インドネシアのクリスチャン悪魔祓い体験と文化的背景

2017/01/01

カトリック教会

有名なホラー映画「エクソシスト」では、カトリック神父が少女の悪魔を取り払う話が描かれています。インドネシアでも、心の中に潜むサタンを除霊のような方法で退散させるクリスチャンの悪魔祓いの儀式があります。何世代にも渡って取り憑いてきたサル、蛇、トカゲ、お婆さんなどの悪魔を剥ぎ取るのは簡単ではありません。

バリ島のチャナン

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インドネシアでは多様な宗教的出来事が日常的に見られる。5世紀からの宗教の歴史的変遷が地域ごとの独自の宗教色を形成。民主化の進展とシャリーアとの共存がインドネシアの特徴。

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この記事でわかること

  • インドネシアのクリスチャン悪魔祓いでは、サル、龍、トラ、トカゲ、おばあさんなど複数のサタンが現れることがあります。
  • 祖先由来の因縁がある場合、たまねぎの皮をむくように一個ずつサタンを追い出す長期対応が必要です。
  • 温和な教会では足りず、悪魔祓いに慣れた武闘派の教会が選ばれることがあります。
  • 科学では解明できない現象として扱われ、信仰や文化の違いを踏まえた対応が求められます。
  • 家族が電話や実家の物の破壊などを通じて儀式に協力することがあります。

インドネシアのクリスチャン悪魔祓い体験記|妹に取り憑いたサタンと戦った3週間

ある日、しばらく連絡のなかった嫁さんの妹から突然の泣き声で電話が入りました。彼女は「サタン(悪魔)に取り憑かれた」と訴えてきたのです。

サタン(悪魔)に取り憑かれたよー

その後、彼女に取り憑いたサタンは3週間にわたり居座り、3回の悪魔祓い(Pelepasan setan)を経てようやく去っていきました。私は最初、彼女の話を信じられずに冷たい態度を取っていましたが、ドイツ留学するほど優秀な彼女が意味不明な言葉を口走る様子を見て、科学で解明できない事象があるのかもしれないと考えるようになりました。

世の中には科学で解明できない事象がまだまだ存在するかも

彼女はドイツからインドネシアに長期休暇で戻ってきており、このままサタンを連れてドイツに戻すわけにはいかないため、教会へのアクセスが良い私のアパートでしばらく彼女を引き取ることにしました。

事例:彼女がドイツ留学中に取り憑かれたサタンを祓うため、インドネシアで3回の悪魔祓いを行いました。

要点:科学では解明できない現象が存在する可能性があり、信仰や文化が異なる環境での対応が求められることがあります。

サタンに取り憑かれたと語る彼女と過ごした不可解な日々

彼女は何十年も普通に生活していたのに、突然サタンが取り憑いたと言います。宗教的な背景は詳しくありませんが、要するにこういうことのようです。

  • 誰しもの心の中にサタンは存在するが、神に近づかない限りサタンも出てこない。
  • クリスチャンとして神に近づくとサタンは出てきて邪魔をする。

彼女が去年から聖書を熱心に読んだり教会に通ったりしていたのは覚えていますが、それだけで悪魔に取り憑かれるものなのでしょうか。試しに、彼女の中のサタンに私にも取り憑いてもらえないかとお願いしましたが、

神を信じない人間には取り憑かない。

とあっさり拒否されました。サタンは彼女の中で奇声を発し、彼女自身もサタンと会話する様子は不気味です。最初は冗談かと思いましたが、3週間も続くとそうではないと感じました。

事例:サタンは辛いものや熱いものが嫌いで、ガスコンロの火を見せると嫌がり、インドネシア語で「嫌だ嫌だ」と訴えます。毎日わさび入りの寿司やキムチ鍋を食べさせて追い出そうとしましたが、嫌がるだけで出て行きませんでした。

要点:彼女の中のサタンは、彼女が神に近づくことで現れ、日常生活に影響を及ぼしました。サタンの存在を信じない人間には取り憑かないとされています。

悪魔祓い体験記:ジャカルタの教会でのサタンとの壮絶バトル

最寄の教会で悪魔祓いを試みることにしました。悪魔祓いといえば「エクソシスト」のような映画を思い浮かべますが、今回対決するのはポロシャツ姿の普通のおじさん(Pendoa)でした。彼女の背中を押さえながら呪文を唱え、サタンを追い出そうとしましたが、効果はありませんでした。温和な教会では悪魔祓いに向かないと判断され、サタンと対決することに慣れた武闘派の教会を紹介してもらいました。

そこでは、30歳前後の経験豊富なプロたちが彼女を取り囲み、クリスチャンの歌を歌いながらサタンを呼び出しました。彼女は体を激しく揺らしながら泣き叫び、約2時間の格闘の末、取り付いているのはサル一匹ではなくその他大勢であること、しかも4世代前の祖先の時代からのサタンも引き継いでいることが判明しました。一枚一枚たまねぎの皮をむくようにはがしていく必要があり、長い戦いになりそうです。

1週間後の2回目は、午前11時から夕方4時まで約5時間ぶっ通しでした。出るわ出るわで、サル、龍、トラ、トカゲ、おばあさんなどが次々と現れ、最後には彼女の口から聞き慣れないジャワ語で悪魔がつぶやきました。

事例:武闘派の教会での悪魔祓いでは、サル、龍、トラ、トカゲ、おばあさんなど複数のサタンが現れました。4世代前からの因縁も含め、たまねぎの皮をむくように一個ずつ追い出す必要があり、初回の2時間に続く2回目は5時間の格闘になりました。

要点:インドネシアの悪魔祓いでは、複数のサタンや祖先由来の因縁がある場合、一度では終わらず、専門の教会で一枚ずつはがす長期対応が必要になります。

鏡台と木剣を破壊せよ──インドネシアの悪魔祓いが導いたソロ実家での儀式

悪魔祓いが終わった後、Pendoaのお姉さんはソロの実家のお母さんに電話をかけるよう指示しました。電話口でお母さんは、4世代前までの過去のシガラミを断ち切る呪文を復唱しました。70歳近い母親が、悪魔に取り憑かれた娘を助けるために、教会の呪文を電話で復唱する光景は、信仰心の厚いインドネシアならではのものです。

最後にPendoaのお姉さんは、ソロの実家にある開かずの部屋の鏡台を割り、木剣を焼却するよう指示しました。

  • ソロの実家に滅多に開かない部屋がありますよね?
  • そこにある鏡台の鏡を割ってください。
  • クリス(剣)を焼却してください。
  • まわりにある家具を赤い糸で縛ってください。

実際にソロの実家に行くと、指摘された通りの鏡台と木剣がありました。鏡台を裏庭に運び出し、鉄の棒で叩き割り、木剣を焚き火にくべましたが、硬い木を完全に焼くことはできず、最終的には黒焦げにして粉々にしました。

ソロで有名なNasih Gudeg Cekerのワルン

ソロで有名なNasih Gudeg Cekerのワルンにて

娘が自宅の鏡台を叩き割るためにジャカルタからソロに帰省するというのも驚きですが、お母さんはすべてを理解しており、準備を整えていました。日本人的には受け入れがたい話ですが、悪魔が潜んでいるという考え方は、宗教の違いを超えて理解できる部分もあります。

その後、彼女は再び悪魔に取り憑かれましたが、今回は軽傷で、普通の会話ができるまで回復しました。クリスチャンにとって悪魔は心の中に潜んでおり、憎しみの感情で呼び起こされることがありますが、仏教的価値観から見ると、神に祈るだけでは他力本願に見えることもあります。異教徒としては、その考えを認める努力をするしかありません。

ハイタッチ

宗教観の違いと死生観に見るインドネシアと日本の文化比較

インドネシアでは宗教が生活の一部であり、無宗教の日本人に驚きを感じます。キリスト教とイスラム教はユダヤ教から派生し、共通の教義を持ちながらも神の解釈が異なります。クリスチャンは死を「帰る」と表現し、安心感を持って最期を迎えます。

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