インドネシアで起業し継続させるための心構え

2017/09/19

バリ島のビーチ

技術力や知識量は絶対的価値で競合すれば優位に立つことは難しいでしょうが、特定の環境で相対的優位性を発揮できれば、人の役に立ちながらも自立して仕事ができるわけです。逆に言うとより厳しい環境であれば競合が脱落することで相対的に自分の付加価値が高まります。

ジャワ

インドネシア生活における思考と感情

人間は弱い生き物ですから感情に支配されて勘定の赴くままに意思決定したり行動したりするものですが、結果は得てして非合理的なものになりがちなので、相手の感情を汲み取りながらも自分は感情に流されない合理的な思考訓練が重要だと考えます。

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相対的優位性を持つためには

人間の価値とは、結局はどれだけ他人に役に立てるか、ということなんでしょうが、人の役に立つには他人が出来ないことが出来たり他人よりも物知りだったりする必要があり、ビジネスにおいても最も重要なことは相対的優位性(競争力)を持つことであることは言を俟ちません。

そして他人が出来ないこと(≒技術)とか他人より詳しいこと(≒情報)は、現場での日常業務で体得した経験に基づいた場合に初めて説得力を持ち、ネットや本で習得することは出来るものもあるとはいえ、基本は本業(≒実業)の中でしか身につきません。

そうだとしたら、忙しいを理由に仕事を断ることは機会損失であり、そもそもサッカー選手は「なんで俺にばかりパスを回すんだ」とは文句を言わないですよね。

ビジネスを立ち上げることを『起業』と言いますが、ここで我々が『起』こす『業』とは『行為、所作、意志による身心の活動、意志による身心の生活』であり、それができるようになるためには実業を一生懸命頑張って経験値を積むのが最短の方法であり、実業のない起業は事業内容が虚業になるリスクがあります。

勇気は最大の武器
信用は最大の財産

『業』を『起』こし継続させていくためには、勇気をもって恐れずひるまず行動し、地道に信用を積み重ねていくしかありません。

過去の辛い体験を力に変える

大事な人を亡くしました。

失った後に他人から聞いて初めて知った事実が多すぎて、自分にとってはあまりにも偉大な人でした。

最後の最後まで一切自慢しない人でした。

自分とはまったく正反対の体育会系、周りの第一評価も「怖い人」という絶対的威厳のある人でした。

いじめられて泣いて帰ってきた子供にバットを持たせて「これでやり返して来い」と怒鳴った人でした。

「今行くから空港で待ってろ」と言い残して飛行機に乗り、ゲートで会うなりぶん殴るという熱血ドラマの主人公みたいな人でした。

震災で店がやられて困っていた人に対して、隠れて金銭的援助をする人でした。

後から知った事実ですが、本当はすごい寂しがり屋でした。

最後の最後のあの記憶が自分の心に残っている限り、少々のことがあっても平気になりました。

ジャカルタ

心の余裕は日頃の反復練習で培われる

謙虚であるためには心の余裕が必要であり、心に余裕を持つには自分に対する自信が必要であり、自分に自信があるということは、日頃からの反復練習で培われた技術や知識で武装されているという状態です。

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自身の謙虚さと他人への優しさ

他人は自分の言ったことをどう解釈するかは予測できないもので、人間タダでさえ色眼鏡で見られがちなのだから、何をしゃべるにしても誤解されないように、最低限の注意を払うほうがいい。

自分が無意識に発した言葉で相手が傷ついてしまうのはつらいことで、過去に自分の発した不用意な発言で相手を不快にさせたり傷付けたりした思い出がいくつもあり、穴があったら入りたい、過去の発言を修正したい、思い出すだけで胸が締め付けられるような気分になります。

だから馬鹿にしたり話のネタにしようとする人に対しては、逆にこっちが申し訳ないと思うくらいの謙虚さが必要、結局は優しさとか感謝する気持ちなんだろうと思います。

ただ、これも人間ですから、自分はこうありたいという気持ちを煩悩が邪魔をするのは仕方のないことだ、と以前お坊さんから教えてもらいましたので、へこむ必要はありません。

人間ですから、疲れていたり、他のことをやりたくて注意力が散漫になったりするのは当然であり、そこを責められる筋合いはないし、他人を責めるべきでもありません。

日本人的には「他人に迷惑をかけてはいけない」のでしょうが、インドネシアでは迷惑はかけるもの、sama-sama(お互い様)です。

1997年10月にインドネシアに来てから2017年9月までで20年目の節目を迎えましたが、このブログの目的は『インドネシアに関わって仕事をする人が経験する事象の背景を理解するために役立つ情報や考え方を伝えること』であって、その結果として何等かの縁あって一緒に仕事をさせていただく機会が来ればいいと思っています。

具体的なトピックはシステム導入の現場情報やインドネシアのIT事情などが中心となりますが、直接的には本業のITには関連しないものの、インドネシアで事業を継続させていく上での基本的なスタンスや思考方法についても、頭の整理も兼ねて書いていきたいと思います。