登録済み出荷指示書一覧の品目ロット明細行を、倉庫での仕分け作業単位に束ねたものがピッキングリストであり、あくまでも正しい品目ロットの現品を選んだかどうかを照合するために使用するのであって、受払に影響する出荷実績は出荷指示NOと品目ロットをキーに登録されます。
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生産管理システム
生産管理業務は工場ごとに異なり、システムの開発導入も一品一様にならざるを得ず、工数が嵩みがちです。結局のところシステム導入の成否は、顧客の利益を優先しシステム導入効果を感じて欲しいという熱意であり、ある意味精神論に帰結します。
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払出全般に必要な出庫依頼伝票
以前に製造業のお客さんから「在庫管理システムのみを導入したい」という依頼を受けた際に、単に入出庫の受払機能だけでは現状のExcel管理と大差がないので、システムから出庫依頼を入力し伝票を発行できるようにすることがあります。
インドネシアでは鉄の板材や棒材は転売が容易であり、製造スタッフが自由に材料を持ち出せると、盗難のリスクが高まるため、使う人と出庫する人の責任を、伝票という媒体を通して明確に分けることが、月末の棚差を減らすことに繋がります。
倉庫スタッフは夜勤時にはいないので、製造スタッフは夕方のうちに出庫依頼伝票を提出して、夜勤で使う材料分を出庫してもらうというルールのおかげで、製造スタッフが勝手に材料を持ち出すことを防ぐ目的があります。
さらにこの出庫依頼の入力の際に、出庫理由をシステムに登録させることにより、製造払出のための出庫指図、外注払出のための出庫指図、出荷指図、倉庫間移動のための移送指図、廃棄指図など幅広い用途で使えるように汎用性を持たせることができます。
出荷エリアに仕分けるためのピッキングリスト
払出業務の中でも出荷のための出庫は少し特殊で、通常はその日に出荷するモノは倉庫からまとめて取り出して、出荷エリアに積み上げることが多く、出荷の作業単位で1枚にまとめたリストと現品が合致しているかを照合します。
この場合販売管理の出荷機能の中で、受注情報に紐づいた出荷指示を入力し、出荷指示の明細を仕分けの単位に束ねたものがピッキングリストになります。
例えば複数の出荷指示書の明細に対して、今日の日本向けの輸出のために40フィートコンテナ1個に積み込む製品にピッキングリストNOを付番してピッキングリストを作成し、出荷エリアに置かれた製品をスキャンして照合し、照合結果がOKであれば出荷完了登録を実行します。
出荷のためのピッキングリストの明細行には、発行済み出荷指示一覧の明細情報のうち、出荷未完了分の情報が記載され、キーとなる情報は以下のようになります。
- 出荷指示NO←システムから取得
- 品目コード←システムから取得
- ロットNO←システムから取得
- ピッキングリストNO←出荷完了登録(出荷実績)を上げたい出荷指図明細に対して新たに付番
出荷指示情報のステータスには、出荷未完了、一部出荷済み、出荷完了済みなどが混在しており、出荷指示NOがバラバラの明細情報をピッキングリストNOで束ね直す必要があるため、出荷指図明細情報にピッキングリストNOが必要になります。
現品ラベルの品目ロット情報がバーコード化されていれば、ピッキングリストをハンディターミナルに事前にインポートし、現品ラベルのバーコードをスキャンするだけで品目ロットを照合することができますので、仕分け作業が正確に行われます。
ハンディターミナルによる出庫システムを開発する際には、ピッキングリストは仕分け作業が正確に行われるために使用されるだけで、システムへの出荷実績自体は出荷指図単位で計上されるということを意識する必要があります。