インドネシア時事問題

インドネシア最高検察庁の火事【火災のたびに裏の背景が詮索される】


インドネシア最高検察庁の火災

検察の仕事が世の中の一般の人に知られるようになったのは、2001年の月9で放送されたキムタクのドラマ「HERO(ヒーロー)」であることは間違いないと思うのですが、キムタク演じる久利生公平が青森から異動してきたドラマの舞台は、最高検察庁の下の東京高等検察庁の更に下の東京地方検察庁の城西支部という末端支部でした。

今回インドネシアのKejaksaan Agung RI(最高検察庁)が火事で燃えたというのは、日本でいえば霞が関の最高検察庁が燃えたのと同じと言えば、事の重大さが伝わると思うのですが、中央ジャカルタから日本人が集う繁華街BlokMに飲みに行く道すがら、いつも右手に見える古風な趣のある白亜の建物が目に入ったものです。

火災と言えば2015年当時、僕の職場はThamrin通りのコスゴロビルの7階にあり、16階のペントリーから発生したと言われる火災は、あっという間に上層階に広がり、Karawangの客先にいた僕のWhatsAppにも、なじみのあるビルの上部が火に包まれる信じがたい動画が送られてきましたが、翌朝になっても火は鎮火せず、ビルの警備員が「鎮火まで13時間かかったのはアジア新記録だ」と意味不明の自慢を始める始末でした。

今回の火災は建物全体が真っ黒焦げになっている状況から考えても、相当火の回りが早かったものと推測されますが、比較的短時間て鎮火されたのはビルが大通りに面していたため消防車が出入りが可能だったこと、上の動画にも映っている高額な112mのはしご車が消火活動に活躍したことなどが考えられます。

日本で最高検察庁が燃えたら当然大ニュースになり「火元はどこか?」「火災報知器の点検は適切に行われていたか?」「今後の業務をどのように継続していくか」など、コロナ禍の煽り報道で評判を落としたワイドショーですら検証すると思いますが、インドネシアの場合は真っ先に「証拠隠滅か?」「この火災で誰が得をするのか?」という詮索から始まります。

火災の裏にある背景が詮索される

長年不法占拠された住宅密集地で住民が強制立ち退きに反対していたり、行政によるパサール(市場)の再開発計画に対する地元商店主や付近を仕切るプレマン(preman チンピラ)による反対が強かったり、古い建物の建て替え推進派と改装による継続利用推進派が対立していたり、インドネシアでは土地や建物に関する対立や抵抗がある場合に、何故かタイミング良く火災が発生するケースがあります。

今回の最高検察庁の火災後に政治・治安担当調整大臣(Kemenko Polhukam=Kementerian Koordinator Bidang Politik, Hukum, dan Keamanan)が国民に対していち早く公正な現場検証と情報開示を約束したのは、いくつかの検察による立件(起訴見込みの送検)済みの汚職事件があったからで、特にDjoko Tjandra(ジョコチャンドラ)氏との間に贈収賄があった疑いで抑留されているピナンキ検察官(Jaksa Pinangki)に関する捜査資料の隠滅が疑われることを憂慮してのことでした。

1999年にBank Bali(2002年にBank Universal, Bank Prima Express, Bank Artamedia, Bank Patriotの計5行とPermata Bankに統合)が抱えていた、Bank Dagang Nasional Indonesia(BDNI)やBank Umum Nasional(BUN)などへの焦げ付き債権が、全国銀行再建庁の債権回収プログラムに入るように、ムリアグループの(Mulia group)のトップであるジョコチャンドラ氏がゴルカル党に対して働きかけを行った際の贈収賄事件で逮捕され、収監される直前に海外逃亡してものの、今年7月にマレーシアで逮捕されインドネシアに送還されました。

そしてピナンキ検察官がジョコチャンドラ氏と弁護士と3人で写った写真がFacebookで出回り、2019年に許可なく9回海外へ出国しそのうち1回はジョコチャンドラ氏と会っていたこと、過去11年間で彼女の個人資産が227%増加していることから、ジョコチャンドラ氏との間で贈収賄があったとして逮捕拘留中であり、ジョコウィ政権としても新型コロナウィルスで景気低迷する今、国民の批判を受けやすい汚職事件に対しては厳正なる対応を示したいところだと思います。





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