「方法序説」が今も教えてくれること

インドネシア生活

「方法序説」が今も教えてくれること 【真理は現場にしか存在しない】


多様性の先にある唯一無二の真理

小中学生の頃、部屋の壁に「やればできる」とか「絶対あきらめるな」とか、自分を奮い立たせるようなスローガン(主義主張を簡潔にまとめたもの)を紙に書いて貼っていた人は多いと思いますが、自分の場合は今でもネットから拾ってきた大切な言葉とか、忘れたくない行動指針とかをEvernoteにメモっています。

これが1年後に読み返してみたら、バカ丸出しのことを書いていたりして、自分で書いて自分で赤面したりするのはさておき、かつては部屋の壁に貼ってあった自分だけのためのありがたい言葉を、最近はFacebookやTwitterで一般公開する人も多く、これらを読むと他人が今何を考えて生きているかが垣間見えて非常に興味深いわけですが、他人の書いたこういう標語は、意外と違和感なく自分にも当てはまることに気づきます。

他人にとってのありがたい格言が、何故自分にも当てはまるかといえば、同じ社会生活をおくる人間同士の間で、他人の人生の真理は自分にとっての真理と違いがあるものではなく、多様性の先にはすべての人間にとっての唯一無二の真理があるからだと考えられます。

フランスの有名な哲学者であるデカルトの「方法序説」という本を紹介されたのは、本来人生で一番危機感を持って勉強しなければいけない予備校生時代であり、薄い文庫本だからすぐに読めるだろうと思って気軽に買ったところ、難しくて打ちのめされた記憶があります。

「方法序説」の中では、真理を見出すために重要な4つの規則が説かれますが、今インドネシアで仕事をする上でも当たり前のように必要な事柄ばかりです。

  1. 明証性の規則:明確なエビデンスを根拠とした判断のみが重要。要は偏見やガセネタに惑わされず注意深く判断しろということ。
  2. 分析の規則:複雑で難しい難問も、モジュールに分割して少しずつ考えると判りやすくなる。
  3. 総合の原則:難しい問題はさておき、簡単な問題から先に考えて、少しずつ全体像を把握していくこと。
  4. 枚挙の規則:漏れがないかの最終レビューの重要性。

この4つの規則の理解の仕方は、そのとき自分が置かれている生活環境や仕事環境の中で咀嚼(物事や文章の意味を考えつつ味わうこと)され、人生経験に応じて解釈の仕方が変化し、今の生き方に深く影響を及ぼしうるという意味で、デカルトの「方法序説」は自分にとって良書に該当します。

最終到着地に神が存在するか否か

今は激しい時代の変化の波にあわせて自分も変化し続けないと生きていけない時代であり、名だたる大企業ですら設立当初の商売と今の商売が全く変わっているのはごく普通であり、ソフトバンクや楽天だって今の収益構造の中でのプロフィットセンターは投資事業と金融事業です。

この変化していい部分とは企業にとってのビジネスプランであり、その奥には一度決めたら修正は慎重に行うべきビジネスモデルがあります。

ビジネスモデルはどうやって企業として収益を上げてゴーイングコンサーンしていくかという戦略であり、そのさらに奥には企業がビジネスモデルで収益を上げるよりも前に、社会の中でどのような貢献ができるか、どんな社会を創り上げていきたいかという企業理念があります。

個人の場合と同様に、法人にとってのスローガンが企業理念であり、それは社会の中で企業がどのような存在でありたいかを端的に表現したものであり、企業の社会的役割という真理を追究した結果として導き出される企業理念は、すべての企業にとっておおよそ似たようなものになるはずです。

なぜなら法人にとっても個人と同じく、真理は唯一無二のものであり、仮に追求した結果、異なる真理が得られるとすれば、それは最終到達地点に、絶対的存在としての神が存在するか否かの違いしかないと思います。

昨日日本人同士が集まる飲み会があり、基本無宗教の日本人と宗教ありきのインドネシア人についての話が出ました。

  • 日本人からすれば、インドネシア人が宗教ありきの生活をするのはなかなか信じられないよね

インドネシア人が神の存在証明をした上でイスラム教やキリスト教を信仰しているとは限りませんが、うちの嫁さん(クリスチャン)も含めて神は絶対的無二の存在であり、神こそが真理であり、ここに無宗教の日本人が議論をふっかける大儀はありません。

    我思う、ゆえに我あり

この超有名な言葉は、真理を追究する過程にあり未だ真理に到達できていない自分が、完全なる神の存在を認識できているということは、自分自身が完全なる神から創造されたものであるからに他ならない、という神の存在証明を表現したものです。

この神の存在証明の必要性については、自分のまわりのインドネシア人全員が神の存在を当然のものとして生きているという環境の中に置かれているからこそ、無宗教の日本人である自分ですら、納得はできないものの、その必要性については理解はできるのかもしれません。

旅をする理由

デカルトは真理の追究を書斎の中で行うことに限界を感じ、外の世界に出て人と話すことで、唯一無二の真理を見出そうとしました。

寺山修司の「書を捨てよ町へ出よう」もそう、現代社会で言えば、インターネット中心のオンラインの世界に生きている人が、インターネットは情報収集に便利だが、そこに真理はない、真理は現実世界にあると気づいて旅に出るようなものです。

オンライン上の見栄えのいい仕事や儲け話はポジショントークで粉飾されたレッドオーシャンの中にある可能性が高く、重要なのはそこに社会に貢献するプロダクトやサービスがあるかどうかであり、真贋(本物と偽者を見分けること)のために必要な能力は、オンラインではなくオフラインの現実世界での経験からしか磨くことはできないと思います。





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