価換算の方法は、取得原価を切り離す切離法(separation method)と取得原価を維持する洗替法(reversal method)があります。

切離法の場合は毎月末にP/L上で対前月末比較の評価損益分がB/S上の評価額として増減し、洗替法の場合は当月末の為替評価替仕訳に対して、翌月初に洗替(Reverse)仕訳を生成しリセットするので、毎月末にP/L上で対取得日比較の評価損益分がB/Sの評価額として増減します。

切離法(前月末レートと当月末レートの差)

  • Dr. Unrealized Forex loss 30    Cr. AR 30
洗替法(取得日レートと当月末レート差)

  • 月末
    Dr. Unrealized Forex loss 35    Cr. AR 35
  • 翌月初に洗替
    Dr. AR 35    Cr. Unrealized Forex loss 35