業務システム導入時に知っていると得する税法の知識として、付加価値税であるPPN(Pajak Pertambahan Nilai)と所得税PPh(Pajak Penghasilan)があります。特にインドネシアの税制の特徴は、所得税PPh体系が複雑であることです。
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インドネシアで働く・ビジネスする人のための税金の知識|会計・システム・実務対応まで
PPNは末端消費者が実質負担し、名目12%改定後も通常取引は実質11%相当の計算がある。個人所得税PPh21は超過累進で、NET契約ではグロスアップ方式が使われることが多い。源泉は総合課税(PPh23等)と分離課税(PPh4-2等)に…
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この記事でわかること
- インドネシアの税制は複雑で、特に所得税PPh体系が特徴的です。会計システム導入時には税務知識が必要です。
- 法人税PPh25は22%で、前年度の課税所得に基づき毎月前払いする必要があります。年度末に確定税額を計算し、差額をPPh29として納税します。
- サービスに対する源泉税PPh23は、サービス提供者の税金を決済時に源泉し、翌月10日までに納税します。ERPシステムでの処理が必要です。
- 輸入時には関税Bea Masuk、付加価値税PPN、前払法人税PPh22がかかります。これらは輸入品の消費や販売時の利益に対する課税です。
- 個人所得税PPh21は超過累進課税で、所得に応じて税率が変わります。給与から控除され、会社が納税します。
会計システムから見たインドネシアの税制
インドネシアで会計システムを導入する際には、税務の知識が多少必要です。具体的には、給与計算システムに関連するのが所得税PPh21であり、インボイスの発行や受領に関係するのが付加価値税PPN(VAT)です。また、会計システムの債務A/P決済には国内サービスに対する源泉所得税PPh23が関係します。関税Bea MasukやPPh22は振替伝票からマニュアル仕訳が必要です。その他、PPh25, PPh24, PPh4-2, PPh26, PPh29はシステムになじみが薄いです。

事例:私の場合、これらの税制を大まかに分類しています。
要点:インドネシアの税制を理解することは、会計システムの導入と運用において重要です。
インドネシアの所得税
法人税(PPh25)
インドネシアは日本と同様に市場主義経済ですから、国のメインの税収は所得税(PPh=Pajak Penghasilan)であり、そのうち会社の所得税である法人税が課税所得に対して22%かかります。年度末の当期課税所得が確定してから一括納税するのはNGで、前年度課税所得x22%=前年度法人税額から前期の前払PPh22と前年度に源泉されたPPh23とPPh24を控除したみなし税額を12等分して毎月の予定納付額(PPh25)として前払いし、年度末に当期課税所得を元に算出した確定法人税額から12ヶ月分の累積額と当期のPPh22、PPh23、PPh24を控除し、差額をPPh29として納税します。PPh25の月額は税務上の課税所得が前年度末から当期3月末までの間の「13月」に税務調整がなされた上で確定する関係上、毎月の予定納付額が更新されるのは4月からになります。
サービスに対する源泉税(PPh23, PPh4-2, PPh26)
法人税は申告して支払うものですが、国内サービスに関してはサービス提供者側の税金2%を決済時に源泉した上で、翌月10日までに納税する義務PPh23があり、サービス提供者側にBukti Potong PPhを発行します。逆に売りの場合はお客から源泉徴収票を発行してもらい、年度末の当期確定課税所得の22%から控除し差額をPPh29として納付します。ERPシステムでPPh23を処理するのは、売り買いともにインボイスの決済時であり、インボイスの明細単位で源泉対象かそうでないかを判断する必要があるため、品目マスタに識別フラグがない限り選別計算が難しく、会計システムのみ導入する場合は品目マスタすら存在しないので更に難しいです。よって必然的に債務A/P決済画面からマニュアルで税務仕訳を追加することになります。
- (借) Bank 98 (貸) A/R 100
- (借) PPh23 Prepaid 2
- (借) A/P 100 (貸) Bank 98
- (貸) PPh23 Payable 2
国内サービスのうちオフィスの賃貸料の場合、支払うときPPh4-2課税分10%を源泉し翌月納税する義務がありますが、PPh23が総合課税であるのに対し、PPh4-2は取引単位で課せられる源泉分離課税です。銀行利子も同じくPPh4-2のFinal Taxであり、口座に入金されるときに銀行側に20%源泉されています。ですから1milyarをBCA銀行で年利6.25%の定期預金を作る場合、これが毎月Netで利子として入ってきます。インフレとルピアの為替リスクは定期預金の利子くらい軽くふっ飛ばしますので、安易に円をルピアに両替するのではなく円とルピアをバランス良く保持してリスク分散したほうがよいと思います。
海外サービスに対する源泉はPPh26で支払い時に源泉の上、海外のサービス提供者が自国で二重課税されないよう源泉徴収票を発行します。このPPh26がインドネシア子会社の日本へのロイヤルティ支払い、つまり日本の親会社の投資回収の源泉に対してかかる源泉徴収であり、インドネシア法人側で20%きっちり源泉の上、インドネシアにて納税する必要があります。
輸入時の前払法人税(PPh22)
輸入時に関税の他に、「将来の販売時の法人税を前払いしろ」というPPh22があります。PPNもしっかり徴収されますので輸入時にはトリプルで税金がかかることになります。例えば船上渡しFOB価格1,000に対して送料200と保険10がかかった場合のBea Masuk、PPN、PPh22は以下のように計算できます。
- Bea Masuk : (1,000+200+10)x15%=181
- PPN : (1,000+200+10+181)x10%=139
- PPh22 : (1,000+200+10+181)x2.5%=347
この場合の輸入に関わる仕訳は以下のようになります。
- (借)Freight fee 1,000 (貸) A/P Forwarder 1,667
- (借)Bea Masuk 181
- (借)Prepaid PPN 139
- (借)Prepaid PPh22 347
PPh22は経過勘定に計上し、年度末の当期課税所得x22%の税額と相殺します。
海外所得に対する所得税(PPh24)
インドネシアで年間183日ルールを満たすインドネシア居住者が日本から給料その他の収入がある場合、インドネシアだけでなく日本の収入に対しても所得税が課されます。その場合の2重課税を防ぐためには日本で源泉されたときの源泉徴収票でもってインドネシアで控除を受けることになります。リタイアメントビザでインドネシアに居住する場合は日本での年金収入などがあることを前提としているので、このPPh24の控除手続きが必要になります。
非居住者への支払いに対する源泉税(PPh26)
インドネシアの事業主体が非居住者に対して支払いをする際には、20%を源泉徴収してインドネシアの税務署に納税する必要がありますが、日イ租税条約に基づいた二重課税防止のための規則を適用する際に必要となる居住者証明書を税務署に提出することで、インドネシア側で免税または減免を受けることができます。弊社の場合、日本から購入するソフトウェアのライセンスへの支払いに対する免除であり、PPh pasal 26が免除され0%になりました。親会社に対するロイヤルティやセールスコミッションの場合、「下がる」ようですがそれが免除なのか減免なのか経験がないのではっきりしません。
個人所得税(PPh21)
個人の所得税PPh21は日本と同じく「超えた分のみ税率が上がる」超過累進課税です。基本給と手当を足した額面金額から各種控除を差し引いた金額が課税所得です。
- 50jutaまで:5%
- 50jutaから250jutaまでの間:15%
- 250jutaから500jutaまでの間:25%
- 500juta以上:30%
毎月の額面給料が10juta/月の人の年間課税所得額は120jutaなのでPPh21の年間総額は50jutax0.05 + 70jutax0.15=13jutaになりますので、毎月の所得税は13juta÷12ヶ月=1.083jutaになり、手取りは10juta-1.083juta=8.917jutaになり、1.083jutaが会社によってPPh21として納税されます。給料が手取り金額の場合はNet給料10juta/月に所得税手当を追加した11jutaを額面給料とします。この場合の年間課税所得額は132jutaなのでPPh21の年間総額は50jutax0.05 + 82jutax0.15=14.8jutaになりますので、毎月の所得税は14.8juta÷12ヶ月=1.233jutaになり、手取りは10jutaのままで、1.233jutaが会社によってPPh21として納税されます。これは下手な例なのでTunjangan PPh21とPPh21の間に差額がありますが、この差額がないようにビシッと逆算することをグロスアップ方式と言います。
事例:ある日本企業がインドネシアで事業を展開する際、現地の法人税制度を理解せずに一括納税を試みた結果、税務署から指摘を受け、追加の罰金を支払うことになりました。
要点:現地の税制を理解し、適切な納税手続きを行うことが重要です。
付加価値税PPN(Pajak Pertambahan Nilai)
インドネシアで生活する上で最もなじみ深い税金の一つがPPN(付加価値税)11%です。Invoice発行時にはOut11%、Invoice受領時にはIn11%としてFaktur Pajakを証拠に、プラスであれば翌月末までに納税し、マイナスであれば年度末に還付請求または翌事業年度に繰り越します。
PPNを理解するためには、製造業が材料を輸入し、製品を生産して小売店に並ぶまでのプロセスを考えると分かりやすいです。材料購入時にかかるBea Masuk(関税)は、輸入品の消費に対する課税で製造業が負担します。また、PPh22は販売時の利益に対する課税の前払いとして製造業が負担します。PPNは工場から一次卸、二次卸、小売店というサプライチェーンで生じる付加価値に対する課税で、事業主が負担します。
ただし、消費者が小売店から商品を購入する際のVATは税額控除できないため、最終的にPPNを負担するのは消費者です。この点で、PPNは日本の消費税(酒税・たばこ税)に近いと言えます。
- Bea Masuk(事業者負担)→PPh22(売上時の税金前払い)→PPN(消費者負担)
事例:ある小売店では、PPNの計算ミスにより、消費者に過剰な請求を行ってしまったケースがありました。これにより、消費者からの信頼を失い、売上が減少しました。
要点:PPNの正確な計算と適切な管理は、消費者の信頼を維持し、ビジネスの安定に寄与します。
納税方法
毎月のSPT(Surat Pemberitahuan)は、PPN、PPh21、PPh23、PPh25、PPh4-2の5種類があり、銀行への払い込みはまとめて一括で行えます。PPh23が売りの場合、年度末の当期課税所得に基づいて計算された法人税から控除されます。
年度末には、当期課税所得に基づく22%の法人税額が確定します。その後、毎月前払いしてきたPPh25(予定前払い)、PPh23(客に源泉された源泉徴収票分)、PPh22(輸入時に販売時の前払い)、PPh24(インドネシア居住者が日本で得た収入のうち日本で源泉されたもの)を控除した差額をPPh29として払い込みます。
事例:ある企業は、年度末にPPh29の支払いを行う際、前払いしていたPPh25とPPh23の控除を正確に行うことで、過剰な税金の支払いを避けることができました。
要点:年度末の税金計算では、前払いした税金を正確に控除することで、適切な納税額を確保できます。