インドネシアの社会保障制度BPJSにはKetenagakerjaan(社会保険)とKesehatan(医療保険)の2つがあり、社会保険加入者のうち月給5百万ルピア以下の低所得者に対して、政府からコロナ禍に対する賃金補助金として60万ルピア/月が4ヶ月間支給されることになっています。 インドネシアの税金 C312就労ビザには6か月間と12か月間の2種類あり、イミグレーションと税務署のデータベースは繋がっていないとはいえ、インドネシアに183日以上滞在する場合はNPWP(納税者番号)を取得し個人所得税PPh21を納税しないと脱税の嫌疑をかけられかねません。 続きを見る
コロナ禍の影響による低所得者救済のための賃金補助金
コロナ禍の影響で日本ではマスク不足が問題となり、全世帯にアベノマスク2枚が給付された他に、一律10万円の特別定額給付金が住民基本台帳(住民票を世帯ごとに編成し作成する公簿)を元に支給されていますが、インドネシアでは公務員PNS(Pegawai Negeri Sipil)以外の、5百万ルピア以下の低所得者に対する賃金補助金BSU(Bantuan Subsidi Upah )60万ルピア/月が4ヶ月間支給されることになっています。
政府補助金Rp.60万/月受給の条件
1.インドネシア人
2.BPJS加入
3.給料5juta以下
4.労働者
5.就職前カードプログラム非加入
6.銀行口座有
7.2020年6月までBPJS加入
ちょうど6月から株主2名をUMK(最低賃金)に改定していたのでダメ元で2名分申請済だが果たして貰えるのか?
弊社の場合、コロナ禍の影響を大きく受けて、4月から受注できる予定だった仕事がペンディングになり、先行き不透明な景況を考慮して、株主の給料を率先して最低賃金水準まで引き下げたのが6月で、5月以前の給料が5juta以上だったことはBPJSの支払い履歴から確認できるので、支払いの条件として6月分だけが参照されるのであれば支給されるでしょうし、過去数か月分に遡って判断されれば支給対象外となるかもしれません。
社会保険BPJS Ketenagakerjaan (TK)の計算方法
2020年のジャカルタ特別州の最低賃金UMP(Upah Minimum Provinsi)はRp.4,276,349でジャワ島で最も高く、逆に最も低いのがジョクジャカルタ特別州(Daerah Istimewa)のRp.1,704,608で2.5倍の差がありますが、2019年のインドネシアのインフレ率が2.72%と過去10年間で最低であったことを考えると、両州とも前年度比で8.51%とインフレ率をはるかに上回る賃上げがなされています。
社会保障制度BPJSにはKetenagakerjaan(社会保険)とKesehatan(医療保険)の2つがありますが、弊社の場合、両方とも会社負担としており、計算の元となる賃金(upah)のうち算定基礎額となるのは基本給(gaji pokok)と固定手当(tunjangan tetap)の2つであり、下限としては自動的に最低賃金UMP/UMKが適用されます。
今回弊社の株主2名の給料を最低賃金Rp.4,276,349、実際には計算の便宜上Rp.4,300,000まで引き下げたのですが、この算定基礎額を例に社会保険BPJS TK額の算出方法を説明します。
- JKK(Jaminan Keselamatan Kerja):傷害保険⇒会社0.24%(弊社の場合)
- Kelompok I (最小リスク) : 0.24%
- Kelompok II (低リスク) : 0.54%
- Kelompok III (中リスク) : 0.89%
- Kelompok IV (高リスク) : 1.27%
- Kelompok V (最高リスク) : 1.74%
- JKM(Jaminan Kematian):死亡保険⇒会社0.3%
- JHT(Jaminan Hari Tua):老齢保険⇒会社2%+個人1%=3%
- JP(Jaminan Pensiun):年金⇒会社3.7%+個人2%=5.7%
弊社は全額会社負担ですので最低賃金を算定基礎額とする場合のBPJS TKの支払い額は以下のとおりになります。
- 傷害保険:Rp.4,300,000 x 0.24%=Rp.10,329
- 死亡保険:Rp.4,300,000 x 0.3%=Rp.12,900
- 老齢保険:Rp.4,300,000 x 3%=Rp.129,000
- 年金:Rp.4,300,000 x 5.7%=Rp.245,100
合計Rp.397,320
最低賃金の場合に社会保険料BPJS TKの給料に占める割合は9.24%になっていますが、年金については算定基礎額の最高額がRp.8,939,700となっていますので、高給取りになるほど給料全体に占める社会保険料の比率は下がるということになります。