年間売上高が4.8Miliyar未満の中小企業が選択することができる売上高に対する1%の分離課税制度(PP46)が改定され(PP23)、税率が0.5%と引き下げられる一方で、適用期間は3年間に限定されます。利益率が4%以下の場合には通常の法人所得税率が得です。 インドネシアの税金 C312就労ビザには6か月間と12か月間の2種類あり、イミグレーションと税務署のデータベースは繋がっていないとはいえ、インドネシアに183日以上滞在する場合はNPWP(納税者番号)を取得し個人所得税PPh21を納税しないと脱税の嫌疑をかけられかねません。 続きを見る
2018年度政府法令No.23で定義されるUMKMに対する外形標準課税の変更点
インドネシアでは年間売上4.8Miliyar以下の中小個人事業主UMKM(Usaha Mikro, Kecil, dan Menengah)の場合、通常の法人所得税率に基づいて計算される税額ではなく、外形標準課税(Pro forma perpajakan standar)として1%の分離課税(Final Tax)を選択することができました。
外形標準課税とは、会社建屋の床面積や従業員数、資本金など、課税所得以外の外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式であり、インドネシアのFinal Taxの基準は売上高(omzetまたはpendapatan bruto)を基準としています。
この制度自体は、事業主に対して一律公平にかかる事業税のようなものですが、2018年7月1日から適用されるPP Nomor 23 Tahun 2018(Peraturan Pemerintah)では、分離課税比率が0.5%に引き下げられる一方で、適用期間は最大3年間に制限され、4年目以降は通常の法人所得税比率で課税されます。
- 2018年度、2019年度、2020年度の売上高が4.8Miliyar未満の場合の法人所得税は、「売上高x0.5%」で確定する分離課税方式(Final Tax)か、「税引前当期純利益x12.5%」に源泉所得税の控除を行う総合課税(Non-Final Tax)かのどちらかが選択できる。
- 売上が4.8Miliyar以上の場合は、以下の通常の法人所得税率で税額が計算され、仮に2018年度の売上が4.8Miliyar以上で2019年度の売上が4.8Miliyar未満に下がったとしても、分離課税方式に後戻りすることはできない。
- 税引前当期純損失の場合には法人所得税はなし。
- 年間売上4.8Miliyar未満:12.5%の均一レート
- 年間売上4.8Miliyar以上50Miliyar未満:以下の計算式に基づき12.5%から25%の間になる。
- 年間売上50Miliyar以上:25%の均一レート
- 以上の税率は以下の式で計算される。
(税引前当期純利益x25%)-{(600jutax税引前当期純利益)/年間売上}
通常の法人所得税と外形標準課税とどっちが得か
当然ですが、税引前当期純利益がマイナス、要は事業赤字の場合には、課税所得0につき法人所得税は課せられませんので、通常の所得税計算方式のほうが得です。
それでは事業黒字かつ売上4.8Milyar未満の中小企業の場合は、総合課税(Non-Final Tax)である通常の法人所得税か、分離課税(Final Tax)である外形標準課税か、どっちが得か検討する必要があります。
法人所得税は以下の式で計算されます。
- 通常の計算式で算出した法人所得税
=(税引前当期純利益x25%)-{(600jutax税引前当期純利益)/年間売上}
分離課税適用上限である4.8Miliyarの売上がある場合の分離課税は以下のとおりです。
- 4.8Miliyarx0.5%=24juta
通常の法人所得税算出式で税額が24jutaであるのは、以下の方程式で算出できます。
- 24juta=(税引前当期純利益x25%)-{(600jutax税引前当期純利益)/4.8Miliyar}
24juta=税引前当期純利益(25%-600juta/4.8Miliyar)
税引前当期純利益=192juta
つまり売上4.8Miliyarに対して税引前当期純利益が192jutaの場合にはじめて、分離課税額と税額が同じになります。
- 192juta÷4.8Miliyar=利益率4%
利益率が4%以下の場合には、通常の法人所得税率がお得という計算になりますが、2018年7月現在のBCA銀行の定期預金金利が年利5%であることを考えると、普通は分離課税0.5%を選択するほうが得になります。