インドネシアの中小個人事業主に対する外形標準課税制度の改定【利益率4%以下なら通常の法人税率を適用したほうがお得】

本記事の概要

年間売上高が4.8Miliyar未満の中小企業が選択することができた、売上高に対する1%の分離課税制度が改定され、税率が0.5%と引き下げられる一方で、適用期間は3年間に限定されます。

利益率が4%より大きければ0.5%の分離課税を選択するほうが得であり、4%以下であれば通常の所得税計算方式を選択するほうが得になります。

2018年度政府法令No.23で定義されるUMKMに対する外形標準課税の変更点


インドネシアでは年間売上4.8Miliyar以下の中小個人事業主UMKM(Usaha Mikro, Kecil, dan Menengah)の場合、通常の法人所得税率に基づいて計算される税額ではなく、外形標準課税(Pro forma perpajakan standar)として1%の分離課税(Final Tax)を選択することができました。

外形標準課税とは、会社建屋の床面積や従業員数、資本金など、課税所得以外の外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式であり、インドネシアのFinal Taxの基準は売上高(omzetまたはpendapatan bruto)を基準としています。

この制度自体は、事業主に対して一律公平にかかる事業税のようなものですが、2018年7月1日から適用されるPP Nomor 23 Tahun 2018(Peraturan Pemerintah)では、分離課税比率が0.5%に引き下げられる一方で、適用期間は最大3年間に制限され、4年目以降は通常の法人所得税比率で課税されます。

  • 2018年度、2019年度、2020年度の売上高が4.8Miliyar未満の場合の法人所得税は、「売上高x0.5%」で確定する分離課税方式(Final Tax)か、「税引前当期純利益x12.5%」に源泉所得税の控除を行う総合課税(Non-Final Tax)かのどちらかが選択できる。
  • 売上が4.8Miliyar以上の場合は、以下の通常の法人所得税率で税額が計算され、仮に2018年度の売上が4.8Miliyar以上で2019年度の売上が4.8Miliyar未満に下がったとしても、分離課税方式に後戻りすることはできない。
    1. 税引前当期純損失の場合には法人所得税はなし。
    2. 年間売上4.8Miliyar未満:12.5%の均一レート
    3. 年間売上4.8Miliyar以上50Miliyar未満:以下の計算式に基づき12.5%から25%の間になる。
    4. 年間売上50Miliyar以上:25%の均一レート
  • 以上の税率は以下の式で計算される。
    (税引前当期純利益x25%)-{(600jutax税引前当期純利益)/年間売上}

通常の法人所得税と外形標準課税とどっちが得か


当然ですが、税引前当期純利益がマイナス、要は事業赤字の場合には、課税所得0につき法人所得税は課せられませんので、通常の所得税計算方式のほうが得です。

それでは事業黒字かつ売上4.8Milyar未満の中小企業の場合は、総合課税(Non-Final Tax)である通常の法人所得税か、分離課税(Final Tax)である外形標準課税か、どっちが得か検討する必要があります。

法人所得税は以下の式で計算されます。

  • 通常の計算式で算出した法人所得税
    =(税引前当期純利益x25%)-{(600jutax税引前当期純利益)/年間売上}

分離課税適用上限である4.8Miliyarの売上がある場合の分離課税は以下のとおりです。

  • 4.8Miliyarx0.5%=24juta

通常の法人所得税算出式で税額が24jutaであるのは、以下の方程式で算出できます。

  • 24juta=(税引前当期純利益x25%)-{(600jutax税引前当期純利益)/4.8Miliyar}
    24juta=税引前当期純利益(25%-600juta/4.8Miliyar)
    税引前当期純利益=192juta

つまり売上4.8Miliyarに対して税引前当期純利益が192jutaの場合にはじめて、分離課税額と税額が同じになります。

    192juta÷4.8Miliyar=利益率4%

利益率が4%以下の場合には、通常の法人所得税率がお得という計算になりますが、2018年7月現在のBCA銀行の定期預金金利が年利5%であることを考えると、普通は分離課税0.5%を選択するほうが得になります。