インドネシアのTol(有料高速道路)キャッシュレス化による渋滞解消

2017/10/14

ジャカルタ高速道路高架

インドネシアのTol(有料高速道路)、電気電話料金などの公共料金支払いでキャッシュレス化が進むことで経済活動全体が効率化され、他国に比べて劣るとされる労働生産性の向上が期待されています。

2017年10月中にインドネシア全土のTolでキャッシュレス化

インドネシア政府は経済活動におけるキャッシュレスキャンペーン(Gerakan Nasional Non Tunai=GNNT)の一環として、2017年10月中にインドネシア全土のTol(英語のToll Roadで有料道路)での料金支払いを段階的にキャッシュレス化することを目指しており、先週くらいから現金支払いを受け付けない料金所が急増し、強制的にその場でmandiri e-money(インドネシア人はイーモネイと発音する)のICカードを買わされる車が増えました。

急にGTO (Gerbang Tol Otomatis)利用率が高まったことによる機械の故障のため渋々バックする車や、カードへのチャージ不足のため後続の車にe-moneyを借りに降りる運転手のせいで普段よりも料金所付近が慌しくなっていますが、1台あたりが料金支払いに所要する時間は明らかに短縮されており、料金所の行列の流れは明らかにスムーズになった感じがします。

e-moneyやe-tollなどの非接触型ICカード

MRT用にBank BRIのBRIZZIを買いましたがほぼsuicaと同じ機能です。

Bank MandiriとIndomaretが提携しているe-moneyを筆頭に、Mandiri e-tollカード、Bank BRIのBRIZZI、BCA Flazzなどいろんな種類の非接触型ICカード(Contactless smart card)があり、RFID(Radio-frequency identification)を利用した13.56Mhzの高周波の電磁誘導方式で、GTOに設置してあるリーダーにかざすだけで料金の引き落としと残高表示をしてくれます。

自分のようにMandiriの口座は持っていないがBCAの口座は持っている人はBCA Flazzを使うことでATMやBCA MobileからTop up(カードにチャージする)出来て都合がいいのですが、如何せん路線や料金所によってBCA Flazz未対応のところが多く、今のところe-moneyかe-tollカードを選択し、最寄のIndomaretでTop upするのが安全のようです。

ちなみにユニクロの店内に陳列されているシャツや、ロッテマート入り口で警備員からかばんのチャックに結び付けられるワイヤーにくっついている万引き防止用タグでは、13.56Mhzの高周波を利用した電波方式のRFIDが使われています。

料金所の従業員はどこへ行った?

ジャカルタ近辺のTolは路線によって運営会社が異なりますが、いずれも政府系上場会社(PT Tbk=Terbuka)であり、これまで大きな雇用を生み出していたわけですが、今回のキャッシュレス化の方針(kebijakan pembayaran tol non tunai)により、小銭の受け渡しをすばやくこなせる手先の器用な料金所の従業員が大量に要らなくなり、GTO不調の際に対応できる技術知識のある人材が残されることになります。

  1. Jakarta-Cikampek/Jakarta-Tanggerang:PT Jasa Marga (Persero) Tbk
  2. Tanggerang-Merak:PT.Marga Mandala Sakti
  3. Lingkar Luar(Outer Ling):PT Jalan Tol Lingkar Luar Jakarta (JLJ)
  4. Lingkar dalam(Inner Ling):PT Jasa Marga (Persero) Tbk

PT Jasa Margaの場合は、全従業員4,200人のうちの料金所勤務が1,300人、そのうちの相当数が交通情報係官(traffic information officer)、コールセンター、開発用地の調査員など、PT Jasa Margaの関連会社に転職先を斡旋されることになり、労働組合が強いインドネシアだけあって、解雇Pemutusan Hubungan Kerja (PHK)されることはないようです。