インドネシアでは、利権が絡む場所で火災が発生することがあります。最高検察庁の火事も、立件済みの汚職事件との関係が疑われています。特に、ジョコチャンドラ氏との贈収賄の疑いで抑留されているピナンキ検察官に関する捜査資料の隠滅が疑われています。
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この記事でわかること
- インドネシア最高検察庁の火災は、ジョコチャンドラ氏との贈収賄疑惑と関連が疑われています。
- 火災の迅速な鎮火は、ビルが大通りに面していたことや高額な112mのはしご車の活躍によるものです。
- インドネシアでは、土地や建物に関する対立がある場合に火災が発生することがあります。
- ジョコチャンドラ氏は1999年の贈収賄事件で逮捕され、2020年にマレーシアで再逮捕されました。
- ピナンキ検察官の個人資産が11年間で227%増加し、贈収賄の疑いが持たれています。
インドネシア最高検察庁の火災――HEROの舞台と重ねて見るその重大性
検察の仕事が一般の人々に知られるようになったのは、2001年に放送された木村拓哉主演のドラマ「HERO」であることは間違いありません。木村拓哉が演じた久利生公平が青森から異動してきた舞台は、最高検察庁の下にある東京高等検察庁のさらに下の東京地方検察庁の城西支部という末端支部でした。
今回、インドネシアのKejaksaan Agung RI(最高検察庁)が火災で燃えたことは、日本で霞が関の最高検察庁が燃えたのと同じくらい重大な出来事です。中央ジャカルタから日本人が集う繁華街BlokMに向かう途中、右手に見える古風な白亜の建物が印象的でした。

火災といえば、2015年に私の職場があったThamrin通りのコスゴロビルでも火災が発生しました。16階のペントリーから始まった火災は上層階に広がり、Karawangにいた私のWhatsAppにも、ビルの上部が火に包まれる動画が送られてきました。翌朝まで鎮火せず、警備員が「鎮火まで13時間かかったのはアジア新記録だ」と話していました。
今回の火災は建物全体が真っ黒焦げになっていることから、火の回りが非常に早かったと推測されます。しかし、比較的短時間で鎮火されたのは、ビルが大通りに面していたため消防車が出入りしやすかったことや、高額な112mのはしご車が消火活動に活躍したことが要因です。
日本で最高検察庁が燃えたら、「火元はどこか?」「火災報知器の点検は適切に行われていたか?」などの検証が行われるでしょう。しかし、インドネシアでは「証拠隠滅か?」「この火災で誰が得をするのか?」という詮索が先に始まります。
インドネシアで火災と汚職事件が結びつく背景とジョコチャンドラ事件の影響
インドネシアでは、土地や建物に関する対立がある場合に、タイミング良く火災が発生するケースがあります。例えば、不法占拠された住宅密集地で住民が強制立ち退きに反対したり、行政による市場の再開発計画に対して地元商店主やプレマン(チンピラ)が反対したりすることがあります。また、古い建物の建て替え推進派と改装による継続利用推進派が対立することもあります。
最高検察庁の火災後、政治・治安担当調整大臣(Kemenko Polhukam)は、公正な現場検証と情報開示を国民に約束しました。これは、ジョコチャンドラ氏との贈収賄疑惑で抑留されているピナンキ検察官に関する捜査資料の隠滅が疑われることを憂慮してのことです。

1999年、Bank Baliが抱えていた焦げ付き債権が全国銀行再建庁の債権回収プログラムに入るよう、ムリアグループのトップであるジョコチャンドラ氏がゴルカル党に働きかけを行いました。この際の贈収賄事件で逮捕され、収監される直前に海外逃亡しましたが、2020年7月にマレーシアで逮捕されインドネシアに送還されました。
さらに、ピナンキ検察官がジョコチャンドラ氏と弁護士と3人で写った写真がFacebookで出回り、2019年に許可なく9回海外へ出国し、そのうち1回はジョコチャンドラ氏と会っていたことが明らかになりました。彼女の個人資産が過去11年間で227%増加していることから、ジョコチャンドラ氏との贈収賄が疑われています。ジョコウィ政権は、景気低迷する中で国民の批判を受けやすい汚職事件に対して厳正な対応を示したいと考えています。