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インドネシアのIT事情と日系製造業のシステム化の現状【2011年3月新興国セミナー@東京の登壇内容の抜粋】

はじめに

このセミナーの趣旨は、まずは「インドネシアのIT事情と日系工場のシステム化の現状」について理解していただくことであり、内容はすべて自分の実体験をベースに構成し、詳細な各論はネットで調べていただければと思います。

自分はインドネシアのジャカルタで、生産スケジューラAsprovaと生産管理システムの導入の仕事をしておりますが、それ以外にもサーバーの設置やネットワークの導入等で、毎日お客様の現場で作業をさせていただいております。

もともと日本の銀行系のシステム会社で勘定系と情報系のシステムの開発保守をやってまして、インドネシアは今年で14年目になります。

今回このセミナーに登壇させていただく機会をいただいたことで、11年ぶりに日本に帰国しました。

11年ぶりというと怪訝な顔をされる方がいますが、別に日本に帰れない理由があったわけではなく、以前バリ島で家具の輸出をやっていたときは、小金が溜まると支払いや次の仕入れに回そうと考えてしまうので、日本への旅行にお金を使おうという心の余裕がありませんでした。

久々に日本に帰ってきまして、日本は本当にきれいな国だな、整備されているなということを成田エクスプレスで車窓の景色を眺めながら感じました。

インドネシアの街はいまでこそ随分清潔になりましたが、それでも未だにいろんな病気も蔓延しています。

「泥水の中で生活している魚」は何がきれいで何が汚いか判らないと思いますが、今回澄んだ綺麗な水の中に落とされた心境です。

(2020年1月追記)首都ジャカルタ中心部の道路は整備され2011年当時に比べると随分清潔になりました。

インドネシア概観

(2020年8月追記)
2019年のインドネシアの人口は2億7千万人で、2018年度のGDPは1兆ドルで、日本のGDP4.9兆ドルの5分の1まで差が縮まりました。

とにかくジャカルタ中心部の渋滞は酷いです。

朝夕の通勤帰宅時は車に3人以上乗っていないと罰金を取られる「3in1(スリーインワン)」という制度があります。

私も客先から一人で帰るとき、裏通りを通るより3in1で規制されている大通りを通ったほうが早いので、しれっと侵入することもあるのですが、運悪く警察に見つかると罰金を取られます。

(2019年8月追記)3in1は廃止され、ナンバープレート末尾の数字による車両の進入規制策「奇数偶数制度」に移行しています。

罰金は警察のポケットに入りますので、その場で価格交渉になるのですが、だいたい5,000円くらいからはじまって1,500円くらいで落ち着きます。

インドネシアはとにかく街中バイクが多く、ほぼすべてホンダかヤマハかスズキかカワサキですので値段は決して安くなく日本と同じかそれ以上です。

それでも月の給料が1万円のメイドさんや2万円のドライバーですらバイクを持っているんですね。何で10万円以上するバイクが買えるか不思議ですよね。

(2020年1月追記)ジャカルタの最低賃金は4万円近くまで高騰しています。

インドネシアは分割払いのシステムが非常に発達しており、頭金5,000円、月々2,000円の8年ローンというのが普通にありますので、バイクや車を買いやすいです。

インフレが激しいので、例えば私が今15万円でバイクを買って3年後に売却するときでも10万円以上で売れたり、下手すると買った値段より高く売れる可能性だってあります。

だからバイクを買うのは「資産を買う」という意味が強く、給料の安い人も比較的躊躇せずにバイクを買う傾向があります。

インドネシアは中古市場が発達しており、ローンの途中でオーバークレジット(ローンの残りと一緒に売却すること)できるのが、インドネシア人が思い切って高価なバイクを積極的に購入する理由の一つでもあります。

同じ2輪でも自転車はどうなのということですが、最近は健康ブームで週末に早朝から自転車でサイクリングをする人をみかけます。

ただ交通事情が劣悪で道路は危険極まりなく、何よりも暑いので、日常生活での用事で自転車を使う場面はほとんどありません。

(2020年1月追記)健康志向が強まり土日の朝はジャカルタ中心部でも自転車に漕いで運動する人々が増えました。

ジャカルタのショッピングモール内は日本語だらけです。

日本のカレー、日本のチーズケーキ、日本のシュークリーム、日本のパン、とにかく「日本の」とつければ何でも売れるんじゃないかという幻想があるんじゃないかと思われます。

インドネシアの子供達はドラえもんとしんちゃん、ナルトを見て育ちますし、ラルクアンドシェルのコピーバンドっぽいのがあったり、インドネシアポップの歌詞の中に「愛してる」とか「あなたが好き」とかいうムが、日本人がインドネシアで生活しやすい環境を作っていると思います。日本人がビジネスをやる環境として他国に比べてやりやすいと思います。

(2020年1月追記)現在のインドネシアの若者の間では韓国のK-POPの人気が圧倒的で、モールの中には多くの韓国レストランやB級グルメの店が出ています。

ただやはりインドネシアでも韓国の勢いがすごくて、在留邦人は1万人いかないくらいですが、韓国人は3万5千人います。

また日本人は駐在員がほとんどなので、任期満了に伴って帰国しますが、韓国人は現地に根を張って商売をしている人が多い、これが大きな違いだと思います。

電化製品はSAMSUNG、LGが圧倒的に強く、テレビでも韓国ドラマがよく放映されており、やはり韓国人の勢いはすごいなあ、日本人もがんばらないといけないなあと思います。

インドネシアは1万8千の島からなる島嶼国家ですが、島の数はインドネシア政府ですら正確に把握していないといわれています。

人口ピラミッドは30歳以下の若者が人口の半分を占めるため、非常に理想的な形をしています。

インドネシア人が良く言うことですが、インドネシアは先進国になる条件は十分備わっています。

  1. 温暖な気候
  2. 豊富な天然資源
  3. 人口の多さ(人口ピラミッドの形が理想的)
  4. 豊富な観光資源

(2020年1月追記)2035年にはインドネシアはGDPで日本を追い抜くことが予想されています。

汚職、収賄、縁故主義がはびこっている以上、公正な経済活動が成り立たない、これがインドネシアの発展を阻害しているといいます。

輸出品目が石油や鉄鉱石など一次産業品目なので付加価値がつけられないのもキビシイ。これもよくインドネシア人が言うことですが、インドネシアで加工して付加価値をつけて輸出しないと、利益は先進国に持っていかれてしまいます。

インドネシアは他民族、多宗教、多島嶼(とうしょ) 国家です。大きな島が4つあり、ジャカルタにはインドネシア中からいろんな人が集まっており、東京と状況は同じです。

インドネシア人の生活費と収入

弊社の開発チームの一人がスマトラのリアウ島出身の中国系とスラウェシ島出身の中国系、ジャカルタ出身の中国系、メンバー全員が中国系インドネシア人です。

4%の中国系が80%以上の富を握っていると言われますが、確かに中国系インドネシア人は優秀であり、これは否定しようのない事実なんですね。

給料は基本給が7万円くらいで、プロジェクトコミッションを含めて12-15万円くらい、インドネシアでは非常に高給取りです。

一方でハードウェアの技術者はいわゆるインドネシア人(プリブミ)が多く、給料が上がらない構造になっています。

ハードの技術者は替えがゴロゴロいるので、嫌なら辞めてねというスタンスで、辞めても仕事を探すのは大変なので安月給で甘んじなければならないという面があります。

弊社で10年以上働いているハードの技術者がいますが、いまだに給料が2万円行かないというかわいそうな状況です。

ソフトウェアの場合は経験によって給料が上がりやすく、例えば業務に精通していない単純プログラマーなら3万~6万円、業務フローの知識があってコンサルテーションできるレベルなら8万-10万というようにステップアップできる構造になっています。

ですから人種によって職種が分かれる傾向があり、優秀なコンサルタントは中国系、単純プログラマーはプリブミ、ハードウェアもプリブミといった具合です。

また会社の中でも会計・財務は中国系が多く、中国系が重要な収入の高い職種につく傾向があるので、これがプリブミの嫉妬の対象になり、中国系に対する嫉妬が爆発したのが1998年の暴動でした。

オフィスの中で中国系とプリブミが普段は親しくしていても、時に給料が高い中国系に対する差別的な発言が今でも見られますが、はっきり言って中国系が圧倒的に優秀であるため、残念ながら弊社の場合はただの嫉妬と言わざるを得ません。

インドネシアは世界最大のイスラム教徒を抱える国であり、圧倒的にイスラム教徒が多いのですが、私の嫁はんは少数派のクリスチャンです。

結婚するにあたって宗教をそろえなければいけないので、私も書類上はクリスチャンなんですが、教会には行ったことがありません。

インフレ率は1998年に急上昇していますが、これはアジア通貨危機とインドネシア暴動の時期です。

経済成長率も1998年にがた落ちして急上昇して、リーマンショックで落ちましたが今は上昇傾向です。人口は産めよ増やせよで順調に右肩上がりで、少子高齢化社会に突入した日本からするとうらやましい状況です。

失業率も1998年の暴動時に一気に落ちましたが、ここ数年は比較的仕事を探しやすい時期だと思います。

世界有数の四輪二輪車市場

2009年から2010年にかけての二輪四輪車の販売台数の推移ですが、大きく販売が落ちることなく順調に売れています。ただ四輪に関しては今年がピークと言われています。

(2020年8月追記)
インドネシアの自動車出荷台数は、2013年の122万台をピークに下降気味であり、2019年が103万台で、コロナ禍の影響を受ける今年は目標の108万台から60万台と大幅下方修正されましたが、それでも達成するのは厳しいようです。

車の台数は増えても道路が拡張されないので、車の台数面積が道路面積を上回ってしまい、渋滞時は完全にデッドロックしてしまって全く動かないという状態になります。

ジャカルタの中心部から毎日1時間から2時間かけて工業団地を往復します。

行きは1時間で着いても帰りはひどいときは4時間以上かかることもあります。ジャカルタ中心部から東に向かう高速道路沿いに日系の商社さん系の工業団地が多いです。

経済が発展するにつれて製造業も景気が良いのでそれをむすぶ高速道路も混雑します。今インドネシアは非常に景気がいいのでどこの工場も活気があります。特に国内市場向けの製品、四輪二輪部品工場なんかは特に忙しいです。

ここまででインドネシアがだいたいどんな国か、そして今どれだけ景気がいいかというのが大よそつかんでいただけたかと思います。

インドネシアのモバイル環境

人口2億3千万人で今年は携帯電話契約数が2億件に達すると言われています。確かに子供から大人までメイドさんから運転手まで携帯を持っていますけど、さすがに幼児と赤ん坊は持っていません。

じゃあなんでこんなに多いのかというと、要は一人で2個も3個も持っているからなんですね。彼らに聞くと、同じキャリアー同士だと通話料が安いからと言うのですが、私が思うに机の上に携帯を2個も3個も並べておくことがかっこいいという風潮があるのが理由だと思います。

ちなみにさっきからメイドさんって出てきますけど、インドネシアはメイドさんというのは日本のメイドカフェのメイドさんとはぜんぜん違いますから。

インドネシア駐在の日本人なら普通メイドさんを雇っていますけど、せいぜい田舎から出てきた小娘かおばちゃんで、家に帰っても「おかえりなさいませ」なんて決して言ってくれませんので。そこだけ誤解のないようおねがいします。

インドネシア人はとにかく皆携帯大好きで、会議中でもお客さんの前でも平気でメールをやります。日本に比べて会議中は携帯電話を切るとかマナーモードにするという風土がなくて、携帯がなったらしょうがないじゃないという感じです。

ですからインドネシア人のスタッフとミーティングしているときに、彼の携帯がなって「ちょっと待ってください」といわれると最初は「なんだよ」と思いますが、そのうち慣れます。

日本ではどうか知りませんが、インドネシアでは写真にあるブラックベリーが圧倒的なシェアを占めています。

まだ主流はGMS、GPRSが主流ですが、UMTSの3Gが大分普及してきたところで、最近の新しいモデルはほとんど3G対応モデルだと思います。

携帯のキャリアーは3.5GのHSDPA対応を謳っているところがあるが、インフラが追いついているのか疑問です。それにデータ通信のためにスピードが速くなっても、利用するコンテンツが圧倒的に不足しているのが現状で、結局は利用するコンテンツFacebookかTwitterかとなってしまいます。

先ほども出ましたけど、みんな複数個持っており2個が多です。理由としては同じプロバイダ同士だと通話料が安いからとみんなよく言うのですが、ただの見栄っ張りなだけだと思います。

BlackberryとかiPhoneのようなスマートフォンを除いて純粋な携帯電話としてではNokiaが圧倒的シェアを持っています。インドネシアではNokiaの電波のキャッチが一番強いというのが理由です。

(2020年1月追記)スマートフォン全盛の現在、SamsungやLGなどの韓国系スマホ、またはOPPOやHuaweiなどの中華系スマホが市場を席捲しており、BlackberryとNokiaをインドネシアで見かけることは非常に少なくなりました。

データ通信の価格も大分安くなりました。だいたい月1000円から2000円で使い放題のデータ通信が利用できます。たださきほども申し上げましたとおりコンテンツが圧倒的に少ないので、使ってもFacebookかTwitter中心の利用になっています。

ジャカルタ中心部の大通り沿いは光ファイバーが来ていますけど、工業団地なんかの場合ネットワークのインフラが遅れています。

光ファイバーを提供する大手のプロバイダでも工業団地まで回線を引いていないです。ただこれはそのうち整備されていくとは思います。ですから弊社のお客様の工場でも、インターネットの口は2MbpsのブロードバンドADSLルーターだったりして、これですら月5万円くらいかかります。

それでも皆様結構我慢して使っていらっしゃいます。ただCADの図面なんかを日本とやり取りされるお客様は、インターネット接続が遅くてかなり不便を感じていらっしゃると思います。

3.5Gを売りにしたブロードバンドインターネットサービスもありますが、不安定で繋がらないときはまったく繋がりません。実測では500Kbpsでればいいくらいでしょうか。

インターネット事情

(2020年8月追記)
2020年のアジアのインターネット人口は1位中国(8.5億人)、2位インド(5.6億人)、3位がインドネシア(1.7億人)と3位であり、日本は1.1億人の4位になっています。

インターネットユーザー数は、中国は別格として3,000万人というのはインターネット強国と言われる韓国とほぼ同じ数字であり、アジアの中ではかなり多い国の一つにあげられます。

(2020年8月追記)
IndiHomeやFastmediaなどの高速通信回線サービスプロバイダーが提供する4G接続が普及し、都心部でのネット接続は速くなりましたが、他国に比べると回線の切断や速度ダウンの頻度が高いようです。

個人ユーザーの場合はUSBに差し込む方式のカード型のブロードバンドモデムでの接続が一般的になりつつあります。企業ユーザーの場合は、ジャカルタ中心部のオフィスには光ファイバーが来ている場合は、オフィスの中にゲートウェイとしてルーターを置くだけですが、工場の場合はADSLで電話回線を使うか、ワイヤレスブロードバンドルーターでプロバイダのネットワークに繋がっている場合が多いです。

JICAの専門家の方なんかは電波の届かない、かろうじて電話線がきているようなところで仕事をされていますので、いまだにダイアルアップ接続の需要もあります。

2000年より前はダイアルアップ接続が主流でしたので、インターネットに接続するにはプロバイダーに登録してWindowsに設定をしてというような作業が必要でした。しかもインターネットの仕組みがよく知られていない時代でしたので、インターネット接続サービスなるもので多くのお客様からお問い合わせいただき、これだけで結構儲かったという時代があります。

今はお客様のほうがPCに詳しかったりしますのでこういうサービスが成り立たなくなり、必然的に弊社内で抱えるハードウェアの技術者の数も随分少なくなり、当時は常時15名程いた技術者も今ではインフラ系の技術者を3人置くだけになりました。

フェイスブックの利用率が圧倒的に高く、フェイスブックのアカウントを持っていない人を探すのが大変なぐらいです。日本だとまだMIXIがトップシェアなのだと思うのですが、MIXIも実はインドネシア人がFreindstarの日本語版として開発して売却したものだと聞きますので、もしかしたらインドネシア人はソーシャルネットワークに対してマッチするのかもしれません。

ネットカフェは非常に多いです。ワルンというのが食堂とか屋台という意味でこれとネットをかけてワルネットと呼ばれています。私は日本のネットカフェに入ったことがありませんが、カフェといってもコーラやファンタが飲める程度で食べ物は売っていません。

(2020年8月追記)
現在はスマホでのネット接続が普及しているため街中でWarnetを見ることはありません。

日本のネットカフェはそこで一晩過ごせるくらい、椅子が快適で落ち着いた空間らしいですが、インドネシアのネットカフェはそれには到底及びません。

ハードウェアソフトウェア事情

WAN・VPN環境ですが、ジャカルタのHeadOfficeと地方の工場をVPNで結ぶという需要も最近でてきました。

弊社で生産管理システムを導入させていただく場合も、購買と在庫と製造の入力は地方の工場で、販売と会計はジャカルタのHead Officeでというようなケースがありますので、この場合はサーバーをどちらかに置いてVPNでアクセスするということになります。

たとえば弊社のお客さんでジャカルタとチレゴン間(ジャカルタの西約100km)を256kbpsのVPNで結ぶ場合につき2000ドルを支払っているところがありますが、256kbpsだと1端末から会計のトランザクション入力を行うと、他の端末からのスループットは一気に落ちます。

PCやルータなどのハード機器やソフトウェアは日本と同じく最新のものが入手できます。ただソフトは海賊版が出回るので、個人でPCを購入する場合にプリインストールされている場合はOEMの正規版のWindowsが入っていますが、それ以外でたとえばOfficeやフォトショップをインストールしたいといった場合は9割以上はコピーを250円で入手してインストールするのが一般的です。

一般的なんて言ったらいけないのですが、著作権の意識が非常に希薄ですので不法コピーを撲滅するのは至難の業ではないかと思います。

また弊社はシステム会社ですので、ハードウェアとソフトウェアの技術者が両方いるわけですが、先ほども申し上げましたがハードウェアの技術者は数が多いので給料が上がりにくい傾向があります。弊社のハードの技術者で12年働いているのがいますが、12年前とほどんど上がっていません。

一方ソフトのプログラマーやコンサルタントは経験と能力に応じて給料があがります。ですから先ほど出た中国系インドネシア人はソフトウェアの技術者を選ぶことが多いです。弊社のプログラマー兼コンサルタントはまだ20台後半と若いですが、しっかりとした能力を持っています。

業務フローの一通りの流れを把握しており、お客からのシステム化の要求を、弊社の生産管理システムにどのように反映させていくかということについてのコンサルテーションを行うことができるレベルです。ですから結構いい給料をとっています。基本給が8万円くらいで、これにプロジェクトコミッションがありますので、だいたい月10万円から15万円くらいで、インドネシアでは高給取りに分類されます。

ここまでで、インドネシアの一般的なIT事情についてご説明させていただきました。

インドネシアが未開のジャングルではなく、比較的ITという面では進んでいるということがお分かりいただけたかと思います。ここからは、実際に弊社の日常業務として製造業のお客様の現場を訪問させていただいている経験を基にして、日系製造業のシステム化の現状と題しまして、業務システムの導入に際しての問題点、インドネシアならではの特殊な事情等を現場の声としてご説明させていただきます。

ただこれは私が独立系の小規模の会社の社員としてお客様とお付き合いさせていただいている場合の事情ですから、仮に日本のもっと名の知れたITインテグレータの会社としてなら、もっと違う感じ方になるかもしれません。このあたりの事情についてご留意いただけましたらと思います。

業務フローのシステム化の現状

弊社のお客様は比較的中小が多いので業務フローすべてがExcelという会社もザラではないです。

まあシステム化の目的はというと、「業務効率を上げて全社的なコストを下げる」というものだと思いますが、これを実現する方法は必ずしもシステム化であるというわけではなく、インドネシアは人件費が安いので無理にシステム化するより人を増やして人海戦術で業務処理を行うほうが割安でリスクも小さいというのも一つの考え方だと思います。

現に2000年頃に日本主導で比較的大規模なシステムを導入されたお客様で、結局うまいとこ使いこなすことができずに、償却期間が過ぎたちょうど今のタイミングでダウングレードして会計回り以外はすべてExcelに戻すというところも出ています。このようにシステム化がうまくいかない原因はいろいろ考えられます。

私が考えますに、インドネシアでのシステム導入で一番重要なことはコミュニケーションだと思っていますので、まずはお客様の日本人担当者とのコミュニケーション、次に現場のローカルリーダーとのコミュニケーションがうまくいく必要があります。

だいたい日本人経営者とローカルリーダーとのコミュニケーションはうまくいっていないのが普通ですので、この間の橋渡し的役割もしないといけません。

これはお客様の問題なので社内で調整して意見をすり合わせてください、と言ってしまうのは簡単ですが、そうするとまずスケジュールどおりにインプリが進みません。

これまでインプリが途中で頓挫している場合、導入業者の責任であることはもちろん、もっと基本的なコミュニケーション不足に起因することが多く、システム化することによって何ができて何ができないのかといった認識の共有すら出来ていないこともあります。

インドネシアの製造業は生産管理システムがまだ導入されていないところも多いのですが、生産管理システムなしでAsprovaをどのように導入するのか、という大きな問題があります。

日本だとAsprovaを導入される場合、お客様に既に生産管理システムが動いている場合が多いかと思いますが、インドネシアの場合は何もないところに導入するというのが大きな違いです。

一般的には生産管理システムが先で、それがきちんと回った上で、システム化がされていない唯一の分野であるスケジューリングもシステム化しようという風になるのかと思いますが、インドネシアでそれくらいIT化の進んだ顧客は、日本主導でIT化が進められるケースが多いです。

ですから今のように日本の景気があまりよくないときは、日本に投資するのではなく収益があがる海外、特に新興国へのIT投資ということになるのだと思いますが、そうなると日本主導のIT投資が増えてしまい、弊社の出る幕がなくなってしまいます。

インドネシアへのIT投資が増えることは現地に根をはるシステム会社にとっては喜ばしいことのように思えますが、必ずしもそうでないという複雑な状況になっています。

弊社のお客様は、日本からのIT投資の指導がそれほど行き届かない中小の工場が多く、基幹システムが入っていない中小の工場にいきなり計画系のシステムの導入を進める場合にどうすればいいのか、というのは弊社の永遠の課題のようなものです。

弊社の場合、Asprovaをプリセールスする場合に心がけていることは、まずは社長さん、経営トップにAsprovaのコンセプトを訴えかけます。

Asprovaのうたい文句であるリードタイム削減、在庫削減、キャッシュフローの増大というのは、経営者の方が思い描く理想に結構ピタッとはまりますので、トップの方が思い描く理想とAsprovaのうたい文句がうまくはまると、とんとん拍子で導入が決まっていきます。

要はトップダウンで現場の反対を押し切ってでも導入を推進していただける力のある社長さんがいる中小の工場に入りやすいです。これまで弊社で4社様に対してAsprovaの導入を行わせていただきましたが、いずれも生産管理システムのないところですが意外とスムーズに導入も進み稼動までこぎつけます。

 

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