ハイビスカスがインドネシア語でbunga sepatuと呼ばれるのは、花の形が靴に似ているからではなく、昔インドで花が靴磨きのワックスとして使われていたからです。ハイブリッドの交配種はつぼみのまま落下するケースが多く、適度な日当たりと水を撒くタイミング、風通しなどに気を使います。 インドネシアの植物 「インドネシアの植物」と聞いて思い浮かぶのはバリ島を象徴する花でもありお供えものチャナンに添えてあるフランジパニ、灼熱の熱帯気候を体現するようなハイビスカス、傘替わりに使えそうな大きな葉っぱで有名なアロカシアなどです。 続きを見る
熱帯・亜熱帯の代表的な花であるハイビスカス
ハイビスカスは日本では扶桑花(フソウゲ)とか仏桑花(ブッソウゲ)とも言われ、インドネシアのような熱帯、沖縄やハワイのような亜熱帯を象徴する花であり、これが州花に指定されているハワイでは、花を右耳に挿している女性は未婚、左耳の後ろに挿している女性は既婚を意味するようです。
ハイビスカスという名前は、ローマ時代の植物学者、作家、医者であったPedanius Dioscorides(ペダニウス ディオスコリデス)によって、ギリシャ語のhibiskos(ヒビスコス)に由来して名付けられたという説が有力であり、このhibiskosは美を司る女神(hibis)に由来するという説もありますが、実際のところよくわかっていません。
インドネシアではbunga sepatu(靴の花)と呼ばれているハイビスカスは、南アジア、東南アジア、太平洋の島々原産と言われており、世界中で交配が行われた結果、現在では200種類以上に増えていますが、花弁の計上から見た場合には大きく分けて一重のものと二重以上のものがあります。
個人的には一重で花弁が大きいタイプのものが好きで、10年以上前のバリ島の自宅では白や黄色、ピンクの大型のハイビスカスを中庭に植えていましたが、特に好きなものが「マドンナ」と呼ばれるハワイアンタイプの品種で、大きな白い花びらの中心部分が赤く、bendera Jepang(日本の国旗)と呼んでいました(写真がないのが残念)。
花言葉とは植物に対して象徴的な意味を持たせるために与えられる言葉であり、ハイビスカスの一般的な花言葉は「繊細な美」というものですが、色の種類が多い花であるため色ごとに若干意味が変わっています。
- 白:純粋さ、美しさ、優雅さ
- 黄:幸福、日光、幸運
- ピンク:愛情の友情
- 紫:謎
- 赤:愛と情熱
健康に良いハイビスカスティ
一般的に植物の栽培では水の加減が大切で、自宅にあるアロカシアやアンスリウムなどは水が多すぎるとすぐに葉が黄色くなり根腐れしますが、ハイビスカスは毎日十分な水まきをしても問題ないので栽培しやすい植物と言えます。
そして大事なことの一つが定期的に肥料を投与することであり、現在のブカシの家の鉢植えハイビスカスに対しては、根を強く育てる効果の肥料と、花を咲かせる効果の肥料を隔週で投与していますが、これを怠ると花が開花する前のつぼみのまま落ちてしまいます。
そしてもう一つ大事なのが、葉が少しでも元気無くなったと感じたら、葉の裏側や茎の部分に害虫がいないかどうかをまめにチェックすることであり、ハイビスカスはアブラムシやカイガラムシなどの害虫にやられやすい植物ですので、水を十分に上げているのに葉っぱがシュンとしているときは、だいたい虫がついていますので、霧吹きで害虫駆除液(Anti hama)を吹きかけます。
ジャスミンティと並んで有名な花茶であるハイビスカスティには利尿作用、胆汁分泌促進作用があり、解毒や皮膚細胞の新陳代謝を促すアンチエイジング、血中コレステロール値を減らすなどの効果が期待されていますが、原料となるハイビスカスの花は上の写真のような鮮やかなものではなく、ローゼル(Hibiscus sabdariffa)というハイビスカスと同じフヨウ属の花です。
以前アフリカのお土産で貰ったハイビスカスティを煮て飲んだところ、あまりの不味さに吐き出しそうになったのですが、どうやらアフリカでも漢方薬的な位置づけのハイビスカスティだったようで、おしゃれカフェで出される若干酸味のあるワインのような薄赤のものは、暑い日中に少量の砂糖を加えて飲むと新鮮で美味しく感じます。
雷雨の後には花がよく咲くは本当か?
以前バリ島の自宅の庭で、乾季に毎朝夕せっせと水道水を撒いてもいまいち元気が出ない植物が、ある日短時間の小雨の後に急にシャキンとするという経験を何度もしたことがあります。
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インドネシアで植物栽培から学ぶ宮本武蔵の人生の教訓
宮本武蔵が剣を置いて農業を始めた目的は、自分の存在への固執を捨て己に勝ち、剣から得た悟りで人を生かすことでした。同様に在宅勤務の中で自然界の植物に対して自分が出来ることの限界を知り、感情をコントロールできない自分の弱さを思い知ることには意味があるはずです。
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日本でも雷の多い年は豊作と言われ、雷を受けると植物は成長するというのは事実であるようで、その理由は雷の放電により空気中の窒素濃度が上がり、これが水に溶けて降り注ぐことで植物の成長を促進させるようです。
うちのハイビスカスはpH8.5付近のアルカリ性水道水では満足しないようなところがあって、乾季にたっぷり水を撒いて肥料あげても咲かなかったのに、雨季に入ってph6以下の弱酸性の雨が一晩降るだけであっさり開花するのが不思議。
(2021年7月18日追記)
インドネシアの新型コロナウィルス感染拡大により、7月3日から20日まで(7月末まで延長決定)緊急公衆活動制限PPKM(Pemberlakuan Pembatasan Kegiatan Masyarakat) Darratが施行され、ジャカルタの主要道路は通行止め、飲食店での店内イートインが禁止され、昨年の大規模社会制限PSBB(Pembatasan Sosial Berskala Besar)時同様、自宅で過ごす時間が長くなりました。
余暇時間が多くなると普段以上にハイビスカスの手入れをマメにするようになり、おかげで毎日のように華麗で繊細な色と形の花を咲かせてくれます。