インドネシアから日本のSMBC信託銀行への送金が三井住友銀行に誤送金された

2016/09/26

インドネシアルピア

為替送金では中央銀行のノストロ口座(当座預金口座)間で資金を振り替えることで決済されますが、ノストロ口座がない銀行間取引では中継銀行(経由銀行 コルレス Correspondent Bank)が中央銀行の役割を果たします。

リテールバンク部門はSMBC信託銀行へ、カード部門は三井住友信託銀行へ

昨年2015年11月から、日本の旧シティバンク銀行のリテールバンク事業は、SMBC信託銀行に統合され「プレスティア」という事業部門に引き継がれたというのは周知の事実、、、でもなく口座持っている人以外誰も知らないマイナーな話だと思います。

よって旧シティバンク銀行に口座を持っていた人は、SMBC信託銀行からの手紙やメールの中で「プレスティアのお客様」という、なんだかプレミアム会員っぽい呼び方をされますが、単に円普通預金口座持っている人のことです。

僕は旧シティバンク銀行の円普通預金口座とクレジットカードを持っていましたが、現在口座に関するお知らせはSMBC信託銀行から、クレジットカードに関するお知らせは三井住友信託銀行から届くという、もう訳わかめ状態です。

たぶん政治的な理由でこうなったんでしょうけど、更にややこしいことに三井住友銀行にも口座があるので、福岡の実家には銀行からの僕宛のお知らせが3つの三井○○○○銀行から届くことになり「あんたの銀行からのお知らせはややこしくて仕方ないわー」といつも文句を言われています。

旧シティバンク銀行はさすが外資系だけのことあって、月間平均総取引残高が50万円を切ると、口座維持手数料として2,000円も徴収するという、血も涙もないルールを適用していましたが、日系銀行に移管されたからにはこの悪法が撤廃されるかと思いきや、しっかり引き継がれていますので、Amazonで買い物したりXサーバーにドメイン管理費用とかホスティング費用を支払っていくと、だいたい半年に一回くらいのペースで日本に送金せざるを得なくなります。

円とルピアの直接取引

今日の日本の財務省のサイトでも公表されていますが、両国間の貿易や直接投資を促進するために、昨年12月に締結された「現地通貨の利用促進に係る協力覚書(Memorandum of Cooperation)」に基づき、日本円とインドネシアルピアの直接のレート表示(円とルピア間の為替取引に際してドルを介さない直接交換ができるようにする)や各種規制緩和が含まれる協力枠組みが発表されました。

日本とインドネシアの銀行間取引で円~ルピア間ドルを介して現地通貨に換算するクロス取引だったのが、両国の指定クロスカレンシー取引仲介者(ACCD)に選定された銀行間に限り一発換算のストレートで行われる。そのうちルピア/円というFX通貨ペア商品が出来るかも。

貿易取引やグループ企業間貸借、海外直接投資等の際には、日本本社のクロスカレンシー取引仲介者(Appointed Cross Currency Dealer =ACCD)に選ばれた銀行の口座から、インドネシア現地法人の指定銀行口座へのルピア転送金を行うことで、ドルを介さずストレート換算されますので、普通に考えれば若干レートが良くなるのではないでしょうか。

日本側のACCD(2020年8月31日時点)

  • みずほ銀行
  • 三井住友銀行
  • 三菱UFJ銀行
  • りそな銀行
  • BNI東京支店

インドネシア側のACCD(2020年8月31日時点)

  • MUFG Bank, Ltd., Jakarta Branch
  • PT. Bank BTPN, Tbk
  • PT. Bank Central Asia (Persero), Tbk
  • PT. Bank Mandiri (Persero), Tbk
  • PT. Bank Mizuho Indonesia
  • PT. Bank Negara Indonesia (Persero), Tbk
  • PT. Bank Rakyat Indonesia (Persero), Tbk

これまで個人レベルでも、日本~インドネシア間の送金の際のレートの悪さや手数料の高さに対する不満は大きく、TransferWiseやWestern Unionなどの銀行以外の送金手段を活用する人も多かったのですが、このACCD間での送金を行うことでレートや手数料、到着時間等で有利になる可能性は十分あるため、海外送金での銀行利用を再検討する人も出るかもしれません。

直接投資と貿易推進のための規制緩和

インドネシアは2016年に国内取引のルピア建ての義務、海外からの外貨借入へのデリバティブ資産によるヘッジ義務が規制化されたことにより、民間企業の海外からの外貨建て借り入れが事実上制限されていますので、今回の協力枠組みに含まれる規制緩和で円建て借り入れが許容されるかは不明ですが、近年のインドネシアの十分な外貨保有高やルピア相場の安定を考えると、もしかしたらグループ企業間に限りという条件付きで許容される可能性はあると思います。

BCA銀行

インドネシア国内企業に対する外貨規制の強化

通貨危機時の外貨建て債務の為替損による企業連鎖倒産の教訓から、現在は国内企業に対する外貨規制が強化され、金利の安い海外で資金調達して国内で投資するということが難しくなりました。

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また貿易推進という点から貿易金融(トレードファイナンス)の緩和が考えられますが、インドネシア現地法人が日本への輸出代金の入金を待たずに、インドネシア側のACCDに売掛金をルピア建てで買い取ってもらったり(ルピア建てのL/C決済)、ルピア建ての短期のつなぎ融資を受けたりすることで、リスクヘッジやキャッシュフローの改善に繋がる可能性があります。

また円/ルピアレートは比較的変動が激しい通貨ペアであるため、ACCD間での円建てルピア払い取引に際して円/ルピアレートを事前に約定する為替ヘッジも許容される可能性があります。

気を利かせてSWIFTコードを直して送金したよ、えっ・・・

で、先週Grand Indonesiaの某大手銀行から、日本のSMBC信託銀行(SMBC Trust Bank)の自分の口座宛に○jutaほど送金し、1円=131.87ルピアという冗談みたいなレートに少なからずショックを受けたわけですが、今日になって銀行のマネージャーっぽいおっちゃんから電話来ました。

  • はーい、ミスター。先日の送金の件ですが、SWIFTコードにSMTCJPJTと記載されましたけど、そんなSWIFTコードは見つかりませんでしたので、こちらで正しいSMBCJPJT(三井住友銀行のSWIFTコード)に書き換えて送金しておきましたYO。ところが先方の銀行から支店コードの情報がないということでホールドする旨連絡が来ていますYO。
  • ちょwwwおまwwwwくぁwせdrftgyふじこlp

一応新卒入社した銀行系システム会社では、海外支店用のシステムを担当し、インドネシアに来てからも邦銀に1年、金融システム会社に半年ほど派遣されていたので、SWIFTコードの重要性は多少なりとも理解しているつもりなので、銀行のApplication for fund transfer(送金依頼書)のMessageの欄にはデカデカとSWIFTコードを記載するようにしています。

SMBC信託銀行の自分の口座には何度も送金しているわけだし間違える訳ないのですが、一応確認してみたところ案の定SWIFTコードも銀行の住所も当然口座番号と名義も合っています。

つまり僕の○jutaは三井住友銀行にホールドされており、一応そっちにも口座あるけど今回送りたいのはSMBCにほうだし・・・・10月6日に宛先不明としてインドネシア側にリファウンドされることになります、もちろん手数料引かれて・・・。

中継銀行とは

念のために海外からSMBC信託銀行のプレスティアに送金する際の記載方法の正解をメモしておきます。

中継銀行

  • 受取銀行名(Receiving bank name): SMBC Trust Bank Ltd.
  • 受取銀行所在地(Receiving bank address):Nishi-Shimbashi Square 1-3-1, Nishi-Shimbashi, Minato-ku, Tokyo 105-0003, Japan
  • 受取銀行SWIFT(BIC)コード(Receiving bank SWIFT (BIC) code):SMTCJPJT
  • 中継銀行名(Intermediary bank name):Sumitomo Mitsui Banking Corporation
  • 中継銀行SWIFT(BIC)コード(Intermediary bank SWIFT (BIC) code):SMBCJPJT

インドネシア国内銀行への送金であれば、銀行同士がBI(Bank Indonesia)に開設している当座預金口座間で資金を振り替えることで決済されますが、日本の銀行への外国為替送金ではBIが果たす機能を中継銀行(経由銀行 コルレス Correspondent Bank)が果たします。

  • インドネシアの大手銀行⇒シティバンク銀行三井住友銀行⇒SMBC住友信託銀行

要は外国に送金するにあたってその通貨の中継地点となる銀行であり、今回の場合はシティバンク三井住友銀行がコルレスバンクとなり、インドネシアの銀行とSMBCはシティバンク三井住友銀行の口座間で決済を行います。

まあ冒頭でも書きましたが、旧シティバンクのリテール部門がSMBC信託銀行に統合されたなんて誰も知らないし、インドネシアにノストロアカウント(決済口座)持っていないだろうし、とは言え「SWIFTコード見つかりませんでした」ってのは銀行員としてどうかと思いますが、話のネタとしては面白いので、どういう形で決着するか生暖かく見守りたいと思います。