ポストコロナ禍のインドネシアでの会計システムの在り方

2020/04/21

ジャカルタのSCBD(Sudirman Central Business District)

インドネシアでもクラウド会計システムの性能向上と低価格化が著しくて、ポストコロナ禍は益々業務のリモート化が進むことが予想され、会計業務のシステム化はIT会社ではなく、会計事務所が記帳代行サービスや税務コンサルとセットで行うのが主流になると考えられます。

近年のクラウド会計システムの性能向上

現在インドネシアの企業の間で有名なクラウド会計システムと言えばAccurate OnlineとZahir Onlineですが、銀行口座と連携した自動仕訳や口座とシステムの自動リコンサイルができるJurnal、オーストラリアの老舗会計ソフトのMYOB onlineやニュージーランド発のクラウド会計ソフトXERO、また純メイドインジャパンのBridge Noteなどがあります。

  • Accurate Online
    インドネシア国内に30万ユーザーを抱えるインドネシア企業の準標準会計システム。
  • Zahir Online
    インドネシアではAccurateと双璧をなす純国産会計システム。
  • Jurnal
    インドネシアのSaaS企業が提供するクラウド会計システムであり、Mandiri銀行、BCA銀行、BNI銀行、CIMB NIAGA銀行のネットバンキングとの連携が特徴。
  • MYOB Online
    インドネシアでも古くから普及していたオーストラリア製の廉価会計ソフトの定番のクラウド対応。
  • XERO
    2006年にニュージーランドで設立された比較的新しい会社であり、クラウド会計ソフトとして全世界に100万サイトのユーザーを抱える。
  • Bridge Note
    インドネシアで純日本製クラウド会計システムとして孤軍奮闘。

会計システムがクラウド化されやすい理由として、会計業務自体が会社ごとに大きな差はなく標準化しやすいことはもちろんですが、その本質は最大公約数的に標準化されたシステムを使った場合でも業務効率が十分最適化し易いことに尽きると思います。

弊社の業務システムHanafirstにも会計モジュールがありますが、日進月歩の進化を遂げるクラウド会計製品のUI/UXには勝てませんので、現在のところ一般会計機能を切り離し、お客様が利用する会計システムとの連携のし易さを第一に考えた提案をさせていただいております。

会計コンサルが提供することにより月額料金が低価格化

会計システムのクラウド化が進むことで会計事務所が会計記帳や税務コンサルとセットでクライアントに会計システムを月額で提供するのが主流となると考えられます。

インドネシアでもクラウド会計システムの性能向上と低価格化が著しくて、ポストコロナ禍は益々業務のリモート化が進むことが予想され、会計業務のシステム化はIT会社ではなく、会計事務所が記帳代行サービスや税務コンサルとセットで行うのが主流になるはず。

高額なパッケージソフトを導入する場合、初期投資以外に年間15%~20%かかるライセンス保守費用や、月々かかる技術サポート費用などの固定費がかさみますが、ポストコロナ禍で各企業はこれまで以上に会社運営の固定費を押さえる傾向になるはずです。

各製品の価格表を比較しても機能の違いがあるため一概には判断できませんが、シェア獲得を第一と考えた低価格で提供されており、特に現在は新型コロナの影響による企業の固定費負担を下げる救済措置として、プロモーション価格を提示している製品もあります。

低価格で起業に提供できるのは記帳代行や税務コンサルの延長上としてシステムを提供できる会計コンサル会社であり、Sier(システムインテグレーター)によるオンプレミス型(自社内にサーバーを設置)の会計システムの導入の機会は減少していくと思います。

システム導入と運用の現地化

インドネシアにおける新型コロナウイルス感染拡大により多くの日系企業が駐在員とその家族に帰国命令を出した理由は、感染のリスク自体よりも、感染した場合の現地の医療事情に対する不安であったかと思います。

ITAS(期限付き滞在許可証)保有者や外交官以外の出張者や観光客の入国は、トランジットも含めて4月2日から禁止されており、今後日本からの出張者は確実に減り、駐在員の削減に踏み切ることが考えられます。

これは業務システム全般に言えることですが、会計システムの導入はインドネシア側主導で、現地の会計コンサル会社もしくはIT企業の支援の下で行い、技術的な問題への対応はインドネシア側のみで完結できる体制になっていくはずです。

2020年の流行語であるWFH(Work From Home)により、会社全体としてリモートでの業務のやり方が問われるようになりますが、物理的な人の移動を極力減らしながら独立性の高いシステムの運用に変化していくことは間違いないはずです。