インドネシアの製造現場では、自律的な生産調整を得意とするプル型のかんばん方式と、需要変動に合わせて生産指示を発行するプッシュ生産スケジューラ―を併用した生産管理が効果的です。この方法により、効率的な生産プロセスを実現できます。
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インドネシアの生産管理システム
製造業の至上命題は生産性向上と納期遵守です。製造原価、売上原価、販売管理費の違いを理解することが重要です。勘定連絡図は製造業の原価計算に役立ちます。
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この記事でわかること
- インドネシアの製造現場では、かんばん方式とプッシュ型生産スケジューラの併用が効果的です。
- 2020年4月、インドネシアの自動車生産台数は前年同月比で80%減少しました。
- 株式会社小松精機工作所は、部門間のずれを無くし業務効率を向上させています。
- Asprovaを活用することで、設備負荷の平準化が可能となります。
- 需要変動に対応するため、MRPシステムを活用して材料手配を最適化しています。
コロナ禍でのインドネシアの製造現場の変化

2020年4月、インドネシアの自動車生産台数は前年同月比で80%も落ち込みました。この状況は、コロナウィルスのワクチンが普及するまでの1~2年、需要変動を前提とした生産が続く可能性があります。工場によっては、マスクやシールド、人工呼吸器などの新たな製品を生産し始め、製造工程の平準化が難しくなっています。欠品や過剰在庫に対する要求も高まっています。
予測可能な需要変動であれば、熟練者の勘で対応できたかもしれませんが、未経験の需要変動には対応が難しいかもしれません。さらに、コロナだけでなく自然災害などで材料供給が止まることもあり、サプライヤの状況も毎年何かしらの問題が発生しています。
インドネシアではトヨタ車が多く、トヨタの生産方式であるかんばんを採用している工場も多いですが、従来通りにかんばんが回せているか不安を抱える担当者もいるでしょう。生産現場の状況は以下のように変化しています。
- これまでにない需要変動や新しい製品の生産が求められ、熟練者の勘だけでは対応が難しくなっています。
- 作業者が不慣れな場合、進捗が一定でなく、臨機応変な対応が求められています。
- かんばんは生産調整の有効な手段でしたが、運用の前提条件が崩れています。
需要変動が大きいと月単位の平準化が難しく、プル型のかんばんだけでは対応できない場合があります。需要変動に合わせたプッシュ型の生産指示が必要です。しかし、プッシュ型では指示した分を無条件に生産すると過剰生産の問題が発生します。従って、需要変動に合わせた工程毎の生産量をフレキシブルに指示できる計画と、作りすぎを防ぐかんばんの生産調整を組み合わせたハイブリッドな生産方式が求められています。
事例:インドネシアの日系工場では、トヨタのかんばん方式を採用しているものの、需要変動により従来の運用が難しくなっています。これにより、プッシュ型の生産指示と組み合わせた新たな生産方式の導入が検討されています。
要点:需要変動が大きい局面では、プル型のかんばんだけでは足りず、プッシュ型の生産指示との併用が必要です。
導入事例/株式会社 小松精機工作所

コロナ禍で重要なのは情報共有と連携です。さまざまな情報が変わる中、その情報がどの業務に影響するのか、すぐに対処する必要があるかなど、客観的に判断できる指標が必要です。早く気付くことで対応の幅が広がります。従って、如何に早く気づき関係部署に伝えられるかが、需要変動が高い時代に求められるシステム要件です。
最近、ドイツや中国の食品工場で二次感染のクラスターがニュースになっていますが、他人事ではありません。三密を避けるために工場でも不要不急の対策で不要な現場の調整はできる限り避けるべきです。例えば、欠品で現場を駆けずり回って材料を探したり、人海戦術で何度も現場と計画を調整することを削減するべきです。
そのためにも現場に行かなくても調整できるシステムは必要から必須に変わってきています。例えば、タイの洪水時には、各工場がBCPで洪水対策をアピールしましたが、コロナ禍でもBCPのコロナ対策の提示が求められています。
日常的にある特急品・納期変更・数量変更に対して計画が硬直的で、実績と数値が合わない課題がありました。実績入力(POP)の導入や、機械の空き・人員・加工種別など制約の多い機械製造部では、計画精度の向上が必要でした。
事例:株式会社 小松精機工作所では、メーカへの確実な部品供給のために計画精度を高め、特急品や納期変更、数量変更にきめ細かく対応しています。購買、計画、製造、営業部門のずれを無くして業務効率を向上させています。
要点:計画と実績のずれを埋め、部門横断で進捗を共有できることが、特急・納期変更への対応幅を広げます。
品目の日々の計画と進捗が部門間で共有できるようになり、計画部門、生産管理部門、製造部門、営業部門などそれぞれの立場から進捗を確認できるようになりました。大型モニターを現場に置いて設備、工程、部品、受注などの切り口で参照でき、対応の幅や余裕が生まれました。
欠品の無い生産のため安全在庫を多く設定し、抜本的な在庫削減はできませんが、計画と実績を連動することで一定の在庫を保ち、部門間の人での調整が少なくなったことで各部門での自由度が高まり、モチベーションが上がりました。
インドネシアにおけるかんばん方式の運用の流れ

成形品のようなロット生産工程では、中間在庫を置き場に溜めて在庫MINを切ったところで成形エリアに対する作業指示となる信号かんばんが使用されます。かんばん方式の特徴は、生産過少や生産過剰が発生しないように現場で不足するものを自律的に調整しながら生産する点です。
事例:かんばん方式で運用している工場では、前工程が成形工程やプレス工程の場合、後工程の組立工程などとはタクトやロットサイズが大きく異なるため、前工程にAsprovaを導入し、MRPベースの作業指示で生産し、後工程をかんばん方式で運用するケースがあります。
要点:成形機やプレス機は設備台数が多く、どの設備で生産するか、また、如何に段取を少なくするかなど、製造効率を考慮した設備の割り振り計画も必要です。かんばんだけでは作業指示を発行できない面もあります。
かんばん方式の大前提である平準化生産

かんばん方式を導入するためには、以下の条件が必要です:
- 繰り返し生産であること
- 生産品目が平準化されていること
- 生産の歩留まりが高く安定していること
- 需要変動が少ないこと
- 各工程の後ろにストアを設けること
- BOXの入数はなるべく少なくすること
必要なものを必要な数だけ生産するのがかんばん方式です。理想的にはBOXの入数を少なくし、一個流しを目指しますが、機械の生産スピードと現場の作業効率を考慮し、ある程度の入数でBOXサイズを設定します。しかし、現実的な運用ではBOX単位の生産は生産性が悪く、仕掛かんばんが外れてもかんばんが溜まってから生産するローカルルールを設定している工場もあります。
需要変動でかんばん枚数の算出が難しくなり、さらにローカルルールでかんばんの滞留枚数の調整が必要になると、運用が複雑化する可能性があります。
インドネシアにおける生産スケジューラの運用の流れ

コロナ禍の影響を受けた生産現場の課題について触れてきましたが、スケジューラの具体的な運用について説明します。スケジューラは需要に応じた適切な作業指示を発行し、前工程の作業完了に対して自工程の作業を緑色で表示して着手可能であることを示します。また、MAX在庫を超えた作業は黄色で表示し、作業を止めることで、かんばん方式と同様に生産タイミングの調整を図ります。
前工程と後工程の状況をシグナル化することで、次に何を生産するかが事前にわかり、早期の準備やまとめ生産の幅も広がります。
需要変動に伴う設備の振替や材料の納入状況による作業順番の入れ替えもタイムリーに調整可能です。かんばん方式では月単位の需要に基づいてかんばん枚数を調整することが多いですが、MRP機能を持つスケジューラーでは需要変動に応じたかんばん枚数の計算も可能です。月単位で需要を平準化できればAsprovaでもかんばん枚数を算出できますが、日々の需要変動への対応や各部署への影響度を図るのは難しいかもしれません。
事例:ある工場では、仕掛かんばん、引き取りかんばん、MRPによる作業指示など複数の指示書で運用しており、複雑化している面があります。スケジューラの運用で指示書を1枚にし、前工程と後工程の状況で自動的にかんばんを外す指示も管理できれば、シンプルな運用が可能になるかもしれません。
要点:スケジューラの運用は、需要変動に応じた柔軟な生産計画を可能にし、かんばん方式と組み合わせることで生産効率を向上させることができます。
需要変動に対する生産スケジューラの対応

設備負荷の平準化

事例:Asprovaを導入している工場では、工程間の生産が平準化されているか、設備キャパが足りているか、残業が必要かどうかを判断するために、かんばんの運用前にAsprovaでスケジュールを組んでいます。
要点:Asprovaを活用することで、設備負荷の平準化が可能となり、効率的な生産計画が実現できます。
納期遅れの解消
かんばん方式で運用する際には、製造現場が実際に対応できるかどうかの実現性を検証することが重要です。運用に入ると、かんばん方式で自律的に回るため、事前に需要分を納期遅れせずに生産できるかをスケジューラ―を使って条件を設定し、シミュレーションしておく必要があります。
さらに、成形機やプレス機が多数ある工程では、金型、治具、作業員などの設備制約が多く、設備の振り分け計画も必要です。これにより、効率的な生産が可能になります。
事例:インドネシアの日系工場では、かんばん方式を導入する際に、現場の条件を詳細にシミュレーションし、設備の振り分けを計画することで、納期遅れを大幅に削減しました。
要点:かんばん方式の導入には、事前のシミュレーションと設備計画が不可欠です。これにより、納期遅れを防ぎ、効率的な生産が実現します。
作業指示/差立て表の進捗指示

緑色の表示が前工程完了、黄色がMAX在庫を超えているのでペンディング、灰色が前工程が未着手の作業というように、前工程の進捗と後工程の進捗状況を確認しながら作業の着手を調整できます。計画で仕掛在庫を調整しても、前後工程の進捗が遅れると計画どおり制御できません。
従って、作業指示書で前工程の着手、どこまで作業を進めて良いか実績に合わせて現場に提示することが重要です。これは実績に合わせてその品目がMAX在庫を超えないように指示を出すことであり、前工程の完了で自工程の着手可能作業を照会する事で、かんばんで言うローカルルールのどの作業をまとめ生産するかを、かんばんが回る前に前工程の作業完了段階で判断できます。
欠品・ライン停止削減・材料手配および在庫引当調整

生産管理において、コロナ渦での情報共有と連携の重要性が強調されています。特に、情報がどの業務に影響するかを客観的に判断する指標が必要です。需要変動により材料が不足すると、かんばんが回ってきても生産ができない事態が発生します。需要変動に伴い納期が変わると、材料在庫の引き当ても変更が必要です。
特急品で在庫を使用すると他の作業に影響が出るため、どの作業が影響を受けるかをタイムリーに判断する必要があります。また、重要顧客の受注の材料は特急品に振り替えないなど、工場ごとのルールの反映も必要です。
適切な購買計画・納期変更・需要および発注点での手配

材料引き合については、様々な条件があり、かんばんだけでは管理が難しい点があります。生産管理のMRPでは固定リードタイムの計画が基本となるため、実際の生産タイミングに合わせた材料の引き当ては難しく、スケジューラが必要です。
需要変動により、材料の引き当てだけでなく購買も日々変化します。購買の過不足やリードタイムごとの発注方法の違いに対して、スケジューラはどのように対応できるのでしょうか。
購買の不足はMRPで自動的に購買オーダが生成され、どの品目をいつ発注する必要があるかを判断できます。過剰購買については、購買オーダに期末の在庫情報を表示し、数量を変更するかどうかを検討できます。また、過剰購買のリストを出力し、発注済の購買のフラグを解除してAsprovaで再計算することで過剰購買を解消できます。
購買リードタイムの短い品目は需要に基づきスケジューラでMRPを回して購買計画を作成します。リードタイムが長く、倉庫に在庫を積んでおく材料は、スケジューラで在庫MINを下回るタイミングで発注をかける発注点での購買計画を作成します。
よくある質問|かんばんと生産スケジューラ
需要変動が大きい局面で、かんばんとスケジューラをどう組み合わせるかを要点化します。
かんばんだけでは足りないのはどんなときですか?
月単位の平準化が崩れるほど需要が振れるときです。プル型のかんばんだけでは工程ごとの生産量を柔軟に指示しにくく、プッシュ型の生産指示との併用が必要になります。
前工程をAsprova、後工程をかんばんにするのはなぜですか?
成形・プレスなど前工程はタクトやロットが組立と大きく異なり、設備割付や段取最小化の計画が必要だからです。かんばんだけでは作業指示を出しきれない面があり、MRPベースの指示と役割分担します。
需要が増減したときスケジューラは何を変えますか?
出荷差に応じて作業指示数を自動調整します。負荷が高まれば着手が遅れ、Max在庫で止まっていた作業が着手可能になるなど、一つの指示書上で情報を一元管理できます。

