会計の面白さと難しさについての私見

会計システム

会計の面白さと難しさについての私見【3次元の現実世界に時間軸を取り入れ4次元で考えること】


当ブログでシェアしたい会計情報とは

インドネシアで20年近く業務システムを導入してきた経験の中で、現場での担当者との会話から得たITや業務に関連する知識、プロジェクトを進める上で苦労した点などを当ブログにまとめています。

これがインドネシアに来て自分の本職以外の業務にも対応せざるを得なくなり、頭を抱えている駐在員や出張者の方々にとって、何等かの不安解消の材料になれば、これほどうれしいことはありません。

当ブログへの日本からのアクセス数は、インドネシア関連のエントリーよりも会計関連のエントリーのほうが圧倒的に多く、特に他勘定振替賃率計算有償支給無償支給の仕訳などについてのエントリーは、企業の経理担当者や情報システム部の方々に見ていただいているようです。

業務システムの仕事をする上で会計の知識が必ずしも必要というわけではありませんが、インドネシア人の経理担当者と会話するには、知識があったほうがより深い議論ができるのは間違いありません。

僕は学生時代に会計士を目指そうと考えたことがあり、手始めに日商簿記二級に合格後、一級を目指して勉強しましたがあえなく不合格。

当時は学生生活のすべてを試験勉強に捧げるほどの根性もなく、さらにインド古典音楽に興味を持ってからは、長期休み期間中はほとんどインドに行ってしまい、会計士への夢は潰えました。

当時所属していた中国武術会の後輩S君が2年生に進級すると同時に会計士試験に集中するために退部してしまい、僕の卒業後に見事に現役4年生で合格したという連絡をもらったとき、S君の頑張りを見てきた僕としては、祝福と嫉妬が入り混じった複雑な気持ちの中、あそこまで完全に試験勉強にコミットするのは絶対無理、というあきらめの感情もありました。

自分には会計士ほどの専門知識はありませんが、会計学や簿記などの座学では得られない、会計システム導入と運用の現場で得た知識と経験をシェアできたらと考えております。

会計には金額がスライドパズルのように一致する面白さがある

会計には1つの取引を借方と貸方に2面的に分けて記帳した1か月分の仕訳のリストから、費用と収益に関する項目のみ抽出して引き算した結果得られる利益(損失)を、純資産に組み入れることで「資産=負債+資本(純資産)」がバランスする「スライドパズル」のような仕組みがあります。

利益が出れば出るほど資本が膨らんでいきますが、損失が出れば出るほど資本が縮小していき、現預金がショートした時点で会社としてのゲームオーバーとなります。

借方と貸方に該当する取引すべて

  • 資産の増加 <-> 資産の減少
  • 負債の減少 <-> 負債の増加
  • 資本の減少 <-> 資本の増加
  • 費用の増加 <-> 費用の減少
  • 収益の減少 <-> 収益の増加

当月(当期)の損益をP/L(損益計算書)で算出し、その結果として資産、負債、純資産の状態がどうなったかを知るためのものがとB/S(貸借対照表)であり、すべての数字の根拠は上記の現実世界の取引から発生します。

現実世界で発生する取引に時間の概念を持ち込んで物理的に発生していない取引を起こす難しさ

現実世界は上下、左右、前後から形成される3次元の世界ですが、会計ではこの3次元空間で発生した取引に、時間の概念を導入して4次元空間を意識して記帳していきます。

例えば機械や検査機器などの固定資産を購入する場合、現金払いまたは掛け(ツケ)にすることによって自分の所有物になります。

そしてその固定資産を使用することが、直接的にも間接的にも利益に貢献する場合には、貢献した分だけ費用計上して売上から差し引かないと公正な利益にはならないという考えをします。

このように現実世界で取引が発生していないにもかかわらず、過去に購入し取得した機械(固定資産)や文房具(貯蔵品)、前払した保険料(無料または割引で治療を受ける権利という資産)などを、当月の売上を獲得するために貢献したものと考え、資産の貢献分を金額に換算して費用計上します。

3次元での現実の取引に時間の概念が増えて4次元になる。ドラえもんのポケットが4次元空間に繋がっているように、過去のある時点に発生した支払いが、未来に遡って現在(当期)費用化する取引の代表的なものが減価償却費、経過勘定(前払費用)、貯蔵品です。

減価償却費
過去に購入した固定資産は当月の売上に貢献したとみなされるため、貢献分を費用化する。固定資産は取得価額はそのままに、減価償却累計額で間接的に帳簿価額を計算する。

  • Dr. 固定資産 900    Cr. 預金 900
  • Dr. 減価償却費 10    Cr. 減価償却累計額 10

前払保険料
過去に支払った1年分の保険料のおかげで、当月は病院で無料または保険割引で治療を受けられる。

  • Dr. 前払保険料 80    Cr. 預金 80
  • Dr. 保険料 10    Cr. 前払保険料 10

貯蔵品
過去に支払った貯蔵品のうち、当月消耗した分は当月の売上に貢献したと見なされる。

  • Dr. 貯蔵品 90    Cr. 現金 90
  • Dr. 消耗品費 10    Cr. 貯蔵品 10

このように現金の収入や支出に関係なく、経済的事象の発生または変化にもとづいて、その時点で収益または費用を計上することを発生主義の原則といい、業務システムへの入力は会計も含めて基本は発生主義ベースで行われます。

4次元の話から時間軸を消して3次元の現金の動きに戻す難しさ

せっかく発生主義の原則にもとづいて、頑張って現実世界の取引に時間軸の概念を取り入れて、4次元に話をまとめたのに、また3次元に戻すってどういうこと?とも思いますが、理屈では発生主義とか言っても、現実世界ではキャッシュの有無が会社の生死を決めますので、当月の現金の動きと残高を把握するには、発生主義ベースで作成したP/Lを現金主義ベースに修正する必要があります。

この発生主義ベースの実績入力を前提とした上で、手元で自由に動かせる真水の資産、すなわち現預金の動きがどれくらいあるかを把握するために現金主義への修正を行うのがキャッシュフロー管理です。

会社が儲かるというのはあくまでのP/L上で利益が出ているということであり、

  1. 債権債務が発生済み未決済の費用と収益
  2. 減価償却費分

を調整してキャッシュフロー計算書を作成することで、現金主義で直近の決済に対応するための経営情報が得られます。

3次元のモノの背景によって価値が異なる難しさ

現実世界では同じ製品でも前月からの在庫と当月製造されたものとでは評価額が異なり、出荷されたものには両方が混じっているため、売上原価の内訳は厳密には以下のようになります。

  • 前月からの製品在庫単価x出荷数量
  • 当月製造分の製品単価x出荷数量

つまり現実世界で同じように見える製品でも、いつ生産されたかという背景によって評価額が異なり、「製造原価=売上原価」となるのは売れるものだけ作る完全受注生産の場合のみ成立し、在庫を多くかかえる事業体ほど製造原価と売上原価の乖離が大きくなる傾向があります。

  • 今月購入した材料の費用が当月購入材料費
  • 月初の材料在庫と今月購入した材料のうち、今月投入した材料の原価が当月材料費(発生)
  • 今月の直接労務費と製造間接費が当月加工費
  • 月初の仕掛在庫と当月材料費と当月加工費のうち、今月完成した製品の原価が製造原価
  • 月初の製品在庫と今月完成した製品のうち、今月出荷した製品の原価が売上原価

現実的にはインドネシアの会社法と社内リソースの兼ね合い、経営管理部のサジ加減で可能な限り正確な評価額を計算してB/Sの棚卸資産の部に反映させるのですが、実際の棚卸作業で数え間違えがあれば出てきた数字は間違ったものとなります。

材料と仕掛品の棚卸が過少だと生産のためにたくさん投入したと見なされ製造原価が増え利益が減り、逆に棚卸在庫を過多で評価してしまうと生産のために少なく投入したと見なされ製造原価が減り利益が増えてしまいます。





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