アパートに比べて一戸建てはセキュリティの面で劣りますが、クラスターハウジングという集合住宅は、区画全体が高いフェンスで囲まれ入り口ゲートは1つしかなく、区画内を24時間セキュリティが巡回してくれるので、普通の一軒家に比べてセキュリティは高いといえます。 インドネシアの不動産 インドネシアは不動産価格暴騰を防止するために外国人名義での所有権を認めていませんが、近年の国内中間層の拡大に伴う不動産需要の高まりによりジャカルタ周辺部の不動産価格は値上がりを続けています。 続きを見る
ジャカルタ近郊に広がる土地開発の波
ジャカルタからCibitung, Cikarang, Karawangの工業団地方面に向かうTol(高速道路)の14km地点出口が西ブカシ(Bekasi Barat)であり、ジャカルタ近辺で働く在住日本人の居住地区としては、ジャカルタかチカランかに二極化していく傾向がある中で、西ブカシに住んでいる日本人は間違いなくレアキャラです。
西ブカシは、ジャカルタへも工業団地へも遠からず近からずの距離に位置しており、ちゃんとした日本食レストランや日本のラーメン屋がないとか、スーパーマーケットやドラッグストアの品揃えが薄いためお気に入りのシャンプーとかボディソープが手に入らないとかいう贅沢さえ言わなければ、緑が多く住みよい街です。
僕がインドネシアに来た1997年くらいの、東ジャカルタやその先のブカシは、いわゆる土着のインドネシア人プリブミ(pribumi)が非常に多く住む地区というイメージで、泥棒(maling)やすり(copet)、バイクによるひったくり(jambret)などの犯罪や、学校間による抗争(tawuran)が多く、2000年代初頭に頻繁に発生した爆弾テロに関わったテロリストが潜伏していたという、決して治安の宜しい雰囲気はありませんでした。
しかし時代の流れとともに治安が良くなり、新興の工業団地がジャカルタの東へと開発されていくにつれ、インドネシア人中間層の住宅需要を満たすために、大手ディベロッパーによる大規模宅地開発が行われていきました。
今ジャカルタでは土地価格が高すぎて家が買えないため、ジャカルタ中心部で働くインドネシア人が家の購入を検討する場合、まずは西のタンゲランやBSD(Bumi Serpong Damai )方面を本命として、次点として南のデポック・ボゴール方面を検討することが多く、東のブカシ方面がジャカルタ通勤者をターゲットとした宅地開発地区として注目を浴びてきたのはここ数年の話です。
現在南方面と東方面にはLRT工事が着々と進行中であり、今後益々便利になることを考えると、居住地人気度は西と南と東で均衡していき、それに伴い現在のところ西高東低の土地価格差も、徐々に縮小していくのではないかと予想しています。
弊社オフィスはスマレコンのEmerald Commercialという、まだ新しいPertokoan(商業店舗集積地区)にあり、3階建ての小奇麗なRukoでも年間70juta前後と比較的リーズナブルに借りることができますが、それでもかなりのDisewakan(貸したし)やDijual(売りたし)の張り紙が目立ちます。
不動産屋のお姉さん曰く「高すぎるのが原因」ということですが、都市の発展のスピードに古くから住んでいる近隣住民の懐具合が追いついていかないのかもしれません。
スマレコン(Summarecon)のカーフリーデイ
ジャカルタの場合、通勤や治安の問題から日本人ならアパート住まいが圧倒的に多数派ですが、僕は軽度の高所恐怖症と閉所恐怖症なので、天井の低い高層階暮らしで気づかないうちにストレスを溜め込んでいました。しかし半年前にブカシのクラスター住宅に引っ越して、天井の高い部屋で寝るようになってから、随分と睡眠が深くなったように感じます。
最近の大手ディベロッパーの住宅地開発の主流はクラスター形態であり、入り口ゲートは一つにして区域全体がフェンスで囲まれ、公園やプールなどの公共施設を設置したセキュリティとアメニティを重視した設計になっています。
毎週日曜日の朝のカーフリーデーといえばジャカルタのスディルマン・タムリン通りが有名ですが、ここ西ブカシのスマレコンでも6:30から9:30までの時間帯で実施されており、ジャカルタのカーフリーデイの盛り上がりほどではないとはいえ、普段はこの人達どこに隠れているんだろうと思うくらいの大勢の人々で賑わいます。
最近のジャカルタのカーフリーデイは、運動する人だけではなく、歌って踊るサークルや大道芸人、着ぐるみを着た集団など何でもありのカオスの様相ですが、ここスマレコンのカーフリーデイは極めて健康的、ジョギングする人、エアロビする集団、自転車に乗ったサイクル野郎集団など、純粋に運動をする本来の目的で集まっています。
ブカシの住民はイスラム教徒の比率が高いので、カーフリーデイに集まってくる女子もジルバブを被ったまま運動するわけですが、スポーツウェアにジルバブという組み合わせが意外にもお洒落で萌えます。
ジャカルタ近郊と中部ジャワのクラスター区画住宅の価格差
インドネシアには、ミニバンで都市間を結ぶトラフェル(Travel)と呼ばれる民間交通機関が発達しており、自分もかつて西ジャワのチレボン(Cirebon)や中部ジャワのプカロンガン(Pekalongan)に輸出用のバティック買出しのために、毎週金曜日の仕事明けの夜にトラフェルでジャカルタを出発し、土曜の朝現地到着、夕方まで仕事して日曜の朝便のトラフェルでジャカルタに戻る、という生活をしていましたことがあります。
先日嫁さんの用事にくっついて中部ジャワ州の州都スマラン(Semarang)に2泊した後、乗り合いミニバンで古都ソロ(Solo)まで行って1泊して来ました。
ちょうど先週、ジャカルタから東へ12kmほどの西ブカシ(Bekasi Barat)、大手ディベロッパーSummareconが開発予定のクラスターのモデルハウスを見たてきたばかりで、おおよそLT(Luas Tanah 敷地面積)104平米、LB(Luas Bangunan 建物面積)93平米くらいの小さなクラスターが1.6Milyar(1,500万円前後)でした。
- ジャカルタ郊外Summarecon BekasiのクラスターのTunai Keras(現金一括払い)
LT91㎡ / LB 65㎡ : 1.3Miliar(PPN10%込み)
LT104㎡/ LB 93㎡ : 1.6Miliar(PPN10%込み)
Summareconの名前で売り出すクラスターは、開発地域内にショッピングモールやビジネスオフィスを併設し、地域開発の枠組みの中で売り出すため、利便性とブランド力の価値がある分割高になりますが、これが2~3km外に離れたLT/LBが同程度のクラスターであれば、2割ほど割安になります。
そして今回、ほぼ同じスペックでジョクジャカルタとソロ近辺の中部ジャワのクラスターの値段が1Milyar(900万円前後)ということは、ジャカルタと中部ジャワの住宅価格差の目安は2割程度と見ていいかと思います。
- ジョクジャカルタ・ソロSumber Baru LandのクラスターのTunai Keras(現金一括払い)
LT112㎡/LB100㎡ : 980juta(PPN10%込み)
LT133㎡/LB100㎡ : 1Milyar(PPN10%込み)
クラスター住宅の値段は、建物自体が同じスペックでも、立地や開発元ディベロッパーのブランド力、クラスター内設備によって変わるとはいえ、感覚的に中部ジャワの住宅価格はジャカルタの半値くらいと思っていたので、土地価格の上昇の波が地方まで広がっていることを改めて実感しました。
Rumah Kompleks PerumahanとRumah Clusterの違い
近年の経済発展に伴い、KPR(Kredit Pemilikan Rumah 住宅ローン)を組めば1,000万円から2,000万円くらいの間のマイホームに手が届く階層のインドネシア人が爆増し、ここに目をつけた大手ディベロッパーによる売り出し戦略がクラスターという住宅販売形態です。
安全性重視のクラスター住宅区画近隣には、生活利便性を高める中規模ショッピングモールやビジネスビル、学校などが建築され、周辺のアクセス道路沿いに3階建てのRuko(Rumah Toko 住宅兼店舗)を2,000万円から3,000万円で売りだし、マイホームを夢見る若い中間層が数年後の新しい職住近接のライフストーリーを描けるような仕掛けが盛りだくさんです。
クラスター区画には以下のような特徴があり、いわばアパートメントの住宅版と言えるかと思います
- 地区全体が高いフェンスで囲まれ、入り口ゲートは1つしかなく、24時間CCTVと警備員によるセキュリティ監視体制が敷かれている。
- 住宅のエクステリアの変更はクラスタ全体の統一感を損なうため不可。
- セキュリティ監視コストを下げるため住宅ユニットはフェンスで囲まれない。
- ジム、テニスコート、プール、公園などの複合施設の利用が可能
もともと分譲住宅と言えばRumah Kompleks Perumahanであり、同じく大手ディベロッパーによる住宅地開発の一環として販売されますが、区画はkavlingという単位で切り売りされ、どんな家を建てようが基本自由であり、当然自分のkavlingと外部とを仕切るフェンスを設置します。
住宅地には複数の出入り口があり、クラスタほどの厳重な警備体制ではないかもしれませんが、その分自由度があるというトレードオフの関係です。
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ジャカルタ近辺での不動産投資によるインカムゲインとキャピタルゲイン
インドネシアのアパート投資では購入価格の10分の1の年間賃料10年間貸してインカムゲインを享受した後で、売却によるキャピタルゲインを狙うのがよいとされてきましたが、不動産価格の高騰と価格上昇率の低下により、今では20分の1の賃料で15年間貸して売却するのが現実的ではないでしょうか。
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西ブカシの2階建て一戸建ての年間賃借料と月々の固定費
クラスター住宅の場合、購入時の権利はHGB(Hak Guna Bangunan 建築利用権)である場合がほとんどで、通常は販売会社のマーケティングオフィスを通じてHak Milik(所有権)に変更することになり、先日知人のインドネシア人が敷地面積6mx13mで600万円ほどの小さなクラスター住宅のHGBをHMに変更するために5jutaほどかかったと言っていましたので、クラスタの場合権利の変更は問題なく行われるようです。
ただし敷地内の所有権は確保しても、クラスター地域内の通路や上下水道は、近隣住人との共用施設となり、維持費や修繕費はアパートメントと同じように管理費(iuran linkungan)で賄われますが、今日時分ジャカルタのアパートメントの毎月の管理費が1平米あたり1万~1.5万ルピアとして月額100万ルピア以上はかかるのに比べて、クラスタの場合は半額以下に収まりますので、月々の固定費負担はクラスターのほうが断然楽です。
日本から出張してきたお客さんからの「インドネシアで家を借りるといくらかかるんですか?」という質問には即答できますが「賃借料以外に月々いくらかかるんですか?」と質問されても、家の支払い関連は全部嫁はんに任せっきりだったので「だいたい1jutaルピアくらいじゃないですかねえ」とか適当にお茶を濁してきました。
今借りている西ブカシの新興開発地区Summareconの借家のスペックは以下のとおりですが、これは家具なしのNon Furnishなので家具や電化製品は全部自前です。
- 2階建ての建屋面積(luas bangunan)が216㎡
- 部屋が4つ+メイド部屋1つ
- バスルーム:3つ(メインベッドルームのバスルームにはバスタブあり)+メイドさん用1つ
- 電力:3500Watt
- 上下水道完備:Air PAM
賃借料:70juta/年(2年契約+1か月分のデポジット)
契約はRay Whiteという不動産エージェントを通し、賃貸契約書(Akta sewa menyewa rumah)作成手続きも、多忙なオーナーさん不在のままNotaris(行政書士)とエージェントの前で行ったので、お金持ちと噂のオーナーさんとは面識がありません。
去年の12月末に今の家に引っ越してきたのですが、その前は近所の別のクラスター内にある年間60jutaの家に住んでまして、それに比べると10juta高くなってしまったのですが、今の家のほうが建物の状態は良好で広さも1.5倍くらいあるため、Summareconの賃借料の相場からそれほど乖離していないと思います。
実は今月5月一杯まで前の借家の契約が残っているのですが、諸事情によりオーナーと険悪な仲になり、嫁はんがブチ切れて手が付けられなくなったため、契約期間を5か月残したまま今の家に引っ越しました。
そして僕が今まで「1jutaルピアくらい」と想像していた月々の固定費ですが、結論から言うと2倍かかってました。
- 電気代:50万ルピア分のTokenを買えば1か月でお釣りがきます。
- 水道+管理費(iuran): 1juta/月
- Indihome(ケーブルTVとインターネット無制限): 396,000/月
- クラスター内の植木の手入れや掃除: 10万Rp/月
固定費合計:2juta/月
西ブカシのSummareconのクラスターに住みはじめて2年以上経ってはじめて、月々の固定費に衝撃を受けるというのも間抜けな話ではありますが、今の生活で毎月かかっている費用をまとめると以下のようになります。
- 賃借料:5.9juta/月
- 固定費:2juta/月
- 変動費(食費+遊興費+ガソリン代その他)
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ブカシでもPSBB(大規模社会制限)が実施されて外出自粛が続いている影響で、嫁はんはネットでの買い物でストレスを発散させるため、支払いが大変なことになっていると想像される遊興費の詳細を計算をするのはやめておきます。
アパートと一戸建ての違い
ジャカルタでは通算13年ほどアパート暮らしでしたが、僕は元々高層階と狭い空間が苦手であり、うちの嫁はんはそれに輪をかけて大の地震嫌いであり、ジャカルタから西ブカシへの引っ越しにあたって、住居は一戸建て一択でした。
また義母が海洋系の大学の指導者を育成する専門家、義妹は植物の原子力による影響を研究する人という、難しくて何をしているのかよく分からない公務員が多い家系ということもあって、うちの嫁はんは大の植物マニアであり、僕が寝ている間にInstagramやTokopediaでポチポチした結果、よく分からないパケットが毎日2~3回届けられます。
アパート暮らしの利便性よりも、植物の栽培やペットとの生活に高い優先度を置く人は、思い切ってジャカルタ郊外に一戸建てを借りてみるのも悪くないと思います。
セキュリティの面ではアパートに比べて一戸建ては落ちるかもしれませんが、Summareconのクラスターハウジングという集合住宅は、区画全体が高いフェンスで囲まれ入り口ゲートは1つしかなく、区画内を24時間セキュリティが巡回してくれるので、普通の一軒家に比べてセキュリティは高いと思います。
蛇口から水が出てくるまでの複雑な仕組み
まず道路側の水道本管から庭の受水槽へ水を引き込みますが、受水槽内の水位は水洗トイレと同じくボールタップが浮力だけで制御しており、日々上下する金具部分が劣化し機能しなくなると、水栓トイレの場合はタンクに水が溜まっても流れ続けることになりますが、受水槽の場合はオーバーフローして庭が水浸しになります。
受水槽から庭のポンプが水を屋上の貯水タンクに引き上げますが、貯水タンク内のブイが水位低下を感知し信号を電極棒に伝えることで、ポンプが稼働し水を吸い上げる仕組みなので、ポンプ横の電源と貯水タンクの電源とは繋がっており、別の電源からポンプを動かしてしまうと自動制御が機能しません。
蛇口をひねり水圧が弱まると屋上のジェットポンプが稼働して増圧するので、ポンプ設置当初は蛇口をひねるたびにポンプの音が上から聞こえてきましたが、ここ1年程音が聞こえなくなり、水圧の弱さも生活する上で支障とならない程度であったため、既に電源抜いてしまいました。
貯水タンク内のブイが水位の閾値を下回ったことを感知すると、電極棒に信号を送り庭のポンプが稼働して受水槽から水を吸い上げ、上回ると自動でポンプを止める。屋内で蛇口をひねると水道管内の水圧が下がり、タンク横のジェットポンプが増圧のために稼働するが、半年前に壊れており電源抜いてある。