インドネシアでの製造業IoTの導入【稼働管理と傾向管理による予知保全】


インドネシアで製造業IoTが必要な理由

インドネシアでシステム営業のために工業団地のお客様を訪問すると、これまで担当者の方からよく言われるセリフとして「うちの社長(会長)は機械には積極的に投資するがシステムへの投資は消極的」というのがありました。

これは日本への輸出のみとかインドネシアの日系企業のみとか、特定の顧客クラスタからの右肩上がりの受注を貰えた時代に、生産能力増強一辺倒の事業戦略を取ることでインドネシアで生き抜いてきた中小のオーナー会社でよく聞く話です。

ところが現在のように大口顧客からの大ロットの受注を安定的に保障されるとは限らず、複数顧客から小ロットの受注を積み上げていかないと業績をキープできない時代には、製造業の至上命題である生産性向上によるコスト削減により競争力を上げていく努力が必要にあります。

これはインドネシアの国内産業全般の海外への輸出競争力にも言える話であり、実際にインドネシア国内の自動車生産能力は300万台以上あるにも関わらず、生産は100万台弱のまま停滞しているのは輸出競争力がないことが最大の理由です。

国富を増やすには輸出競争力を高めることが不可欠であり、そのためにIT技術により生産性向上を目指すべく、インドネシア政府はインダストリー4.0のインドネシア版であるメーキングインドネシア4.0を提唱してきたものの、具体的ガイドラインが提示されないままです。

2020年2月現在は「機械には投資するがシステムへの投資はちょっと」という時代から「やらないと世界で戦えない」という認識に変わりつつある転換期であると思いますが、製造業でIoTを導入する目的とは、材料・仕掛品・製品などの生産財を効率よく流動させるための機械や人など資本財の情報を収集することです。

製造業IoTの内容

製造業のIoTで「モノとインターネットが繋がる」という場合のモノとは「生産財(industry goods)」と「資本財(capital goods)」であり、生産財の内訳は材料・仕掛品・製品など、資本財の内訳は機械や人です。

そして生産財について収集する情報は投入数と生産数、歩留まり数とNG数などの「成果」であり、資本財について収集する情報は直接時間(稼働時間と作業時間)と間接時間(停止時間)、温度や回転数などの「状況」です。

  1. 成果:生産財の実績情報⇒投入数・生産数・歩留まり数・NG数
  2. 成果:生産財の品質管理情報⇒NG理由・NG画像情報
  3. 状況:機械の保全情報⇒直接時間(稼働時間)・間接時間(停止時間)・温度・回転数・ストローク数
  4. 状況:人の保全情報⇒直接時間(作業時間)・間接時間(休憩時間)

これらが製造業IoTで生産財や資本財から収集される情報であり、1と2は従来型のERPシステムでの管理対象でしたが、3と4は製造実行システム(MES)の管理対象であり、その目的は生産効率を向上させるための判断材料とすることです。

機械の保全情報

保全とは機械が壊れないように日頃からメンテナンスすることであり、保全部(maintenance)の仕事はプレス機のショット数や稼働時間から定期的に部品交換などのメンテナンスを行う「予防保全」と、機械に問題が発生する兆候を予測する「予知保全」に分かれます。

弊社では既存のパトライトやアナログメーターをそのまま数値データに変換し、予知保全のためのデータ解析を行い、機械の稼働率や性能変化を「見える化」することで、稼働管理と傾向管理を実現させるIoTシステムをご提案しています。

  • 稼働管理⇒パトライトに設置した光センサーから点灯情報を取得し稼働時間を収集する。
  • 傾向管理⇒温度計、電流計などのアナログメーターを画像分析し数値データに変換する。

収集されたデータを将来の機械停止の防止や、性能劣化の原因分析や因果関係分析に役立てることが生産性向上に直結します。

IOTインドネシア
左図はパトライトの信号色を光センサーで感知し、機械の稼働時間や停止時間を数値データに変換、右図はアナログメーター画像を監視カメラで取得し、数値データに変換するIoTシステム。

ポイントは既存のアナログ機器をIoT対応機器に買い替えることなく、IoT導入をお手軽にスモールスタートできることであり、本格的な機器の買い替え時期までを中継ぎ的に安価なIoTの導入が可能です。