インドネシアのコーヒー産地と風味の多様性

2016/11/15

インドネシアのコーヒー産地と風味の多様性を示す構造化した図解

インドネシアは、南北回帰線の間に広がる国土と高原地帯の温暖な気候が特徴で、各地で産地特有のコーヒーが生産されています。この地域はコーヒーベルト地帯とも呼ばれ、地理や歴史、時事問題を考えながら飲むスペシャルティコーヒーは格別です。

インドネシアのコーヒー文化と産地別スペシャルティ豆の特徴を示す構造化した図解

インドネシアのコーヒー文化と産地別スペシャルティ豆の魅力とは?

インドネシアのコーヒーはオランダ植民地時代に輸出目的で持ち込まれました。スペシャルティコーヒーは高原地帯で栽培され、風味が異なります。UCC上島コーヒーのマンデリンやキーコーヒーのトラジャは有名です。

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この記事でわかること

  • インドネシアは主要なコーヒー生産国で、スマトラ島が生産の大部分を占めます。
  • インドネシアのコーヒーは90%がロブスタ種で、アラビカ種は10%に過ぎません。
  • インドネシアのコーヒーは産地ごとに異なる風味を持ち、特にアラビカ種は高地で栽培されます。
  • ジャカルタのカフェでは、シングルオリジンのコーヒーを楽しむことができ、地域ごとの風味の違いを味わえます。
  • インドネシアのコーヒーの味わいは、産地、精製法、焙煎、挽き方、淹れ方など多くの要素が絡み合って決まります。

スペシャルティコーヒーの基準と自分にとっての特別な一杯

日本やインドネシア、アフリカなど、どこにいても美味しいコーヒーを楽しみたいと思うなら、次のような「コーヒー」に関する情報が気になるかもしれません。

  1. 豆の種類
  2. 生産地
  3. 焼き方・挽き方・淹れ方
  4. 淹れるための機器

特にインドネシアに興味がある人は、「コーヒー」と「インドネシア」に関連する情報に関心を持つでしょう。

  1. インドネシアのコーヒーの産地
  2. インドネシアでのコーヒー栽培と消費の歴史
  3. インドネシアのコーヒー生産・消費・輸出に関する時事問題

インドネシアは北回帰線と南回帰線の間に位置し、コーヒーベルトに属するため、コーヒー栽培に適しています。各地のコーヒーの味は、品種だけでなく気候や土地によっても変わります。歴史的には、1602年に東インド会社が進出し、オランダの植民地支配が300年以上続く中でアラビカ種のコーヒーが持ち込まれ、高原地帯で栽培が始まりました。

インドネシアはコーヒー生産において世界の主要国の一つであり、生産の多くがスマトラ島で行われています。生産されるコーヒーの大部分はロブスタ種で、スペシャルティコーヒーの候補となるアラビカ種は少数です。栽培から流通まで一貫して高品質の管理を受け、厳正なカッピング基準をクリアしたものがスペシャルティコーヒーと呼ばれます。

しかし、自分にとっての『特別なコーヒー』とは、他人の評価ではなく、自分が『もっと楽しくもっと美味しく』飲めるコーヒーです。高品質のコーヒーを楽しむためには、有名なカフェに行くか、評価の高い豆を自分で淹れることができますが、インドネシアの地理や歴史、時事問題などの背景知識があれば、「この一杯のコーヒーが出来るまで」を想像しながら『もっと楽しく』飲めるでしょう。

コーヒーの味が変わる理由とは?―豆からカップまでの工程を分解

仮に全く同じ産地で同じ時期に同じ条件でコーヒーチェリー(完熟してサクランボのようなコーヒーの木の実)が収穫され、同じ条件で洗浄、選別、精製された生豆を、この場で焼いて挽いて淹れれば同じ風味・香味・味のコーヒーを飲むことができます。しかし、私たち最終消費者がコーヒーを飲むまでには、以下のような長い道のりがあります。

  1. コーヒーチェリーから生豆に精製⇒工場管理者の仕事
  2. 生豆の保存期間と保存環境⇒バイヤーの仕事
  3. 焙煎のされ方、焙煎後の保存期間と保存環境⇒焙煎士の仕事
  4. 粉砕(挽き方)・淹れ方⇒バリスタの仕事
  5. 淹れる⇒バリスタまたは消費者の仕事

バイヤーの豆を選ぶ能力と焙煎士の焼く技術、バリスタの能力が安定していれば、「同じカフェで同じコーヒーを注文しても味が微妙に違う」ということは発生しません。仮にバイヤーの選んだ豆の品質にムラがあっても、焙煎具合で調整できる可能性があり、焙煎具合にムラがあっても挽き方や淹れ方でリカバーできるかもしれません。このように、コーヒーカップに注がれてテーブルに置かれるまでの過程の仕事は別々の人が行うわけですから、信頼できるシングルオリジンの豆を買って自分で淹れるか、信頼できるカフェのバリスタやバイヤーを信じて飲むかして、「この産地のコーヒーは深いコクの中にも微妙な甘味が感じられる傾向があるなあ」と評価するしかありません。

  1. 産地ごとの風味の傾向を知り
  2. その風味の傾向が生み出される風土の地理的特性を知り
  3. どのような歴史を経てこのように流通するようになったか

事例:私の場合は「インドネシアのコーヒーをもっと楽しくもっと美味しく」飲むために知りたいことは以下のことです。

要点:コーヒーの味わいは、産地、精製法、焙煎、挽き方、淹れ方など多くの要素が絡み合って決まります。これらの要素を理解することで、より深いコーヒー体験が得られます。

インドネシアのコーヒーの産地別特徴を知ろう|風味と風土の関係

インドネシアは赤道付近に位置し、東西に長く連なる高原地帯が多いため、コーヒー栽培に適した条件を満たしています。この地理的特徴により、多様なコーヒー産地が存在し、それぞれ独自の風味を持つ銘柄が生まれています。インドネシアのコーヒーは、特にアラビカ種が産地特有の味わいを売りにしていますが、虫に弱いため高地での生産が主です。一方、ジャワ島では虫に強いロブスタ種が低地でも栽培可能で、インドネシアのコーヒー生産量の大部分を占めています。

Aroma Nusantara
Mal AmbasadorのAroma Nusantara

ジャカルタには、スターバックスやMAXX Coffeeなどのチェーン店のほか、コーヒー愛好家のオーナーが経営するカフェが多くあります。例えば、スラバヤ通りのGiyanti Coffee Roasteryや、タナアバンのTanamera Coffeeなどがあり、これらの店では現地農場と密接な関係を持ち、シングルオリジンの美味しいコーヒーを楽しむことができます。

  1. Aceh Gayo(スマトラ島)
    サラッとしているがコーヒー独特のアロマが強く、多少酸味を感じます。ミルクを入れてアイスで飲むと美味しいかもしれません。
  2. Toraja Uma(スラウェシ島)
    コーヒーのアロマと甘さのバランスが良く、クセのないオーソドックスな味です。基本5味(甘味・旨味・苦味・塩味・酸味)がバランスよく含まれています。
  3. Dark Roasted Toraja(スラウェシ島)
    Toraja Umaを深煎りし、若干の苦味を前面に出して少し濃厚にした感じです。
  4. Bajawa(フローレス島)
    Aceh Gayoに似ていますが、コーヒー独特のアロマはそれほど強くなく、若干甘い香りで酸味少な目のサラッとした舌触りです。
  5. Galunggung(西ジャワ)
    コーヒーの香りは強くないが、舌に刺さるようなサラッとした独特の感じがあり、カップ1杯の飲み終わり頃に若干の心地良い酸味を感じ始めます。
  6. Lampung(スマトラ島)
    コーヒー独特のアロマが強く、多少のビターテイストを加えた感じです。スマトラ産がインドネシアのコーヒーの大部分を占めています。
  7. Wamena(西パプア)
    トラジャをもっとキリッとさせた印象で、ホットのストレートまたはシングルオリジンで飲むにはこれが一押しかもしれません。
  8. Mandheling(スマトラ島)
    ダークチョコレート風の濃厚さの中にほのかな甘みが感じられ、かつては世界一の評価を得ていたと言われる風格があります。

事例:クニンガンのMal Ambasadorの4階には、インドネシア各地域のこだわりの豆を100g単位で購入できるAroma Nusantaraという専門店があります。ここでは、例えば「あるとき、口当たりスッキリ少し酸味の効いたWest Javaの豆を粗挽きにしよう」といった具合に、テイストの違いを楽しむことができます。

要点:インドネシアのコーヒーは、産地ごとに異なる風味を持ち、特にアラビカ種は高地での生産が主です。ジャワ島ではロブスタ種が多く生産され、インドネシア全体のコーヒー生産量の大部分を占めています。各地のカフェでは、シングルオリジンのコーヒーを楽しむことができ、地域ごとの風味の違いを味わうことができます。

ユーミンの歌に登場する「スラバヤ通り」とジャカルタの思い出

中央ジャカルタのスラバヤ通りには骨董品店が並び、その中にあるGiyanti Coffeeは、ユーミンの「スラバヤ通りの妹へ」という曲で知られています。この曲の『Rasa Sayang geh~』というフレーズは、インドネシアにゆかりのある人々にとっては、たとえ中島みゆき派であっても高い確率で知っているフレーズです。私もインドネシアに来てから五輪真弓の「心の友」の次に覚えた日本の曲です。

インドネシアの国土と風土が生み出す産地特有のコーヒー
中央ジャカルタのJl. Surabaya

私が最初に聞いたユーミンの曲は「守ってあげたい」で、1981年11月に発売されたアルバム「昨晩お会いしましょう」に収録されています。「スラバヤ通りの妹へ」は同年5月に発売された「水の中のASIA」に収録されており、ほんの半年の差で同時期に聴けなかったすれ違いの曲です。

ジャカルタの少し上の年代の人々が「ジャカルタに赴任したとき真っ先にユーミンの曲に出てくるスラバヤ通りを見に行った」と語るのを聞くと、年代的にぎりぎり共感できない世代ですが、もし当時11歳の私がこの曲を聴けていたら、スラバヤ通りを訪れた際に幼馴染に再会したような感動を味わったかもしれません。

GIYANTI COFFEE ROASTERY
スラバヤ通りのGIYANTI COFFEE ROASTERY

TORAJA SAPANとBLUE BATAKの豆を購入し、店内で甘いbronis(ブラウニー)と合わせていただきました。コク深いMandhelingを好む私には、酸味控えめで芳香豊かなTORAJA SAPANが合うと思っていましたが、BLUE BATAKも酸味が舌先に刺さる感じがあり、全然悪くないと感じました。これはPlaza Indonesiaの地下でココナッツミルクを使ったパダン料理を食べた後だったからでしょうか。

一般的にコーヒーの味は、何と合わせて飲むかを伝えるほうがイメージしやすいです。ケーキやどら焼きを食べるときは、ほのかに苦味が感じられるMandhelingやTORAJA SAPANが適しており、日本食レストランのランチセットには、やや酸味のあるBLUE BATAKが合うと思います。