2020年12月現在、コロナ禍の中での米中経済摩擦の中での報復関税の応酬から始まって、アメリカでのスパイ活動や知的財産権の侵害の容疑でヒューストンの中国領事館が閉鎖され、これへの報復措置として中国が成都のアメリカ領事館を閉鎖命じるなど、米中間での冷戦の様相になりつつある中、「有事の金買い」によって金価格が高騰しています。 インドネシアの政治・経済・社会 日本人のインドネシアについてのイメージはバラエティ番組で活躍するデヴィ・スカルノ元大統領夫人の知名度に依存する程度のものから、東南アジア最大の人口を抱える潜在的経済発展が見込める国という認識に変遷しています。 続きを見る
悪貨は良貨を駆逐する
2018年の会社設立以来住んでいる西ブカシにも、コタ地区のITCマンガドゥアやクニンガンのアンバサドールモール(Ambassador Mall)のような、PC関連機器を扱う店が集積しているブカシサイバーパーク(Bekasi Cyber Park)というモールがあって、ジャカルタとは違いブカシという田舎だけあって、店員さんも擦れてなく声を掛けやすい雰囲気です。
オンラインセミナー当日にPC内臓マイクが認識されなくなり、やむなく不参加となってから、Windowsやドライバーやアップデートや再インストールを試みましたが直らないので、外付けマイクとイヤホンジャック分岐器を買いに来たのですが、そこでキャップのない欠陥商品を買わされそうになりました。
商品在庫の中でも、実質価値の高い良品はなるべくキープして、実質価値の低いパーツ欠品を先に手放すことで自身の資産価値を守るというのは、経済活動として理にかなった行動であり、その結果流通過程から良品が駆逐されるという「グレシャムの法則」が働いたということであり、これは財布の中のお札の中でも古くて汚い札から使いたがるのと同じ理屈です(財布が汚れるので早く放出したいというのもありますが)。
予防注射の順番待ちで最初に並んでも一番後ろに並んでも結局は打たれて痛い思いをするのと同じく、パーツ欠品の商品を先に売るのも後に売るのも売上という収益のフローの面では同じですが、倉庫に保管される商品ストックの評価額が違ってくるということに加えて、明日来る客が「キャップがないから買わない」と言って買わずに帰ってしまう機会損失リスクもあります。
僕も2001年から2007年まで、バリ島で家具や雑貨の輸出や島内でブティックやってましたので、商売人として欠陥品を早く手放したい気持ちは痛いほどわかりますし、サービスの質は僕みたいな一元客よりもひいき客のほうが高いのは当然なので気にしてないのですが、後から店員の女の子が怒られてないかだけが心配です。
有事の金買いによる金価格の高騰
2020年現在、米中経済摩擦の中での報復関税の応酬から始まって、アメリカでのスパイ活動や知的財産権の侵害の容疑でヒューストンの中国領事館が閉鎖され、これへの報復措置として中国が成都のアメリカ領事館を閉鎖命じるなど、米中間での冷戦の様相になりつつある中、金価格が高騰しています。
2020年に入ってコロナ禍による世界経済停滞が追い打ちとなり「有事の金買い」が発生したわけですが、モノ自体に価値がある実物資産である金のほうが信用できるという考えは、ローマ帝国時代から戦後のIMF体制までの長きに渡って続いていたわけで、政府保証があってはじめて価値がある円やドル、ルピアなど通貨同士の相対的価値が市場原理で決定する変動為替相場制は、有事では信用に足らないというわけです。
ここ最近の金価格は1グラムあたり1juta水準で動いていますので、仮に金含有量1グラムの金貨が貨幣として流通していたとしたら、今のようなコロナ有事では手元に金貨を残してルピア紙幣が先に使われた結果、市場に出回るのは紙幣ばかりになってしまうという事象を表したものが「悪貨は良貨を駆逐する」の本来の意味になります。
日本では金で財産形成する習慣はないかと思いますが、中国や台湾、香港などの中華圏はもちろん、タイやインドネシアでも中華系インドネシア人を中心に、金の現物保有は一般的に行われており、僕の仕事のパートナーの出身地であるスマトラ島のパダン(Padang)では、金本位の価値観が根強く残っており家には必ず金が保管されているため、財産を守る上での一番のリスクは泥棒と火事だと言ってました。