交配で多彩な葉模様の新種が生み出されるインドネシアのカラジウム

2019/10/26

カラジウム

カラジウム(Caladium)はアマゾン川流域の南米を原産とするサトイモ科カラジウム属の球根植物であり、インドネシアでも交配(silang)により多彩な葉模様の新種が生み出される人気の観葉植物です。

ハイビスカス

インドネシアの植物

「インドネシアの植物」と聞いて思い浮かぶのはバリ島を象徴する花でもありお供えものチャナンに添えてあるフランジパニ、灼熱の熱帯気候を体現するようなハイビスカス、傘替わりに使えそうな大きな葉っぱで有名なアロカシアなどです。

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ギリシャ語のkaladion(カップ)に由来するカラジウム

カラジウム(Caladium)はアマゾン川流域の南米を原産とするサトイモ科カラジウム属の球根(umbi)植物であり、涼し気で花のような色合いの葉っぱの模様が魅力的であるとこからニシキイモ(錦芋)という和名を持っています。

カラジウムインドネシアでは一般的に「クラディ」と呼ばれる非常に人気の高い植物であり、交配を重ねることによって葉脈が透けて見えるような薄色の鮮やかな色合いのハイブリッドの葉っぱが特徴的であり、現在のところうちの嫁はんが最も多く栽培している品種でもあります。

カラジウムはアンスリウムと同じく高温多湿を好み、15度以下の低温に弱いため、日本では夏の観葉植物として温度が調整できる室内で飼育されることが多いようですが、インドネシアでは屋外の日陰、テラスなどの半屋外に置かれることが多く、うちのカラジウム達は午前中は日向、午後が日陰になるように庭の塀際に置いています。

インドネシアではコロナ禍の2020年から2021年の活動制限により、自宅で過ごす時間が増えたことで、爆発的な観葉植物ブームが起こり、西ジャワのLembangや東ジャワのMalangなどの生産者が、InstagramやWhatsAppを通じて直接消費者に販売するD2Cビジネスが活発になりました。

カラジウムは赤・黄・緑・白・金・黄・紫の基本色の濃淡の下地に、点状・円形・縞模様・不規則な形の模様が表出し、これらの組み合わせのパターンによって価値が決まるため、生産業者は試行錯誤しながら交配することで新種や希少種を生み出そうとします。

インドネシアのオンラインで植物を買う

インドネシアではTokopedia、Shopeeなどオンラインマーケットプレイスを通してだけでなく、Instagramを通して売る側と買う側が直接取引での植物の売買が盛んに行われており、うちの場合は嫁はんがInstagramを通して注文した植物が、スマトラ島のアチェ(Aceh)、カリマンタン島のポンティアナック(Pontianak)、東ジャワのマラン(Malang)など、インドネシア中から毎日のように送られてきます。

オンラインマーケットプレイスとは違って、Instagramの場合は発送者と直接コミュニケーションできるので、どのクーリエ業者(courier : Door to Doorの国際宅配便)を使うか、どのように梱包してもらうかなどの細かい指定を依頼できるので、うちの嫁はんはもっぱらInstagramに画像をアップしているカリマンタン島や中部ジャワの小規模零細供給者から購入しています。

ちょうどジョクジャカルタで昨日25日に検疫され発送されたパケットが、今日26日の午前中にはブカシに到着していました。パケットには検疫証明書が添付されています。

カラジウムをオンラインで購入する場合、梱包してポットに植え替えると、既存の葉っぱはだいたい元気なくて枯れていきますが、その間にも新しい芽が球根から生えてきます。

ジョクジャから空輸されてきた植物。島間だけでなく島内での空輸にも検疫が必要で、荷送人は検疫所(Balai Karantina)で検疫証明書(KT12=Karantina Tumbuhan)を取得し、費用は国家非税金収入PNBP(Penerimaan Negara Bukan Pajak)として国庫に入るが、形骸化しているのか中の情報はいいかげん。


こんな感じで普通の荷物と同じようにパッキングされ詰め込まれて送られてくるのですが、箱のサイズに合わせて余裕を持たせた梱包で植物に圧力を掛けないことが重要であり、今回は比較的高価なカラジウムを購入したので、安価な植物を発送する場合に比べて丁寧にパッキングされていました。

発送中に葉っぱが破れる、茎が折れるなどの破損は、発送者側の梱包技量にもよりますが、一般的には小さい箱に無理やり多くの植物を詰め込まれることにより圧力がかかったことが原因です。

球根と根の周辺の土をビニールでくるんでガムテープで止めてありますが、剥ぎ取る際に植物を傷つけることがあるので、購入側の開封の手間とリスクを考慮すればビニール紐で縛るのがベストだと考えます。

ところで以前カリマンタン島のポンティアナックから食虫植物ネペンテス・ベントリコーサ(Nepenthes ventricosa)を購入した時は、島間移動ということで検疫証明書(KT12=Karantina Tumbuhan)が必要でしたが、今回のジャワ島内での空輸にも検疫が必要らしく、荷送人は検疫所(Balai Karantina)で植物検疫証明書を発行してもらう必要があります。

ただ検疫証明書の記載情報を見ると、今回クーリエ業者であるTIKIを使用しているにもかかわらずPOS(郵便)になっていたりと結構いい加減なので、実際の運用は形式上の手続きだけになっている感じがします。