一般的には日本の水道水は軟水でpH値が低い酸性ですが、インドネシアの水道水はミネラル含有率が高い硬水でpH値も高いので、魚の飼育のためにはpH値を下げた上で、カルシウムやマグネシウムを分解させて水質を軟性に変える必要があります。 インドネシアの生活 ネットで何でも情報は収集できる時代ですが、他人からの情報は基本的に点でしかなく、点と点を繋げることは自分の頭の中でしかできません。また新しいアイデアを生み出したり複雑なことを考えるためには、過去の経験に基づく知識が頭に記憶されている必要があります。 続きを見る
インドネシアで魚を飼育する
ジャカルタで観賞用の魚を買う場所としてはメンテン(Menteng)地区のスメナップ市場(Pasar Ikan Sumenep)、カルティニ市場(Pasar Ikan Ex Kartini)、ジャティヌガラ(Jatinegara)の動物市場(Pasar Hewan Jatinegara)の3か所が有名ですが、ジャティヌガラ動物市場は衛生上も治安の面でも決して良いとは言えず、カルティニ市場はJl. Gunung Sahari 7Aという狭い通りで車やバイクとの接触のリスクがあるので、僕のお薦めは都心にあって小奇麗でアクセスの良いスメナップ市場です。
スメナップ市場
カルティニ市場
ジャティヌガラ動物市場
これがバリ島であればデンパサールの鳥市場(Pasar Burung Satria)で、10年ほど前まで、バリ島で多数のアロワナ、淡水エイ、その他大勢の魚達を飼育してときは、コオロギやカエル、雑魚などの新鮮な生餌を買うために毎日のように通っておりました。
Batu Bulanに自宅を新築するにあたり、リビング中央に設置する250cmの巨大水槽を発注し、その中で比較的安価なブラジル原産のシルバーアロワナから始まり、食欲旺盛で気性が荒いグリーンアロワナ、体調10cmほどの幼魚が2.5jutaほどする紅尾金龍(ゴールデンレッド)、そして同サイズの幼魚が6.5jutaというアジアアロワナの王様である紅龍(スーパーレッド)など、終日アロワナの世話に明け暮れる日々が続きました。
2007年頃のデンパサールのPasar burung。10匹以上の巨大なアロワナの食欲を満たす生餌を買うために足繁く通いました。自宅のプラケースに入れたカエルが脱走し庭の池で勝手に繁殖するわ、脱走したコオロギが家中で風情のある音色で鳴くわ、随分とお金と体力も使いました。
Batu Bulanの自宅リビングの中央で紅尾金龍(ゴールデンレッド)が混泳する様子は圧巻でした。底にはモトロ(淡水エイ)のつがいが居ましたが、ある朝突然ミニエイが3匹増殖(一匹は死産)、エイのメスは背中で卵を孵化させ出産します。
病気療養のため2階のバスタブに一時退避させていたアロワナを、網ですくって両手で抱えたままダッシュで1階のリビング中央に設置した250cm水槽に戻す作業。アロワナは跳躍力が半端ないので重い金網で厳重に蓋をしています。
重量感のあるアロワナを網ですくって、2階からダッシュで1階リビングまで移動。当時35歳くらい、働き盛りの男がパンツ一丁で何をやってるんだか。
アロワナが怪我しないように、上から注意深くゆっくりと落とし込みます。
今でこそ笑って語れる黒歴史ですが、ジャカルタから袋詰めで空輸されてきた10cmほどのスーパーレッドの稚魚(1匹6juta)4匹をングラ・ライ空港(Ngurah Rai)まで引き取りに行き、体長15cmまで育てたところで、ある日発生した停電時にUPS(無停電電源装置)が作動せずエアーレーションがストップしたことで、24juta分のアロワナを半日で死滅させたことがあります。
魚の飼育環境にとって重要な水の硬度とアルカリ度(pH値)
「インドネシアの水は硬水なのでシャンプーで髪が痛みやすい」とよく言われますが、これは日本の水道水に含まれるミネラル(カルシウムCaやマグネシウムMgなど)は50mg/L~60mg/Lの軟水であるのに対して、ジャカルタは100mg/Lの以上の硬水であり、それらが髪に付着してゴワゴワ感が残るからです。
スメナップ市場でアロワナを買ってきて、水道水を溜めた自宅水槽にアロワナを投入しても死ぬことはないと思いますが(怖いのでやりませんけど)、アジアアロワナは軟水環境で美しく発色すると言われていますので、カルシウムやマグネシウムを分解させて水質を軟性に変えたほうがいいと思います。
それよりも気を付けるべきはpH値の急激な変化(pHショック)が個体に及ぼす影響であり、お店から運ばれてきたときのビニール袋内の弱酸性の水のpH値に近い数字まで、水槽の水道水のpH値を下げる必要があります。
アクアのガロンをアロワナ飼育の水に使用できるはずですが、1回の水替えに大変な時間とお金と労力を要するため、市販の中和剤でカルキ抜き(次亜塩素酸カルシウム)と水質調整をするのが現実的です。
硬度とpH値の関係は水分中のいろんな元素が関係するため一概には言えませんが、一般的にはインドネシアの水道水のような硬水はpH値が高くアルカリ性で、日本の水道水のような軟水はpH値が低い酸性であると言えます。