インドネシアの財産分離所有(pisah harta)を明記した婚前契約書

2016/08/13

ジャカルタのコタトゥア地区

インドネシアの土地所有形態のうち、Hak Milik(所有権)はインドネシア国籍者のみ、Hak Guna Bangunan(建築利用権)は会社名義の不動産で有効期間30年+20年延長可能、Hak Pakai(使用権)は定期借地権付き住宅で有効期間25年+20年延長可能です。

インドネシアの不動産に関する権利

足掛け10年住み続けたKuninganのアパートから、オフィスに近いGrand Indonesia裏のアパートに引越して1週間ほど経ち、ようやく部屋の荷物も片付き、普通の生活ができるようになりました。

今は景気が傾いているので、オーナーとの交渉は比較的容易で、借りる側からすると大胆に値引き交渉ができる状況とはいえ、貸す側であるオーナーとしても、国籍や家族構成によって貸したい人と貸したくない人があります。

仮に部屋を貸した相手が麻薬取引等の犯罪者になった場合、部屋のオーナーのみならず仲介した不動産屋にも警察の捜査が入りますので「おとなしくて金払いがいい」とされる日本人は「貸したい側」に属するようです。

アパート投資は「購入後、8年~10年貸して元手を回収してから、2倍に値上がりした価格で売る」のが理想とされていますので、もうすぐ築10年になるこのアパートもだいぶん売り広告が出ており、今回部屋の仲介をしてもらったCentury 21のおっちゃんも、会うたびに聞いてきます。

  • 購入の予定はないの?

この際に仲介屋のおっちゃんから以下のことを必ず聞かれます。

  • 婚前契約書(Perjanjian perkawinan)はあるよね?

インドネシアの不動産に関する権利は以下のように大別されます。

  1. Hak Milik(所有権)
    インドネシア国籍者のみ
  2. Hak Guna Bangunan(建築利用権)
    会社名義の不動産はほとんどがこれで有効期間30年+20年延長可能。
  3. Hak Pakai(使用権)
    定期借地権付き住宅で有効期間25年+20年延長可能であり、在住外国人名義(年間183日以上滞在のKITASホルダー)での不動産所有はこれしかない。
  4. Hak Guna Usaha(事業利用権)
    大型事業用地で可能であり、有効期限35年+25年延長可能。

インドネシアで外国人は土地の所有権(Hak Milik)を持つことはできませんので、個人レベルの話に限定すれば、インドネシア人名義で購入するか、自分名義の使用権(Hak Pakai)で購入するかのどちらかになります。

もう15年以上前の話ですが、日本の友人がバリ島のNusa Duaの一軒家に投資した際には、土地証書(Sertifikat Tanah)の名義人をインドネシア人(名義人はインドネシア国籍保有者名のみ)、抵当権に自分の名前(抵当権利者には外国籍保有者名が可能)を設定しました。

つまりインドネシア人が一軒家を担保にして友人から金を借りたということにするわけですが、インドネシアの土地取引ではいろいろ悪い話は聞くとはいえ、しっかりしたNotaris(行政書士)で作成した土地証書であれば、さすがに抵当物件を無断で売却はできないと思われます。

この友人の場合、幸い名義人のインドネシア人が信頼できる人だったので、売却も問題なく行なわれましたが、選ぶ人を間違うと、売却するときに何らかの条件を付けられるリスクはあると思います。

Hak Pakaiはあくまでも土地の上にある建物に対する権利(Hak atas tanah)であり、売却時には国に費用を払ってHak Milikにアップグレード(Meningkatkan Hak Pakai Menjadi Hak Milik)できるようですが、対象は5,000平米以下の土地であり、転換後の土地の利用目的は住宅に限定され、当然ながらHak Milikとして売却できる相手はインドネシア人です。

手続きはNotarisでやってくれますが、おおよそ以下のような想定の範囲内の書類が必要になります。

  • 住宅(rumah tinggal)用のIMB (Izin Mendirikan Bangunan)。
  • 土地のある地域(kelurahan)を管轄する役場から「住宅用に使用することを証明する」という書類を発行してもらう。
  • Notarisで転換証書(Akta perubahan)を作成するために、当然ながら名義人や売却相手のKTP等の身分証明書、委任状(Surat kuasa)などが必要。
  • 固定資産税(PBB=Pajak Bumi dan Bangunan)を納税したときに役場からもらった最新の領収書。

国に支払う費用は所定の計算式がありますが、経験のないことをいろいろ書くのもなんなので「Meningkatkan Hak Pakai Menjadi Hak Milik biaya?」とかで検索すればわんさか出てきます。

で、アパートの話に戻ると、2016年8月現在は一定の条件を満たす物件(価格が5Milyar以上)であれば、外国人名義で新築アパートの購入ができるようですが、アパートの部屋は読んで字のごとく「共有の土地に建てた建物の一室」であり、その権利は日本と同じく区分所有権(Strata title)になります。

インドネシアは夫婦共有財産制

バリ島のデンパサールとサヌールでブティックを開いていた2006年当時、将来のジャカルタ進出を見越して、マンガドゥアのパサールパギとITCを繋ぐ、Jembatan ITC-Pasar Pagi Mangga Duaで絶賛売り出し中だった、4平米強の小さなKIOS(商業店舗区画)のHak Pakai(使用権)を購入しました。

当時のベストセラーだったロバートキヨサキの「金持ち父さん」シリーズの中の「商業不動産を買うなら昔から長く栄えてきた有名な地域を買え」という教えを元に、昔からジャカルタの卸の中心であるマンガドゥアの物件を探しに何度もジャカルタに通ったもんです。

使用期間20年のHak Pakaiも今年がちょうど10年目、購入当初は「7年貸して価格が2倍になったところで売却」という甘い未来予想図を描いていましたが、その後ジャカルタに雨後の竹の子並みにモールが建設されまくり、交通渋滞が危機的レベルまで悪化した現在に至っては「わざわざマンガドゥアまで行って買い物しなくても近場でいいじゃん」というジャカルタ市民の意識の変化により、マンガドゥアの商業地域としての相対的地位が下がってしまったのは想定外でした。

ここ数年、予定より安い価格で賃貸してきましたが、契約期間終了に伴う借り手探しがあまりに面倒すぎるため、安値で売りに出したところあっさり売れたのは嬉しいのですが、金利とか交通費とか諸々の経費を考慮すると、残念ながら大した利益は出ていません。時間コストと体力コストも考慮したら赤字かも。

キオスの名義人はうちの嫁はんであり、売却に必要なものは嫁さんのKTPとKK(Kartu Keluarga)とNPWP(Nomor Pokok Wajib Pajak 納税者番号)、配偶者である僕のKITAS、それと財産分離所有を明記した婚前契約書(Pisah harta)です。

インドネシアは夫婦共有財産制なので、不動産取引には配偶者のサインも必要になるのですが、不動産の名義人になる資格がない外国人を配偶者に持つインドネシア人の場合、Pisah hartaが必要になります。

不動産投資の成果は景気変動に左右されるのは仕方がないとしても、KIOSやRuko(住宅兼商業店舗)などの商業用不動産よりも、一戸建てやアパートなどの居住用物件のほうが固いかもしれません。

ただしアパート投資も管理会社が区分所有権(Strata title)の手続きをしていないため権利書が発行されなかったり、建物を建てたあと建築許可(Izin Mendirikan Bangunan=IMB)が取れていないことが判明し、入居不可で揉めたりした事例があるので、事前に必ずNotaris(行政書士)等にチェックしてもらうことをお勧めします。

財産分離所有(pisah harta)を明記した婚前契約書(Perjanjian Perkawinan)

インドネシアは夫婦共有財産制(Harta bersama)が基本にあり、例えばインドネシア人夫婦が旦那さん名義で不動産を購入して売却する場合にも、奥さんの承認が必要になります。

つまり不動産の名義人になれない外国人配偶者を持つインドネシア人は、Harta bersamaの原則から外れますので不動産の購入はできないことになりますが、結婚前に婚姻前の契約(Perjanjian Perkawinan)を作成し、その中に財産分離(Pisah Harta)について明記しておけば可能になります。

結婚式の数週間前にデンパサールのNotarisで作成したPerjanjian Perkawinanを久々に読んでみると、動産(Brang-barang bergerak)・不動産(Brang-barang tidak bergerak)の種類によって規定がされています。

 

PASAL 1. 夫婦間のモノや債権債務、損益等はごっちゃにせず結婚前後の財産や借金も分離して責任を持つ。

  • Antara suami-isteri tidak akan terjadi pencampuran harta baik dari barang-barang, hak-hak mapun dari hutang-hutang, demikian pula segala pencampuran dari keuntungan dan kerugian atau dari penghasilan dan pendapatanpun tidak akan terjadi.Kekayaan dan hutang dari masing-masing pihak meskipun ada terjadi sebelum dan sesudah perkawinan dilakukan tetap menjadi hak atau tanggungan masing-masing pihak.

PASAL 2. 嫁の財産や収入はすべて嫁のものであり、管理(売却とか)に旦那の承認は必要なし。

  • Pihak isteri berhak mengurus dan menguasai harta kekayaannya sendiri baik yang bergerak maupun tidak bergerak dan memakai segala penghasilan dan pendapatan untuk dirinya sendiri.Terhadap pengurusan itu pihak isteri tidak perlu dibantu oleh suami, tetapi meskipun demikian pihak isteri dengan ini diberi kuasa dengan kuasa tetap seperlunya oleh pihak suami untuk melakukan pengurusan tersebut dengan tidak usah mendapat bantuan dari pihak suami.

PASAL 3. 生活にかかるもろもろの費用は旦那が責任を持ち、嫁が請求されることはない

  • Biaya-biaya untuk rumah tangga, untuk mendidik dan memelihara anak-anak yang dilahirkan dari perkawinan mereka dipikul oleh pihak suami, sedangkan pihak isteri tidak sekali-kali dapat ditagih atau digugat perihal hutang-hutang yang berhubungan dengan biaya-biaya itu.

PASAL 4. 結婚後に取得した動産は権利書で所有を管理せねばならず、権利書がないものは嫁のもの。

  • Brang-barang bergerak yang oleh masing-masing pihak didapat dari apapun juga sesudah perkawinan dilansungkan wajib dibuktikan dengan surat-surat atau dengan pertelaan yang ditandatangani oleh kedua belah pihak dengan tidak mengurangi hak pihak isteri atau akhliwarisnya untuk membuktikan adanya barang-barang itu atau seharganya dengan bukti-bukti lain atau pengetahuan umum/jalan yang dimaksud dalam Undang-undang.Barang-barang bergerak yang tidak dapat dibuktikan dengan pertelaan tersebut atau surat-surat lain, bahwa itu kepunyaan pihak suami, tidak boleh dianggap sebagai kepunyaan pihak suami, tidak boleh dianggap sebagai kepunyaaan pihak suami, akan tetapi akan dianggap kepunyaan isteri.

PASAL 5. 服や装飾品は日常使っている側のもの、家の中の日用雑貨は嫁のものでこの書類で定義する対象外。

  • Pakaian-pakaian dan perhiasan-perhiasan yang ada pada masing-masing pihak pada waktu perkawinan diputuskan atau pada waktu diadakan perhitungan menurut Hukum, akan dianggap sebagai kepunyaan siapa diantara pihak yang memakai atau dianggap biasa memakai barang-barang itu, sehingga terhadap barang-barang tersebut tidak akan diadakan perhitungan.Segala macam barang-barang untuk keperluan rumah tangga termasuk pula perabot-perabot makan, minum dan tidur yang ada didalam rumah suami-isteri pada waktu perkawinan diputuskan atau pada waktu diadakan perhitungan menurut Hukum akan dianggap kepunyaan pihak isteri, sehingga terhadap barang-barangtersebut tidak akan diadakan perhitungan.Akhirnya kedua belah pihak menerangkan, bahwa dalam perkawinan yang akan dilakukan itu, selain pakaian dan barang-barang perhiasan mereka masing-masing serta barang-barang perhiasan mereka masing-masing serta barang-barang lain yang sudah tercatat atas nama masing-masing pihak yang para penghadap menerangkan tidak perlu diuraikan lebih lanjut dalam akta ini, menerangkan masing-masing tidak membawa apapun yang perlu ditulis dalam akta ini.