インドネシアのビジネス環境

インドネシアのSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献するオンラインビジネス【日本はアジアDX構想として戦略的に資金や技術を投入】


インドネシア社会のデジタル化が目指すところ

インドネシアの電子マネーはE-Tollカードのようなチップベースの非接触ICカード型と、GoPayのようなスマホアプリ型のサーバーベースに分かれますが、サーバーベース型の電子マネーは、GoJekやGrabなどの配車アプリに紐づいて発展したインドネシアの特殊な事情があります。

オープンプラットフォームとしての電子決済手段【配車アプリに紐づいて発展したインドネシアの特殊な事情】

 

僕がインドネシアに来た20年以上前から、会議中にテーブルの上にノキアやエリクソンの携帯を2つも3つも並べて置くことがステータスで、金が無くても分割でスマホを買うくらいモバイルガジェット好きな国民性ですから、2014年に配車アプリの先駆けとなるUberが進出して以来、GrabやGojekなどの配車アプリが包括する各種サービスが日常生活に浸透するのはあっという間でした。

インドネシアのIT事情と日系製造業のシステム化の現状【2011年3月新興国セミナー@東京の登壇内容の抜粋】

インドネシアの電子マネーによるEC決済事情【消費者と事業者の双方にとっての利点】

 

特にインドネシアを代表するデカコーン企業であるGojekは、ライドシェアから食品配達、バイク便、引っ越し、マッサージなど生活サービス全般に進化したGoLife、それらすべての決済手段としてのGoPayという「移動⇒サービス⇒決済」というワンストップサービスを提供する中で、インドネシアが抱えていた多くの社会問題解決のために貢献しました。

コロナ禍の中にあってはインドネシアの地方特産事業や限られた商圏で営業する屋台などをデジタルプラットフォーム上に載せることにより、零細事業主の支援、国産品の販売・消費の機会を創出すると同時に、付加価値産業が少なく輸出競争力が弱いという弱点を、インドネシアの国内消費を自給で賄うことで経済を回すカタリスト(触媒)的役割を果たしています。

増えた国内消費を国内産業で賄うことが雇用を創出し、生み出されるサービスは経済主体の生産性を向上させ、オンライン化が地域間格差を縮めるという経済効果を生み出しますが、一方で都市部だけが豊かになっているという意見もあり、それはジョコウィ政権が弱いとされる貧困対策、福祉政策として取り組むべき問題かと思います。

このように多くの社会問題を解決すると同時に、新しいイノベーションを促進することでインドネシアの発展に寄与するスタートアップ企業を輩出しようというのがGoJek創業者であるナディム・マカリム氏の企業理念であり、インドネシアのデジタル化が目指すところは経済成長促進と社会問題解決、そして次世代のインドネシアの繁栄を支える事業体の育成です。

ASEANのSDGs達成への貢献と日本の改革を目的としたアジアDX(デジタルトランスフォーメーション)構想

今日ジェトロ主催のセミナーで経済産業省の担当者の方から話がありましたが、日本ASEAN間で経済産業協力の推進のため、2020年4月に「日ASEAN経済強靱性強化に関する共同イニシアティブ」、7月には「日ASEAN経済強靱化アクションプラン」が合意され、50を超える具体的なアクションプランが出されるという、世界でも例のない先駆的取り組みが進められています。

アクションプランの3つの枠

  1. 緊密な経済関係の維持(過去の連携の再確認)
    非関税障壁の撤廃や貿易手続きの簡素化
  2. 経済への悪影響の緩和(現在の危機対応の協力)
    経済活動を維持するための安定した物資供給やデジタル技術の社会実装推進
  3. 経済強靱化の推進(未来に向けた共創)
    サプライチェーン強化や産業界の人的交流

これらのアクションプランを実現していく中で、地域全体の経済成長が促進されていきますが、一方でデジタル化への対応、産業高度化、地域間格差是正、環境問題などの新しい経済・社会課題に直面することになることが予想され、2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの持続可能な開発目標(SDGs=Sustainable Development Goals エスディージーズと読む)を達成するために「イノベーティブ&サステナブル成長対話(DISG=(Dialogue for Innovative and Sustainable Growth)」が創設されています。

SDGs(持続可能な開発目標)

そしてDISGの最大の特徴はこれらのSDGs達成のために、デジタルコネクティビティ、社会課題の解決に資するオープンイノベーション連携、スマートシティ促進、スマート製造などのデジタル技術の活用を前提としている点です。

DISGで議論されるテーマ

  1. サプライチェーンのアップグレード
    強靱なサプライチェーン構築
  2. グリーンイノベーション
    強靱なエネルギー構造の構築や環境制約と経済成長の両立
  3. 医療・ヘルスケア、農業・食糧問題
    医療アクセスの改善、農村部の生産性向上

インドネシアでデジタル技術を活用してSDGs達成のために課題解決を行うビジネスを行っているのがまさにGoJekであり、日本としてASEAN諸国に資金・人材・技術・ノウハウを戦略的に投入して、連携による新事業創出を図ろうというのがアジアDX(デジタルトランスフォーメーション)構想であり、これはSDGsへの貢献と同時に、日本自体の改革に繋げることも目標としています。



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