インドネシアのビジネス環境

ポストコロナ禍に向けた収益改善と業務改善(上)【システム化で業務データの流れと構造を変える】


会計的視点からの収益改善

よく会計の世界では「利益と減価償却でキャッシュを作る」と言われ、これは企業のキャッシュの源泉が利益と減価償却の二種類あるという意味なのですが、減価償却費はキャッシュの流出のない費用であり、P/L上の当期利益額よりも実際には減価償却費分だけキャッシュは多く残っているという数字遊びをしているだけで、物理的にキャッシュが生み出されるわけではありません。

従ってコロナ禍の影響で売上が落ちる中で、キャッシュを増やすためにやれることはおおよそ以下の4つだと思います。

  1. 損金を増やし課税所得を減らす(節税)。
  2. 売上からの債権の支払いサイトを短縮し、売上原価からの債務の支払いサイトを遅らせる。
  3. 売上原価と販管費を減らして本業の利益(営業利益)を増やす
  4. 土地建物売却など営業外の現金収入を増やし、社内イベントの中止などで営業外の現金支出を減らす。

利益は「売上-費用」であり、本業の売上が増えない以上、利益を増やすには費用を削ることになりますが、実際にジャカルタでも従業員解雇、外注契約解除、給与カット、オフィススペースの解約などで固定費を削減する動きが出ており、インドネシア全体では4月までに解雇PHK(Pemutusan Hubungan Kerja)された従業員の数は700万に達すると言われ、オフィスの移転や拡張にブレーキがかかった結果、ジャカルタの新しいオフィスビルの入居率は70%程度だと言われております。

サプライチェーンから考える収益改善

原材料や仕掛品、製品などは、将来キャッシュとなるものが棚卸資産という形で倉庫に滞留しているものであり、資金繰りへの悪影響、本来キャッシュを銀行に預けた場合に得られた金利の機会損失、原材料調達のための借入れ金利という意味で収益を圧迫します。

この在庫金利コストを支払ってまで社内に在庫を持つ理由の二つあり、一つはお客さんから受注をいただいてから出荷までの「受注リードタイム」は、製造開始から製造終了までの「製造リードタイム」より短いため、リードタイムの差を埋めるための保険という意味、もう一つは工場全体の生産性を決定するボトルネック工程を止めないためのバッファー在庫としての必要だからです。

米中経済摩擦や新型コロナの影響でサプライチェーンリスクの高い中国からの輸入を見直し、現地調達化することで必要なタイミングで発注を掛けてすぐ入荷できる体制の構築は生産の繁忙期に取り組むことは難しく、コロナ禍で生産が落ちている今だからこそ可能な業務改善かもしれません。

材料が入荷したタイミングで製造開始し完成したタイミングで出荷するというジャストインタイムの生産、多能工化や内段取りの外段取化(機械を止めないように事前に段取りを済ませること)などで、人員削減後の限られた作業員で生産効率をアップさせる生産計画を策定することが収益改善に繋がります。

ITインフラの視点から考える業務改善

ITインフラ構築の際には、現状の業務の流れと内容を把握し、問題点の改善方法を検討し、システムへの実装を行いますが、コロナ禍の影響でIT投資が見送られる中でも、業務分析と業務改善については、お金をかけずに自社内で取り組むことが出来ます。

業務分析で必要なものはおおまかに以下の2つだけです。

  1. 業務フロー:全体の流れを俯瞰するために必要
  2. 作業内容:業務フローで書ききれない業務を構成する作業ごとの内容を把握するために必要

そして業務改善を考える場合の定番であるECRS(イクルス)の原則である排除(Eliminate)、統合(Combine)、交換(Rearrange)、簡素化(Simplify)の4つの考え方に基づき、あくまでも最小の作業負荷で最大の成果が出るように業務の流れを再構築し、標準業務フローSOP(Standard Operation Procedure)を作成します。

実際には作業者の仕事のやり方を変えようとすれば、必ず業務データの流れや構造を変える必要がありますが、当面はExcelで対応するとしてもコロナ禍を乗り越えるための業務効率改善にはシステム化は避けられません。

ポストコロナ禍の企業の現場では、ウィルス感染の機会を最小化するために物理的接触とモノの共有の機会を最小限に抑えるためのペーパレス化とIoT化が進むと同時に、既存業務の見直しと改善のためのIT導入の流れが出てくると考えています。





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