業務システムの開発導入において、バーコードやQRコードの読み込みによるデータ収集は一般的です。弊社では、製造現場や倉庫での現場端末を検討されるお客様に、スマホによるQRコード管理をお勧めしています。
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インドネシアの生産管理システム
製造業の至上命題は生産性向上と納期遵守です。製造原価、売上原価、販売管理費の違いを理解することが重要です。勘定連絡図は製造業の原価計算に役立ちます。
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この記事でわかること
- ロット管理システムは現品票を用いてロット番号で実績を入力します。
- 製番管理は個別受注生産に適し、材料の追跡と原価管理を効率化します。
- バーコードにはロット番号と品目コードが必須で、場所情報は含めません。
- スマホによるQRコード管理は、コスト削減と効率化に寄与します。
- ハンディターミナルは独自スクリプトでアプリ開発し、CSVでデータをやり取りします。
ロット管理の概要
ロット管理システムの主な機能は、現物のロットの動きをシステムで記録することです。これを実現するためには、システムから発行される現品票をロットに貼り付け、現物が動くたびにロット番号をキーにしてシステムに実績を入力する必要があります。この現品票が、システムと現品をロット番号で結びつける役割を果たします。
ロット管理システムでは、製造指図を発行する際に投入ロットを「引き当てる」、または生産実績を上げる際に投入ロットを「在庫選択する」という人間の意識が必要です。BOM(部品構成表)に基づいて投入品目をFIFO(先入先出法)で自動引き落としすることは可能ですが、現品がシステムの動きどおりに投入される可能性は低いです。
究極のロット管理は製番管理です。材料購入依頼時から製番をつけることで、入荷時に製番付きで在庫として入庫し、製造指図に製番を指定することで正しい材料を引当てます。製品になるまで製番はついて回り、個別受注生産に適した方法です。原価の把握も個別原価計算により製番単位で行われます。
ロット管理の目的
ロット管理の目的は、工場経営において情報を有効活用することです。システム上でロット管理を行っても、その情報が活用されなければ意味がありません。
ロットトレース
不良品が発覚した際、システムでトレースを行い、問題のロットとその影響範囲を特定することで、リコール対象を限定し、全品回収のリスクを低減します。履歴が追跡できることは、顧客や取引先への「安心」を提供します。ただし、これが可能なのは、現物の動きに合わせてシステムに実績入力が行われ、現物とシステムが一致していることが前提です。
在庫管理の正確性の維持
生産管理システムの実績入力時に発生する計量誤差や紛失によるシステム数量と実数量の乖離を、ロット単位で管理できます。ロット単位で実績を上げると、「このロットに何個あるか」を流動先ごとにチェック可能です。これは流動先ごとに役割分担して在庫全体の理論値を常時チェックしていることと同じです。
実績入力がリアルタイムに行われれば理想的ですが、現実には翌日反映される工程(夜勤や土日出勤)と、リアルタイムに反映される工程(出荷工程)が混在します。システム上でロット管理が行われている場合、ロット数量は後工程の実績数量で上書きされ、後工程にいくほど正確な数量に収斂します。
バーコードフォーマットとロット番号
バーコードは通常、Boxラベルや現品票に記載され、バーコード管理を行う際にどの情報をフォーマットに含めるかは重要です。ロット番号は必須であり、システムに実績として登録されるために必要な情報がバーコード自体から、もしくはロット番号をキーに取得できるかを考慮する必要があります。

場所単位の在庫管理システムでは品目コードがキーになりますが、FIFOなどロット管理が必要な場合、バーコードには最低でもロット番号と品目コードが必要です。場所情報は流動先で変わるため、現品票のバーコードに含めることはしません。ロット番号は「日付+通し番号」で構成され、荷姿レベルまで管理したい場合は荷姿番号が必要です。また、バーコードスキャン時の数量入力の手間を省くためには入数も必要です。
バーコードによるロット管理
現場オペレーションの基本はFIFO(先入先出)ですが、これをシステム上で管理するかどうかは別の問題です。在庫管理システムにFIFOを実装することは可能ですが、運用には入力担当者が入出庫時に正しいロットを選択する必要があり、運用負荷が高くなります。

入荷(材料 IN)
入荷時に荷姿の数だけ現品票を発行し、スキャンして入庫処理を行います。同一ロットの現品票が全て同じであれば在庫は「品目コード-ロット番号」で管理され、荷姿ごとに管理が必要なら「品目コード-ロット番号-荷姿番号」となります。棚番管理を行う場合は、入庫時に棚番を入力またはスキャンする必要があります。
入荷時に荷姿の現品票をスキャンした後で、バーコード化された棚番リストからスキャンするか、棚番の物理的な場所に貼ってあるバーコードをスキャンし入庫とします。この場合、在庫数量は「品目コード-ロット番号-荷姿-棚番」で管理されます。
材料出庫(材料 TRANSFER)
材料ロットの現品票をスキャンし、材料を材料倉庫から現場材料置き場へ移動します。バーコードスキャン時に出庫数がキーインされなければ、デフォルトで荷姿の入数が現場材料置き場に移動します。
材料投入(材料 OUT)
製造指図に対して投入材料が間違っている場合は、アラートを表示させ誤投入を防止します。荷姿1パック使い切れなかった残りを材料倉庫に戻す場合は、バーコードスキャン時に残数をキーインします。
初工程の製造実績入力(仕掛品 IN)
現品票のバーコードをスキャンし、仕掛品在庫数量をプラスします。入庫数がキーインされなければ、デフォルトで荷姿の入数の入庫とします。
仕掛品在庫振替(仕掛品 OUT 製品 IN)
現品票をスキャンし、仕掛品を引き落とし製品倉庫へ移動します。出庫数がキーインされなければ、デフォルトで荷姿の入数の出庫とします。
出荷指示書を発行
出荷予定数量分の在庫ステータスを引当数に変更します。
出荷(製品 OUT)
現品票をスキャンし製品の引き落としを行います。出荷指示と一致しない現品票をスキャンした場合は、アラートを表示させます。
バーコードリーダー(スキャナー)

バーコードリーダーの役割は、バーコードをスキャンしてデータを取り込むことです。これにより、キーボードからの手入力を省力化し、誤入力を防止します。例えば、指図書の「指図NO」を読み込む場合、迅速かつ正確に指図NOを検索フィールドに入力し、業務システムが指図情報を表示します。オペレーターは画面から実績情報を入力し更新します。
現品票の「品目コード+ロットNO」を読み込む場合も同様に、在庫情報を画面に表示し、オペレーターが実績情報を入力して更新します。バーコードリーダーを使ったオペレーションでは、動作主体が以下のように変わります。
- バーコードリーダー(キーとなる情報を読み取る主体)
- PC側のアプリ(キーを元にDBから情報を表示する主体)
- オペレーター(実績を入力する主体)
- PC側のアプリ(実績情報をDBに保存する主体)
バーコードが認識されたかはピッという音で確認できますが、データが正しく取り込まれたかはPC側のアプリで判断します。そのため、PCのモニターが見える距離で使用することが前提です。
事例:MM2100の工場で、Cipher LabのBluetoothスキャナーを導入しましたが、PCの画面が遠すぎるとデータ確認ができないというジレンマがありました。
要点:Bluetoothスキャナーでも、現品場所からPC画面が遠いと読取結果を確認できず、運用上の制約になります。
ハンディターミナル

- PC側の業務システムで入出庫の指図情報を作成します。
- 指図情報をインターフェイスで加工し、ハンディターミナルに転送します。
- 現場に指図を配賦し、指図NOはバーコード化されます。
- 現場担当者は指図NOをスキャンし、現物ラベルのバーコード(品目コード+ロットNO)をスキャンして数量をキーインします。
- 品目コードとロットNOが該当指図に存在すればOK、存在しなければNGのチェックを行います(ハンディ側でのマスタチェックもあります)。
- 完了後、入出庫の実績をインターフェイスに取り込み、業務システムの実績フォーマットに加工して転送し、実績計上を行います。
ハンディターミナルでは、現品ラベルのバーコード情報がハンディに溜められた情報とマッチするかどうかのチェックが目的です。以下の機能が実装される必要があります。
- 入荷・出荷・棚卸など作業種別を選択するメニュー機能
- 指図NOをキーに該当する指図情報を選択する機能
- 場所・棚などを選択するメニュー機能
- 現品のバーコード情報が指図情報にマッチするかどうかのチェック機能
また、指図情報をハンディターミナルに取り込む際のフォーマット変換や、実績情報を業務システムに取り込む際のフォーマット変換、実績計上の仕組みがインターフェイスとして必要です。
無線ハンディーターミナル

- ハンディ用に開発したWindowsアプリから直接サーバーのデータベースを参照できます。
- スキャンしたデータを基に、ハンディ用のWindowsアプリからインターフェイスを介さずに、業務システムの実績を上げることが可能です。
通常のWindowsアプリの開発と同じ感覚で、無線ハンディターミナル用のアプリを開発できます。
スキャナー・ハンディターミナル・無線ハンディターミナルのどれを選べばよいか?
日本の倉庫ではバーコードによる在庫管理が一般的ですが、インドネシアの日系企業ではまだ検討段階のところも多いです。バーコードを読む機器には、PCにケーブル接続またはBluetoothでペアリングするスキャナー、バッチでデータ転送するハンディターミナル、Windows CEなどOSを搭載した無線ハンディターミナルの3種類があります。どの機器を選ぶべきか判断するための基準は以下の通りです。
- スキャナー
- 安価で導入が簡単ですが、キーボード入力の代替機能としての位置づけです。
- PCの近くで作業することが前提です。
- キーとなる情報を簡単に正確に取得することが目的で、それ以外の情報はPC側のアプリで取得します。
- ハンディターミナル
- 安価ですが、BasicやVBScriptライクの独自開発ツールでプログラムを開発する必要があります。
- 広い倉庫や現場での使用を前提としています。
- PC側のアプリとはCSVファイルでのやりとりが基本です。
- 無線ハンディターミナル
- 高価ですが、通常のPC開発の感覚で端末用アプリの開発が可能です。
- 現場で無線LANが使えることが前提です。
- サーバーのデータベースに直接書き込むことが可能です。
「PCに接続して使うスキャナーでは現場で自由な作業ができない、かといって無線ハンディは高すぎる」という理由で、バッチ式のハンディターミナルが選ばれることが多いです。しかし、ハンディ端末側で入出庫や棚卸作業を行うためのメニュー形式のアプリと、それを基幹システムにデータを繋ぐPC側のアプリの2つの開発が必要です。市販されるハンディターミナルには独自のアプリ開発ツールが付随しています。

基幹システムへの実績計上方法

基幹システムへの実績計上には、バッチ式のハンディターミナルを使用する方法があり、指図に基づいて実績を取得するケースと、指図なしで現品をスキャンして実績を取得するケースの2通りがあります。指図に基づく方法では、基幹システムから発行された指図に従い、現品が指図どおりにスキャンされるかを確認してから実績を基幹システムに連携します。
指図に対して実績を計上し基幹システムに反映
- 入荷:未検査エリアから材料倉庫へ
検査合格時に現品票貼り付け
- 材料出庫(出庫指図):材料倉庫から製造現場へ
- 材料戻し:製造現場から材料倉庫へ
- 製品入庫:製造現場から製品倉庫へ
検査合格時に現品票貼り付け
- 出荷(ピッキングリスト):製品倉庫から出荷エリアへ
- 廃棄:倉庫から廃棄エリアへ
- 棚卸(棚卸表):倉庫
指図がない実績を基幹システムに反映
- 棚移動:棚から棚へ移動
ハンディターミナル側でのアプリ開発

ハンディターミナルでは、メーカー提供の独自スクリプト(BasicまたはVBScriptライクの言語)を用いて、メニュー、ボタン、テキストボックスを基本に倉庫での入出庫作業を行うアプリを開発します。
基幹システム側の指図情報やマスタデータをハンディ側に格納するデータベースには、無償で軽量(コアはわずか225KB)で、基本的なSQL文がすべて使えるSQLLiteを使用するのが一般的です。CSVファイルとの相性も良く、PC上のエミュレーターで動作確認しながら開発を進めます。
事例:左図は製造指図に基づき、材料倉庫から製造現場に材料を正しく払出すためにハンディを利用するフローです。基幹システムで発行した指図のヘッダーに印刷された指図NOをスキャンし、該当する倉庫の棚から該当するロットの品目を出庫しているかどうかをチェックします。実績数量との差異に許容範囲を持たせ、エラーやアラートを表示させる機能を実装しています。
要点:指図NOとロットをハンディで突合し、数量差異に許容範囲を設けて誤出庫を防ぎます。
ハンディターミナルでCSVファイルを使用する際には、以下の4回のデータ変換が発生します。
- 入出庫管理システム側のDBからCSVファイルへの変換しハンディにアップロード
- ハンディ上でCSVファイルをSQLLiteへのインポート
- ハンディ上でSQLLiteからCSVファイルに変換してダウンロード
- 入出庫管理システム側のDBにインポート
棚に貼ってあるラックラベルの棚番バーコードをスキャンする際、材料出庫や出荷などの出庫処理では最初に出庫元棚番を読み込み、入荷や製品入庫などの入庫処理では最後に入庫先棚番を読み込みます。
業務システムにスマホによるQRコード管理を導入するメリット
インドネシアのスマホ決済市場では、GrabとTokopediaと連携するOVO、Gojekアプリの標準eウォレットであるGOPAY、そしてDANAの3社がシェア獲得競争を繰り広げています。
これらのサービスは、レストランのレジ台やレシートに印刷されたQRコードをスマホで読み取り、アプリ内のチャージ済み金額から引き落とす方式を採用しており、割引やポイント還元を提供しています。このような背景から、インドネシアでもスマホ決済が急速に普及しました。
業務システムの開発導入の現場でも、バーコードやQRコードの読み込みによるデータ収集は行われています。弊社では、製造現場や倉庫での現場端末の導入を検討するお客様に対して、スマホによるQRコード管理をお勧めしています。その理由は以下の通りです。
手軽にローコストで導入可能
スマホは誰でも持っているため、高額なスキャナーやハンディーターミナルを購入する必要がありません。QRコードを読み取り業務システムに反映させる機能を実装するだけで、短期間で手軽に導入できます。
RFIDへの過渡期である今、レガシー技術に大きな投資はしたくない
将来的には、インドネシアの製造現場でRFID方式に置き換わることが予想されます。バーコードやQRコードのスキャンのために別途読み取り端末を買うよりも、Androidスマホを現場端末として利用する方が費用を抑えられます。
QRコードはスマホとの相性が良い
スマホのカメラはQRコードの方が認識しやすく、ラベルサイズも小さく収まります。QRコードであれば、膨大な桁数の情報を安価なAndroidスマホで十分読み取れます。スマホ決済に慣れているインドネシア人作業者にとっても、QRコード読み取り作業は負担になりません。
スマホ用アプリの開発が楽
ハンディーターミナルでのアプリ開発はC言語や専用スクリプトが必要ですが、スマホのAndroidアプリ開発ならPhoneGap + HTML + jQueryで短期間に業務特化したアプリが開発可能です。業務システムのUIがレスポンシブなWEB画面であれば、スマホ専用アプリの開発すら不要です。
QRコードをスマホで読み業務システムにデータ登録するイメージ
左の動画は、入庫処理画面から「QRコード読み取りボタン」を押すことでカメラが起動し、物品に貼られているQRコードをスキャンすることで、入庫処理が完了するデモです。最初2件のレコード登録済の入庫処理画面から、新たにQRコードをスキャンすることによって、レコード件数が3件に増えています。スキャンしたタイミングで自動登録することも、連続スキャンで複数レコードをまとめて登録することも可能です。
弊社の業務システム開発テンプレートHana Firstの画面UIはレスポンシブなWEB画面であるため、別途スマホ用アプリを開発する必要はありませんが、PhoneGap + HTML + jQueryを使えば、短期間で入出庫処理、棚卸処理などのAndroidアプリを開発することもできます。
QRコードのスキャンにより業務システムへの実績登録を行う場面として想定されるのは、材料の入荷処理、材料の出庫処理、製品の入庫処理、廃棄処理、出荷(ピッキング)処理などです。
よくある質問|スマホQRとロット管理
現場端末選定とロット管理で繰り返し出る質問を、本稿の内容に沿って整理します。
なぜ専用ハンディよりスマホQRを勧めるのですか?
端末購入を抑えつつ短期間で始められ、将来のRFID移行までの中継ぎにもなるからです。QRはカメラ認識と相性が良く、レスポンシブな業務画面なら専用アプリすら不要な場合があります。
バーコードに最低限必要な情報は何ですか?
ロット管理ではロット番号と品目コードが基本です。場所は流動先で変わるため現品票に含めず、荷姿管理や数量入力省略のために荷姿番号・入数を足すことがあります。
スキャナーとバッチ式ハンディの違いは何ですか?
スキャナーはPC近傍でのキー入力代替が主目的です。バッチ式ハンディは広い現場向けですが、端末アプリと基幹連携の両方の開発が必要になり、無線ハンディは高価でもリアルタイム処理がしやすい、という整理になります。

