「インドネシアのビザ取得と会社設立」と聞いて思い浮かぶのは就労ビザITAS取得手続きや会社設立手続きの複雑さ、などです。
就労ビザ取得手続きは20年前とさほど変わらず相変わらず複雑なのですが、会社設立に関しては投資調整庁(BKPM)が運営する事業許認可システム(OSS)で事業基本番号(NIB)を取得するという手続きに一元化され、海外直接投資を阻む要因の一つであった複雑で時間がかかる行政手続きの簡素化が進んでいます。
インドネシア国内で就労して収入を得るにはインデックスC312ビザを取得し、国内でITASに切り替える必要がありますが、労働法(UU No 13 Tahun 2003)に外国人労働者の雇用についての規則が記載されており、一般的にイミグレーションや労働移住省(Dinas Tenaga Kerja dan Transmigrasi 通称DISNAKER)による摘発の根拠となりやすいのは以下の項目です。
- 外国人労働者は指定された役職に応じて一定期間の雇用形態にてインドネシアで就労することができる。
⇒KITASやIMTAに登録された役職と、会社組織図や名刺の役職に食い違いがあるという理由で摘発。 - 雇用主は外国人を一つ以上の役職に雇用することを禁じる。
- 取締役・監査役以外の外国人役職に応じた職業訓練及び教育を実施する。
⇒職業訓練を実施していないという理由で摘発。 - 外国人労働者は人事業務を担当する役職に就くことは禁じられる。
⇒採用面接や人事評価の過程で外国人の関与の形跡があるという理由で摘発。
VOA(インデックスC213)やビジネスビザ(インデックスC211シングルビザまたはC212マルチビザ)で入国した出張者が、現場に入って指導や作業を行っているところを摘発されたり、ゴルフ場でパスポート不携帯を理由に摘発されたりする事例は未だに聞きますが、イミグレーションや労働移住省の担当者は基本的に「法の遵守」に対する外国人との認識の齟齬を突いてきますので、多少面倒でもビザ取得手続きを一つずつ適切に処理し、滞在時の行動様式を常に見直すくらいのほうが安全です。
当ブログでは僕と同じようにインドネシアに関わり合いを持って仕事をする人が、日常生活やビジネスの現場で出会うさまざまな事象のコンテキスト(背景)の理解の一助となるようなビザ取得や会社設立手続きについての記事を書いています。
就労ビザ
就労ビザ取得手続きの流れ
ややこしくしている理由の1つは必要書類を担当しているお役所が大きく分けて労働局(IMTA)⇒入国管理局(VTT)⇒在外インドネシア大使館(C312)⇒入国管理局(ITAS)と分かれているからではないでしょうか。
- EPO(Exit Permit Only)で出国(今の会社を辞める)
- Passport 原本
- Imta(Ijin Mempekerjakan Tenaga Asing) 原本
- 技能開発基金DPKK(Dana Pengembangan Keahilan Keterampilan)原本
- Kitas(Kartu Izin Tinggal Terbatas) 原本
- RPTK : 外国人雇用計画書
- スポンサーである会社(PT)は、外国人雇用計画書であるRPTKAを労働移住省(Kementerian Tenaga Kerja dan Transmigrasi)に提出し承認をもらっていることが前提
- Rekomendasi TA-01 : 労働移住省からの推薦状
- 推薦状が承認されたら外国人労働者利用補償金基金(DKPTKA=Dana Kompensasi Penggunaan TKA)への1200ドル払い込み後IMTAが取得できる。
- IMTAを労働局(Kementerian Ketenagakerjaan RI)から取得。VTTと無関係に先に手続を進められる。
- VTT(Telex) : C312就労ビザ(VITAS=Visa Ijin Tinggal Sementara )の在外インドネシア大使館向けビザ発給依頼書
- 法務局出入国管理局(Kementerian Hukum dan HAM RI)から発行してもらう「どこの在外インドネシア公館に対して(シンガポール)どんなビザの種類を(VITAS)発給してください」という情報が記載されている。
- 再入国の種類(VOA以外はC312ビザ同様在外大使館へのTelexが必要)
- ビザなし(30日間の延長不可の観光ビザ)
- B213(Visa On Arrival)30日ビザでBusiness MeetingだけならOKで、1回限定30日間の延長が国内で可能。
- B211B(ソシアルブダヤ)(最大60日で延長不可)
会社のスポンサーは必要なく、インドネシア人の身元保証人のレターでOK - B211A(ビジネスシングルビザ)最大60日で出国で無効になる。
- B212(ビジネスマルチビザ)1年間何回でも入国できるが一回の滞在期間が最長60日 )⇒183日ルール(年間183日を超える場合はNPWPを取得し納税義務)対象だが、実際は指摘されない。⇒ノートとペンのミーティングのみOKでPCを開くとNG、現場に入るとNG。
- C317(配偶者ビザ)
- C312(就労ビザ VITAS=Visa Ijin Tinggal Sementara)(6ヶ月または12ヶ月)
- インドネシア国内処理
- 最寄のイミグレオフィスで写真撮影と指紋押捺を行い、KITAS(Kartu Izin Tinggal Terbatas)一時滞在許可証に切り替え。Multiple Exit and Re-Entry Permit(MERP)取得。
- KITASが廃止されカードの代わりにITASオンラインのスタンプがパスポートに押され、イミグレでの写真撮影と指紋押捺の翌日にエージェント宛にE-Kitasが後日メールで発送される。
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インドネシアで就労ビザを取得するまでの流れ
インドネシアの就労ビザ取得までの流れは、前職のビザを終了させるためのEPOの手続き後に、新しい会社で働くためのビザ発給依頼書(VTT)を入国管理局で発行してもらい、在外公館でC312ビザ取得し、再度入国後に国内の入国管理局にてITASを取得します。
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インドネシア国内でのパスポート更新
パスポートの更新を日本大使館で行った後にイミグレでの切替届けが必要になりますが、手続きは1週間かかり新パスポートにSURAT KETERANGAN PELAPORAN PERGANTIAN PASPOR(旅券切替の報告に関する説明書)という紙がホッチキスで留められ旧パスポートを引き継いだ旨のスタンプが押されます。
旧パスポートから新パスポートへ引き継ぐ必要があるのはC312ビザとKITASとMERP (Multiple Exit/Re-entry Permit)の3つです。 インドネシア国内でのパスポート更新【入国管理局への届け出が必要】 就労可能なビザC312ビザのみ(6ヶ月と12ヶ月の2種類)で、入国時はSingle Entryなので期間内の出入国するにはMERP (Multiple Exit/Re-entry Permit)を別途取得する必要があります。 続きを見る
BKPMによるITAS未取得の外国人に対する入国支援措置
コロナ禍で新規就労ビザ発行手続きに支障が出ている中で、投資調整庁(BKPM))はITASを保有しない外国人に対する新規ビザ発行のための推薦状の発行業務(入国支援措置)を行っています。
「渡航することでインドネシア経済に貢献、雇用維持に繋がる人材を確保する」ことを目的としているため、帯同家族に対する推薦状の発行は行われていません。
インドネシアの永住許可証に該当するKITAP
KITAP(Kartu Izin Tinggal Tetap 恒久滞在許可証)は外国人がインドネシアにTinggal Tetap(恒久的に滞在)するためのものなので、永住権と言っても間違いではありませんが、実際の有効期間は5年間で、期間中に複数回の出国と入国をする場合には、2年間有効のMultiple Re-Entry Permitを延長する必要があります。
- インドネシア国籍者を配偶者に持つ外国人(配偶者ビザ)
- PMA(外国資本投資会社)にて1milyarルピア相当の株式を保有する役員(DirectorまたはKomisaris)である株主
- PMAで10milyarルピア相当の株式を保有する株主(役員でなくともよい)。
- PMAで3回KITASを更新した役員(DirectorまたはKomisaris)
以上に該当する人がKITASからKITAPに切り替える資格を有します。
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インドネシアの永住許可証に該当するKITAPの新規則
KITAPは外国人がインドネシアに恒久的に滞在するためのものなので永住権と言っても間違いではないと思いますが、実際の有効期間は5年間で、期間中に複数回の出国と入国をする場合には、2年間有効のマルチの再入国許可証を延長する必要があります。
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会社設立
ローカルPT設立方法
「小さく起業する」というのは、個人が脱サラして自己資金を元手に国内資本投資会社(Penanaman Modal Dalam Negeri=PMDN)を設立し、労務費やオフィス賃料などの固定費をなるべく抑えながら、仕入から売上までの一連の流れを回し、適切に毎月法人所得税や付加価値税などを納税するという意味です。
会社設立にあたって会社名や事業内容、資本金額、会社の住所、株主と持ち株比率、役員等を決める必要があり、そのためには役員の住民登録証(KTP)や納税者番号(NPWP)のコピー、会社のオフィスを借りたときの賃貸契約書やオフィスの写真、土地・建物税の最終支払い伝票などを準備する必要があります。
インドネシアにローカルPT(株式会社)を設立して、会社をスポンサーとして自分のビザを取る場合に必要な、会社の最低資本金の額を聞かれることが多いのですが、2016年現在では1人あたり1milyar(約800万円)が望ましいとされており、数年前に比べてハードルが2倍に上がっています。
インドネシアで最安値で国内投資会社(ローカルPT)を設立しようとする場合、会社の資本金を最低額の50jutaとして、Notaris手続き費用10juta、資本金の25%である12.5juta+バーチャルオフィス年間5jutaとすれば、合計27.5jutaでインドネシアの会社法に則ったPTが設立可能です。
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インドネシア人配偶者を株主として自己資金だけでローカル会社を設立
「小さく起業する」というのは、個人が脱サラして自己資金を元手に国内資本会社を設立し、従業員の給料やオフィス賃料などの固定費をなるべく抑えながら、仕入から売上までの一連の流れを回し、適切に毎月法人所得税や付加価値税などを納税するという意味です
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事業許認可システム(OSS)で取得すべき事業基本番号(NIB)
これまでインドネシアでインドネシア国内投資会社を設立するには、まずはオフィスの賃貸契約を済ませたら、管轄の地方政府から会社所在地証明書を発行してもらい、法務管理局で会社名の承認を貰い、NotarisでAKTA Pendirianを作成し、中央政府機関から上記のSKやTDPを取得し、Domisili Perusahaanに記載されるオフィスの所在地を管轄する地方政府からSIUPを取得し、税務署から納税者登録番を取得する、というややこしい手続きが必要でした。
また外国投資会社の場合は、投資調整庁から、外資による投資規制分野であるネガティブリストに抵触しないか等を審査された上での事業認可を受ける必要がありました。
それが2018年7月からはPMDN、PMA問わず、会社設立の手続きはすべてBKPMが運営する事業許認可システム(OSS=Online Single Submission)を通すことで一元化され、AKTA作成と同時にまずはNIBを取得すべしという流れに大きく変更になりました。
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インドネシア投資を活性化するOSSとオムニバス法
インドネシアでの起業では、地方政府や法務管理局、中央政府機関から各種証明書を取得する手続きが複雑でしたが、2018年7月からは投資調整庁BKPMの事業許認可システムOSSを通すことで一元化され、事業基本番号NIBの取得が義務付けられました。
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