アナログ機械式のオドメーターはドライバーを使って巻き戻す際に引っかき傷が出来るので、注意深くチェックすれば不正の有無が判別できますが、デジタル式は車載式故障診断装置を外部ソフトから操作することで傷を付けずに巻き戻しが出来るため不正の判別は困難です。 インドネシアの生活 ネットで何でも情報は収集できる時代ですが、他人からの情報は基本的に点でしかなく、点と点を繋げることは自分の頭の中でしかできません。また新しいアイデアを生み出したり複雑なことを考えるためには、過去の経験に基づく知識が頭に記憶されている必要があります。 続きを見る
インドネシアで中古車を買うときの心得
インドネシアで最初に買った車がバリ島での中古のスズキJIMNY、次に中古のスズキKARIMUNに乗り替え、そしてオーストラリア人から直接取引で長年の夢だった1985年式のトヨタLAND CRUISER FJ-40を入手し、ジャカルタに戻ってからジープ愛好家のインドネシア人から直接取引で1980年式のジープCJ-7の欠陥車を掴まされ、クニンガンのラスナサイド通りを走行中に突然ブレーキが利かなくなるアクシデントに見舞われたことで凝りて、それ以降はトヨタの正規代理店であるAUTO2000からトヨタAVANZAの新車を買うという安全志向になりました。
中古車を買う場合、トヨタ系の中古車ディーラーMobil88などの大手で買う分には不正が行われていたり故意に欠陥車を掴まされる可能性は低いと思いますが、JABODETABEK間を結ぶ幹線道路沿線に並ぶ個人の中古車屋なんかでは、洪水で浸かった車(mobile bekas banjir)を平気で店頭に並べており、保証期間中はクレームが言えるとはいえ基本は自己責任になります。
インドネシア人の友人からは「個人から直接売買したほうが高く売れるし安く買える」と言われますが、忙しい日常で相手との都合を合わせて日時を決めて、渋滞の中をどこかの住宅街の細い道を通って個人の家に車を見に行くというのは大変なストレスであり、交渉成立したとしても特に売買契約書や領収書を切るわけではないので、支払い時のリスクを考えると特に外国人の場合は多少割高でも中古車屋で購入または売却すべきだと考えます。
ちなみにバリ島でランドクルーザーFJ-40をオーストラリア人のお兄さんから購入したときの支払いは、クタのスタバで現金渡しという大胆な方法で、お互いに警戒し合いながらマフィアのブツの受け渡し並みの緊張感の中で、領収書もないまま札束と車を交換しましたが、幸運にも相手が非常にいい人で、クタビーチ沿いに駐車してある車の前で「重い車だから坂道に駐車する際は車止めを使え」「FJ-40はクラッチの感覚が独特だから注意しろ」など一通り説明した後、バイクの後ろに金髪の彼女を乗せて颯爽と帰っていきました。
新車を買う場合でも、ジャカルタのような渋滞の中をぬうように走る道路事情では、納車後3日以内にバイクに擦られて引っかき傷が出来る可能性大なので、車体に傷はついても自分の心はそれほど傷つかないという後ろ向きの理由で、ジャカルタ周辺に住む限り大衆車のAvanzaに乗ることになると思います。 インドネシアでトヨタAvanzaが売れまくる理由 ジャカルタでAvanzaが売れる最大の理由は、車体は傷付いても心までは傷つかないからというのは言いすぎかもしれませんが、少なくとも心のトキメキを求めて買う車ではなく、社内が広く3列シートで移動手段として多機能であり、中古価格も落ちにくいという利便性を求める結果であると考えられます。 続きを見る
オドメーター(走行距離計)の巻き戻し
個人経営の中古車屋から車を買う場合には、走行距離を少なくして価格を吊り上げるためにオドメーターは巻き戻されていると考えたほうが自然なのですが、日本で外車を専門に扱う中古車屋で働いていた友人が、日本でも旧式のアナログメータは普通に巻き戻して売っていると言ってましたので、インドネシアならではの詐欺行為というわけではなさそうです。
アナログ機械式のオドメーターはドライバーを使って巻き戻すのは簡単、デジタル式のもRp.25万でソフトで巻き戻してくれる。昔95年式ダイハツFerozaの1万km程度の数字を指して「これは倉庫に停めていたsimpanan(保管用)だ」と言われた車の底で油が滴り落ちていたことがある。
アナログ式の場合は、ドライバーを使って強引に数字を逆回転させる際に、必ず引っかき傷が出来るので、メーターを注意深くチェックすれば不正の有無が判別できますが、デジタル式の場合は自動車各部に取り付けられたECU(Electrical Controll Unit)の中にプログラミングされている自己診断機能である車載式故障診断装置OBD(On Board Diagnostic ダイアグノーシス)を、外部ソフトから操作することで、傷を付けずに簡単に巻き戻しが出来るため、不正の判別は困難であり、正規サービスセンターからの定期的なメンテナンスの履歴を調べるくらいしか、不正を疑う方法はないようです。
なにせインドネシアは違法コピーソフト大国であり、Microsoft Indonesiaの調査によるとインドネシアのソフトウェアの83%が違法コピー品というくらい、シェアプロダクトキーの生成やKMS認証の突破など、金をかけずにソフトを使用するための情熱には感心させられますので、走行距離を減らすことで販売価格を5jutaも高く付けられるのであれば、OBDに接続してクラックするくらいのことはお手の物かもしれません。
購入側からすれば、オイル交換時にウィンカーにぶら下げられる走行距離が記載されたタグがない、ハンドルがすり減っているのに5万kmに達していない、というような目視によるチェックも必要ですが、いずれも決定的な証拠にはならないため、結局は信頼できる大手の中古車ディーラーで購入するのが一番安全なようです。